パン屋の運営で、パンの種類が多くレジ待ちが多くなったり、会計ミスで売り上げが合わなかったりと、レジに関する悩みを抱える経営者の方は多いのではないでしょうか。パン屋の悩みには、POSレジ導入が解決策の一つです。
本記事では、パン屋におすすめのPOSレジについてメリットや各社特徴と選定ポイントを紹介します。また、飲食店にPOSレジを導入した事例も解説しているため、導入を考えている方は参考にしてみてください。
POSレジとは
POSレジとは、POS(Point Of Sale)機能を備えた販売管理システムです。従来のレジと異なり、商品のバーコードを読み取ることで、会計処理と同時に販売データを自動的に記録・管理できます。
商品が販売された瞬間にデータが記録されるため、いつ、どの商品が、どれだけ売れたかリアルタイムでの把握が可能です。そのため、一日の終わりに手作業で売上を集計する必要がなく、業務効率が大幅に向上します。
また、商品ごとの売上傾向や在庫状況を正確に把握できるため、売れ筋商品の特定や適切な在庫管理が可能です。収集したデータは、商品の仕入れ計画や販売戦略の立案、効果的なマーケティング施策の実施など、経営判断に活用できるため、売上向上や経営効率化に貢献します。
さまざまな業態で導入が進められている中で、パン屋も例外なくPOSレジの導入による業務効率化が必須となっていくでしょう。
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パン屋にPOSレジを導入するメリット
パン屋にPOSレジを導入する具体的なメリットとして次の3つの内容が挙げられます。
- レジの回転率向上
- 売上分析の簡易化
- 会計ミスの削減や不正防止
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
レジの回転率向上
パン屋では、通常の会計処理に加えて、パンの袋詰めなど独特の作業が必要です。通常のレジ業務以外の作業により、レジでの待ち時間が長くなりやすく、特に混雑時間帯ではお客様の不満や機会損失につながりかねません。
POSレジを導入することで、会計業務を大幅に効率化できます。自動釣銭機能やキャッシュレス決済に対応したPOSレジを導入することで、従来手作業で行っていた金銭の受け渡しや計算がスピーディーに処理できるようになるでしょう。
従業員はレジ周りの煩雑な作業に時間を取られることがなく、パンの袋詰めや食パンのカットなどの、パン屋ならではの手作業に時間を充てられます。結果としてお客様の待ち時間が短縮され、顧客満足度の向上とレジの回転率アップを同時に実現可能です。
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売上分析の簡易化
POSレジの導入により、売上データのリアルタイム分析が可能となり、効率的な商品展開の計画を立てられます。売れ筋商品や時間帯別の売上傾向が明確になることで、在庫管理の最適化や効果的な品ぞろえの実現につなげられるでしょう。
従来のレジでは、一日の営業終了後にレジの締め作業を行い、出力されたレポートを手作業で転記する必要がありました。特に複数店舗を展開している場合は、各店舗から提出される売上データを個別に集計する手間がかかり、タイムリーな経営判断が難しくなることが課題です。
POSレジを導入することで、商品別・時間帯別の売上データがリアルタイムで自動集計されるようになります。さらに、複数店舗の売上もクラウド上で一元管理できるため、データに基づいた迅速な経営判断が可能です。
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会計ミスの削減や不正防止
POSレジでは、商品名や価格をシステムに事前登録しておけるため、従業員が値段を手入力する必要がなく、入力ミスによる会計トラブルを大幅に減らせます。
また、POSレジはユーザーごとにアクセス権限を設定できるため、権限のない従業員による不正な操作を防げることもメリットの一つです。
さらに、誰がいつ、どのような操作を行ったかの履歴が自動的に記録されるため、不正行為の抑止や発生時の原因特定が容易になるでしょう。キャッシュレス決済の導入や自動釣銭機と組み合わせることで、現金の取り扱いが減少し、現金の計算ミスや紛失のリスクも軽減されます。会計業務の正確性が向上するため、より安心・安全な店舗運営が可能です。
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キャッシュレス決済対応のPOSレジの使い方や導入メリットを解説
自動釣銭機との連携におすすめなPOSレジ
パン屋で使えるPOSレジの選び方5選
パン屋で使えるPOSレジの選び方として次の5つのポイントを解説します。
- バンドル販売機能の有無
- 導入費用や月額料金
- キャッシュレス決済に対応しているか
- POSレジのデザインは店の雰囲気に合っているか
- 値引き設定が簡単にできるか
それぞれのポイントを詳しく紹介します。
バンドル販売機能の有無
パン屋のPOSレジでは、バンドル販売機能が重要な選定ポイントの一つです。パン屋では「お好きなパン3個で800円」などのバンドル販売を行うことで、お客様により多くの種類のパンを試していただく機会を提供できます。
特にパンは日持ちが短く、当日中の売り切りが理想的であるため、閉店時間が近づくにつれてセット販売を行うことで、在庫の有効活用と売上の確保を同時に実現可能です。
そのため、POSレジには、このようなパン屋特有の柔軟な販売方法に対応できることが求められます。バンドル販売の設定が複雑だったり、都度手作業での価格調整が必要だったりすると、かえって業務効率を下げてしまうことになりかねません。
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導入費用や月額料金
POSレジの導入に関わる費用は、店舗の経営に大きな影響を与える重要な検討事項です。特に新規オープンの場合は、設備投資や内装工事など、さまざまな初期費用がかかるため、POSレジの費用負担は慎重に検討しなければなりません。
初期費用を抑える方法として、タブレット型POSレジの導入が選択肢の一つです。従来型の据え置き型POSレジと比べて導入コストを抑えられますが、自動釣銭機などのオプション機器を追加すると、費用が大きく膨らむ可能性があることに注意しましょう。
月額料金も長期的な収支計画の中で検討し、無理のない範囲で機能と費用のバランスを取ることが大切です。
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キャッシュレス決済に対応しているか
キャッシュレス決済への対応は、現代の店舗運営では必須の要件となってきています。特にパン屋では少額での購入が多いため、電子マネーやQRコード決済など、手軽な決済手段に対応していないと、潜在的な顧客を逃しかねません。
POSレジを選ぶ際は、クレジットカードだけでなく、交通系電子マネーやスマートフォン決済など、多様な決済手段に対応できるかどうかが重要な選定基準です。決済端末との連携がスムーズで、新しい決済手段にも柔軟に対応できるPOSレジを選ぶことで、将来的な決済手段の変化にも対応できます。
また、PayPayやd払いなどの決済事業者が実施する還元キャンペーンを活用することで、新規顧客の獲得や既存顧客の来店頻度向上につながるでしょう。特に若い世代はキャッシュレス決済を好む傾向があるため、導入によって客層の拡大も期待できます。
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POSレジのデザインは店の雰囲気に合っているか
POSレジは、パン屋の雰囲気づくりとしても重要な要素の一つです。パン屋は商品の味や品質はもちろん、外観や内装を含めた総合的な雰囲気づくりがブランドイメージの形成に大きく影響します。
POSレジはお客様と対面する重要な接点となるため、店舗のコンセプトに合ったデザインを選ぶことが求められます。タブレット型POSレジは、一般的にシンプルでモダンなデザインが多く、さまざまな店舗の雰囲気になじみやすい特徴があります。
一方で、デザイン性だけを重視して使い勝手の悪いPOSレジを選んでしまうと、日々の業務効率が低下し、かえってお客様の満足度を下げてしまうことになりかねません。
機能性とデザイン性のバランスを取ることで、効率的な店舗運営と良好な店舗イメージの両立が可能となるでしょう。
値引き設定が簡単にできるか
パン屋は毎日新鮮な焼き立てパンを提供することが基本であり、商品の鮮度管理は非常に重要です。多くのパン屋では閉店時間が近づくにつれて、売れ残りを防ぐために商品の値引き販売を行います。
閉店直前の時間帯による値引き販売を効率的に行うためには、POSレジでの値引き設定が簡単にできることが重要なポイントとなるでしょう。例えば、時間帯ごとの値引き率をあらかじめシステムに登録しておき、ボタン1つで適用できる機能があれば、スムーズな値引き処理が可能です。
値引き処理に時間がかかったり、複雑な操作が必要だったりすると、混雑時の対応に支障をきたす可能性があります。直感的な操作で素早く値引きができるPOSレジを選択することで、効率的な在庫管理と売上の最大化を実現できるでしょう。
パン屋でPOSレジを選ぶ際の注意点
パン屋でPOSレジを選ぶ際の3つの注意点を紹介します。
- インボイス対応
- 設置スペース
- 問い合わせサポート
それぞれの注意点を把握し、店舗に導入する際の参考にしてみてください。
インボイス対応
インボイス制度は2023年10月から開始され、パン屋の経営にとっても重要な制度です。ほとんどのパン屋は課税事業者としてインボイス制度の対応が必要となることが考えられるため、POSレジ選びの際は、インボイス対応機能の有無を必ず確認しなければなりません。
具体的には、適格請求書として必要な記載事項を含むレシートや領収書を発行できる機能が必須です。特に、店舗の登録番号の印字や、テイクアウトとイートインで税率が異なる軽減税率対象商品の区分管理ができなければなりません。
店舗自体が適格請求書発行事業者としての登録を済ませ、登録番号を取得しておく必要があります。その上で、システムに商品ごとの適用税率を正しく設定し、インボイス制度に準拠した運用ができる体制を整えることが大切です。
関連記事:インボイス制度対応のPOSレジとは?導入時に知っておきたいポイント
設置スペース
POSレジの設置スペースは、特に小規模なパン屋にとって重要な検討事項です。店舗のレイアウトや利用可能なスペースを事前に確認し、レジ周りでの作業効率を考慮しながら、適切なサイズのPOSレジを選択しなければなりません。
限られたスペースしか確保できない小規模店舗の場合、タブレット型POSレジが有効な選択肢の一つです。タブレット型は持ち運びが可能で配線も最小限で済むため、省スペースで設置できます。また、レジ周りのレイアウトも柔軟に変更できるでしょう。
一方、十分なスペースが確保できる店舗であれば、パン屋専用の機能が充実した据え置き型POSレジや、プリンターや決済端末が一体となった一体型POSレジの導入も検討できます。将来的な店舗レイアウトの変更も考慮に入れて選択することが重要です。
問い合わせサポート
POSレジのサポート体制は、店舗運営の安定性に直結する重要な選定ポイントです。特に、機器のトラブルや操作方法に不明点が生じた際に、直接電話で問い合わせができる窓口があるかどうかは、重要な確認事項となるでしょう。
サポート窓口の受付時間も慎重に確認する必要があります。早朝から営業を行うパン屋の場合、24時間365日対応のサポート体制があるかどうかが運営上の安心感につながります。自店舗の営業時間帯にサポートが受けられないと、トラブル発生時に大きな支障をきたしかねません。
また、電話以外にもチャットやメール、よくある質問ページなど、複数の問い合わせ方法が用意されているかも重要です。
加えて、過去のユーザーによる口コミやレビューを確認し、サポートの対応品質や迅速さを事前に評価しておくことで、より信頼できるPOSレジを選択できます。
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POSレジの導入事例
実際にPOSレジを導入した事例を2つ紹介します。
- POSレジで簡単にクーポン配信
- 複数店舗の売上を一元管理
自分の店舗の規模や業態に近いものを参考にしてみてください。
POSレジで簡単にクーポン配信
株式会社リ・ライフが展開する小籠包専門店では、顧客の再来店促進に力を入れています。紙のDM発送や独自のポイントカード制度を運用していましたが、印刷費や郵送料、カード発行費用などの経費が発生していました。
POS+ connectを導入したところ、アプリを通じて、お客様へのクーポン配信やお知らせが簡単にできるようになりました。導入後は月額固定費のみで運用でき、クーポンの利用状況や効果も即座に確認できるようになり、より効果的なプロモーション戦略の立案が可能になったのです。
出典:ポスタス/店舗アプリで通販ページへ誘導して売り上げが300万円以上に
複数店舗の売上を一元管理
株式会社GREENINGは複数のレストラン&カフェを展開する中で、店舗数の増加に伴い、管理体制の課題が顕在化していました。
そこで、POSレジシステムを導入したことにより、全店舗の売上データをリアルタイムで一元管理できるようになりました。加えて、本部での売上分析が容易になり、より戦略的な経営判断が可能になったのです。特に、時間帯別の売上傾向や商品別の販売動向など、詳細なデータ分析に基づいた店舗運営の改善につながります。
また、セルフレジやモバイルセルフオーダーシステムは、直感的な操作性が特徴で、アルバイトスタッフを含む従業員からも高い評価を得られました。
導入後は、各店舗の売上状況をリアルタイムで把握できることで、迅速な経営判断が可能になり、業務効率の大幅な改善を実現しています。
出典:ポスタス/複数店舗のレストランで経理システムの一元管理と現場オペレーションの効率化
パン屋レジのまとめ
今回の記事では、パン屋のPOSレジの選び方を解説しました。パン屋では、通常の会計処理に加えて、パンの袋詰めなど独特の作業が必要です。通常のレジ業務以外の作業により、レジでの待ち時間が長くなり、特に混雑時間帯ではお客様の不満や機会損失につながりかねません。
POSレジ導入によるレジ業務の効率化が店舗運営に与えるメリットが大きい業態といえます。また、売上分析の簡易化や不正防止などのメリットもあります。
パン屋で使えるPOSレジの選び方として5つのポイントを紹介しましたので、POSレジ導入を考えている方は参考にしてみてください。
パン屋のPOSレジでよくある質問
従業員がパンの品出しや接客、パンの袋詰めなど、パン屋特有の業務に時間を費やせます。また、レジでの待ち時間が短縮され、お客様の満足度向上にもつながるでしょう。さらに、レジ打ちミスによる損失が減少し、より正確な売上管理が可能です。
詳しくは「パン屋にPOSレジを導入するメリット」にて解説しています
問題点として、導入・維持コストが必要なことが挙げられます。また、システムの故障時に店舗運営に支障をきたす可能性があり、サポート体制の確認も重要なポイントです。定期的なソフトウェアのアップデートやメンテナンスも必要で、インターネット環境への依存度が高いことも課題となるでしょう。
参考サイト:独立行政法人中小企業基盤整備機構 業種別開業ガイドパン屋(ベーカリー)