インボイス制度対応のPOSレジとは?必要な機能と選び方
適格請求書等保存方式(インボイス制度)では、適格請求書発行事業者が取引先から求められた場合、原則としてインボイスを交付する必要があります。
小売店や飲食店など、不特定多数の人に販売・サービス提供を行う一定の事業では、必要な記載事項を満たしたレシートなどを「適格簡易請求書(簡易インボイス)」として発行できます。
ただし、インボイス制度に対応するために、必ずPOSレジへ買い替える必要があるわけではありません。現在使用しているレジで必要な情報を正しく設定・出力できる場合は、そのまま利用できます。
本記事では、インボイス制度に対応するレジに必要な機能やレシートの記載事項、現在のレジで確認するポイント、新たにPOSレジを導入する場合の選び方を解説します。
なお、2026年度のインボイス制度改正による店舗への影響やレジ対応については、「2026年インボイス制度改正でレジ対応は必要?店舗への影響と確認ポイント」で詳しく解説しています。
この記事のポイント
・インボイス制度への対応だけを理由に、POSレジへ買い替える必要はない
・小売店や飲食店などでは、要件を満たすレシートを適格簡易請求書として発行できる
・現在のレジで登録番号や税率別の金額などを正しく出力できるか確認する
・新たにPOSレジを選ぶ場合は、インボイス対応に加えて自店舗の業務に必要な機能を確認する
・導入時の設定や制度変更時の対応、トラブル時の問い合わせ方法なども選定基準になる
インボイス対応POSレジとは
インボイス対応POSレジとは、インボイス制度で必要となる情報を設定し、レシートや領収書などへ出力できるPOSレジです。
小売業や飲食業など、不特定多数の人に販売・サービス提供を行う一定の事業では、通常の適格請求書に代えて「適格簡易請求書」を交付できます。店舗で発行するレシートも、必要な記載事項を満たしていれば適格簡易請求書として扱うことが可能です。
そのため、単に「インボイス対応」と表示されたPOSレジを導入することが目的ではありません。現在のレジを含め、必要な情報を正しく設定・出力できるかを確認することが基本となります。
レシートの記載事項
小売店や飲食店などが発行できる適格簡易請求書には、次の事項を記載する必要があります。
- 発行者の氏名または名称・適格請求書発行事業者の登録番号
- 取引年月日
- 取引内容
- 軽減税率の対象品目である場合はその旨
- 税率ごとに区分した税込または税抜の合計額
- 税率ごとの適用税率または消費税額等
適格簡易請求書では、通常の適格請求書と異なり、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称を記載する必要はありません。また、「適用税率」と「税率ごとの消費税額等」は、いずれか一方を記載すれば要件を満たします。
店舗では、登録番号だけでなく、軽減税率対象品目や8%・10%の税率区分などが正しくレシートへ反映されているか確認しておく必要があります。
参考:国税庁「インボイス制度について」
今のレジはそのまま使える?
インボイス制度への対応だけを理由に、現在使用しているレジを買い替える必要はありません。
必要な記載事項を正しく設定・出力できるレジであれば、引き続き使用できます。
一方、登録番号を印字できない、複数税率を適切に処理できないなど、必要な機能を備えていない場合は対応が必要です。ただし、その場合もすぐに買い替えるのではなく、まず設定変更やソフトウェアのアップデートで対応できないか確認します。
現在のレジで確認する項目
インボイス制度への対応状況を確認する際は、以下の点を見ておくとよいでしょう。
- 適格請求書発行事業者の登録番号を設定・印字できるか
- 8%・10%など複数の税率を区分して処理できるか
- 税率ごとに区分した合計額を出力できるか
- 適用税率または消費税額等を出力できるか
- 軽減税率対象品目であることを表示できるか
必要な機能が不足している場合でも、設定変更やアップデートで対応できることがあります。対応方法は製品によって異なるため、利用しているレジのメーカーや提供事業者へ確認してください。
発行業務の負担を抑える
インボイス制度では、必要な記載事項を満たしていれば、手書きの領収書などでもインボイスとして扱うことができます。ただし、発行件数が多い店舗では、その都度必要事項を確認して記載することでスタッフの作業が増える可能性があります。
登録番号や税率などをあらかじめ設定し、会計時に必要事項を含むレシートを発行できるレジであれば、通常の会計オペレーションの中で対応しやすくなります。
インボイス対応POSレジの選び方
現在のレジで必要な対応ができるのであれば、インボイス制度だけを理由に新しいPOSレジを導入する必要はありません。
一方、レジの入れ替え時期を迎えている場合や、店舗運営上の課題も含めてPOSレジを見直す場合は、インボイス対応以外の条件も比較することが大切です。
必要な情報を出力できるか
まず確認するのは、適格簡易請求書などに必要な情報を正しく出力できることです。
登録番号、税率ごとの合計額、適用税率または消費税額等、軽減税率対象品目の表示など、自店舗で必要となる項目への対応状況を確認します。
製品自体がインボイス制度に対応していても、登録番号などを店舗側で設定する場合があります。導入後に誰がどのように初期設定を行うのかまで確認しておくと、運用を始めやすくなります。
業種に合っているか
POSレジを新たに導入する場合は、インボイス対応だけでなく、店舗の業種や実際の業務に合った機能が備わっているかを確認します。
たとえば飲食店では、注文入力や厨房への注文連携、テーブル管理、会計まで一連の業務をPOSレジと連携できる場合があります。小売店では、商品登録や在庫管理、顧客管理など、販売後の店舗業務まで管理できる製品があります。
一方、会計と売上集計が中心の店舗であれば、多くの機能を備えたシステムが必ずしも必要とは限りません。必要な業務を明確にしたうえで、自店舗に合った製品タイプを選ぶことが大切です。
周辺システムと連携できるか
すでに会計ソフトやキャッシュレス決済などを利用している場合は、POSレジとの連携可否も確認します。たとえばPOSレジに記録された売上情報を会計ソフトへ連携できれば、手作業によるデータ入力を減らせる場合があります。
キャッシュレス決済端末とPOSレジを連携できる構成では、POS側の会計金額を決済端末へ連携し、金額を二度入力する作業を減らせる場合もあります。
ただし、対応サービスや連携方法、必要な機器、追加費用などは製品によって異なります。現在利用しているシステムとの対応状況まで確認して比較します。
サポート体制を確認する
POSレジは導入後も継続して利用するため、設定やトラブルへの対応方法も選定基準になります。特にインボイス対応では、登録番号の設定場所やレシートへの反映方法など、利用開始時に確認が必要になることがあります。
初期設定や設置を店舗自身で行うのか、電話・チャットなどの問い合わせ窓口があるのか、機器トラブル時にどのような対応を受けられるのかなど、具体的なサポート内容を確認します。
IT機器の設定や管理を店舗側で行える場合は、セルフセットアップ型のサービスも選択肢です。店舗の人員や運用体制に合わせて判断しましょう。
POS+のインボイス対応
POS+(ポスタス)は、適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対応しています。
レシートや領収書への登録番号の印字や、税率ごとの金額・消費税額等の表示に対応し、8%・10%の複数税率を扱う店舗でも利用できます。
また、POS+は飲食店や小売店など、業種ごとの店舗運営に必要な機能を備えています。インボイス対応だけでなく、日々の会計や売上管理を含めてPOSレジを検討したい方は、POS+の機能をご確認ください。
2026年度の制度改正
2026年度(令和8年度)の税制改正では、インボイス制度に関する経過措置などが見直されています。
ただし、今回の改正によって店頭で適用する10%・8%の消費税率そのものが変更されるわけではありません。そのため、今回の改正だけを理由にPOSレジの税率設定を変更したり、新しいレジへ買い替えたりする必要は基本的にありません。
3割特例や仕入税額控除の経過措置など、2026年度改正の内容と店舗への影響については、「2026年のインボイス制度改正でレジ対応は必要?店舗への影響と確認ポイント」で詳しく解説しています。
よくある質問
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Q
インボイス対応レジとは何ですか?
A
インボイス制度で求められる情報を、レシートや領収書へ出力できるレジです。小売店や飲食店などでは、必要な記載事項を満たしたレシートを適格簡易請求書として発行できます。
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Q
インボイス制度でPOSレジへの買い替えは必要ですか?
A
一律に買い替える必要はありません。現在使用しているレジで、登録番号や税率ごとの金額など必要な情報を正しく出力できる場合は、そのまま使用できるケースがあります。
必要な情報を出力できない場合は、設定変更やシステムのアップデート、機器の見直しが必要になることがあります。 -
Q
レシートでもインボイスとして利用できますか?
A
小売業や飲食業など一定の事業では、必要な記載事項を満たしたレシートを「適格簡易請求書」として交付できます。
通常の適格請求書とは記載事項が一部異なるため、自店舗で発行しているレシートが要件を満たしているか確認しておきましょう。 -
Q
免税事業者でもPOSレジを利用できますか?
A
利用できます。POSレジを利用できるかどうかと、適格請求書発行事業者として登録しているかどうかは別の話です。店舗の売上管理や在庫管理、会計業務などを目的として、免税事業者がPOSレジを利用することもできます。
-
Q
2026年度の改正でレジ設定の変更は必要ですか?
A
2026年度のインボイス制度改正では、店頭で適用する10%・8%の消費税率そのものは変更されません。そのため、今回の改正だけを理由にPOSレジの税率設定を変更する必要は基本的にありません。
2026年度改正の詳しい内容や店舗への影響は「2026年のインボイス制度改正でレジ対応は必要?店舗への影響と確認ポイント」で解説しています。
まとめ
インボイス制度への対応では、まず現在使用しているレジで必要な情報を正しく設定・出力できるかを確認します。
対応できるのであれば、インボイス制度だけを理由にPOSレジへ買い替える必要はありません。対応できない場合も、設定変更やアップデートで対応できる可能性があるため、メーカーや提供事業者への確認が先です。
新たにPOSレジを導入する場合は、インボイス対応だけで製品を選ぶのではなく、自店舗の業種や会計方法、必要な店舗業務、既存システムとの連携、導入後のサポートまで比較します。
制度対応に必要な機能と、日々の店舗運営に必要な機能を分けて考えることで、自店舗に必要なPOSレジを判断しやすくなります。