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【2025年版】社会保険の手続き方法とは?必要書類や申請の流れを解説

「社会保険」は、健康保険・厚生年金保険・介護保険・労災保険・雇用保険を総称したものです。これは、会社員や役員が加入する制度であり、個人事業主が法人化したり、従業員の増減があった際には、加入や脱退手続きが必要です。

本記事では、店舗経営者や担当者が知っておくべき社会保険の基本的な情報や手続きについて詳しく説明します。

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「社会保険」は、健康保険・厚生年金保険・介護保険・労災保険・雇用保険を総称したものです。

これは、会社員や役員が加入する制度であり、個人事業主が法人化したり、従業員の増減があったりした際には、加入や脱退手続きが必要です。

本記事では、店舗経営者や担当者が知っておくべき社会保険の基本的な情報や手続きについて詳しく説明します。

社会保険とは

「社会保険」とは、国民や住民の健康や福祉を守るために設けられた保険制度のことを指します。

予期せぬ病気や事故、老齢、失業などのリスクに対処し、個人や家族が直面する経済的な困難を軽減するための仕組みです。社会保険にはいくつかの異なるタイプが存在し、一般的なものとしては以下の5種類の保険があげられます。

これらは、総称して「広義の社会保険」と呼ばれています。

1.健康保険

病気やケガで医療機関を受診した際の医療費や薬代を補償する制度です。

2.厚生年金保険

将来の老齢時に受ける老齢給付や、障害を負った場合の障害年金、被保険者が亡くなった際の遺族年金が含まれる制度です。

3.介護保険

介護が必要となった際に、さまざまな介護サービスを受けるための制度です。

4.労災保険

労働中や通勤中に起きた病気やケガに対する医療費や補償を行う制度です。

5.雇用保険

失業時の生活を支援するための給付や、出産や育児、介護などで業務を継続できない場合の支援を行う制度です。

このうち、健康保険・厚生年金保険・介護保険は「狭義の社会保険」と称し、雇用保険と労災保険を「労働保険」と呼称します。

出典:厚生労働省/社会保障とは何か

社会保険の手続き一覧【被保険者関連】

広義の社会保険に加入・脱退するためには、それぞれ手続きが必要です。

被保険者に関する社会保険の手続きは以下のとおりです。

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届出を要するとき提出数提出期限提出・確認書類
労働者を雇用したとき
(雇用保険被保険者資格取得届)
1枚被保険者となった日の属する月の翌月10日まで賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード)、他の社会保険の資格取得関係書類、雇用期間を確認できる資料(雇用契約書等)
被保険者が離職、死亡等したとき
(雇用保険被保険者資格喪失届)
(雇用保険被保険者離職証明書)
1枚

3枚
1組
被保険者でなくなった事実があった日の翌日から起算して10日以内出勤簿、退職辞令発令書類、労働者名簿、賃金台帳、離職証明書(離職票が不要のときは提出しなくてよい)、離職理由が確認できる書類等
同一法人内で転勤をしたとき
(雇用保険被保険者転勤届)
1枚事実のあった日の翌日から10日以内異動辞令書類、賃金台帳、転勤前事業所に交付されている被保険者資格喪失届・氏名変更届
被保険者の氏名に変更があったとき
(雇用保険被保険者氏名変更届)
1枚被保険者が氏名を変更したその都度その事実が確認できる書類
高年齢雇用継続給付を受けようとするとき
(高年齢雇用継続給付支給申請書)
1枚(初回)支給対象月の初日から起算して4ヶ月以内
(2回目以降)安定所
から指定された日又は月
賃金台帳、出勤簿、
(初回のみ)六十歳到達時等賃金証明書、高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書、労働者名簿、被保険者の運転免許証・住民票記載事項証明書等年齢が確認できる書類の写し
雇用する被保険者が育児休業を開始したとき(休業開始時賃金月額証明書・育児)
(育児休業給付受給資格確認票・(初回)
育児休業基本給付金支給申請書)
3枚
1組

1枚
育児休業を開始した日の翌日から10日以内(注)賃金台帳、出勤簿、労働者名簿、被保険者の母子健康手帳等育児の事実が確認できる書類の写し
育児休業基本給付金を受けようとするとき
(育児休業基本給付金支給申請書)
1枚安定所から指定された日等賃金台帳、出勤簿
育児休業者職場復帰給付金を受けようとするとき
(育児休業者職場復帰給付金支給申請書)
1枚育児休業終了後6ヶ月を経過した日の翌日から2ヶ月を経過する日の属する月の末日まで 
雇用する被保険者が介護休業を開始したとき
(休業開始時賃金月額証明書・介護)
3枚
1組
介護休業を開始した日の翌日から10日以内(※)賃金台帳、出勤簿、労働者名簿
介護休業給付金を受けようとするとき
(介護休業給付金支給申請書)
1枚安定所から指定された日等介護休業申出書、賃金台帳、出勤簿、対象家族の氏名・本人との続柄・性別・生年月日が確認できる住民票記載事項証明書等の写し

参考:厚生労働省公式サイト|雇用保険制度 手続き一覧表

また、労働者を雇用する際には、労働関連の法令に基づく帳簿の整備が求められます。従業員名簿、賃金台帳、出勤簿などがこれに含まれます。従業員の勤怠記録やタイムレコーダーの情報、使用者が個別に始業・終業時刻を記録する書類も必要です。したがって、「勤怠・シフト」に関する適切な管理は、経営において極めて重要です。

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社会保険の手続き一覧【事業所関連】

事業所側が関係する広義の社会保険の手続きは次のとおりです。

届出を要するとき提出数提出期限提出・確認書類
適用事業を開始したとき
適用事業に該当するに至ったとき
(雇用保険適用事業所設置届)
1枚保険関係が成立した日の翌日から10日以内出勤簿、労働者名簿、賃金台帳、源泉徴収簿、法人の場合は登記簿謄(抄)本等、法人でない場合は事業の開始を証明する書類等
事業を廃止したとき、又は被保険者を雇用しなくなったとき
(雇用保険適用事業所廃止届)
1枚事業所を廃止したときはその翌日から10日以内法人の場合は、登記簿謄(抄)本等
法人でない場合は、その事実を証明する書類
事業主の名称又は所在地等に変更があったとき
(雇用保険事業主事業所各種変更届)
1枚

1枚
名称・所在地等変更のあった日の翌日から10日以内法人の場合は、登記簿謄(抄)本等
法人でない場合は、その事実を証明する書類
独立した一の事業所と認められないとき
(事業所非該当承認申請書)
4枚
1組
申請をしようとするときその都度申請に係る施設の従業員数がわかる書類、会社の組織図等、申請書の記載事項が確認できる書類
事業主が代理人を選任又は解任したとき
(雇用保険被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届)
5枚
1組
代理人を選任又は解任したその都度

参考:厚生労働省公式サイト|雇用保険制度 手続き一覧表

社会保険の加入条件【事業者編】

すべての法人の事業所(企業)は、国が規定した保険に加入する責任があり、保険の対象は事業所ごとに適用されます。

通常、保険は事業所単位で必須ですが、業種や雇用人数によっては、任意で参加することも可能です。

社会保険の適用範囲を「適用事業所」と呼び、この適用事業所は「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2つに分類されます。

以下は、法人と個人事業主における適用事業所の分類です。

法人強制適用事業所
個人事業(適用業種)常時勤務する従業員が5人以上の場合強制適用事業所
個人事業(適用業種以外)
※農林水産業・飲食業・サービス業
任意適用事業所

出典:日本年金機構/適用事業所と被保険者

強制適用事業所

強制適用事業所とは、従業員数や業種に関わらず、法律によって社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務付けられている事業所のことです。

特定の条件を満たす事業所は、自動的に強制適用事業所となり、社会保険に加入する必要があります。

強制適用事業所となるのは、以下のいずれかの条件に該当する場合です。

・常時5人以上の従業員を雇用する個人事業所(ただし、飲食店や理美容業、農林漁業などは除く)

・常時従業員を1人以上雇用する国、地方公共団体、または法人の事業所

任意適用事業所

任意適用事業所とは、従業員数や業種によって社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入が必要ではなく、自由に加入するかどうかを選択できる事業所のことです。

加入の意思や状況に応じて選択できるため、一部の事業所が該当します。

・従業員の半数以上が厚生年金保険の適用事業所となることに同意

一括適用ができるケース

本社が労務管理などを従業員全体に対して一元的に行っている場合、本社と支社を一つの適用事務所として扱うことが可能です。

この一括適用を行うことで、本社と支社間での人員異動時に、社会保険の資格喪失届などの煩雑な手続きが不要になり、大変便利です。

もし一括適用を行っていない場合、承認を得るためには、年金事務所に労務管理のプロセスや社会保険の届け出の方法などに関する詳細な説明を提出する必要があります。これについての認識を持っておくことが重要です。

出典:日本年金機構/一括適用

社会保険の加入条件【従業員編】

従業員の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入条件は、次のようになります。

  • 常時雇用されている従業員
  • 週の所定労働時間が常時雇用されている従業員全体の4分の3以上であり、かつ1カ月の所定労働日数が常時雇用されている従業員全体の4分の3以上である者

また、パートやアルバイトの従業員も条件に応じて加入の対象となります。

これに加えて、常時雇用されていない従業員であるパート・アルバイト従業員と派遣社員に対する加入条件についても、以下で詳しく説明します。

パート、アルバイトの場合

社会保険は、正社員以外にも特定の条件を満たすパートやアルバイトの従業員にも加入が求められます。

「所定労働時間や所定労働日数が正社員の4分の3以上の場合」、その従業員が該当すれば、報酬や雇用形態に関係なく、社会保険への加入が望ましいです。

また、所定労働時間や所定労働日数が正社員の4分の3未満でも、以下の条件を満たす場合には社会保険への加入が必要です。

  • 週に20時間以上の所定労働時間がある。
  • 雇用が2カ月以上続く見込みがある。
  • 月給が8.8万円以上である。
  • 学生以外である(定時制や夜学などを除く)。
  • 従業員数が101人以上の事業所で働いている。

令和6年10月には51人以上に社会保険の加入条件が引き下げられています。法改正前にしっかり内容を把握しておきましょう。

参考:社会保険適用拡大ガイドブック

派遣労働者の場合

派遣労働者の社会保険の加入条件も、フルタイムやパート・アルバイト従業員と同じものとなります。

派遣労働者は、次の条件を満たす場合に社会保険に加入する必要があります。

フルタイム従業員と同じ労働時間を持つ場合、または「1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上であり」、かつ「契約期間が2カ月以上である場合」

出典:厚生労働省/派遣労働者の皆様へ

社会保険の加入手続方法【事業者編】

狭義の社会保険(健康保険・厚生年金保険)について、加入手続きの概要は以下のとおりです。

  1. 社会保険への加入義務の事実が発生してから5日以内に、事業所の所在地を所轄する年金事務所に行く
  2. 「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を窓口または郵送で提出する

また、人事労務関連書類は、定められた期間の保存が必要なものもあります。

労働者名簿、賃金台帳、出勤簿等とともに、タイムカードや労働時間の記録の書類は定められた保存期間が設けられておりますので「勤怠・シフト」関連の管理も重要であるといえます。

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必要書類

健康保険と厚生年金保険の加入手続きには以下の書類が必要となります。

  • 法人登記簿謄本の原本(発行から90日以内)
  • 個人事業主は事業主の世帯全員分の住民票の原本(発行から90日以内)
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者新規適用届
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届

法人の登記簿謄本は法務局で発行できます。個人事業主の住民票は、市町村で発行します。

健康保険・厚生年金保険 新規適用届・被保険者資格取得届は日本年金機構のホームページからダウンロードするか、所轄の年金事務所で受け取りましょう。

出典:日本年金機構/ 事業所が新規加入する際に必要な書類を一覧にまとめました

加入手続きの書類の書き方

加入手続等に必要な書類と書き方について説明します。

健康保険・厚生年金保険 新規適用届

新規適用届は、事業所が健康保険・厚生年金保険に加入する要件を満たしている場合、もしくは強制適用事業所に該当するようになった場合に日本年金機構に提出する書類です。

参照元:事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき

・事業主記入欄情報欄

事業所の所在地など、事業に関する情報を入力してください。

・事業所情報記入欄

問い合わせ先担当者名(内線)

もし日本年金機構に不明な点がある場合、連絡先を記入しておきます。新規適用届の内容に詳しい担当者の名前を記入してください。

業態区分(事業の種類)

事業所業種の分類票を確認しながら、該当する番号と分類を書き込んでください。

健康保険組合名称

設立している健康保険組合がある場合のみ記入してください。

㉔従業員情報

従業員数とそのうちの社会保険の加入者の人数を記入してください。

また、社会保険に加入しない従業員がいる場合は、対象者の人数と勤務形態を記入してください。

以下、日本年金機構の公式サイトでは、記入例が詳しく掲載されています。ぜひ参考にしてみてください。

出典:日本年金機構|健康保険・厚生年金保険 新規適用届(記入例)

健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届

被保険者資格取得届は、健康保険・厚生年金保険に新たに加入するときに提出する書類です。

適用事業所となって初めて加入するときや、従業員を採用したときに提出します。

参照元:健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険 70歳以上被用者該当届

被保険者資格取得届は、新たに健康保険・厚生年金保険に加入すべき人が発生したときに、その日から5日以内に事業者が年金事務所に提出するものです。

従業員の個人番号(マイナンバー)と扶養の状況など、個人情報を書き込む欄を間違えないように注意しましょう。

以下、日本年金機構の公式サイトでは、記入例が詳しく掲載されています。ぜひ参考にしてみてください。

出典:日本年金機構|健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険 70歳以上被用者該当届(記入例)

健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)

健康保険の被保険者の被扶養者の追加、削除、内容の変更を行うために提出するものです。

事業所は、これらの事実が発生した時点から5日以内に被扶養者(異動)届を提出します。

出典:日本年金機構|健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)

被保険者に加え、被扶養者の個人番号や収入を記入する欄があります。被扶養者の情報は従業員から受け取りましょう。

以下、日本年金機構の公式サイトでは、記入例が詳しく掲載されています。ぜひ参考にしてみてください。

出典:日本年金機構|健康保険 被扶養者(異動)届(記入例)

労務管理を効率化したい方へ

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ネットで申請する場合のやり方

これらの書類は、インターネットから申請を行えます。日本年金機構の電子申請・電子媒体申請から各種申請を行ってみましょう。

申請方法は次の3種類です。

  1. 届書作成プログラムを使用して電子申請
  2. 労務管理ソフトを使用して電子申請
  3. e-Govを使用して電子申請

届書作成プログラムを使用した申請方法は次のとおりです。

  1. GビズIDを取得する
  2. 申請データをCSV形式で作成する
  3. 届書作成プログラムから申請を行う

GビズIDで申請できるのは、資格取得届、被扶養者(異動)届、資格喪失届、報酬月額算定基礎届、報酬月額変更届、賞与支払届、国民年金第3号被保険者関係届です。こちらは無料で利用できます。

e-Govを使用した申請方法は次のとおりです。

  1. e-Gov電子証明書を取得する
  2. 申請データを作成する
  3. e-Govから申請を行う

電子証明書は管轄の登記所に申請して初めて取得できるものです。事前に申請しておけば、各種書類提出に係る業務負担を軽減できます。

電子証明書の取得には、証明期間に応じて1,300~9,300円の手数料がかかります。

出典:法務省/電子証明書取得のご案内

書類の提出方法

各種書類は、年金事務所の窓口で直接提出したり、郵送したり、インターネットから提出することができます。手続きは、所在地に応じた年金事務所で行いましょう。

年金事務所の受付時間は、平日の月曜から金曜の午前8時30分から午後5時15分までです。

手続きの期限

これらの手続きの期限は、申請すべき事実が発生した日から5日以内と定められています。

強制適用事業所が社会保険に未加入だった場合、社会保険料を最大で2年間にさかのぼって追徴されます。

強制適用事業所なのにもかかわらず社会保険に未加入の事業所には、年金事務所の指導や立ち入り検査が行われることもあります。

従業員の社会保険の加入手続方法

一括適用の申請を行う場合

もし本社が支社の労務管理も行っているなら、本社と支社を結びつけて一つの適用事業所として扱う一括適用を申請することができます。

この申請が承認されると、本社と支社間の人事異動に関しては、社会保険の加入・喪失届を提出する必要がなくなります。これにより、手続きの効率化を実現できます。
参考:日本年金機構|一括適用

他社で社会保険に加入している場合

近年、働き方改革による副業・兼業の広がりや社会保険の適用範囲の広がりにより、複数の事業所で社会保険に加入する状況が増えています。

このような場合、被保険者は一つの事業所を選び、「二以上事業所勤務届」という申請書を提出します。

ただし、この手続きを行うには「被保険者資格取得届」を提出し、選択した事業所が加入する保険の被保険者になることが前提となります。

「二以上事業所勤務届」の提出に関するルールは以下のとおりです。

提出期限事案発生から10日以内
提出先事務センターまたは管轄の年金事務所
提出方法郵送・持参・電子申請

保険料は、標準報酬額を各事業所の報酬額に応じて分割し、給与計算の際に差し引かれます。

これらの手続きは被保険者自身が行う必要があるため、事業所側は複数の事業所で働く従業員に対して事前に説明することがおすすめです。

参考:日本年金機構|複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き

社会保険の脱退手続き

従業員が退職するときには、社会保険の脱退の手続きを行います。具体的な手続き方法は以下のとおりです。

社会保険の脱退手続き

従業員が退職したときは、健康保険・厚生年金保険の「被保険者資格喪失届」を年金事務所に提出します

提出時期は事実の発生から5日以内で、事業所を管轄する年金事務所の窓口、郵送・インターネットのいずれかの方法で提出します。

提出の際、健康保険被保険者証(被保険者本人と被扶養者分)を添付します。

健康保険被保険者証が回収できなかった場合には、健康保険被保険者証回収不能届も添付します。

出典:日本年金機構/従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き

雇用保険の脱退手続き

雇用保険では、「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」を提出します。

離職証明書の離職理由が事業主と離職者で異なる場合には、ハローワークにて事実関係を調査した上で離職理由を決定します。

これらの書類は、従業員が離職した翌々日から10日以内に行います。書類の提出先は管轄のハローワークです。

住民税関連の手続き

従業員が退職したときは、市区町村の課税に関する課または係に「異動届書」を提出します。

提出期限は異動が生じた月の翌月10日までです。

年の途中で退職し、未払いの住民税を退職金などから一括で支払う場合には、徴収した月の翌月10日までに納入します。

未徴収税額をその後退職した従業員本人が支払う場合は、本人宛に納税通知書が送られます。

社会保険の加入対象者が未加入だった場合のリスク

社会保険の加入対象者が未加入だった場合には次のリスクがあります。

  • 加入指導がある
  • 50万円以下の罰金の可能性
  • 過去2年間の保険料に対して追徴がある
  • 従業員負担分の保険料も企業が支払う
  • ハローワークに求人を出せない
  • 損害賠償を請求される可能性がある
  • 延滞金の支払い

それぞれの詳細を見ていきましょう。

出典:厚生労働省

加入指導がある

従業員を社会保険に未加入のまま放置すると、日本年金機構から加入状況の調査が実施される可能性があります。

調査の結果、加入対象者が未加入であることが判明した場合、実施されるのが加入指導です。

加入指導では、事業主に対して加入手続きを行うよう求められますが、指導に従わず手続きを行わない場合は、より厳格な措置として立入検査が実施されます。

立入検査では、年金事務所の職員が事業所に直接訪問し、従業員の勤務実態や給与支払い状況などの書類を確認し、被保険者資格の有無を詳細に調査します。

事業所には法律上、この立入検査を受け入れる義務が課せられており、正当な理由なく検査の拒否ができません。

社会保険の未加入は段階的に厳しい措置が取られるため、適切な加入手続きを行うことが重要です。

50万円以下の罰金の可能性

社会保険の加入対象者を未加入のまま放置することは、健康保険法第208条により、最大で6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性のある重大な法令違反です。

罰則規定は、故意に加入手続きを怠る、虚偽の申告を行う、あるいは複数回にわたって加入指導に従わないなど、特に悪質なケースに適用されます。

事業主には、従業員を社会保険に適切に加入させる法的義務があり、その違反は単なる行政指導の対象だけでなく、罰則の対象となることに注意しなければなりません。

罰則を受けることは企業のイメージとしてもよい影響を与えないため、適切な対応が求められます。

重い罰則が設けられている理由は、従業員の社会保障を確実に確保するためでしょう。

出典:e-GOV法令検索/健康保険法

過去2年間の保険料に対して追徴がある

年金事務所の立入検査を受けた結果、強制加入となった場合、過去にさかのぼって保険料を納付しなければなりません。

健康保険料と厚生年金保険料に関して、過去2年分までさかのぼって徴収される可能性があります。

追徴は健康保険・厚生年金保険だけでなく、労働保険も同様で、過去2年間分まで遡って保険料を納付しなければなりません。

事業主は一度に多額の保険料を支払う必要が生じ、企業経営に大きな影響を与える可能性があるため注意が必要です。

また、保険料は通常事業主と従業員で負担する仕組みですが、さかのぼって徴収される場合、従業員負担分も事業主が全額を負担しなければならないケースが多く、さらなる経済的負担となりかねません。

従業員負担分の保険料も企業が支払う

社会保険の未加入が発覚し、過去2年間分の保険料をさかのぼって支払う場合、本来であれば事業主と従業員で折半して負担となりますが、実務上は企業が全額を負担せざるを得ないケースが多く発生します。

特に、すでに退職した従業員の分は、事後的な保険料の請求や回収が極めて困難です。

また、現在も在籍している従業員に対して保険料の負担を求めることは可能ですが、まずは企業が全額を立て替えて支払わなければなりません。

未加入期間の保険料は、企業は自社負担分に加えて本来従業員が負担すべき保険料分も支払わなければならず、資金面で大きな負担となりかねません。

さらに、従業員からの回収には時間とコストがかかり、円滑な回収が難しい場合も多いのが実態です。

ハローワークに求人を出せない

社会保険に未加入の事業所がハローワークに求人を申し込もうとしても、求人票は受理されません。

ハローワークでは、法令遵守の観点から、社会保険未加入の事業所からの求人は受け付けず、まずは社会保険への加入手続きを行うよう指導します。

近年、求職者の間では福利厚生、特に社会保険の完備は重要な就職先選定の基準の一つです。

社会保険が未整備の企業は、それだけで求職者から敬遠される可能性が高く、優秀な人材の確保が困難になりかねません。

社会保険の未加入は人材採用の大きな障壁となり、企業の成長を妨げる要因となるでしょう。

採用活動の選択肢が制限され、人材確保の機会損失にもつながります。

特に人手不足が深刻な現在、このデメリットは企業経営に大きな影響を与えかねません。

損害賠償を請求される可能性がある

社会保険の未加入が発覚した場合、従業員から損害賠償請求を受けるリスクがあり、実際にそのようなケースは少なくありません。

特に、本来事業主が負担すべきであった保険料相当額を、従業員から返還請求される可能性があり、裁判所でもこうした請求が認められるケースがあります。

さらに深刻なのは、退職した従業員が将来年金を受給する際に問題が発生するケースです。

未加入期間があったために厚生年金の給付額が減少したり、受給資格期間に影響が出たりした場合、損害に対する事業主側の賠償責任を問われる可能性があります。

社会保険の未加入は、単に現在の法令違反だけでなく、将来にわたって企業に重大な財務リスクをもたらす可能性があるため注意が必要です。

延滞金の支払い

社会保険の加入対象者を未加入のまま放置し、さかのぼって保険料を支払う場合、単に過去の保険料を納付するだけではなく、延滞金も併せて支払わなければなりません。

延滞金は「滞納額×延滞金利率÷365日×延滞日数」の計算式で算出されます。

計算に使用する延滞金利率は次のとおりです。

期間延滞金利率
納期限までの期間、納期限の翌日から2カ月を経過する日までの期間年「7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い割合
納期限の翌日から2カ月を経過する日の翌日以後年「14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合

未加入期間が長期にわたる場合や対象となる従業員が多い場合には、本来の保険料に加えて多額の延滞金が発生し、企業の財務に大きな負担となる可能性があるでしょう。

適切な社会保険管理にはPOSレジと勤怠・シフトの一元管理を

適切な社会保険管理のためには、POSレジと勤怠・シフトの一元管理が重要です。これにより、従業員の勤務時間や売上データを統合的に管理することできます。

POSレジを通じて記録される売上データと勤怠・シフト情報を結びつけることで、従業員の労働時間と売上の関連性を正確に把握できます。

これにより、適切な社会保険の加入判定や保険料の計算が行えます。

また、従業員の出勤状況と業務ニーズをシームレスに連携させることで、効率的なスタッフ配置やシフト調整が可能となり、業務効率が向上します。

結果として、適切な社会保険の管理が確保され、従業員と事業所双方にとってメリットが生まれるのです。

シフト作成・勤怠打刻システム「POS+time recorder」

「POS+time recorder」は、勤怠・シフト管理の一元化によって管理業務を効率化するだけでなく、顔認証による打刻やスマホからの勤怠申請など、スタッフにも喜ばれるサービスです。

さらに、人件費データを「POS+food」や「POS+assist」と連携することで、スタッフ1人あたりの労働生産性やFL比率を確認することができるようになります。

「POS+time recorder」について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。

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社会保険の加入手続きでよくある質問

社会保険の加入手続きに必要なものは何ですか?

事業者が社会保険に加入するには次のものが必要です。
・法人登記簿謄本の原本(発行から90日以内)
・個人事業主は事業主の世帯全員分の住民票の原本(発行から90日以内)
・健康保険・厚生年金保険 被保険者新規適用届
・健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
詳しくは「社会保険の加入手続方法【事業者編】」を参考にしてみてください。

2025年に社会保険に加入するにはどうしたらいいですか?

2025年は「2025年問題」により社会保障制度に大きな変化が予想される年です。
団塊世代の後期高齢者化に伴う社会保障費の増大に対応するため、社会保険の加入条件も見直される可能性があります。
特に、パートタイム労働者の加入要件となる年収の壁が、現行では106万円ですが撤廃に向けて動いているのが現状です。
そのため、2025年に社会保険に加入する際は、制度改正の動向を注視し、最新の加入要件を確認した上で手続きを行わなければなりません。

社会保険手続きは何日以内?

労働者を雇用したときは、被保険者となった日の属する月の翌月10日までに手続きが必要です。
また、離職した際は被保険者でなくなった事実があった日の翌日から起算して、10日以内に手続きを行わなければなりません。
詳しくは「社会保険の手続き一覧【被保険者関連】」を参考にしてみてください。

国保から社保に切り替わるときはどうすればいいですか?

社会保険に加入することになった場合、会社側で加入手続きを行いますが、国民健康保険から社会保険への切り替えは自動的には行われません。
そのため、市区町村の国民健康保険窓口に行き、資格喪失届を提出する必要があります。
手続きの際には、新しく加入した社会保険の保険証や資格取得証明書などの書類が必要です。
なお、手続きを忘れると二重加入となり、国民健康保険料の請求が継続されてしまいますので、社会保険加入後、速やかに手続きを行いましょう。

まとめ

相互扶助の精神から生まれた社会保険は、一定の要件に該当する店舗・事業所は必ず加入しなければならないものです。 それぞれ手続きを行う期間も短く、提出する書類も複雑ですが、従業員を雇ったとき、退職したとき、従業員本人や被扶養者に変更があった場合は忘れずに手続きを行いましょう。

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