【最新版】飲食店営業許可の必要書類・取得方法と手順を徹底解説!
飲食店を開業するには、営業許可の取得が必須です。無許可営業は食品衛生法違反であり、食中毒などの重大な事故につながるリスクがあるだけでなく、営業停止や罰則の対象となる可能性もあります。
本記事では、飲食店営業許可の取得方法と手順を詳しく解説します。
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飲食店営業許可とは
飲食店営業許可は、食品衛生法に基づき、飲食店を営業するために必要な許可です。この許可は、飲食店の施設や設備、食品の取り扱い方法などが衛生的であることを確認するために設けられています。営業許可の対象となる業種は、飲食店営業(一般食堂、レストラン、カフェなど)、魚介類販売業、食肉販売業など多岐にわたります。営業形態や取り扱う食品の種類によって、必要な許可の種類が異なる場合があるので注意が必要です。
基本的な手続きは食品衛生法に基づいているため全国共通ですが、申請書類の様式や手数料などの詳細は自治体によって異なる場合があります。実際の申請の際は、管轄の保健所に最新の情報を確認することをおすすめします。
参考サイト:東京都保健医療局 「営業許可・届出の概要」
飲食店で営業許可取得から営業開始までの流れ
飲食店での営業許可取得から営業開始までの流れは以下の通りです。
事前準備
- 店舗物件の確保
- 事業計画の作成
- 資金調達
営業許可の申請には、店舗の図面や設備の情報が必要です。事前に物件を選定し、賃貸借契約を結んでおきましょう。店舗のコンセプト、提供する料理のメニュー、価格設定、人員配置などを明確にしておきます。開業に必要な資金を算出し、自己資金や融資などで準備します。
申請書類の準備
必要書類を揃えます(詳細は次項で解説)。申請書類の様式は自治体によって異なる場合があるので、管轄の保健所のウェブサイトを参照するか、直接問い合わせて入手します。
申請先への提出
管轄の保健所に申請書類を提出します。提出方法は、窓口持参、郵送、オンライン申請など自治体によって異なります。事前に確認しておきましょう。
現地調査と審査
保健所の担当者が現地調査を行い、施設の衛生管理体制などを確認します。申請内容と現地調査の結果を基に、営業許可の可否が審査されます。
具体的には、次のような項目が審査される内容の例としてあげられます。
- 飲食店としてのスペースと屋外は壁、ガラス戸、天井などで遮断
- 調理室は客席とわけて、出入り口には扉を設ける
- 店内および厨房内は清掃しやすい材質・構造にする
- 厨房には石けんやペーパータオル、消毒剤などを配置
- 衛生的な手洗いができる場所の確保
- 冷蔵または冷凍設備の設置、および温度計の設置
施設の構造面では、床・内壁・天井が清掃しやすい材質で仕上げられているかを確認します。特に床は水はけが良く、汚れが溜まりにくい構造が求められるでしょう。調理場は食品衛生の観点から、客席と壁やカウンターで明確に区分され、調理従事者以外が容易に立ち入れない構造であることが必要です。
手洗い設備は十分な大きさで、石けんや消毒液、ペーパータオルなどを設置できるスペースを確保しなければなりません。手洗い専用シンクの設置が望ましいとされています。
食材の保管に関しては、適切な温度管理ができる冷蔵・冷凍設備を備え、庫内温度が一目で確認できる位置に温度計を設置することが求められます。温度は定期的な記録・管理が必要です。
参考:東京都保険医療局「〔小規模な一般飲食店事業者用〕チェックシート(案)」
許可証の交付
審査に通過すれば、営業許可証が交付されます。許可証の交付までには、申請から数週間から1ヶ月程度かかる場合が多いです。
許可証の有効期間は自治体によって異なりますが、通常は5年から8年程度です。
参考サイト:東京都保健医療局 「新たな営業許可・営業届出制度の概要」
参考サイト:厚生労働省 「営業許可の有効期間について」
防火管理者を届け出る
飲食店を開店する際、店舗の規模によっては防火管理者の選任・届出は重要な法的義務です。営業開始日までに、店舗の所在地を管轄する消防署へ防火管理者選任(解任)届出書を提出する必要があります。届出書の様式は、各地域の消防署のホームページからダウンロード可能です。
書類は「消防署保管用」と「事業所保管用」の2部を用意しなければなりません。事業所保管用は受付印を押してもらい、店舗で保管します。届出の際は、修了証(手帳)の原本を必ず持参しましょう。
また、届出書には防火管理者の住所や生年月日などの個人情報のほか、店舗の収容人員や延べ面積などの情報も記入が必要です。不備があると受理されないため、事前に記入内容を十分確認することが重要です。
出典:東京都消防庁/防火・防災管理者選任(解任)届出書 / 消防計画作成(変更)届出書
営業開始
営業開始にあたっては、保健所から営業許可証を取得し、消防署への防火管理者の届出が完了していることが前提条件です。開店前の法的要件が満たされて初めて、飲食店として営業できます。
営業開始時には、食品衛生法に基づき、食品衛生責任者の氏名を店舗内の見やすい場所に掲示しなければなりません。掲示は従業員や来店客が容易に確認できる位置に設置しましょう。一般的には、営業許可証と共に店舗入口付近や店内の目立つ場所に掲示することが多い傾向です。 また、営業開始後は、営業許可証の有効期限や食品衛生責任者の変更など、必要に応じて適切な更新や変更手続きが求められます。
飲食店で営業許可申請に必要な書類(東京都の例)
営業許可申請に必要な書類は以下の通りです。
- 飲食店営業許可申請書(正本1通、副本1通)
- 営業施設の図面(平面図、配置図など)
- 食品衛生責任者資格証の写し
- メニュー表とその説明書
- 使用水の水質検査結果通知書の写し(井戸水や受水槽を使用する場合)
- 食品衛生法施行規則に規定された器具等の一覧表
- 従業員全員の健康診断結果証明書
- その他、自治体や営業形態によって追加で必要な書類
申請書には、申請者の情報、営業施設の所在地、営業の種類、営業時間などを記入します。営業施設の図面は、施設の間取り、設備の配置、水回りの位置などを示したもので、縮尺は1/100以上の詳細なものが求められます。食品衛生責任者の設置が義務付けられているため、資格証の原本を提示するか、写しを申請書に添付します。
メニュー表とその説明書には、提供する料理のメニューとその調理方法、使用する食材などを記載します。上水道以外の水を使用する場合は、使用水の水質検査結果通知書の写しが必要です。厨房設備や食器、調理器具などのリストを作成し、食品衛生法施行規則に規定された器具等の一覧表として提出します。
従業員全員の健康診断の結果が必要です。食品を取り扱う者の健康状態を確認するために義務付けられています。この他、自治体や営業形態によって、追加の書類が必要な場合があります。
※東京都の例を参考として記載しましたが、申請書類の詳細は自治体によって異なる場合があります。管轄の保健所のホームページを参照するか、直接問い合わせて確認することをおすすめします。
参考サイト:東京都保健医療局 「営業許可・届出の概要」
飲食店の営業許可に関連する資格と手続き
飲食店の営業許可に関連する資格と手続きとして、次の3つの内容を紹介します。
- 食品衛生責任者
- 防火管理者
- HACCPの導入
それぞれの内容をみていきましょう。
食品衛生責任者
飲食店には食品衛生責任者の設置が義務付けられています。食品衛生責任者は、食品衛生に関する知識と経験を持ち、営業施設の衛生管理を行う責任者です。各自治体が実施する養成講習会を受講し、資格を取得する必要があります。
食品衛生責任者の資格には一般的に有効期限はありません。ただし、食品衛生に関する法律や規制は変更される可能性があるため、最新の知識を維持するために定期的な研修や自己学習が推奨されます。
また、自治体によっては、食品衛生責任者に対して定期的な講習会への参加を求める場合があります。これは資格の更新ではなく、知識のアップデートを目的としています。実際の要件は地域によって異なる可能性があるため、詳細については各自治体の保健所に確認することをおすすめします。
関連記事:【店舗経営で知っておきたい基礎知識】必要な資格・失敗しないためにするべきこととは?
防火管理者
防火管理者の設置義務は、飲食店の規模によって異なります。収容人員が30人以上の飲食店に対して、防火管理者の選任が法律で義務付けられています。30人未満の小規模な店舗では、防火管理者の設置は必須ではありません。
防火管理者の資格を取得するには、施設の規模に合わせて甲種防火管理新規講習、または乙種防火管理新規講習を受講し、修了する必要があります。講習は、各都道府県知事が指定する研修機関、地域の消防署、または日本防火防災協会のいずれかで実施されており、受講者は希望する機関の選択が可能です。
講習では、防火管理の基礎知識、消防計画の作成方法、避難訓練の実施方法、消火・通報・避難の要領などを学びます。通常2日間程度の日程で、最終日に修了試験があり、合格すると修了証が交付されます。
HACCPの導入
HACCPは、2021年6月からすべての食品等事業者に義務化された衛生管理システムです。食品の製造・調理工程で起こりうる危害を予め分析し、重要な管理点を定めて継続的に監視・記録することで、食品の安全性を確保する手法です。
事業規模によって要求される管理レベルが異なり、大規模事業者には「HACCPに基づく衛生管理」、小規模事業者には「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が求められます。多くの飲食店は後者に該当します。
実施にあたっては、各自治体が提供するガイドラインに沿って衛生管理計画を作成しなければなりません。計画には、重要管理点の設定、モニタリング方法、記録方式などを具体的に定め、すべての従業員に周知徹底することが必要です。
計画の運用では、日々の温度管理記録や清掃記録などの継続的な記録保持が重要で、定期的な見直しと改善も求められます。
出典:東京都保険医療局「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
飲食店で営業許可取得後の留意点
営業許可を取得した後も、安全で衛生的な飲食店経営を継続するために、以下の点に留意する必要があります。継続的に努力することで、安全で信頼される飲食店経営を実現することができます。常に最新の法令や衛生管理手法に注意を払い、必要に応じて専門家や保健所に相談しましょう。
営業許可証の掲示
営業許可証は、店舗の見やすい場所に掲示する必要があります。許可証の掲示は、営業許可を取得していることを利用者に示すために義務付けられています。
衛生管理の徹底
日々の衛生管理を徹底し、食中毒などの事故防止に努めます。定期的な自主点検を行い、衛生管理の状況を確認・記録します。従業員の健康管理、手洗いの徹底、食材の適切な温度管理などが重要です。
営業内容の変更時の手続き
営業許可の内容(営業者名、営業所の所在地、営業設備の変更など)を変更する場合は、事前に保健所への届出または許可が必要です。変更の内容によって、必要な手続きが異なるので、管轄の保健所に確認しましょう。
営業許可の更新
営業許可には有効期限があり、期限が近づいたら更新の手続きが必要です。更新の手続きは、有効期限の1~2ヶ月前から行えるので、早めに準備しましょう。更新に必要な書類は、営業許可申請時とほぼ同様です。
従業員教育の継続
食品衛生に関する従業員教育を定期的に実施しましょう。新しい法規制や衛生管理技術について、常に最新情報を入手し、従業員へ共有したり、外部の食品衛生セミナーなどへの参加も検討したりしましょう。
緊急時の対応準備
食中毒発生時の対応マニュアルを作成し、従業員に周知しておきましょう。保健所や医療機関の連絡先を常に最新のものに更新し、すぐに連絡できるようにしておきくことも大切です。定期的に緊急時対応の訓練を行うことも効果的です。
顧客とのコミュニケーション
食品アレルギー情報の提供など、顧客の安全に関わる情報を適切に伝達する体制を整えましょう。顧客からのフィードバックを積極的に受け入れ、改善に活かす姿勢を持ちましょう。
営業許可取得に費用がかかる
飲食店の営業許可取得には、保健所に対する手数料の支払いが必要です。手数料は申請時に納付しなければなりません。
手数料の金額は各自治体の条例で定められており、地域によって異なります。東京都の場合、飲食店営業の新規許可申請時には18,300円が必要です。また、営業許可の有効期限が切れる際の更新手続きでは8,900円の手数料が発生します。
費用が発生するのは申請時の一回限りの支払いですが、営業許可証の有効期限が切れる際には更新手続きと共に再度手数料が必要です。なお、営業許可の範囲や業態を変更する場合も、新たな手数料が発生することがあります。 手数料は自治体の財政状況や物価の変動により改定されることがあるため、申請前に最新の金額を確認するとよいでしょう。
参考サイト:東京都保健医療局 「新たな営業許可・営業届出制度の概要」
参考サイト:東京都保険医療局 「東京都食品衛生関係許可手数料」
飲食店の営業開始後に営業許可で必要となる手続き
飲食店では、営業開始後もいくつかの手続きが必要です。具体的には次の内容が必要となるため注意しましょう。
- 営業許可の継続
- 申請した事項の変更手続き
- 廃業手続き
- 営業許可を承継して引き続き営業する手続き
それぞれの手続き詳細を解説します。
営業許可の継続
飲食店の営業許可には有効期間が設定されており、営業を継続する場合は期間満了前に更新手続きが必要です。東京都の場合は、有効期間が満了する1カ月前に継続申請を行わなければなりません。
申請後、保健所の食品衛生監視員が店舗の施設検査を実施します。検査では、調理場の衛生状態、設備の維持管理状況、施設基準への適合性などが確認の対象です。検査に合格すると、新しい営業許可証が交付されます。
近年は行政のデジタル化に伴い、多くの自治体でオンラインでの申請が可能です。オンライン申請では、必要書類の電子提出や手数料のオンライン納付ができ、より効率的に手続きできます。継続申請を怠ると営業ができなくなるため、有効期限の管理は重要です。
出典:東京都保険医療局「営業許可・届出の概要」
申請した事項の変更手続き
飲食店の営業許可申請時に届け出た内容に変更が生じた場合、東京都では変更のあった日から10日以内に保健所への変更届出が必要です。変更内容によって必要な提出書類は異なり、営業者の氏名や住所の変更の場合は本人確認書類、法人の場合は登記簿謄本などが必要です。
厨房機器の増設や店舗レイアウトの変更など、営業設備に関する変更の場合は、変更後の施設の構造及び設備を示す図面の提出が求められます。施設基準への適合性を確認するために必要な書類です。
出典:東京都保険医療局「営業許可・届出の概要」
廃業手続き
飲食店の営業を廃止する場合、廃業した日から東京都の場合は10日以内に管轄の保健所に廃業届を提出しなければなりません。廃業手続きは、営業を停止する場合だけでなく、店舗の移転や営業者の変更時にも必要です。
店舗を移転する場合は、古い店舗の廃業届を提出するとともに、新しい店舗では改めて営業許可の新規申請が必要です。施設基準への適合性を新たな場所で確認する必要があります。なお、廃業届の提出を怠ると、営業許可が存続しているとみなされ、各種の行政手続きに支障が生じる可能性があります。
出典:東京都保険医療局「営業許可・届出の概要」
営業許可を承継して引き続き営業する手続き
飲食店の営業許可は、事業の譲渡、相続、法人の合併・分割の場合で、一定の条件下で地位の承継が認められます。新規許可申請の手続きを省略して営業を継続可能です。
承継の手続きには、その事実を証明する書類の提出が必要です。譲渡の場合は譲渡契約書、相続の場合は戸籍謄本や遺産分割協議書、法人の合併・分割の場合は登記事項証明書など、承継の形態によって必要書類が異なります。譲渡による承継の場合、保健所の食品衛生監視員による実地調査が行われます。
出典:東京都保険医療局「営業許可・届出の概要」
まとめ
飲食店営業許可の取得は、飲食店を開業する上で必須の手続きです。営業許可の基本的な枠組みは食品衛生法に定められているため全国共通ですが、申請書類の様式や手数料などの詳細は自治体によって異なる場合があります。
営業許可の取得までには、事前準備、申請書類の作成、現地調査、審査など、一定の時間と手間がかかります。スムーズに手続きを進めるためにも、早い段階から計画的に準備を進めることが大切です。
東京都保健医療局の内容を参考に、管轄の保健所に具体的な手続きを確認し、必要書類を揃えて申請しましょう。営業許可の取得後も、法令を遵守し、衛生管理を徹底することが求められます。食の安全・安心を提供し、お客様から信頼される飲食店を目指して、しっかりと営業許可の取得に取り組んでいきましょう。
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よくある質問
飲食店営業許可は、食品衛生法に基づき、飲食店を営業するために必要な許可です。この許可は、飲食店の施設や設備、食品の取り扱い方法などが衛生的であることを確認するために設けられています。
営業許可を取得した後も、安全で衛生的な飲食店経営を継続するために、常に最新の法令や衛生管理手法に注意を払い、必要に応じて専門家や保健所に相談しましょう。
まず、営業施設が保健所の定める基準に適合していることが必要です。床や壁の材質、手洗い設備、換気設備、調理場の構造などが基準を満たしていなければなりません。食品衛生責任者の設置も必須です。これは営業者自身がなることも、従業員から選任もできます。食品衛生責任者になるには、講習会の受講が必要です。
申請時には、施設の図面や食品衛生責任者の資格を証明する書類、そして手数料の納付が必要です。保健所の実地検査に合格すると、営業許可証が交付されます。
詳しくは「飲食店で営業許可取得から営業開始までの流れ」を参考にしてみてください。
保健所への申請手数料は、地域によって異なりますが、例えば東京都の場合、新規許可申請で18,300円、更新時は8,900円が必要です。
食品衛生責任者の資格取得には、講習会の受講料として約1万円かかります。また、30席以上の店舗では防火管理者の設置が必要で、資格取得の講習料も必要です。
法定費用に加えて、施設基準を満たすための設備工事や改修費用が必要となる場合があります。
詳しくは「営業許可取得に費用がかかる」を参考にしてみてください。