インバウンドの急増に伴い、近年ではキャッシュレス決済が急速に普及してきました。キャッシュレス決済の中にはクレジットカードをはじめ、電子マネー、QRコード決済があります。特にQRコード決済サービスを提供する事業者が増加し、比例してユーザーも右肩上がりとなっています。
QRコード決済の大きな特徴はスマートフォンがあれば、迅速かつ簡単に支払いが可能という手軽さと、安全性を考慮し情報は暗号化され、直接的に金融情報を店舗と共有することがないなどがあげられます。
本記事では、QRコード決済にフォーカスし、QRコード決済の種類や仕組み、導入メリットや選び方などを解説します。
QRコード決済と合わせて検討する方が多いPOSレジについて「POSレジとは? POSシステムとの違いや 導入することで得られるメリットを解説」もご参考ください。
QRコード決済とは
QRコード決済は、スマートフォンなどのデバイスを使用して行う電子決済の一種です。決済の流れは主に2つの方法で行われます。一つ目は、店舗側が表示したQRコードを顧客がスキャンして支払いを行う「ユーザースキャン型」、もう一つは、顧客が自分のデバイスに表示したQRコードを店舗側がスキャンして支払いを行う「ストアスキャン型」です。どちらの方法も、スマートフォンアプリを介して行われることが一般的です。
QRコード決済の導入方法
QRコード決済の導入は難しくありません。簡単に3つのステップに分けて解説します。
- 導入するサービスの決定
- 必要な通信環境を整備し加盟店申請を行う
- 審査通過後、サービス利用開始
1.導入するサービスの決定
認知度の高さ及び導入店舗の多さや、ポイント還元率やクーポン等の特典が多さ、決済手数料等のコストパフォーマンスなどを考慮して、自店にあったQRコード決済サービスを決定します。決定までは焦らず、気になるサービスの疑問点はきちんと解決した上で、後で後悔することのないようにしましょう。
選定の際には、国内の有名なサービスはもちろん、店舗戦略としてインバウンド強化を狙う際には、海外のサービスを選定しても良いかもしれません。根幹となるレジ決済機能や基本機能にはさほど差がないことが多いですが、サポート面や細かい機能面、安全性などで差が出ることがありますので値段やブランド名だけで決めてしまわない方が良いでしょう。
2.必要な通信環境を整備し加盟店申請を行う
導入するサービスが決定したら、サービスを問題なく使用できるように、まずは店舗のインターネット環境を整備しましょう。この際、フリーWi-Fiを導入することで、お客様のニーズにも応えることができ、店舗の滞留時間も長くなるといった効果が見込めますのでおすすめです。
インターネット環境が整い次第、サービス提供事業者あるいは決済代行会社に加盟店申請を行い、審査を受け結果を待ちましょう。業種及び業態、取り扱い商材等が審査の対象となります。
3.審査通過後、サービス利用開始
無事にサービス提供事業者による審査を通過することができたら、晴れてQRコード決済が使用できる状態となります。スマートフォン端末及びタブレット端末、あるいは必要に応じてQRコード決済専用端末を準備し、サービスを使用しましょう。
大抵の場合、加盟した段階で店頭で掲示できるPOP等の販促物をもらうことができます。店頭で活用し、お客様にサービスが利用できることを大いにアピールすることが大切です。
QRコード決済の支払方法
QRコード決済の支払方法としては、前述したとおり、次の2つの方法があります。
- ストアスキャン方式(利用者提示型)
- ユーザースキャン方式(店舗提示型)
本項目では、上記2つの方法について解説致します。
ストアスキャン方式(利用者提示型)
商品やサービスを購入する客が任意のQRコード決済サービスのアプリから自分専用のQRコードを取得及び店舗のレジでQRコードを提示し、店舗は専用端末(バーコードリーダーやタブレット端末、スマートフォン端末等)で客が提示したQRコードをスキャンすることで、会計が完了する支払い方式です。
ユーザースキャン方式(店舗提示型)
商品やサービスを購入する客が、店舗が提示したQRコードをスマートフォン端末等でスキャンすることで、会計が完了する支払い方式です。
店舗が決済完了について確認を行うためには、パソコン及びスマートフォン端末、またはタブレット端末等に事前にインストールしてあるシステム及びアプリを使用する必要があるため、少し時間がかかります。
QRコードの決済タイミングは3タイプ
QRコード決済の決済を行うタイミングとしては、次の3タイプが存在します。
- 前払い式(プリペイド)
- 即時払い式(リアルタイムペイ)
- 後払い式(ポストペイ)
本項目では、上記3タイプについて解説致します。
前払い式(プリペイド)
前払い式は、多数のQRコード決済サービスで採用されており、ユーザーが任意のサービスに現金及びクレジットカード等で好きな金額をチャージしておくタイプです。事前にチャージしておかなければすぐに利用できないというデメリットがありますが、使いすぎ防止になるというメリットもあります。
即時払い式(リアルタイムペイ)
即時払い式は、デビットカードと同様の仕組みで、QRコード決済の都度設定済みの銀行口座から決済金額がリアルタイムで引き落とされます。口座の残高が不足してしまうと支払うことができないため、注意が必要です。
後払い式(ポストペイ)
後払い式は、QRコード決済の利用金額が、設定済みのクレジットカードから毎月他の支払い同様に引き落とされる仕組みです。クレジットカードと同じタイミングになりますが、署名や暗証番号の入力等の工程が省けるため、スマートに決済することができます。
上記3タイプの決済タイミングには、それぞれメリットデメリットがあるため、全て把握した上で、最も自分に合った決済タイミングを選択することが大切です。
QRコード決済の代表的な種類
日本における代表的なQRコード決済としては、次の5つがあげられます。
- LINE Pay
- PayPay
- 楽天ペイ
- d払い
- au PAY
本項目では、上記それぞれのサービスの特徴やメリットを解説します。
LINE Pay
LINE Payは、LINEユーザーなら誰でも登録可能となっています。ストアスキャン方式及びユーザースキャン方式いずれかでも支払うことが可能です。さらに一部のオンラインショッピングでもLINE Payを利用することができ、LINE Pay利用時にはお届け先の入力等は不要なため、スムーズに買い物を行うことが可能です。
また、LINE Payクーポンも発行されることがあるため、お得に買い物を楽しむことができます。
PayPay
PayPayは、QRコード決済サービスの中で群を抜いて認知度及びユーザー数が高く、そのため、利用できる店舗数も他社サービスと比較してとても多くなっています。ストアスキャン方式及びユーザースキャン方式いずれかでも支払うことが可能です。
PayPayには、対象店舗のスタンプカードがあり、スタンプを貯めるとプレゼントがもらえるといった特典があります。
楽天ペイ
楽天ペイは、ストアスキャン方式及びユーザースキャン方式いずれかだけでなく、セルフ払いという支払い方法が選択可能です。セルフ払いは、ユーザーが楽天ペイアプリの中で店舗を選択し、金額入力をすることで支払いが完了するシステムです。
楽天ペイは、楽天カードとの相性が良く、楽天カードを支払い元に設定しておくと、税込100円の支払いにつき楽天ポイント1ポイントが貯まるという特典に定評があります。
d払い
d払いは、ドコモが提供するQRコード決済サービスで、ストアスキャン方式及びユーザースキャン方式いずれかの支払い方法を選択することが可能です。ドコモ回線の携帯電話を持っているユーザーであれば、毎月の携帯料金と合算して支払うことができるというメリットがあります。さらにdポイントカードを提示してd払いで決済すると、dポイントが多くでもらえる特典があります。
au PAY
au PAYは、au by KDDIが提供するサービスで、ストアスキャン方式及びユーザースキャン方式いずれかの支払い方法を選択することが可能です。
au PAYカードを使用してau PAYにチャージを行うとPontaポイント還元率が高くになるメリットがあり、Pontaポイントを効率的に貯めることができます。さらにPontaポイントを支払いに使用することも可能です。なお、会員数は2,500万人を突破しています。
QRコード決済の導入メリット
QRコード決済の導入店舗が増えていく理由としては、多数のメリットがあるからと言えます。
本項目では、QRコード決済の導入メリットについて、店舗側の視点で解説します。
- 業務の効率化が図れる
- 新規顧客の獲得に繋がる
- インバウンドに対応することが可能
- 初期コストを抑えられる
QRコード決済を導入することにより、店舗には主に次の4つのメリットを見ていきましょう。
業務の効率化が図れる
現金授受の機会が少なくなることから、レジの定期的な在高点検や締め作業等の業務負担が少なくなるというメリットがあります。ここから派生して、レジに費やす時間が少なくなるためお客様への対応を手厚くするなどといった、従業員の有効活用が期待でき、その結果顧客満足度の向上にも繋がることが予想されます。
新規顧客の獲得に繋がる
QRコード決済を導入することで、サービス導入店であることをアピールすることができ、結果的に潜在的な顧客層を取り込むきっかけづくりとなります。
サービス提供アプリ内での店舗検索や、サービスが利用できるからといった従来とは違う店舗の選択理由により、新規顧客を容易に開拓することができるのです。
参考サイト:日本経済新聞「QR決済100億回迫る クレカの半分超え」
インバウンドに対応することが可能
海外の中でも特に中国においては、キャッシュレス決済の普及が著しいため、外国である日本においてもキャッシュレス決済を希望することが多くあります。
外国人のお客様が多い店舗では、日本のQRコード決済サービスだけでなく、海外対応のQRコード決済サービスを積極的に導入し、外国人客を取り込むことで売上アップが期待できるでしょう。
参考サイト:日本経済新聞「QRコード決済、東南アジアで急拡大」
初期コストを抑えられる
キャッシュレス決済の中でも、QRコード決済は群を抜いて初期費用が安いというメリットがあります。その理由の一つが、新しい機器を導入せずとも、既存の端末で対応可能であるからです。
クレジットカードや電子マネー等の導入に足踏みをしていた店舗も、まずはQRコード決済を導入することで、お客様の支払いの選択肢が広がり、新規顧客の獲得に繋げることができます。
関連記事:キャッシュレス決済のメリットとは?POSレジ連携がおすすめな理由
QRコード決済の選び方のポイント
QRコード決済サービスを導入する際、どの事業者が提供しているサービスにしたら良いか悩んでしまうことも少なくありません。次の3つの選び方のポイントを参考ください。
- 認知度の高さ及び導入店舗の多さ
- ポイント還元率やクーポン等の特典が多い
- 決済手数料等のコストパフォーマンス
本項目では、QRコード決済の選び方のポイントを3つご紹介します。
認知度の高さ及び導入店舗の多さ
認知度の高さ及び導入店舗の多さはとても重要なポイントです。認知度が高い及び導入店舗の多いサービスは、ユーザー数も比例して多いということになります。そのため、今まで来店したことのない新規顧客の取り込みがしやすくなるというメリットがあります。
また、新規参入のサービスよりも、メジャー=大手のサービスの方が店舗の販促効果が高いことが予想されます。QRコード決済を導入したというだけで、来店客数が増えるといったことも大いにあり得るでしょう。
さらに、サービス提供のアプリで対象店舗を検索することができることもあるため、通常とは違う切り口でお客様を呼び込むことも可能です。
ポイント還元率やクーポン等の特典が多い
ユーザー目線では、QRコード決済サービスを利用する際、よりポイント還元率が高かったり、クーポン等の得点が多かったりするサービスを選択することが予想されます。そのため、店舗は費用面だけでなく、ユーザー目線で導入サービスを選定することが大切です。
大手のサービスでなくても、競合他社よりポイント還元率やクーポン等の特典が多いサービスであれば、今後爆発的にサービス利用ユーザーが増加することも予想されます。
また、ショッピングセンターに出店しているテナント店舗であるならば、同ショッピングセンター内で関連したポイントが使えるサービスを選択しても良いかもしれません。
決済手数料等のコストパフォーマンス
前述したとおり、QRコードサービス導入時には、初期費用や機器費用等がかからないことが多いですが、各社決済手数料の設定はバラバラです。あまりにも、決済手数料が高いサービスを選択してしまうと、ランニングコストが想定以上にかかってしまいますので、各社の条件をきちんと見定めた上で導入を決定しましょう。
逆に決済手数料が安い場合に、実は別のところでコストがかかっている場合もあります。各社の規約は隅から隅まで目を通し、少しでも疑問がある場合には、サービス提供事業者に問い合わせる等して、疑問点を解決することが大切です。
まとめ
本記事では、QRコード決済にフォーカスし、QRコード決済の種類や仕組み、導入メリットや選び方などをわかりやすく解説致しました。
キャッシュレス決済が急速に普及していく中、QRコード決済が他のキャッシュレス決済を追い抜き、最もメジャーな決済手段となる日も遠くないのではないでしょうか。これからQRコード決済とPOSレジを導入しようとしている店舗様は、是非サポート面でも充実している「POS+(ポスタス)」を導入もご検討ください。
よくある質問
「前払い式(プリペイド)」「即時払い式(リアルタイムペイ)」「後払い式(ポストペイ)」があります。決済タイミングには、それぞれメリットデメリットがあるため、全て把握した上で、最も自社や店舗に合った決済タイミングを選択することが重要です。
QRコード決済ては「LINE Pay」「PayPay」「楽天ペイ」「d払い」「au PAY」の5つが日本における代表的です。