業務効率化と売上アップを支援するクラウドPOSレジ「ポスタス」

「POS+ retail」で実現した熊本市役所のキャッシュレス対応と自動釣銭機による窓口業務のDX化

運営自治体:熊本市役所

熊本県の県庁所在地である熊本市は、人口約74万人を擁する政令指定都市です。隣接する菊陽町にはTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)の工場が進出し、半導体産業で活気づいています。また、熊本城をはじめとする観光資源にも恵まれ、熊本地震やコロナ禍後のインバウンドも回復しました。こうした環境変化のなか、熊本市では行政サービスのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進。2024年に「くまもとDXアクションプラン」を策定し、トップダウンによるキャッシュレス化にも取り組んでいます。

導入前の課題
  • 区民課の窓口でレジの打ち間違いや現金授受のミスが発生していた
  • クレジットカードや電子決済など、多様な決済ニーズに応えるため、キャッシュレス化を進める必要があった
  • レジとキャッシュレスのシステムが連携しておらず、締め処理などバックヤードの業務の負担が大きかった
導入効果
  • 窓口の職員が現金に触れる機会を減らすことで、ミスを削減。正確な収納業務を実現できた
  • キャッシュレスサービスのブランドを標準化・促進し、市民サービスの向上につながった
  • バックヤードの業務の生産性が向上し、熊本市の行政DXの導入例として実績ができた

今回は、熊本市 文化市民局 市民生活部 戸籍住民課 主査 西 貴生(にし たかお)様と、同 総務局 デジタル部 デジタル戦略課 技術主幹 林田 紀(はやしだ おさむ)様に、POS+による課題解決の取り組みについて伺いました。

熊本市の行政窓口が抱えていた課題とは

――POS+導入前の課題について教えてください。

「手数料の徴収や集計業務に課題がありました。熊本市には、東区、西区、南区、北区、そして中央区の5つの行政区があります。これらの区役所や出張所、分室の窓口では住民票などの証明書の発行だけでなく、住所変更や戸籍届出、国民健康保険の手続きなど、市民生活に関わる様々なサービスを提供しています。市役所の1階にある中央区役所には、1日当たり約千人の市民が訪れます。

こうした中、手数料の「もらい損ない」や「返しすぎ」など、現金の受け渡しミスが発生していました。手数料は市の歳入に直接影響するため、正確な徴収を行えるように改善が必要でした。POS+導入前のレジは打ち間違いなどの操作ミスが多く発生し、さらに現金払いとキャッシュレスの支払い処理で異なるシステムによる対応や集計も、窓口職員の負担になっていました。現金を触ること自体がリスクになっていたので、それをいかに減らすかが、大きな課題でした。

また、キャッシュレスの決済ブランドも統一されていませんでした。例えば、同じ熊本市でありながら、区民課の窓口と上下水道局では使えるキャッシュレスのサービスが異なっていました。市民から「どれが使えるのか確認に手間がかかる。揃えてほしい」といった声も寄せられていたのです。

――今回導入されたサービスについて、具体的に教えていただけますか。

自動釣銭機能とキャッシュレス決済を連携した「POS+ retail」のシステムを、区役所や出張所などの19拠点に導入しました。区民課での証明書発行の手数料や住所変更、戸籍届出、印鑑登録、パスポート申請などの窓口サービスにおける決済処理に活用しています。

――POS+導入のきっかけや導入の決め手をお聞かせください。

繰り返しになりますが「自動釣銭機」によって「職員が現金に触れる機会を減らしたい」と考えていました。現金を触ること自体がリスクになるので、それをいかに減らすかを重視しました。

導入にあたって複数社のシステムを比較したのですが、フロント部分の自動釣銭機能については大きな違いはありませんでした。一方、POS+の決め手となったのは、バックヤードの機能、特に集計部分が優れていた点です。POS+であれば、市民の利便性を大切にしながら、同時に職員の業務効率化も実現できると考えました。

導入準備は2023年から資料検討を始め、実際の契約は2024年9月からスタートしました。これまで利用していたレジをすべて撤去し、2025年2月からPOS+に切り替えました。

導入効果は「POS+ retail」の自動釣銭機とキャッシュレス連携による正確な金銭授受とフロント業務とバックヤード業務の効率化

――POS+の導入効果について教えていただけますか。

最大の効果は、自動釣銭機の導入によって「正確な金額で手数料を受け取り、払い出せること」の実現です。市民の方が自身で現金を入れて、お釣りを受け取る仕組みになったことで、ミスやトラブルが激減し、職員の負担が改善されました。

さらに驚いたことは、導入から3カ月が経過して、キャッシュレス利用率がPOS+導入前と比べて約4倍に増え、さらに現在も増え続けていることです。

また、支払いの動線もシンプルになりました。これまで窓口ごとに行っていた現金のやりとりをなくし、会計は自動釣銭機がある場所でのみ行うようにしたためです。

――POS+の導入による新たな気づきがあれば教えてください。

意外だったのは高齢者の方ほどキャッシュレス決済を利用する傾向が強いこと。支払い金額が多いため、カード払いが多いのです。一方、中間層は現金払いが多いですね。証明書1通程度の支払いであれば、ワンコインで済ませてしまう。あとはコンビニの証明書交付を利用される方も多いですね。

また、「キャッシュトレイの撤去」がキャッシュレスの利用率を進め、市民のみなさんのマインドを変えたと思います。以前はトレイを出すと自然と現金で支払いをされていたのですが、今は「キャッシュレスですか?現金ですか?」と尋ねることで、キャッシュレスを意識してもらえるようになりました。

キャッシュレス化の周知も徹底しています。ホームページや市政だよりへの掲載、窓口での表示、テレビやラジオでの広報活動を行い、市長の強い推進姿勢もあり着実に成果を上げています。

――POS+の使用感や使い勝手についてはいかがでしょうか。

タブレットによる直感的な操作と視認性の向上で、以前のアナログのレジキーと比べて操作ミスが大幅に減少しています。キャッシュレスも多様なブランドに対応し、多様な決済手段が利用可能になりました。市民の利便性が向上していると感じています。

運用面では充実したPOS+のバックエンド機能によって、現金とキャッシュレス決済の統合管理ができるようになりました。これまで別々に行っていた集計作業も効率化しました。

――POS+のサービス内容やカスタマーサービスについて伺えますか。

運用面で特に評価しているのがPOS+のコールセンターです。窓口職員からの問い合わせに対して、「回答のレスポンスが早い」という声を多く聞いています。また、実際に問題解決率も高いと感じています。

以前は私たち管理部門に現場からの質問が集中していましたが、専門的な問い合わせも直接コールセンターで受けてもらえるようになり、私たち担当課の負担も大きく減りましたね。

――今後のPOS+への期待や展望についてお聞かせください。

今回のPOS+導入はDXのD(デジタル)の部分です。次のステップは業務面のX(トランスフォーメーション)だと思います。DXの本質は業務改革です。「今まで行っていた業務そのものが不要になります」といったサービスのパッケージ化が進めば、自治体業務の効率化が加速するのではないでしょうか。

自治体の事務は基本的に同じなので、単なるソリューションや商品だけでなく働き方を改革するようなパッケージが提供されれば、真の業務トランスフォーメーションが実現できると期待しています。

熊本市では、生成AIの活用にも力を入れています。今後も行政のDXを加速させていきたいと考えています。

――貴重なお話を伺うことができました。ありがとうございました。

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