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2025.02.13
経営

飲食店の適切な原価率とは?考え方や計算方法など徹底解説

飲食店を経営するうえで必ず目を向けなくてはならないものが「原価率」です。原価率は飲食店の利益そのものを左右するため、正しく理解しなければなりません。

本記事では、飲食店の経営において重要な数値である原価率について解説したうえで、適切な原価率を決めて利益を最大化するための方法も紹介します。

原価率とは

「原価率」とは、販売価格のうち原価が占める割合のことです。そして原価とは、サービスや商品を作るためにかかるコストのことをいいます。飲食店であれば、原価はフードやドリンクを作るためにかかる材料費のことを指します。

飲食店を経営するためには、必ず経費がかかります。その経費を売上から引いた金額が利益になるのです。つまり、純粋に儲けた金額である利益を増やすためには、売上を上げるだけでなく、経費を抑える必要が生じます。

原価率は、飲食店を経営するうえで重要な数値です。きちんと利益を出すためにも、原価率に注目した経営を行う必要があります。

原価率の例

原価率の例

飲食店の原価率は、一般的には30%ほどだといわれています。実際に、大手のファストフード店をはじめとする飲食チェーンを見ても、多くの店がメニューの原価率を30%前後としています。

飲食店において、看板商品となるメニューは材料費が高く、原価率が高くなる傾向にあります。たとえば、居酒屋の刺身盛り合わせなどの人気メニューは、原価率が高くても販売価格を抑えて提供し、来客数の向上につなげます。その一方で、原価率が低いメニューも組み合わせて購入してもらうことで、利益につなげているのです。

利益を生み出せるかどうかは、原価率だけが影響するわけではありません。とはいえ、原価率が高ければその分経費がかかるため、原価率が利益の確保に大きな影響を及ぼすのは間違いないといえるでしょう。

ロス率も重要

原価率を考えるときは「ロス率」についても合わせて考えなければなりません。飲食業界におけるロス率は、以下の式で算出できます。

【ロス率の計算】

ロス率(%)=ロス金額 ÷ 売上高 × 100

※「ロス金額」=食材の廃棄ロスや仕入れミスなどにより発生した金額

ロス率が上昇すると原価率も上がります。これは、お客様に提供されることなく食材が廃棄されることで、本来生み出すことができたはずの売上が得られなくなるからです。

原価率を下げることだけでなく、ロス率を下げることも飲食店の経営においては重要です。

歩留まりの把握

飲食店においての「歩留まり」とは、仕入れた食材の中で実際に料理として提供できる量や割合のことです。

たとえば、魚を1匹丸ごと仕入れても、そのすべてを料理に使えるわけではありません。骨や血合いなど、提供できない不要部分を除いて残ったものが、歩留まりです。

仕入れたときの食品の売価から利益を除いた際の材料費のことを「歩留まり原価」といいます。歩留まり原価を計算することで、食材を加工し提供することによって得られる利益をより正しく計算できるようになります。そのため、原価について考える場合は歩留まりについても知っておく必要があります。

原価率の計算方法

原価率の計算方法

原価率は、以下の計算式で算出できます。

【原価率の計算】

原価率 = 原価 ÷ 販売価格 × 100

たとえば、300円で仕入れたものを500円で販売した場合の原価率は、「300(原価)÷500(販売価格)×100=60%」となります。

この原価率の値が高いほど、利益は出しにくくなってしまいます。あまりにも原価率が高い場合は、下げるための施策も検討しなくてはなりません。

原価率が高い食べ物

飲食店の原価率は、食べ物の種類によって変わってきます。一般的に、高級食材を使用したり保存がきかなかったりするメニューは、原価率が高くなる傾向にあります。

  • 居酒屋の刺身盛り合わせ
  • ケーキ屋のソフトクリームやアイスクリーム
  • ハンバーガー店のハンバーガー

原価率が高いメニューは利益率が低くなるため、そればかり提供すると儲けにはつながりません。しかし、原価率が高いメニューは看板商品にすることで人目を引きやすく、来店客数を増やすことにつながるというメリットもあります。

原価率が低い食べ物

飲食店によっても異なりますが、一般的に以下にあげた食べ物のように、サイドメニューとして提供されるメニューは、原価率が低いものが多いです。

  • 居酒屋の冷奴
  • ケーキ屋のショートケーキ
  • ハンバーガー店のフライドポテト

原価率が低いメニューは提供することで大きな利益を得られるため、つい強く勧めてしまいがちです。しかし、原価率の低いメニューが必ずしも多くの人が好む魅力のあるものとは限りません。そのため、原価率が高いものと低いものをうまく組み合わせて、バランスの良いメニューを提供する必要があるのです。

適切な原価率の業種別目安

適切な原価率の目安

先ほど説明したとおり、一般的に飲食店の適切な原価率は、30%前後とされています。これは、人件費や光熱費などの経費と利益のバランスを考えて算出された目安です。しかし、飲食店の種類や業態などによっても適切な原価率は大きく異なります。

適切な原価率を設定するためには「FLコスト」を考えることが大切です。FLコストとは、フードコストである原価とレイバーコストである人件費のふたつを合わせて考えるものです。人件費を安く抑えられる業態で営業しているのであれば、その分材料にお金をかけられるという考え方です。

FLコストは55〜60%ほどを目安とするのが良いとされています。原価率を設定する際には、FLコストも算出してみましょう。

また、次の業種別に適切な原価率の目安を解説します。

  • ラーメン店
  • カフェ
  • 居酒屋
  • デリバリー専門店

自身の業態と合わせて参考にしてみてください。

関連記事飲食店のFLコストとは?FL利率や営業利益率、エクセルの管理方法も解説!

ラーメン店

ラーメン店の適切な原価率は、一般的に30%~35%が目安です。例えば1,000円のラーメンであれば、原価は約350円となり、材料には麺、チャーシュー、メンマなどの具材に加え、スープの材料費も含まれます。

特にスープは原価率に大きな影響を与える要素です。豚骨や鶏ガラなど、単一の食材でベースを作る場合は比較的原価を抑えられますが、魚介系や複数の食材を組み合わせたスープでは、見た目以上に原価がかさむことがあります。 店舗の収益性を確保するには、メニュー全体での原価率バランスを考慮することが重要です。チャーハンや餃子などサイドメニューは原価率をある程度に抑えることで、主力商品のラーメンの原価率を相殺し、店舗全体での適正な原価率を維持できます。

カフェ

カフェの適切な原価率は、店舗の営業スタイルやコンセプトによって大きく異なります。テイクアウトメインで定番メニューに絞って営業する場合と、豊富なフードメニューやドリンクを提供してレストランに近い営業をする場合では、目指すべき原価率が変わってくるでしょう。

回転率の高い店舗では、主力メニューの原価率が30%をやや超えていても、効率的な運営と人気メニューの組み合わせによって十分な採算を確保できます。一方、ゆったりとした空間を提供し、家具やインテリアにこだわるような高級志向のカフェでは、価格設定を高めに設定することで、原価率を20%程度に抑えることも可能です。 高級志向の店舗では、空間の質や雰囲気自体が付加価値となるため、お客様も価格に見合った満足感を得られます。カフェの原価率は一概に「これが正解」とは言えず、店舗の立地、客層、提供する価値、回転率などを総合的に考慮して決定しなければなりません。

居酒屋

居酒屋の適切な原価率は、一般的に25~40%の範囲に収めることが理想です。アルコール類やソフトドリンクは利益率が高く、収益の重要な柱の1つです。例えばビールやハイボールは原価率が20%前後と低めに抑えられ、かつ回転率も高いため、店舗の収益に大きく貢献します。

おつまみ系のメニューも、効率的な仕入れと調理方法により、原価率を20~30%程度に抑えられます。一方、主力商品となる料理は、お肉や魚、野菜など多様な食材を使用するため、メニューによって原価率が変動する部門です。

主力商品は、やや原価率が高くなる傾向にありますが、価格を抑えめに設定することでお客様を呼び込む集客アイテムとして活用できます。 居酒屋では高利益率のドリンクと、原価率の異なる多様な料理をバランスよく組み合わせることで、店舗全体の収益性を確保しています。

デリバリー専門店

デリバリー専門店の適切な原価率は、一般的に20~25%程度が目安です。通常の飲食店と比べてやや低めの設定となっていますが、その理由はデリバリーサービス会社に支払う手数料が、一般的に売上の約35%を占めるためです。

高額な手数料に対応するため、店舗ではさまざまな工夫が必要となるでしょう。店内飲食価格より若干高めの価格設定にしたり、サイドメニューの品数を増やして客単価を上げたりすることで、FL比率を45%程度に抑える必要があります。 通常の飲食店ではFL比率60%程度でも運営可能ですが、デリバリー専門店の場合、その水準では配送手数料が加算されることで赤字のリスクが高まります。そのため、原価管理と効率的な人員配置による人件費の抑制が、収益確保の重要なポイントです。

原価率を抑えるには

飲食店の経営において、毎月発生する家賃や光熱費、また人件費などは下げることが難しい経費です。一方、食材の原価率は努力次第で抑えられる可能性があります。

原価率を抑える方法として、いくつか考えられることがあります。以下の方法を実践してみましょう。

  • 食材のロスを減らす
  • 使用する食材量を守る
  • メニュー単価を見直す
  • 適切な在庫を保つ
  • 利益率の高い商品を考える

食材のロスを減らす

食材ロスを減らすために、仕入れる食材の量や種類を見直してみましょう。メニューに使う食材の種類を減らすことができれば、その分ひとつの食材を多く使用するようになるため、余りにくくなります。

また、どうしても仕入れなければならない食材のロス頻度が高い場合には、その食材を使用した新メニューを開発するのがおすすめです。その結果、食材の使用頻度が増え、ロスが出にくくなります。

使用する食材量を守る

メニューに使用する食材量を守ることも、原価率を下げることにつながります。すべてのメニューで使用する食材の量をきちんと決めてそれを守ることで、無駄遣いを減らすことが可能です。飲食店において、決められた分量よりも多く食事を提供するポーションオーバーは、原価率の上昇につながってしまいます。

メニュー単価を見直す

メニュー単価を見直す

メニューの価格は、単品ではなく全体で考えることが大切です。飲食店の原価率の目安が30%だからとすべてのメニューの原価率を30%に設定しても、経営はうまくいきません。「原価率は高いけど、お客様に満足してもらえる看板メニュー」と、「原価率が低く、看板商品とセットで注文してもらいたいメニュー」を分けて考えましょう。

さらに、「原価率を抑えつつ満足してもらえるメニュー」を開発することができれば、より利益を出しやすくなります。

適切な在庫を保つ

飲食店を経営する場合、食材ロスの問題は避けて通れません。ロスを完全になくすことは不可能なので、在庫管理をきちんと行いできる限りロスを出さないよう工夫する必要があります。

まずは定期的に棚卸しを行うことで、今ある食材の量を把握してみましょう。そして、売上を予測しながら仕入れる量を調整すると、ロスを減らすことができます。

利益率の高い商品を考える

利益率の高い商品を開発し、それを売れ筋商品に育てることは、店舗全体の原価率改善に大きく貢献します。新規メニューの開発は時間と労力がかかりますが、既存メニューをベースに改良を加えることで、効率的な商品開発が可能です。

例えば、人気メニューを利益率の高いドリンクとセット化することで、ドリンクの注文率を上げられます。また、既存の料理に低コストで見栄えの良いトッピングを追加し、価格を適度に上げることで、利益率を改善できるでしょう。 さらに、利益率の高い商品を目立つ位置に配置したり、写真や説明文を魅力的にしたりすることで、お客様の注文を自然に誘導できます。商品開発とメニュー演出を組み合わせることで、効果的な原価率の改善が実現できます。

飲食店の原価率を見直す際の注意点

飲食店の原価率を見直す際は、次の点に注意する必要があります。

  • 個々のメニューではなく店舗全体で考える
  • 品質を保つ
  • 材料費以外に削減できるポイントがないか考える

個々のメニューだけでなく、店舗全体での平均原価率を重視することが重要です。特に人気商品については、たとえ原価率が高めであっても、安易な変更は避けるべきです。人気メニューは集客の要となっており、その魅力を損なうことは店舗全体の売上に影響を与える可能性があります。

また、原価率の改善を図る際は、お客様に改善内容を感じさせないよう細心の注意が必要です。単なる量の削減や品質の低下は、長期的には客離れを招く危険性があります。原価率の見直しだけでなく、光熱費の節約や消耗品費の効率化など、その他の経費削減にも同時に取り組むことで、総合的な収益改善を図ることが望ましいでしょう。

コスト削減による利益最大化をめざすならPOSレジ導入がおすすめ

人件費の高騰や人手不足といった課題を抱える飲食店が増えているなかで、POSレジ導入はさまざまな問題解決につながります。また、従来のレジよりも機能性が豊富で、セルフオーダーやモバイルオーダーを取り入れることでマーケティング施策の強化やレジ業務におけるミスの防止といったメリットも多くあります。
近年ではPOSレジ導入により、コスト削減だけでなく人材不足の解消と売上向上している飲食店も増加していることもあり、導入の検討もしてみましょう。

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まとめ

飲食店経営において知っておきたい原価率について解説しました。原価率を理解し正しく算出することは、効率的に利益を得るための戦略設計につながります。

また、原価率の適切な改善方法を取ることで、経費を抑えて利益を大きくすることが可能です。できることから取り入れて、原価率を抑えていきましょう。

関連記事仕入れ原価と売上原価の違いとは?計算方法など詳しく解説

よくある質問

適切な原価率の目安があれば教えて下さい。

一般的に飲食店の適切な原価率は30%前後とされています。これは人件費や光熱費などの経費と利益のバランスを考えて算出された目安です。しかし、飲食店の種類や業態などによっても適切な原価率は大きく異なりますのでFLコストも意識しましょう。

原価率を抑えるためにできることがあれば教えてください。

飲食店の経営において、毎月発生する家賃や光熱費、また人件費などは下げることが難しい経費です。一方、食材の原価率は「食材のロスを減らす」「使用する食材量を守る」「メニュー単価を見直す」「適切な在庫を保つ」など努力次第で抑えられる可能性があります。

原価率で30パーセントが良いとされるのはなぜ?

飲食店において原価率30%が目安とされる理由は、適切な利益確保と持続可能な経営のバランスが確保できるポイントのためです。
一般的な飲食店では、原価の他に人件費が約30%、家賃や水道光熱費などの固定費が約30%を占めます。原価率を30%程度に設定することで、売上から各種経費を差し引いた後に、約10%の営業利益を確保できます。
10%の利益率があれば、設備投資や不測の事態への備え、また経営者の収入も確保でき、安定した店舗運営が可能です。

飲食店の粗利率の目安は?

飲食店の粗利率の一般的な目安は65~70%とされています。これは原価率30~35%の裏返しです。
一方で、業態によって適正な粗利率は異なります。例えば、高級料理店では70~75%と高めに設定され、一方でファストフード店では60~65%とやや低めになることもあるでしょう。また、居酒屋ではドリンク類で80%前後の高い粗利率を確保し、主力料理では60%程度と、メニューによって粗利率に差をつけることで、全体の収益バランスを取っています。
詳しくは「適切な原価率の業種別目安」を参考にしてみてください。

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