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2021.02.12
開業

個人事業主の屋号は必要?決め方や屋号例、変更方法など

個人事業主として独立開業するにあたり、屋号をつけるべきか迷う方も多いのではないでしょうか。本記事では、屋号の決め方や、屋号を持つメリット・デメリットについて詳しく解説すると同時に、事業別の屋号例もご紹介します。屋号のつけ方に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

屋号とは

屋号とは、個人事業主が事業の名称や店舗名として使用するもので、いわば仕事用の“ペンネーム”のようなものです。会社(法人)が「株式会社●●」や「有限会社××」といった社名をつけるように、個人事業主も「事業用の名前」を使えるのです。

なお、必ずしも「店舗名=屋号」というわけではありませんが、飲食店や小売店などの実店舗を持つ方は、店舗名と同じにするケースが多く見られます。

屋号をつけることで、社会的信用を得るうえで有効に作用することもありますので、個人事業主として独立開業する場合は、屋号の検討をしてみてもいいかもしれません。

個人事業主の屋号は必要?

個人事業主になったら必ず屋号をつけなければならない、という決まりはありません。必要がなければ、屋号はつけなくてもOKです。

屋号なしで独立開業する場合は、役所に開業届を提出する際に氏名(開業者の本名)だけを記入し、屋号欄は空白にして出しましょう。

個人事業主の屋号の決め方

個人事業主の屋号を決める際は、下記の点に留意するとよいでしょう。

  • 業種がイメージできる
  • 読み間違える心配がない
  • 同業者の屋号を参考にする

ちなみに個人事業の屋号には、法人のみに使用が許されている「●●会社」や「××法人」等の名称はつけることができません。他に、「●●銀行」や「××証券」などの特定業種名をつけることも禁止されています。

業種がイメージできる

屋号を決める際の一番のポイントは、事業の業種がイメージできる名前をつけるということです。名前から業種が連想できれば、お客様の記憶に残りやすく、新規顧客の獲得にもつながります。

逆に、飲食店なのに「●●スタジオ」等の映像・デザインの会社を連想させる屋号をつけたり、個人名だけで何の商売をしているのか分かりにくかったりすると、お客様を混乱させてしまいます。

屋号をつける際はあまりひねらず、ストレートな名前にするのがベターです。

読み間違える心配がない

英語やフランス語、スペイン語などの外国の言語の屋号はおしゃれなイメージですが、馴染みの薄い単語だと読みにくいばかりか、まったく読めないこともあります。自分の事業に親しみを持ってもらうためにつけた屋号なのに、正しく読んでもらえなければ本末転倒です。

また、日本語でも読みにくい難しい漢字等は要注意です。読み間違えによって本来とは違う意味に解釈され、イメージを低下させてしまう単語もあります。

屋号のイメージが悪いと経営にも少なからず悪影響が出ますので、言葉の響きや意味をよく考えてつけるようにしましょう。

同業者の屋号を参考にする

どんな屋号がいいのか迷った場合は、同業者の屋号を参考にするのが手っ取り早い方法です。飲食店であれば、居酒屋なら居酒屋、イタリアンならイタリアンなど、同じ業態のお店を参考にします。

実際に街を歩いてみるのもいいですが、「渋谷 居酒屋」など繁華街の店舗を検索してみるのもおすすめです。繁華街には多くのお店がありサンプル数も膨大なため、大いに参考になるでしょう。

個人事業主の屋号例

個人事業主の屋号例
居酒屋・提灯

個人事業主の屋号について、下記の業種ごとに具体的な例を挙げていきます。

  • 店舗経営の場合
  • 個人医院・事務所の場合
  • フリーランスの場合

店舗経営の場合

品物や食品を販売している店舗の屋号には、「●●屋」「××堂」「△△店」など、シンプルで分かりやすいものがいいでしょう。事業主の本名が少し珍しい苗字の場合は、ご自身の苗字をつけるのもおすすめです。栄太郎という名前から「栄堂」といったように、下の名前から一字を取って屋号にするのもよくあるケースです。

また、看板商品名を屋号に入れるという方法もあります。

【店舗の屋号例】

  • ~~屋
  • ~~店
  • ~~堂
  • ~~工房
  • ~~商店
  • ~~本舗
  • ~~ベーカリー
  • ~~サロン
  • ~~家

個人医院・事務所の場合

事務所を構えている個人事業主は、「●●オフィス」「××事務所」などの屋号をつけるとわかりやすいです。同じく、クリニックや歯科医などの個人医院は「●●小児科」「××歯科」といったように、診療科まで一目で分かるような屋号をつけましょう。

  • ~~オフィス
  • ~~office
  • ~~事務所
  • ~~医院
  • ~~小児科
  • ~~歯科
  • ~~皮膚科
  • ~~クリニック
  • ~~耳鼻科

フリーランスの場合

フリーランスでデザイン系の仕事をする場合は、ストレートに「●●デザイン」「××スタジオ」といった屋号が分かりやすいでしょう。屋号に迷ってしまう場合は、「●●オフィス」「××企画」といった万能な屋号にするのがおすすめです。

  • ~~ラボ
  • ~~企画
  • ~~チーム
  • ~~スタジオ
  • ~~studio
  • ~~制作
  • ~~デザイン
  • ~~design

個人事業主が屋号を持つメリット

個人事業主が屋号を持つメリット

個人事業主が屋号を持つメリットとしては、以下の2つが挙げられます。

  • 屋号で銀行口座が開設できる
  • 社会的信用が得られる

屋号で銀行口座が開設できる

一番のメリットは、屋号で銀行口座が持てる点です。ビジネス用の銀行口座があれば、ネットショップなど不特定多数に口座振込をお願いする事業の場合でも、お客様に不安感や不信感を抱かせずにすみます。

ショップが個人名義の口座を使っている場合、振込をためらうユーザーは少なくなく、それだけで購入や申し込みをやめてしまう可能性も大いに考えられます。ビジネスの機会損失を防ぐためにも、屋号での口座を持っていた方が無難です。

また、個人事業主は確定申告を行わなければなりません。確定申告では、自分が行っている事業に関係する収入や経費を申告しますが、ビジネスとプライベートで同じ銀行口座を使っていると、仕分けの手続きが非常に煩雑になります。さらに万が一税務調査が入った場合は、通帳や口座を調べられることとなり、個人的なお金のやり取りも見られることになってしまいます。

そのため、プライベートとわかれたビジネス用の口座を作れることは、大きなメリットとなるでしょう

社会的信用が得られる

屋号を持っていると、取引先に自分が手がけている事業の内容が伝わりやすくなります。名刺に「●●デザイン」「××スタジオ」と入っていれば、デザイナーやカメラマンであることが一目瞭然で信頼度も上がり、事業として収益を上げている印象を与えられ、安心して仕事を依頼してもらえるようになるでしょう。

他にも、領収書や請求書、見積書、契約書といった帳票類にも、屋号が入っていた方が事業主として信頼がおける印象があります。特に医業や仕業のような、顧客との信頼関係が重要になってくる事業を営む場合は、屋号をつけておいて損はないでしょう。

関連記事
経費と領収書の基礎知識~保管の方法や期限は?レシートでも大丈夫?

個人事業主が屋号を持つデメリット

個人事業主が屋号を持つにあたって、少なからずデメリットもあります。

まず、一度屋号を決めてしまうと、業績拡大等に伴って事業内容が創業時と変わってしまった場合でも、変更するのが難しくなってしまう点です。例えば、洋菓子店としてスタートし「ケーキの●●」という屋号をつけた店舗が、カレーやパスタなどの食事メニューも提供するようになった場合でも、屋号に「ケーキ」と入っているばかりになかなかイメージが浸透しないといったケースが考えられます。

ただし、事業内容が変わるたびに屋号を変更していたのでは、屋号自体の存在感が薄れ、顧客からの信用も失ってしまうおそれもあります。1度決めた屋号はあまりひんぱんに変えない方が無難ですので、最初から業種を絞りこんだ屋号をつけない、というのも一つの方法です。

また、一人の個人事業主が複数の屋号を持つことも可能ですので、このような場合は屋号を「変える」よりも「増やす」方がよいでしょう。

個人事業主の屋号変更方法

個人事業主が屋号を変更した場合でも、基本的に税務署等に届け出る必要はありません。屋号は、税制上特段の定義があるわけではないため、変更はもちろん抹消も自由に行えるのです。

屋号変更をしたことを、あえて明らかにしておきたいという場合は、下記の2つの方法があります。

  • 確定申告書に変更後の屋号を記載する
  • 「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を提出する

確定申告書に変更後の屋号を記載する

屋号の変更を公にしたい場合は、確定申告書および申告書に添付する決算書に新しい屋号を記載し、普通の申告時と同じように提出すればOKです。追加の特別な手続きは必要ありません。

「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を提出する

前述した通り、屋号の変更自体には何の届け出も要りませんが、屋号変更に伴って店舗や事務所を移転して住所が変わった場合は、税務署への届け出が必須になります。

まず事務所移転で納税地が変わる場合は、「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を提出します。また同じ市区内の移転等で納税地が変わらない場合でも、事務所や店舗が移転した場合は「個人事業の開業届出書」を提出しなければなりません。

まとめ

屋号はお店の看板と同様の存在で、決して軽んじてはいけません。屋号があることで、ビジネスの幅も広がり、新たな顧客関係も生まれる可能性があります。自身にふさわしい屋号を設定し、事業の成長に活かしていきましょう。

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