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2020.10.28
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発注点とは~計算方法・発注点を使った発注管理のポイント

発注業務を適切に行うためには、「発注点」をしっかり定め運用することが必要です。本記事では、発注点の計算方法や主な発注方式の解説のほか、発注管理を最適化するための具体的な方法を解説します。

発注点とは

発注点とは、在庫が一定量を下回った段階で発注をかけるために基準とする在庫量のことです。発注をかけるタイミングを示す在庫量と言い換えることもできます。例えば発注点を10に設定した場合、在庫量が10を下回ったときに発注をかけることになります。

発注点の設定により、発注をかける基準がひと目でわかるようになり、発注業務の属人化を防ぎ、定量的なタイミングで安定した発注を行えるようになるのです。

安全在庫との違い・関係性

安全在庫とは、余剰在庫や欠品を防ぐ最低限の在庫量のことです。

在庫は余りすぎるのも問題ですが、足りなくなって出荷機会を逃してしまってもいけません。そして需要は、月末・月初といった時期や季節、流行などによって必ず変動します。こうした需要の変動にもきちんと対応できるよう、十分な安全在庫の確保が大切です。

安全在庫は「安全係数×標準偏差×√発注間隔+調達時間」で算出できます。この安全在庫は、発注点の算出に必要となるので、きちんと把握しておきましょう。

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発注点の計算方法

発注点の計算方法

発注点の基本的な計算方法は「1日の平均出荷量×調達期間+安全在庫」です。この計算式により、どのタイミングで発注をかけるかの基準となる発注点を求められます。

1日の平均出荷量

1日の平均出荷量をあらかじめ計算することで、十分な在庫が残っているタイミングで適切に発注をかけることができます。正しく在庫管理をするためにも、そして発注点を正しく算出するためにも、1日の平均出荷量を把握しておきましょう。

なお、一般的には発注点は平均出荷量から計算されますが、平均ではなく1日の最大値や中央値を用いて算出するほうが良い場合もあります。今後1日の出荷量が増える時期に突入するとわかっている場合は最大値、1日の出荷量に幅がある場合は中央値など、現場の状況に合わせて適切な値を用いるようにしましょう。

調達期間

調達期間とは、商品の発注をかけてから手元に届くまでにかかる日数です。

調達期間分の在庫を確保した状態で新たに発注しなければ、届くまでに在庫が尽きてしまうことがあります。そのため、1日に出荷すると考えられる量に調達期間をかけた数を算出する必要が生じます。

安全在庫

最低限の在庫である安全在庫を足すことも、発注点の計算に取り入れます。もし調達期間中の1日の出荷量が平均を上回ってしまっても、安全在庫が確保できていれば欠品を予防でき、出荷機会を逃すリスクを軽減できます。

発注方式の種類

発注方式の種類

多くの現場で採用されている発注方式には、以下の2種類があります。

  • 定期発注方式
  • 定量発注方式

このうち、発注点を利用した発注方法は定量発注方式です。それぞれの違いについて見ていきましょう。

定期発注方式

定期発注方式とは、一定期間が経過するごとに発注を行う方法です。1週間に一度週明けに、1ヵ月に一度月初にというように、発注のタイミングをルールとして定めておきます。タイミングは固定されますが、発注のたびに量を調節することで在庫数をコントロールしていきます。

定期発注方式のメリットは、柔軟な発注ができることです。現在抱えている在庫を考慮して発注量を決めることで、余剰在庫が増え過ぎず適切な在庫管理が実現します。

一方、発注のたびに発注量を計算しなければならないことが、発注に慣れていないスタッフにとって負荷が大きくデメリットになりがちです。また、これまでの需要量や生産量などのデータを考慮したうえで時期や発注量を正しく見極めなければ余剰や欠品につながるおそれがあるため、知識と経験が豊富なスタッフに発注作業を依存してしまう可能性があります。

定量発注方式

定量発注方式とは、在庫が一定量まで減ったときに決められた量を発注する方法です。この「一定量」が、発注点です。発注点と発注量はあらかじめ決まっているため、在庫量が一定数を下回ったら決まった量の発注をします。

定量発注方式には、在庫が不足しにくいというメリットがあります。在庫が発注点より少なくなったら発注する流れなので、正しく発注点を設定しておけば、在庫不足による出荷機会の損失を防ぐことができるのです。

その一方で、発注や支払いの時期が決まっていないことから、業務効率化が難しいというデメリットもあります。また、流行などで急激に需要が増えた場合には、1日の平均出荷量と調達期間で算出した発注点よりも出荷量が上回ってしまい、対応しきれなくなることも考えられます。

そうしたリスクを未然に防ぐために、安全在庫をきちんと確保することが大切になってくるのです。

定量発注方式で発注管理を行う5つのポイント

定量発注方式で発注管理を行う5つのポイント

定量発注方式では、以下の5つのポイントを押さえることが大切です。発注管理の最適化のために、できることから取り入れてみましょう。

  • 在庫管理業務をマニュアル化する
  • ロケーション管理を最適化する
  • 需要予測を行う
  • リードタイムの短縮を図る
  • Excelや在庫管理システムを導入する

在庫管理業務をマニュアル化する

正しい発注には、在庫を正しく把握することからはじまります。そして在庫を的確に把握するための在庫管理には、業務のマニュアル化が有効です。

スタッフの知識や経験によって業務の遂行に差が出てしまうと、正確な在庫把握は難しくなります。発注業務が属人的にならないよう、きちんとルールを定めてマニュアル化し、担当者を問わず常に同じ発注ができるようにしましょう。

ロケーション管理を最適化する

適切な在庫管理には、ロケーション管理の最適化も求められます。

ロケーション管理とは、在庫の置き場所を決めて管理することです。置き場所をきちんと決めてデータ管理することで正しい在庫管理が実現され、適切な発注にもつながります。

ロケーション管理最適化の代表的な方法には、以下の3つが挙げられます。

  • ハンディターミナルを利用する
  • 売れ筋商品と不良在庫を把握する
  • 日次棚卸を行う

ハンディターミナルを活用すれば、コードを読み取るだけで素早く在庫管理ができます。また、売れ筋商品と不良在庫を把握することで、何をどれだけ発注する必要があるか正確に判断することが可能です。さらに、毎日棚卸をすることで正確な在庫数を把握できるようになります。

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需要予測を行う

需要の予測は容易ではありませんが、適切な発注の実現に必要とされる要素です。

需要はさまざまな要因で常に変動するものですが、過去のデータや現在の流行などからある程度予測が可能です。必要な量を適切な時期に発注できるように、過去の定量データやトレンドの傾向に着目してください。

リードタイムの短縮を図る

発注点を基準とする定量発注方式において、調達期間(リードタイム)を短縮することは無駄の削減につながります。発注してから納品されるまでのリードタイムが短ければ、抱えておくべき在庫数が少なく済み、効率的な発注につながるため、リードタイムを短縮できないか見直してください。

Excelや在庫管理システムを導入する

正しく在庫を管理して適切な発注につなげるためには、Excelや在庫管理システムの導入も検討されます。

Excelは無料で利用でき、関数やマクロを活用すれば手軽に在庫を把握できます。しかし、自力で関数やマクロを設定しスタッフの手入力によって管理しなければならないので、人的ミスが発生するリスクがあるデメリットは否めません

在庫管理システムはその多くが有料となりますが、バーコードを読み取るだけで在庫を管理できたり、情報を速やかに確認・共有できたりと、より手軽かつ正確な在庫管理が実現可能です。正しい在庫管理により発注業務を効率化する有力な手段として導入を検討してみましょう。

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発注点は定期的に見直しが必要

発注点は一度決めたら終わりではなく、定期的に見直す必要があります。発注点を基準とする定量発注方式は需要の変化に弱いというデメリットがあるため、市場の変化に合わせて需要が変われば、発注点も見直さなければならないのです。

発注点を見直すべきタイミングは、発注の頻度が変わったときです。当初設定した発注点で運用し、だんだんと発注頻度が増えてきたと感じる場合は、出荷数が増加傾向にあります。そのため、基準となる発注点を増加させ、より少ない頻度で発注するよう改善すると良いでしょう。適切な発注を維持できるように、「3ヵ月ごとに発注点を見直す」などとルール化することがおすすめです。

発注管理を最適化するPOSシステム「POS+ retail」

適切な発注管理には、オペレーションの効率と正確性を高めるPOSシステムが有用です。POSシステム(販売時点情報管理システム)導入により、バーコードの読み取りを通じて在庫管理や発注管理を行えるようになり、スタッフの負担を軽減しながら発注管理を最適化できます。

「POS+ retail」は、小売店向けに特化したPOSシステムで、発注管理に課題を抱えている小売店や店舗の在庫管理システムを検討している局面をサポートするサービスです。在庫を容易にデータ化し運用管理できるため、常に在庫量を的確に把握でき、正しい発注管理を実現できます。

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また、複数店舗をまたいだ在庫管理も可能なため、多店舗展開を行っている店舗や企業にも適しています。

小売店に特化したさまざまな機能をもつPOS+ retail

まとめ

発注点の設定は、発注管理業務を最適化するために必要なものです。発注点の計算方法を理解し、過去のデータや流行といった情報をうまく活用しながら、正しく発注点を設定しましょう。

発注業務を効率的に行うためには、POSシステムの導入も効果的です。必要に応じて導入をご検討ください。

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