低価格で美味しい創作料理が楽しめる居酒屋として根強い人気の「金の蔵」。2009年に登場以来、つねに最先端の施策を積極的かつ迅速に取り入れることで、業界をリードしてきました。2020年6月に「POS+」を導入された経緯について、(株)三光マーケティングフーズ エリアマネージャー・山崎 玲衣氏にお話を伺いました
導入のきっかけはコロナ感染対策 タッチパネルからセルフオーダーへ
――「金の蔵」といえば、今では知らない人がいない居酒屋チェーンですね
低価格で均一料金という業態は、弊社が初めてだったと思います。2009年、リーマンショックで景気が低迷する中で「金の蔵」ブランドを立ち上げ、多くのお客様にご来店いただきました。その後も、時代の変化に応えるかたちでメニューも変更してきましたが、一貫して手頃な価格で創作料理が楽しめる居酒屋というところは変わっていません。
お客様の層も幅広くて、ここ高田馬場駅前店も、平日は学生さんが中心ですが土日はファミリー層やご年配の常連さんも多いんですよ。
――POS+ を導入された目的は?
導入の目的はいくつかあるのですが、大きなところでは、コロナ対策です。金の蔵では当初からタッチパネルを使っていたのですが、不特定多数のお客様が触れることになるタッチパネルは、感染防止という意味ではよくないだろうと。お客様も不安に感じる方が多いのではないでしょうか。そこで、安心、安全という観点から、POS+ のセルフオーダーを導入することにしました。
――導入にあたっては、どのように検討されたのですか?
POS+ は、すでに弊社の展開する別業態(アカマル屋、焼肉万里)で使用していて実績があったので、今回もすんなりPOS+ さんで、ということになりました。
まず、POS+ は操作性がかなり良いですよね。初めて使う人でも無理なく使えるというのは、他社も含めて検討したときに、プラスの要素になっています。今の人はスマホに慣れているせいか、新しいバイトの人が来ても「はい」って渡せばすぐに使えるんですよ。その操作性の良さは、POS+ を選んだ理由のひとつです。
セルフオーダー導入で、お客様との会話が増えた、という思わぬメリットも。
――導入してみて、いかがですか?
大きな目的は、もちろんコロナ対策ですが、実は意外なメリットもありました。
タッチパネルの場合、お客様をお席にご案内して、あとはお客様がご自身でタッチパネルで注文したら、それで完結してしまいます。ともすると、お客様への対応がおざなりになってしまいがち、という面も否めません。便利さと表裏一体ですが、もしかすると、弊社の弱みでもあったかもしれないと気づきました。
でも、POS+ のセルフオーダーシステムは、まず従業員がお客様にご説明することから始まります。その説明であったり、お客様がご自身のスマホで操作するのでその距離感であったり、自然と従業員との対話が生まれるというか、お客様とのコミュニケーションの機会が増えるのです。
なかには「自分で操作するのが面倒だ」というお客様もいらっしゃいますので、そういう方には、お声がけいただければ直接お伺いして、ハンディでのご注文も可能です。
基本的にはセルフオーダーでご利用いただくお客様がほとんどですが、ハンディを併用することで、いいバランスになっていると思います。
――従業員の方のモチベーションも上がりますね
先日、ある店舗のアルバイトさんに「セルフオーダーになってから、接客が楽しいです」と言われました。お客様を席にご案内するだけでなく、オーダーの説明とか、お客様と会話が増えた。それが楽しいというのです。そう感じてくれるアルバイトさんがいることは、エリアマネージャーとしてとても嬉しかったですね。
――効率という面ではいかがでしょう。
現在のところ、コロナの状況下で、いつも満席というわけにはいかないのが現状です。それでも、ご入店のお客様が続くときなどは、POS+ にしてすごくよくなったと実感します。
注文や会計だけでなく、たとえばメニュー変更も、従来のタッチパネルだと、写真を送ったりメニューページを作ったりと、いろいろとやることが多くて時間がかかっていました。メニューを開発してから画面に反映させるまで、1ヶ月ぐらいかかってしまうこともありました。POS+ では、すぐにでも反映ができるので、その手軽さ、小回りが利くようになったというのも、見逃せない効果ですね。
――お客様の反応はいかがですか?長年タッチパネルを使い慣れたお客様からはご不満の声はなかったですか?
最初、そこはけっこう懸念していたのですが、「コロナ感染防止のために」とご説明すると、「あ、そこまでやってくれてるんだ」というお声のほうが多くて、概ねご好評をいただいています。
ますます差別化が重要な時代、今後も、他社に先駆けた取り組みを積極的に。
――導入して数ヶ月ですが、今後はPOS+ をどのように活用しようと考えていらっしゃいますか?
この高田馬場駅前店で最初に導入し、その後徐々に増やして、現在では21店舗ほとんどが導入済みです。
決して少ない店舗数ではないので、もっと組織的に活用することが、より効果を上げるための課題だと思っています。たとえば、先ほどメニュー変更が1週間と言いましたが、各店の店長が自力で編集する精度が上がってくれば、1週間かからずに2〜3日で新メニューの導入が可能になるはずです。
今後は、各店舗でどこまでPOS+ の編集、管理をしっかりしてもらえるようになるのか、というところが有効活用の鍵を握っているでしょうね。
実際、各店舗もPOS+ の活用には積極的で、この店で真っ先に導入した際にも、他店の店長がわざわざ見に来たり、ということもありました。
弊社の他業態でもPOS+ を使っていますが、セルフオーダーは金の蔵だけですので、「実際どうなの?使いやすいの?」と聞いてきたりして、みんな大いに興味あるようですね。
――最後に、金の蔵としての今後のビジョンを聞かせてください。
弊社は経営理念として「価値ある食文化の提案」を掲げているのですが、それに則って、これからもお客様にどれだけ価値のある提案をしているか、ということをつねに念頭に置いて活動しています。
もともと金の蔵は、低価格居酒屋としてスタートして、多くのお客様に愛されてきました。今は、コロナの影響でどうしても少し〝しゃがんでいる〟時期ですが、今後コロナが収束したら、というより、このウィズコロナの時代に、どうやってお客様に選んでいただけるかを考えていかなければいけないと思っています。
――やはりコロナ後はコロナ前と違うのでしょうか。
すぐに元に戻るとは思っていません。より競争が激しくなるというか、居酒屋に行くこと自体、ウィズコロナの時代では以前と同じ気軽さではないかもしれない。その中で、選ばれる居酒屋になるには、他社との差別化も大切ですし、より安心、安全を重要視する社会のニーズに応えていくことも大切だと思います。
そういう意味でも、いち早くPOS+ のセルフオーダーを導入したことで、お客様が来店された時に「ここまで取り組んでくれているんだな」と思っていただけること、ご理解いただけることは大きいと思っています。こうした他社に先駆けた取り組みを今後も続けていきたいですね。
――どうもありがとうございました。