【26年10月更新】スマートレジメーカー5社比較|経産省が推進する理由とは
「スマートレジシステム」という言葉を、最近ニュースで目にした方も多いのではないでしょうか。2026年4月30日、経済産業省の赤澤大臣と越智政務官が東京・錦糸町の商店街でスマートレジシステムを体験しました。こうした実機体験会はスマートレジ事業者による取り組みとして継続的に行われており、政府としても普及を強力に後押ししています。
背景にあるのは、2027年4月に予定されている飲食料品の消費税率変更です。2026年9月15日には、飲食料品の消費税率を2027年4月から2年間、1%に引き下げる大綱が閣議決定されました。国税庁からは、対象範囲や経過措置など具体的な制度案も公表されています。10月5日には第222回臨時国会が開会しました。10月6日時点では関連法案は成立していませんが、2027年4月の施行に向けて制度の内容は具体的になってきています。
経済産業省は「消費税率の変更に柔軟に対応できる」「中小企業の生産性向上につながる」という2つの理由から、スマートレジシステムの普及を進めています。
2026年6月15日には、デジタル化・AI導入補助金での優先採択(加点措置)と全国47都道府県への特別相談窓口設置が決定。9月には、消費税率変更に対応するスマートレジの導入やPOSレジの改修について、補助金の交付決定前でも着手できる「事前着手制度」も始まりました。
本記事では、スマートレジシステムの仕組みや各社の違いに加え、実際の店舗ではどのように使われているのか、導入するときにどこを見ればよいのかまで紹介します。
この記事のポイント
・スマートレジシステムは、タブレットやスマートフォンなどの汎用端末を活用するクラウド型POSレジ
・経済産業省は、消費税率変更への対応と中小企業の生産性向上の観点から普及を進めている
・ソフトウェアのアップデートで税率変更に対応できる製品があり、2027年と2029年の2回の税率変更を考えるうえでも選択肢のひとつ
・POS+(ポスタス)・Airレジ・スマレジ・ユビレジ・Squareなどがあり、業種に合った機能やサポート体制、費用などに違いがある
・デジタル化・AI導入補助金では加点措置や相談窓口に加え、消費税率変更に対応する対象製品の導入・改修に「事前着手制度」も設けられている
スマートレジシステムとは
POS(Point of Sales)とは、日本語では「販売時点情報管理」のことです。商品が売れたタイミングで、何が・いつ・いくつ・いくらで売れたかを記録・管理する仕組みで、この仕組みを備えたレジがPOSレジです。
経済産業省が普及を進めている「スマートレジシステム」は、タブレットやスマートフォンなどの汎用端末をレジとして活用するモバイルPOSレジです。売上や在庫、顧客情報などをクラウド上で管理できる製品もあり、店舗だけでなく本部や外出先から売上状況を確認できるものもあります。
専用の大型端末を使う据え置き型POSとは異なり、タブレットやスマートフォンをレジ端末として使えるのが特徴です。機能や必要な周辺機器は製品によって異なり、店舗の業種や運用に合わせて構成を選べます。
クラウドを活用する製品では、税率変更などにソフトウェア側のアップデートで対応できる場合があります。今回の消費税率変更を受け、こうした特徴もスマートレジシステムが取り上げられている理由のひとつです。
参考記事:経済産業省 2026年6月15日 スマートレジシステムの普及に向けた取組をさらに加速させます
従来型のレジとは何が違うのか
スマートレジシステムと従来型のレジでは、使用する端末だけでなく、データの管理方法や税率変更時の対応にも違いがあります。
| スマートレジシステム (タブレット型POSレジ) | 据え置き型POSレジ | キャッシュレジスター | |
|---|---|---|---|
| 主な端末 | タブレット・スマートフォンなど | 専用端末・PCなど | 専用端末 |
| 売上管理 | クラウド上で管理できる製品が多い | システムによって異なる | 機種によって異なる |
| クラウド連携 | 対応する製品が多い | システムによって異なる | 機種によって異なる |
| 税率変更への対応 | ソフトウェアのアップデートで対応できる製品がある | 設定変更や改修が必要になる場合がある | 機種によって設定変更などが必要 |
| 複数店舗の一元管理 | 対応する製品が多い | システムによって異なる | 機種によって異なる |
スマートレジシステムの大きな違いは、タブレットやスマートフォンなどの汎用端末を使い、クラウドを活用して店舗のデータを管理できることです。
一方、税率変更への対応方法は、レジの種類だけで決まるものではありません。製品や契約内容によって、店舗で設定を変更するのか、メーカー側のアップデートで対応するのか、改修作業が発生するのかも変わります。
今回の税率変更は2027年4月だけでなく、2029年4月には8%へ戻る予定です。今使っているレジでは、この2回の変更をどのように行うのか。店舗での作業や改修費用が発生するのかまで、メーカーに聞いておきたいところです。
なぜ今、政府が普及を推進しているのか
経済産業省がスマートレジシステムの普及を急ぐ背景には、大きく2つの理由があります。それぞれ解説します。
消費税率の変更に伴うレジの対応
飲食料品の消費税率は、2027年4月から2年間、1%へ引き下げる予定です。2026年9月15日には大綱が閣議決定され、国税庁から対象範囲や経過措置など具体的な制度案も公表されました。
10月5日には第222回臨時国会が開会しています。10月6日時点では関連法案は成立していませんが、政府・与党は早期成立を目指しています。
レジ側でも準備が必要です。経済産業省が示した調査では、据え置き型POSの改修には、税率を0%とする場合で最大10〜12カ月、1%の場合でも最大5〜6カ月かかるとされています。
2026年9月には、消費税率変更に対応するスマートレジの導入やPOSレジの改修について、補助金の交付決定前でも着手できる「事前着手制度」も始まりました。
今回の税率変更は、2027年4月に1%へ変更して終わりではありません。2年間の時限措置のため、2029年4月には8%へ戻る予定です。
クラウド型POSには、税率変更にメーカー側のソフトウェアアップデートで対応できる製品があります。ただ、対応方法は製品によって異なります。
今使っているレジは1%に対応できるのか。店舗で設定を変更する必要はあるのか。改修や費用が発生するのか。そして、2029年に8%へ戻すときはどうなるのか。ここまでメーカーに聞いておけば、自店で必要になる準備が見えてきます。
関連記事:消費税率変更でレジはどう対応する?2026年「食料品0%」で変わる、レジ選びの判断基準
参考サイト:日本経済新聞(2026年4月30日関連報道)
スマートレジの利便性確認、消費減税にらみ赤沢経産相 都内店舗視察
内閣官房 2026年8月5日 「飲食料品に係る消費税率の引下げ」及び「給付付き税額控除」(政府の基本方針)
中小企業の生産性向上
スマートレジが注目されているもうひとつの理由が、店舗業務の効率化です。
POSレジでは、会計と同時に売上データが蓄積されます。日々の売上集計だけでなく、商品別・時間帯別の売れ行きを確認できるため、商品構成や仕入れ、人員配置を考える材料としても活用できます。
また、セルフオーダーやキャッシュレス決済、在庫管理などのサービスと連携できる製品もあります。注文や会計、売上管理といった業務をつなげることで、それぞれの作業にかかるスタッフの負担を減らせるのもPOSレジの特徴です。
人手不足が続くなか、レジに求められる役割は会計だけではありません。自店で時間がかかっている業務を洗い出し、レジや周辺サービスでどこまで対応できるのかを確認したうえで、必要な機能を選ぶことが大切です。
スマートレジシステムの主要メーカー5社を比較
スマートレジシステムは、POS+(ポスタス)・Airレジ・スマレジ・ユビレジ・Squareなど、製品によって機能や料金、サポート体制が異なります。
レジを選ぶときは、業種だけでなく、実際の店舗運営に合うかどうかも確認します。同じ飲食店でも、テーブルオーダーを使う店舗とスタッフが注文を取る店舗では、必要な機能や機器の構成が変わります。小売店でも、在庫を店舗ごとに管理するのか、複数店舗でまとめて管理するのかによって選び方は変わります。
自店の会計方法や注文、在庫管理などの運用と照らし合わせながら、必要な機能とサポート体制を比較していきます。ここからは、5社の特徴を見ていきます。
| 製品名 | 向いてる店舗 | 料金の考え方 | サポート |
|---|---|---|---|
| POS+(ポスタス) | 飲食・小売・美容など、業種に合わせた機能や導入後のサポートまで重視したい店舗 | 月額料金制。業種や利用するサービスに応じて構成 | 365日対応のコールセンター/全国駆けつけサポート |
| Airレジ | 会計を中心に、必要な機能やサービスを組み合わせて利用したい店舗 | 基本的なPOSレジ機能は無料。周辺機器や関連サービスの利用には別途費用がかかる場合がある | 電話/チャット/問い合わせフォーム |
| スマレジ | 店舗規模や必要な機能に合わせてプランを選びたい店舗 | 無料プランから有料プランまであり、利用する機能やプランによって料金が変わる | 電話/メール/チャットなど ※プランによって異なる |
| ユビレジ | iPadを活用し、店舗に必要なサービスを組み合わせて利用したい店舗 | 月額料金制。利用するサービスやオプションによって費用が変わる | 電話/メールなど |
| Square POSレジ | POSレジとキャッシュレス決済をまとめて利用したい店舗 | POSレジアプリは無料。決済手数料や周辺機器、利用するサービスなどに費用がかかる | 電話/メール/ヘルプセンターなど |
スマートレジは、月額料金だけでは単純に比較できません。無料で利用できるサービスでも、周辺機器や決済、追加機能などに別途費用がかかる場合があります。
一方、月額料金がかかるサービスには、業種に合わせた機能や導入時の支援、運用開始後のサポートなどが含まれているものもあります。自店で必要な機能をそろえた場合の費用と、導入後に受けられるサポートの内容まで含めて比較することが大切です。
POS+(ポスタス)

POS+(ポスタス)は、飲食店・小売店・美容サロンなど、業種ごとの店舗運営に合わせた機能を備えたクラウド型POSレジです。
会計や売上管理だけでなく、飲食店のオーダーや小売店の在庫管理など、店舗で必要になる業務をPOSレジと組み合わせて利用できます。導入後のサポートも月額料金に含まれており、365日対応のコールセンターに加え、トラブル時には全国駆けつけサポートを利用できます。
| 詳細 | |
|---|---|
| 初期費用 | 要問合せ |
| 月額費用 | 要問合せ |
| 製品タイプ | 業界特化の機能あり汎用タイプ |
| 端末タイプ | タブレット型クラウドモバイルPOSレジ ※ターミナル型セルフレジもあり |
| 機能の一例 | 売上管理・分析商品・在庫管理顧客管理予約管理在庫管理、セルフ機能、店舗分析など |
| サポート体制 | ・初期設定、設置はおまかせ ・365日電話サポート ・全国無制限で駆け付けサポート |
| 向いている事業者 | 導入に不安でサポートの充実を希望する事業者小規模店舗から複数業態・店舗展開する事業者 |
| 向いていない事業者 | 向いていない事業者 とにかく初期費用を抑えたい個人事業主、業種特化機能を特に必要としない小規模店舗 |
Airレジ

Airレジは、基本的なPOSレジ機能を無料で利用できるサービスです。会計や売上管理、商品管理など、店舗で必要になる基本機能を備えています。
Airペイなどの関連サービスと組み合わせることで、キャッシュレス決済にも対応できます。利用するサービスや周辺機器によって必要な費用が変わるため、自店で使う機能や機器まで含めて確認します。
基本的な会計機能を中心に使いたい店舗や、必要なサービスを選びながら構成したい店舗に向いています。
Airレジの基本情報一覧
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 基本機能は0円(一部オプションは有料) |
| 製品タイプ | 高機能汎用型 |
| 端末タイプ | タタブレット型 |
| 機能の一例 | レジ機能、売上管理、分析商品など |
| サポート体制 | メール、チャット |
| 向いている事業者 | 小規模店舗や個人経営の店舗初めてPOSレジを導入する事業者 |
| 向いていない事業者 | 電話でのサポートを重視したい事業者、業種特化機能を必要とする事業者 |
引用: Airレジ公式サイト
スマレジ

スマレジは、無料プランから複数の有料プランまで用意されているクラウド型POSレジです。基本的なレジ機能に加え、プランに応じて在庫管理や複数店舗管理などの機能を利用できます。
店舗数や必要な機能に合わせてプランを選べるため、まずは基本的なレジ機能から使いたい店舗から、複数店舗をまとめて管理したい事業者まで対応しています。
利用できる機能やサポート内容はプランによって異なるため、自店で必要な機能とサポートの範囲を合わせて比較します。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 0円~15,400円(税込み)/プランにより異なる |
| 製品タイプ | 高機能汎用型 |
| 端末タイプ | タタブレット型クラウドPOSレジ |
| 機能の一例 | レジ機能、売上管理、分析商品など |
| サポート体制 | メール、チャット、電話/プランによって異なる |
| 向いている事業者 | 店舗規模や業態に応じて柔軟に機能をカスタマイズしたい事業者高度な在庫管理や売上データの分析を重視する中規模以上の店舗 |
| 向いていない事業者 | 電話でのサポートを重視したい事業者、業種特化機能を必要とする事業者 |
引用:スマレジ公式サイト
ユビレジ

ユビレジは、iPadを利用するクラウド型POSレジです。会計や売上管理などの基本機能に加え、店舗の運用に合わせて在庫管理やオーダー、外部サービスとの連携などを組み合わせて利用できます。
飲食店や小売店、サービス業などで利用でき、必要な機能を選びながら店舗に合わせた構成にできるのが特徴です。月額料金のほか、利用するサービスやオプションによって費用が変わるため、自店で使う機能を決めたうえで料金を確認します。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 初期費用 | 要問合せ |
| 月額費用 | 7,590円(税込み)/プランにより異なる) |
| 製品タイプ | 高機能汎用型 |
| 端末タイプ | タブレット型 |
| 機能の一例 | レジ機能、売上管理、分析商品など |
| サポート体制 | メール、電話、ヘルプページ |
| 向いている事業者 | キャッシュレス決済をメインとする店舗オンラインとオフラインの売上を一元管理したい事業者 |
| 向いていない事業者 | 月額費用をできるだけ抑えたい事業者、シンプルな機能だけで十分な事業者 |
引用:ユビレジ公式サイト
Square POSレジ

Squareは、POSレジとキャッシュレス決済を組み合わせて利用できるサービスです。POSレジアプリは無料で、Squareの決済端末と連携して会計から決済まで行えます。
実店舗での会計・決済に加え、オンライン販売などのサービスも展開しており、店舗とオンラインの販売をまとめて管理したい場合にも利用できます。
POSレジアプリ自体に月額料金はかかりませんが、キャッシュレス決済には決済手数料がかかり、利用する端末やサービスによって別途費用が発生します。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 0円~/プランにより異なる |
| 製品タイプ | 汎用型 |
| 端末タイプ | タブレット型 |
| 機能の一例 | レジ機能、売上管理、分析商品など |
| サポート体制 | メール、電話、チャット |
| 向いている事業者 | データ分析を活用して経営戦略を立てたい事業者多店舗運営を行っている事業者 |
| 向いていない事業者 | 対面での手厚い導入サポートを希望する事業者 |
引用:Square公式サイト
スマートレジシステムを導入する5つのメリット
スマートレジシステムを導入すると、会計だけでなく、売上管理や店舗業務にも活用できます。主なメリットは次の5つです。
以下、主な4つのメリットを詳しく紹介します。
- 会計業務の負担を減らせる
- 売上データを店舗運営に活かせる
- キャッシュレス決済と連携できる
- 税率変更に対応できる製品がある
- 注文や在庫管理などのサービスと連携できる
会計業務の負担を減らせる
POSレジでは、商品を登録して会計すると売上データが自動で記録されます。会計後に売上を別の帳簿へ入力する作業が減り、日々の売上集計や締め作業も行いやすくなります。
商品情報や税率をあらかじめ登録しておけば、会計のたびにスタッフが金額や税率を確認して入力する必要もありません。
自動釣銭機と連携できる製品なら、現金の受け渡しや釣銭計算まで自動化できます。会計だけを見るのではなく、閉店後の集計や現金管理まで含めて、レジ周りの業務を効率化できます。
売上データを店舗運営に活かせる
POSレジには、会計のたびに「いつ・何が・いくつ・いくらで売れたか」というデータが蓄積されます。売上金額だけでなく、商品別や時間帯別の売れ行きまで確認できるのが特徴です。
たとえば、よく売れている商品や売上が伸びる時間帯が分かれば、商品構成や仕入れ、人員配置を考える材料になります。複数店舗を運営している場合は、店舗ごとの売上を比較して、それぞれの傾向を把握することもできます。
レジに蓄積されたデータを日々の店舗運営に使えることも、POSレジを導入するメリットのひとつです。
キャッシュレス決済と連携できる
スマートレジシステムには、クレジットカードや電子マネー、QRコードなどのキャッシュレス決済と連携できる製品があります。
POSレジと決済端末を連携すると、レジで確定した会計金額が決済端末へ送られるため、スタッフが同じ金額をもう一度入力する必要がありません。二度打ちによる金額の入力ミスも防げます。
さらに、現金とキャッシュレスの売上をPOSレジでまとめて管理できる製品なら、営業終了後の売上確認や締め作業にも活用できます。
キャッシュレス決済を導入するときは、対応している決済方法だけでなく、POSレジと決済端末をどこまで連携できるかも確認しておきたいポイントです。
税率変更に対応できる製品がある
クラウド型のスマートレジには、税率変更にソフトウェアのアップデートで対応できる製品があります。専用端末を入れ替えずに対応できる場合があるのも特徴です。
今回予定されている飲食料品の税率変更では、2027年4月に1%へ変更したあと、2029年4月には8%へ戻る予定です。飲食店では店内飲食とテイクアウトで税率が異なるため、商品ごとの税率設定だけでなく、会計時の操作やレシートへの表示にも関わります。
レジによって対応方法は異なります。メーカー側で税率が更新されるのか、店舗で設定変更が必要なのか、商品マスタの見直しが必要なのかを確認します。税率変更後に慌てないためにも、実際の会計まで含めて自店で必要になる作業を把握しておくことが重要です。
注文や在庫管理などのサービスと連携できる
スマートレジシステムには、セルフオーダーやハンディ、在庫管理、勤怠管理など、店舗で使うサービスと連携できる製品があります。
たとえば飲食店では、セルフオーダーで受けた注文をPOSレジへ連携すれば、スタッフが注文内容をレジへ入力し直す作業を減らせます。小売店では、販売した商品を在庫情報に反映し、会計と在庫管理をつなげられる製品もあります。
POSレジは会計だけに使うものではありません。注文から会計、売上・在庫管理まで店舗業務をつなげることで、それぞれを別々に管理する手間を減らせます。自店で時間がかかっている業務をもとに、どのサービスまでPOSレジと連携するかを考えます。
スマートレジの導入に活用できる補助金
スマートレジシステムの導入では、「デジタル化・AI導入補助金」を活用できる場合があります。
POSレジのソフトウェアに加え、要件を満たせばタブレットやレシートプリンターなどのハードウェアも補助対象となります。対象となる製品や費用は決められているため、導入を検討しているレジが補助対象に含まれるかを確認します。
また、2026年には消費税率変更に対応するスマートレジの導入やPOSレジの改修を対象とした「事前着手制度」も設けられています。一定の条件を満たせば、補助金の交付決定前に着手した取り組みも補助対象となる場合があります。
税率変更に合わせてレジの入れ替えや改修を予定している店舗は、レジ本体だけでなく、必要な周辺機器や改修費まで含めて補助対象になる範囲を確認してみてください。
参考サイト:デジタル化・AI導入補助金
関連記事:【2026年随時更新】POSレジ補助金の対象制度一覧と申請時の注意点
スマートレジシステムの導入事例
実際にどのような課題が解決されているのか、3つの業種の事例をご紹介します。
【飲食店】ベーカリー15店舗を展開するワールドフーズ「ルフラン」
大阪・兵庫エリアでベーカリー「ルフラン」「Yakitatei」を運営する株式会社ワールドフーズは、旧レジのサポート終了を機にPOSレジシステムを刷新しました。
導入前の課題
- 売上確認のたびにレジを止める必要があり、混雑時は途中経過の把握が困難
- 各店舗・本部でそれぞれ手入力して集計するため、タイムラグと二重入力が常態化
- 値引きの実態(どの商品を・どの店舗で・どれだけ)が数字として見えない状態
導入後の変化
- レジを止めずに、管理画面で売上・時間帯別推移をリアルタイム確認
- 手入力・再集計が不要となり、本部との集計タイムラグが大幅に改善
- 値引きの発生状況を店舗別・商品別でデータとして初めて可視化
導入店舗の声
「現場に立ちながら『今いくら売れているか』『どの時間帯でどの商品が動いているか』が分かるのは、本当に画期的です」 ── エリアマネージャー 藤原氏
「時間帯別売上のデータが現場で助かっています。イベントや販促日でも、午前中の段階で計画通りいけそうか判断できるようになりました」 ── 店長 中谷氏
→ 詳しい事例を見る
【調剤薬局】「断らない調剤」を掲げるあい薬局(Link Medical株式会社)
東京都内で「あい薬局」3店舗を運営するLink Medical株式会社は、「断らない調剤」を理念に外来・在宅・施設・麻薬・無菌調剤まで幅広く対応する薬局です。
導入前の課題
- 売上を手打ちで管理していたため、打ち込み漏れやヒューマンエラーのリスクが常にあった
- レジ締め・日報・月末照合など、薬剤師には重すぎる事務負担
- 日々の売上を紙で管理しており、集計に手間と時間がかかる状態
導入後の変化
- レジ締め・照合作業の処理時間が従前比1/2〜2/3に短縮
- 月末の保険請求が忙しい時期でも、レジ締めや日報作成に追われることがなくなった
- 3店舗の売上をリアルタイムで一元確認できる環境が整備された
導入店舗の声
「打ち間違いがあっても、レシートに伝票番号が付与されているので番号を検索するだけで該当取引がすぐに表示できます。処理時間は従前比で1/2〜2/3に短縮されました」 ── 調剤事業本部 関根氏
「時間をかけるべき保険業務や患者様対応にリソースを回せるようになりました」 ── 調剤事業本部 関根氏
→ 詳しい事例を見る
【歯科クリニック】自費診療の高額精算を自動化|Mika Beauty Dental Clinic
岐阜県中津川市にある美容歯科クリニック「Mika Beauty Dental Clinic」は、ホワイトニングや審美治療など自費診療が多く、高額精算の場面が頻繁に発生するクリニックです。
導入前の課題
- 自費診療の高額現金精算で、患者さんの目前でお札を数える負担と気遣いが大きかった
- 毎日18時の診察後、2人のスタッフが19時まで残業して締め作業をこなす日々
- 既存POSシステムの更新費用と機能面に限界
導入後の変化
- 自動釣銭機の導入で、患者さんを待たせない正確な精算を実現
- 締め作業は1人・18時30分前後で完了。人員も残業時間も半減
- 税理士提出用の帳票がシステムから自動出力され、事務作業の手間がほぼゼロに
導入店舗の声
「スタッフの数も残業時間も半減しました。締め作業でミスが発生しても、現金授受のプロセスにおける間違いはないので、原因特定がとても楽になりました」 ── 加藤みか院長
→ 詳しい事例を見る
導入時に確認すべきポイントとは
スマートレジは、初期費用や月額料金だけでなく、自店の業務に合った機能があるか、導入後にどこまでサポートを受けられるかまで含めて選びます。毎日使うレジだからこそ、実際の店舗運営と照らし合わせながら確認していきます。
まずは業界特化タイプを確認する
レジを選ぶときは、まず自店の業種に合った機能があるかを確認します。
たとえば飲食店では、ハンディやセルフオーダー、キッチンへの注文連携などが店舗運営に関わります。小売店では、商品登録や在庫管理、店舗間の在庫移動など、会計以外にもレジとつなげたい業務があります。
業種に合わせて設計されたPOSレジであれば、こうした店舗業務に必要な機能をまとめて利用できる製品があります。現在の注文方法や会計、在庫管理などと照らし合わせながら、自店に必要な機能がそろっているかを見ていきます。
汎用タイプを検討する
業種特有の機能を必要としない場合は、汎用タイプのPOSレジも候補になります。会計や売上管理など、必要な機能を絞って導入したい店舗にも使いやすいタイプです。
無料で利用できる製品もありますが、商品登録や税率設定、決済端末・プリンターなどの接続、レシート設定まで、店舗側で準備する製品もあります。初期費用を抑えられる一方、利用開始までの設定に時間がかかるケースもあります。
レジを選ぶときは、料金や機能だけでなく、導入時の設定を誰が行うのか、営業開始後にトラブルが起きたときは誰に相談できるのかまで見ておきたいところです。
操作のしやすさ
レジは毎日使うものなので、機能の多さだけでなく、実際に店舗で操作するスタッフが使いやすいかも見ておきたいポイントです。
特に飲食店や小売店では、混雑する時間帯でも商品やメニューを探しやすいか、会計まで迷わず操作できるかによって、レジ業務の進めやすさが変わります。新人スタッフが入ったときに、操作を教えやすいかという視点も欠かせません。
デモや無料体験が利用できる場合は、導入を決める前に実際の画面を触り、自店の会計の流れに合うかを確かめてみてください。
サポート体制
営業中にレジのトラブルが起きると、会計を止めなければならないこともあります。そのため、サポートは「あるかどうか」だけでなく、困ったときにどこまで対応してもらえるかが重要です。
電話やチャットで相談できる時間帯、土日・祝日の対応、店舗への訪問サポートの有無などはサービスによって異なります。飲食店や小売店など、夜間や休日も営業する店舗では、自店の営業時間にサポートを受けられるかも見ておきたいところです。
導入時のサポートにも違いがあります。商品登録や機器の接続、初期設定を自分たちで行うのか、導入時から支援を受けられるのか。レジを使い始めるまでと、営業開始後の両方からサポート内容を比べてみてください。
初期費用・月額費用の総額
POSレジにかかる費用は、端末本体や月額料金だけではありません。レシートプリンターやキャッシュドロア、決済端末などの周辺機器に加え、利用する機能によってオプション料金がかかる場合もあります。
また、商品登録や機器の設定などの導入支援、営業開始後の問い合わせや訪問対応が料金に含まれているかどうかもサービスによって異なります。
料金を比べるときは、自店で必要な機器や機能をそろえた場合の費用に加え、導入時や営業開始後のサポートにかかる費用まで含めて考えます。月額料金だけではなく、店舗で使い始めてから運用を続けるまでにかかる総額で比べることがポイントです。
まとめ
スマートレジシステムは、会計だけでなく、売上管理や注文、在庫管理など、店舗で行うさまざまな業務とつなげて利用できるPOSレジです。
2027年4月には飲食料品の消費税率を1%へ変更し、2029年4月には8%へ戻すことが予定されています。現在使っているレジで対応できる場合は、そのまま使い続けることも選択肢です。一方、改修に時間や費用がかかる場合は、スマートレジへの切り替えも含めて検討することになります。
レジを選ぶときは、初期費用や月額料金だけでなく、自店の業務に必要な機能があるか、導入時の設定を誰が行うのか、営業開始後にどこまでサポートを受けられるのかまで確認します。
毎日使うレジだからこそ、価格や機能の数だけではなく、自店の店舗運営に合ったものを選ぶことが重要です。
- スマートレジは、会計だけでなく売上・注文・在庫管理などの店舗業務にも活用できる
- 2027年と2029年の税率変更について、店舗での設定変更や改修が必要になるかメーカーに確認する
- レジの入れ替えや改修では、条件を満たせば補助金や事前着手制度を活用できる場合がある
- 注文方法や会計、在庫管理など、現在の店舗運営と必要な機能を照らし合わせて選ぶ
- 料金は、機器や機能だけでなく、導入支援や営業開始後のサポートまで含めた総額で比べる
参考サイト
- 経済産業省「スマートレジシステムの普及に向けた取組を強力に進めます」(2026年4月30日)
- 経済産業省「スマートレジシステムの普及に向けた取組をさらに加速させます」(2026年6月15日)
- 国税庁・財務省「消費税率引下げ特設サイト」(2026年9月15日)
- 国税庁「消費税および地方消費税の税率」
- デジタル化・AI導入補助金2026「変化の時代に対応できるスマートレジの導入(事前着手制度)を行います」(2026年9月24日更新)
- 首相官邸「第222回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説」(2026年10月5日)
よくある質問
-
Q
スマートレジシステムとタブレットやモバイルPOSは同じものですか?
A
大きくは同じ種類のPOSレジを指しています。
経済産業省は、タブレットやスマートフォンなどの汎用端末を活用するPOSレジを「スマートレジシステム」として普及を進めています。一方、POSレジメーカーやサービスによっては「タブレットPOS」「モバイルPOS」「クラウドPOS」などの名称が使われています。
呼び方は異なりますが、タブレットやスマートフォンをレジ端末として利用し、売上データなどを管理する仕組みには共通する部分があります。ただし、利用できる機能やクラウドの活用方法、必要な機器は製品によって異なります。
-
Q
スマートレジシステムでは何ができますか?
A
スマートレジシステムは、タブレットやスマートフォンなどをレジ端末として利用するモバイルPOSレジです。
会計と同時に売上データを記録できるほか、製品によってはセルフオーダーやハンディ、在庫管理、キャッシュレス決済などとも連携できます。レジ単体で考えるのではなく、注文から会計、売上・在庫管理まで店舗業務をつなげて使えるのが特徴です。 -
Q
飲食料品の消費税率はいつから1%になりますか?
A
政府は、飲食料品の消費税率を2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、1%に引き下げる方針です。
2026年9月15日に大綱が閣議決定され、国税庁から対象範囲や経過措置などの制度案も公表されています。10月5日には第222回臨時国会が開会しましたが、10月6日時点では関連法案は成立していません。 -
Q
2027年の税率変更では、レジでどのような対応が必要ですか?
A
対応方法はレジによって異なります。メーカー側のアップデートで税率が変更される製品もあれば、店舗で設定変更や商品マスタの見直しが必要になる場合もあります。
飲食店では、店内飲食とテイクアウトで異なる税率をどのように選択するのか、レシートにはどのように表示されるのかも関係します。2027年4月の1%への変更だけでなく、2029年4月に8%へ戻すときの対応までメーカーに確認しておくとよいでしょう。 -
Q
税率変更に合わせてレジを買い替える必要はありますか?
A
現在使っているレジで税率変更に対応できるのであれば、必ずしも買い替える必要はありません。
まずは、2027年と2029年の税率変更に対応できるか、店舗側でどのような作業が必要になるか、改修費用が発生するかをメーカーに確認します。改修に時間や費用がかかる場合は、そのタイミングでスマートレジへの切り替えも含めて比較できます。 -
Q
無料のスマートレジと有料のスマートレジは何が違いますか?
A
料金だけでは単純に比較できません。無料で利用できる製品でも、周辺機器や決済、追加機能などに費用がかかる場合があります。
また、商品登録や税率設定、プリンター・決済端末などの接続を店舗側で行う製品もあります。一方、導入時の設定支援や営業開始後のサポートまで料金に含まれているサービスもあります。
どちらがよいかではなく、自店で必要な機能をそろえた場合の費用と、導入時の設定を誰が行うのか、トラブル時にどこまで対応してもらえるのかまで含めて比べることが重要です。 -
Q
スマートレジの導入やPOSレジの改修に補助金は使えますか?
A
デジタル化・AI導入補助金の対象となるスマートレジがあります。要件を満たせば、ソフトウェアだけでなく、タブレットやレシートプリンターなどのハードウェアも補助対象となる場合があります。
2026年9月には、消費税率変更に対応するスマートレジの導入やPOSレジの改修を対象とした「事前着手制度」も設けられました。
レジの入れ替えや改修を予定している場合は、レジ本体だけでなく、必要な周辺機器や改修費を含めて、どこまで補助対象になるかを確認してください。