新型コロナウイルスの拡大をきっかけとし、飲食店ではさまざまな感染対策が講じられました。感染対策の中でもモバイルオーダーは、顧客自身でのオーダーが可能であり、人と人との接触機会を防ぐ役割があります。
また、最近では業務効率化に向けての施策としても、モバイルオーダーが注目されるようになりました。そこで本記事では、モバイルオーダー導入によるメリット・デメリットについて解説していきます。さらに、モバイルオーダー導入に向けた手順についてもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
モバイルオーダーとは?
モバイルオーダーとは、スマートフォンを使って店舗で注文するサービスです。従来の注文方法は、顧客がレジの前に並び、自分の順番が来たら注文するという流れでした。
一方、モバイルオーダーは、レジの前に並ばなくてもスマートフォンでいつでも注文することが可能です。新型コロナウイルスの感染拡大下で急速に店舗での導入が進み、大手のファストフード店や飲食店などで見られるようになりました。
モバイルオーダー導入が求められる背景
上述したように、コロナ禍でモバイルオーダーの需要が高まったのが、導入が求められる背景の1つです。レジ前に多くの顧客が密になることを防げることから、感染予防対策として注目を集めるようになりました。
また新型コロナウイルスの収束以降も、顧客がレジの待ち時間を減らせることや、顧客のタイミングで注文可能になるといった点も評価されており、モバイルオーダーの需要が今も高い要因といえるでしょう。このように、もともとは感染対策で注目されていましたが、現在では利便性の観点からモバイルオーダー導入が求められているのです。
モバイルオーダーの種類
スマートフォンやタブレットから注文可能なモバイルオーダーには、いくつかの種類があります。主に導入されている3つのシステムについて、詳しく解説していきます。
- イートイン型モバイルオーダー
- テイクアウト型モバイルオーダー
- キャッシュオン型モバイルオーダー
イートイン型モバイルオーダー
1つ目に、イートイン型モバイルオーダーです。イートイン型モバイルオーダーは、店内飲食業態を採用している店舗向けのシステムです。顧客の席に設置されたQRコードをスマートフォンで読み取り、画面上に表示されたメニュー表を見ながら注文します。
決済については、顧客が飲食した後にレジで会計をする場合がほとんどですが、スマートフォン上で決済まで行うシステムもあります。店舗にとっては、レジ業務が不要になるため、そのほかの業務に工数を割り当てられるのがメリットです。主に、顧客からの注文が多くなる食べ放題の店舗や、従業員数が限られている小規模の店舗に適したシステムといえます。
テイクアウト型モバイルオーダー
2つ目は、テイクアウト型モバイルオーダーです。テイクアウト型モバイルオーダーは、顧客が店舗に来る前に注文し、指定の受け取り時間になったら商品を取りに行けるシステムです。
上記のように、好きなタイミングで注文可能であるのがテイクアウト型モバイルオーダーの特徴です。また、基本的に、決済も注文と同時に行うことから、店頭での待ち時間や支払いの手間を減らせます。店舗側にとっても、顧客が来店したタイミングで商品を渡すだけになるので、従業員の工数削減にも期待できます。
キャッシュオン型モバイルオーダー
最後に、キャッシュオン型モバイルオーダーです。キャッシュオン型モバイルオーダーは、ファストフード店やカフェといった、前払い方式を採用している店舗に適したシステムです。イートイン型モバイルオーダー同様に、顧客がQRコードをスマートフォンで読み取って注文を行います。
基本的には、イートイン型モバイルオーダーに近いシステムですが、キャッシュオン型モバイルオーダーでは、イートイン・テイクアウトの両方に対応しているのが大きな特徴です。キャッシュオン型もテイクアウト型と同じく、店舗側にとってはレジ業務の効率化、顧客側にとっては支払いの手間を減らせるのがメリットとなります。
【店舗側】モバイルオーダー導入のメリット
顧客からの需要が高まっているモバイルオーダーですが、店舗側にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。下記の通り、店舗側がモバイルオーダーを導入することによるメリットを5つご紹介します。
- 店舗側でのオーダーミスが防げる
- お客様の注文情報を分析できる
- 従業員の人手不足を補える
- 回転率が落ちにくい
- レジ業務が不要となる(テイクアウト型・キャッシュオン型)
店舗側でのオーダーミスが防げる
1つ目のメリットは、店舗側でのオーダーミスが防げることです。従来の注文方法だと、従業員が顧客の注文を口頭で受けるため、注文の聞き間違えやオーダー端末の入力ミス、オーダーを失念するといった、人為的なミスが発生する可能性がありました。
一方、モバイルオーダーでは、顧客自身がサービスを利用して注文することから、従業員によるオーダーミスを防ぐことができます。また、オーダーミスを防げるようになるため、商品提供の遅れや食材の廃棄などを防ぐことにも役立ちます。
お客様の注文情報を分析できる
2つ目のメリットは、マーケティングに活かせることです。モバイルオーダーによる注文情報が企業のデータベースに反映されるため、さまざまな情報から顧客の注文傾向を把握できます。
例えば、季節ごとにどの商品の売上が好調なのかを分析し、キャンペーンや広告などを出すことで、訴求効果を高められます。また、食材を無駄なく発注することが可能となり、食材ロスの軽減にも期待できます。
従業員の人手不足を補える
3つ目のメリットは、従業員の人手不足の解消につながることです。特に、飲食店では、顧客からの注文に対して一定数の人員が必要となります。しかし、従業員が少ない場合には、注文遅れが原因でクレームが発生したり、店内の混雑を招いたりしてしまいます。
そこで、モバイルオーダーを導入すれば、顧客が自分自身で注文するため、従業員の負担を減らし、人手不足を解決できます。また、これまでレジ業務に割り当てていた従業員をほかの業務に転換させることで、顧客満足度の向上にも活かせます。
回転率が落ちにくい
4つ目のメリットとして、モバイルオーダー導入は、回転率を安定させることにも効果的です。通常、飲食店では、商品の提供スピードや店内の混雑度合いが回転率に影響を与えます。
一方、モバイルオーダーでは、顧客自身が注文を行うため、注文待ちがなくなり回転率の向上につながる可能性があります。さらに、レジでの会計業務が減ることで、レジ前での行列もなくなります。従業員がレジ業務に専念する必要がなくなり、混雑時でも安定したオペレーションが可能となるでしょう。
レジ業務が不要となる(テイクアウト型・キャッシュオン型)
モバイルオーダー導入によって、店舗側でのレジ業務が不要になる点もメリットです。テイクアウト型・キャッシュオン型であれば、顧客はオーダーから決済までを一貫して行えるためです。
結果として、レジ業務がなくなることで従業員の配置転換や、人件費の削減にも期待できます。また、レジカウンターを設置する必要がなくなり、全体的なコストダウンも狙えるでしょう。
【店舗側】モバイルオーダー導入のデメリット
店舗側にとって、モバイルオーダー導入によるメリットは多くあります。しかし、メリットだけではなく、デメリットにも注意しなければなりません。下記3つのデメリットを踏まえた上で、どのような対策が求められるのか考えるようにしましょう。
- 初期費用、ランニングコストがかかる
- 従業員への取り扱い研修が必要になる
- 調理時間の長い飲食店には向かない
初期費用、ランニングコストがかかる
1つ目のデメリットは、モバイルオーダー導入時に、初期費用やランニングコストが発生することです。モバイルオーダーのサービスごとに料金が異なるものの、サービス利用手数料や決済手数料、振込手数料といったコストが発生します。また、初めて導入する場合には、専用の端末も購入しなければなりません。
とはいえ、総合的に考えると、モバイルオーダー導入は人件費削減につながります。初期費用が発生しないサービスやプランもあるので、導入を検討している場合には、まず問い合わせてみましょう。
従業員への取り扱い研修が必要になる
2つ目のデメリットとして、モバイルオーダーを導入するだけでなく、従業員が適切に扱えるように研修が必要になります。最終的には業務効率化につながるものの、モバイルオーダーのオペレーションが熟知されていないと、さまざまなトラブルが生じてしまいます。
トラブルを防ぐためには、モバイルオーダー導入と同時に従業員に研修を行い、オペレーションを浸透させなければなりません。マニュアルも準備しながら、従業員が把握しやすいような環境を構築しましょう。
調理時間の長い飲食店には向かない
モバイルオーダー導入で注意しておきたいのが、調理時間が長い飲食店では向いていないことです。一般的に、モバイルオーダーを利用するユーザーは、30分〜1時間後に商品を受け取れるように注文することが多いです。
つまり、1時間以上調理に時間がかかるような店舗だと、モバイルオーダーユーザーから注文を避けられてしまう可能性があります。仮に、調理時間が長い店舗でモバイルオーダーを導入したい場合には、調理時間を明記した上で、時間がかかることをユーザーに周知させましょう。
【顧客側】モバイルオーダー導入のメリット
モバイルオーダー導入は店舗側にメリット与えるとともに、顧客側にも多くのメリットがあります。顧客側のメリットも考えながら、モバイルオーダー導入の検討材料にしてみてください。
- オーダーまでの待ち時間が減る
- 顧客のペースで注文できる
- 顧客同士の密を避けられる
オーダーまでの待ち時間が減る
モバイルオーダー導入における顧客側のメリットとして、オーダーまでの待ち時間を削減可能な点が挙げられます。後払い形式を採用している店舗では、顧客が従業員を呼んでもなかなか手が空かず、会計を済ませられないという課題がありました。また、テーブルの近くに従業員がいないと注文できず、注文自体に時間がかかっていました。
モバイルオーダー導入は、上記の課題解決に役立ちます。従業員によるオーダーや会計を待つ必要がなくなり、全体としての待ち時間が減ります。特に、テイクアウト希望の顧客は、事前に決済を済ませ、会計待ちの列に並ぶ必要がなくなります。このように、余分な待ち時間が減少し、顧客側の満足度も高まるでしょう。
顧客のペースで注文できる
上記で解説したように、待ち時間が減らせることはもちろんですが、顧客のペースで注文できることもメリットです。例えば、飲食店で注文しようと従業員を呼んだ際に、注文したい商品が売り切れていたり、何を注文するか迷ったりしてしまい、従業員を待たせるケースも少なくありません。
特に、ファストフード店では、後ろに並んでいるほかの顧客が気になり、焦って注文をしてしまうことも多いでしょう。モバイルオーダーを導入すれば、顧客のタイミングで注文が可能となり、ストレス軽減に活かせます。
顧客同士の密を避けられる
冒頭でも解説した通り、モバイルオーダーは新型コロナウイルスの感染拡大で需要が高まりました。すでにコロナ禍も収束し、感染する危険性は低くなったものの、ほかの顧客との距離が気になる方もまだまだ多いでしょう。
モバイルオーダーは、スマートフォンから注文するため、他人との距離を気にする必要がありません。また、会計も可能なシステムであれば、従業員とのやり取りも少なくなり、密を防ぎながら注文から決済までを完結させられます。
【顧客側】モバイルオーダー導入のデメリット
店舗側にデメリットがあるように、モバイルオーダー導入に伴い、顧客側でもデメリットが生じます。
- オーダーに慣れるまで時間がかかる
- 現金での決済に対応していない
オーダーに慣れるまで時間がかかる
顧客側のデメリットとして、オーダーに慣れるまで時間がかかることが挙げられます。従来の対面式で注文を取っていた状況から急にモバイルオーダーに切り替えると、どのように注文をしていいのか慣れるまでに時間を要してしまいます。
特に、ファストフード店では、複数オーダーするときはモバイルオーダーが便利ですが、単品で購入する方にとっては面倒に感じる可能性もあります。まずは、試験的にモバイルオーダーを導入してみて、顧客からの反応を調査してみることも大切です。
現金での決済に対応していない
モバイルオーダーのみで対応すると、現金払いを希望する顧客から不満を招く可能性があります。特に、事前決済のテイクアウト型やキャッシュオン型のモバイルオーダーでは、現金払いが不可になっているケースが多いです。
つまり、現金払いがメインの層は上記のサービスが利用できなくなり、顧客離れを引き起こしかねません。モバイルオーダーを導入することで、新規顧客獲得に大きく貢献しますが、既存顧客にも配慮しましょう。
モバイルオーダー導入までの手順
モバイルオーダーシステムの導入に伴い、実際に店舗で利用可能となるまでには、さまざまな手順を踏む必要があります。利用料金や関連機器の導入といったステップを確認しながら、モバイルオーダーシステムを導入しましょう。
・利用料金の確認
まず、モバイルオーダーシステムの利用料金です。システム料金自体は、サービスにもよりますが、一般的に月額5,000円〜1万円が相場であると言われています。また、リースで導入する際には、機器の月額費用も発生するので注意しましょう。
上記のサービスに関する利用料金だけでなく、インターネット環境の整備も必要です。モバイルオーダーを導入する前に、見積もりをしっかりと把握した上で、予算内に収まるのかを計算しなければなりません。
・関連機器の準備
モバイルオーダーを店舗に実装する際には、モバイルオーダー機器本体だけでなく、関連機器の準備も必要です。具体的には、インターネット環境・キッチンプリンター・システム管理用のタブレットといった機器を用意しなければなりません。
特に、イートイン型のモバイルオーダーシステムを構築する場合、顧客のスマートフォンでQRコードを読み取ることになるため、各テーブル専用のQRコードを貼り付けることも忘れないようにしましょう。また、モバイルオーダーシステムでトラブルが発生しないように、安定したインターネット環境を構築することが求められます。
・メニュー登録
そして、モバイルオーダーシステムにメニューを登録することも忘れてはいけません。専用の管理画面から、モバイルオーダー用のメニューを登録します。
メニューを登録するときに、顧客が使用する各スマートフォンから見やすいような工夫が必要です。例えば、メニューの文字を大きくすることや、各メニューの特徴記載、料理画像の添付など、顧客フレンドリーなメニュー表を作るようにしましょう。
・スタッフや顧客への周知
モバイルオーダーを実際に店舗で使用するにあたって、スタッフや顧客への周知も必要です。周知をしないままモバイルオーダーを導入すると、店舗で働くスタッフは使い方がわからない状態で接客を行い、顧客に対して不満を招いてしまう恐れがあります。
また、オーダーまでに時間を要してしまうことから、店舗の回転率が減少する可能性も考えられます。まずは、モバイルオーダー導入の周知を徹底し、スタッフ・顧客ともに、使い方を把握させるようにしましょう。
モバイルオーダー導入には「POS+ order & pay」がおすすめ
飲食店向けのモバイルオーダーシステムは、「POS+ order & pay」がおすすめです。POS+ order & payとは、顧客がどこからでもスマートフォンを介して、テイクアウトの注文・決済を完結させられます。
顧客からオーダーを受けた後、注文情報はキッチンプリンターに出力されるため、注文・レジ業務にかかる従業員の負担軽減にもつながります。店舗における待ち時間が解消し、行列・混雑を避けることが可能となることから、顧客のストレス軽減、さらには感染症対策に活かせます。
\ モバイルオーダー導入には「POS+ order & pay」がおすすめ /
まとめ
モバイルオーダーは、感染症対策だけでなく、店舗における業務効率化やマーケティング施策にも活かせます。また、レジでの対面オーダーと比べて、モバイルオーダーは回転率の向上にもつながり、売上アップにも期待できます。
とはいえ、モバイルオーダーにはデメリットもある点に注意しなければなりません。モバイルオーダー導入の周知や、オペレーションの構築、初期費用・ランニングコストに関する注意点に気をつけながら運用しましょう。本記事を通して、モバイルオーダーの特徴や導入までの手順を参考にしてみてください。