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2024.09.26
機能 経営

RFM分析とは?デシル分析との違いやエクセルの活用方法を解説

自社・自店舗の売上向上を考えると、適切なマーケティングは欠かせません。マーケティングの手法は複数ありますが、販売促進活動に役立てるために顧客を分析するアプローチがRFM分析です。

ここでは、RFM分析とは何か、その他の分析の方法との違いや利用方法について説明するとともに、分析の事例を紹介します。

RFM分析とは

RFM分析とは、Recency(最近の購入日)、Frequency(来店頻度)、Monetary(購入金額ボリューム)の3つの指標で顧客をグループに分けランク付けを行う分析方法です。R・F・M3つの項目すべてで高いスコアを持つ顧客グループは企業・店舗の優良顧客といえるでしょう。一方で、それぞれの数値が低い顧客グループは、販売促進活動が届きづらい顧客とえいます。

RFM分析の目的は、LVT(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化にあります。LVTは、顧客が自社・自店舗の商品やサービスに興味を持ち接触した時点から、顧客とのつながりがなくなるまでに得られる利益のことです。

RFM分析で顧客をランク付けし、適切な販売促進活動を行うことでLVTを最大限に高めることで、自社・自店舗の利益が向上します。

RFM分析の要素

RFM3つの要素について具体的に説明します。

  • Recency(リセンシー):最新購買日
  • Frequency(フリークエンシー):購買頻度
  • Monetary(マネタリー):購買金額

Recencyは、顧客が購買した直近日を調べ指標とします。Frequencyは、どれだけ購入をしているのか、Monetaryでは購入金額の合計額を割り出します。

Recency(リセンシー):最新購買日

Recencyでは、各顧客の最新購買日を調べ、最近購入している顧客をスコアの高い顧客とみなします。数年前にはよく購買していた顧客でも、最近購入していない顧客はスコアの低いグループに分類されます。

Frequency(フリークエンシー):購買頻度

Frequencyでは、購買頻度が高い顧客に高いスコアを付けます。顧客ごとの購買回数を調べリスト化し、回数の多い順に並べるともっともFrequencyのスコアが高い顧客が分かります。

購入頻度が高い顧客は、優良なリピーターです。もし、購入頻度の少ない顧客が多いのなら、リピート率が低い、つまりは顧客満足度が低く、適切なサービス・商品を提供できていない可能性があります。

Monetary(マネタリー):購買金額

Monetaryでは、顧客それぞれのこれまでの購買金額の合計額を算出し、合計額の高い顧客をスコアの高い顧客とみなします。購買金額の合計額が高い順に顧客を並べ、リストの上にくる顧客が優良顧客ということです。

デシル分析との違い

RFMと同じく顧客を分析して販売促進活動に役立てるものに、デシル分析があります。デシル分析は、全顧客の購買履歴データを用いて、購入金額の高い順に顧客を10のランクに分け、それぞれのランクの購入比率や売り上げ構成比率を分析する手法を指します。

このデシル分析を行うことで、優良顧客を把握するとともに、効率的に売り上げを伸ばせられる優良顧客層に向けたマーケティング施策を行うことができます。

なお、RFM分析とは異なり、デシル分析には「直近の購買日」という概念が入っていません。そのため、デシル分析では過去に一度だけ高額の商品を購買した顧客と、小額の商品を複数回購買した顧客が同じグループに属してしまうことがあります。

【例】
・顧客A:3年前に20万円の商品を購入
・顧客B:週に1度5,000円の商品を購入、これまでに40回購入している

・デシル分析:購買金額が同額なので顧客AとBは同じグループに属する
・RFM分析:購買金額が同じでも、顧客BはRが高いため顧客AとBのランクは異なる

このようにRFM分析では、より詳細に顧客をセグメントし、効率的な販売促進活動を行えます。

関連記事:デシル分析とは?エクセルを使った分析方法について解説

ABC分析との違い

有名な分析方法にABC分析があります。ABC分析は、重視するポイントを絞り、優先度を決めていく手法です。

ABC分析を顧客管理に用いることで、売上に貢献している顧客、そうではない顧客、どちらともいえない顧客の3つのグループに分け管理できます。売上に貢献している顧客グループを重要視して販売促進活動を立案することが可能です。

関連記事:店舗売上の分析方法とは?売上向上に役立つ施策も紹介!

エクセルを活用したRFM分析方法

RFM分析は、エクセルでも行えます。ここからは、エクセルを活用したRFM分析の方法について紹介します。

  1. 最終購入日、購入件数、累積購入金額を顧客ごとに集計
  2. RFMそれぞれのランクを割り当て
  3. RFMそれぞれの構成を分析

エクセルでRFM分析を行う際は、関数を用いながら顧客データを入力・集計し、ランクを割り当てたのちにランクそれぞれの顧客構成を分析します。

1.最終購入日、購入件数、累積購入金額を顧客ごとに集計

エクセルに事前に入力している顧客データがあれば、それを用いて最終購入日、購入件数、累積購入金額を顧客ごとに集計できます。エクセルの顧客データがない場合は、顧客IDを振り当てて、これまでの購買日、購買個数、購買金額を一つずつ入力していきましょう。

エクセルの顧客データからRFMそれぞれを集計する際は、ピポットテーブルを使用します。

  1. 元データをすべて選択し、エクセルの「挿入」タブにあるピポットテーブルをクリックします。
  2. ピポットテーブルで行ラベルに顧客IDを、値に注文日、注文件数、合計注文金額を選択すると顧客IDごとにデータが一覧で表示されます。
  3. 完成したピポットテーブルをすべて選択+コピーして、新規シートにペーストしてください。

2.RFMそれぞれのランクを割り当て

R・F・Mそれぞれのランクを割り当てるために、まずはRを計算します。

  1. 顧客データの最終注文日の右に一列挿入して、「最終注文日からの経過日数」ラベルを作ります。
  2. 最終購入日からの経過日数(R)を自動で計算するために、計算のもとになる日付、基準日を決めましょう。
  3. 最終購入日からの経過のセルに、「=$l$1(基準日のセル)-B2(最終注文日数からの経過日)」を入力して計算します。
  4. 最後の行まで計算式をコピーすれば、すべての最終注文日からの経過日数が計算されます。

3.RFMそれぞれの構成を分析

表計算が完成したら、ランクを定義しましょう。

ランクR
最終購入日からの経過日数
F
購入頻度
M
累積購入金額
345日以内5回以上25000円以上
255日以内3回以上15000円以上
160日以上1回のみ5000円未満

1.データを見ながら項目ごとに、3~5つのランクを作りグループ分けをします。

2.各定義のセルを右クリックして、セルの書式設定からユーザー定義を選択した後、種類ボックスに「0日“以内”」「0円“以上”」など入力します。

3.顧客データの右端にR・F・Mそれぞれの列を挿入し、IF関数を用いてランクを割り振ります。ランクづけが終われば、顧客の購入間隔と頻度を把握できるようになります。
まずはRのランク分けを行うために、今回のランク定義の数値を用いた数式を入力します。

「= IF (C2 >= 55, 1, IF(C2 >= 45, 2, IF(C2 >= 1, 3)))」
     ↑   ↑  ↑      ↑  ↑      ↑ ↑  
経過日数のセル  日数 ランク    日数 ランク    日数 ランク

この計算式によって、数値55以上なら1を、数値45~54なら2を、数値44~1なら3を自動で表示できるようになります。

FとMについても、上の関数を応用してあてはめ、ランク分けを行います。

  1. これだけでも顧客の状況は把握できますが、顧客全体の傾向を見るためにRとFの状況をかけあわせて分析する「クロス集計」が効果的です。
    再びピポットテーブルを用いて、行ラベルにR、列ラベルにF、値に集計方法「データの個数」を選択した顧客IDを入れると、ランク別の顧客数が表示され、クロス集計が完了します。クロス集計により、FとRのランクを組み合わせて、顧客の種類を常連客、リピーター、新規顧客、離反予備軍、離反優良顧客、離反客のように分析することが可能になり、より深い分析が可能になります。

【クロス集計後の分析の例】

 F:購入頻度F:購入頻度F:購入頻度
321
R:最終購入日からの経過日数3常連リピーター新規
R:最終購入日からの経過日数2離反予備軍離反予備軍
R:最終購入日からの経過日数1離反優良顧客離反

RFM分析には限界がある

顧客を分析できるRFM分析には限界があります。RFM分析は、優良顧客、新規顧客、離反顧客を可視化できますが、あくまでも「ある時点での顧客分析」です。分析を行う時期が変われば、以前に行った分析結果を継続して活用することはできません。以前の分析時点では非優良顧客だった顧客が、数年後には優良顧客になることもあるのです。

また、RFM分析では、購入時期や購入金額のみで顧客をランク付けするため、何を買ったのかまでは分かりません。顧客がいつ何を購入しているのかを把握するためには、さらに細かな購買データを確認する必要があります。

RFM分析は応用できる

RFM分析を応用して、さらに顧客を詳細に分析してみましょう。

  • RFMC分析:カテゴリー(顧客属性)の追加
  • MRFI分析:アイテム(購入商品)の追加
  • RFM-D分析:商圏(顧客住居までの距離)の追加

RFM分析の弱点を補完できる応用方法があります。RFMにCategoryを組み合わせたRFMC分析、Itemを組み合わせたMRFI分析、Distanceを組み合わせたRFM-D分析も試してみましょう。

RFMC分析:カテゴリー(顧客属性)の追加

RFM分析にCategoryを追加して、顧客属性まで分析するのがRFMC分析です。顧客の性別や年齢などのCategoryを加えることで、自社・自店舗の商品やサービスがどの層に人気があるのかが分かります。

MRFI分析:アイテム(購入商品)の追加

RFM分析にItemを追加して、MRFI分析を行い、どの商品がどの顧客に購入されているのか、あるいは購入されていないのかを可視化しましょう。

MRFI分析を行うと、顧客のニーズをつかんでより効率的な販売促進活動が行えます。

RFM-D分析:商圏(顧客住居までの距離)の追加

さらに、商圏(エリア情報)も組み合わせてみましょう。RFM-D分析を行うことで、各エリアでの自社・自店舗のニーズがクリアになり、商圏ごとに異なるニーズに合わせてマーケティング施策を行えるようになります。

効率的な顧客データの収集方法とは

これら顧客分析には、詳細な顧客データが欠かせません。より詳細な顧客データを効率的に収集するために、POSレジの有効活用がおすすめです。

POSレジは、会計と同時にその時点で得られる情報を収集し記録してくれます。どの顧客がいつ、どこで、どんな商品を購入したのかなども、POSレジに記録されたデータを見ればわかります。

POSレジを活用することで、顧客管理・会員管理に加え、独自ポイントの管理や売上管理、商品管理、在庫管理も可能となります。マーケティングに活用できる各種データを効率的に収集できるPOSレジを導入して、自社・自店舗の利益の最大化を目指してみてはいかがでしょうか。
関連記事POSレジとは? POSシステムとの違いや 導入することで得られるメリットを解説

売上・データ管理を効率化する「POS+(ポスタス)」

店舗の売上を伸ばすためにはデータ分析が欠かせません。とはいえ、販売データや顧客データを自分でパソコンに入力して管理するのは大変な労力を必要とします。店舗の売上管理を効率化するツールを活用して、手間なく売上アップを目指しましょう。

POS+(ポスタス)では、顧客が何をオーダーして、客単価はいくらだったのかなど、売上に関するデータが決済と同時にクラウドに蓄積されていきます。このレストランでは、いつでもどこでもリアルタイムで売上データを確認できる点や、低コストでPOSレジを運用できる点にメリットを感じているといいます。

今何が売れているのか、自店舗の弱みや強みもデータからすぐに読み取れます。さらに、「POS+ food(ポスタスフード)」の利用で、ABC分析がボタン一つでできるようになり、スタッフとのデータの共有も簡単になります。

まとめ

本記事ではRFM分析とは何か、その他の分析の方法との違いや利用方法について説明するとともに、分析の事例を紹介しました。これら顧客分析には、詳細な顧客データが欠かせません。より詳細な顧客データを効率的に収集するために、POSレジの有効活用も選択肢として検討してみましょう。

よくある質問

RFM分析とは何ですか?

RFM分析とは、Recency(最近の購入日)、Frequency(来店頻度)、Monetary(購入金額ボリューム)の3つの指標で顧客をグループに分けランク付けを行う分析方法です。RFM分析で顧客をランク付けし、適切な販売促進活動を行うことでLVTを最大限に高めることで、自社・自店舗の利益が向上します。

RFM分析とデジル分析の違いを教えてください。

デシル分析は、全顧客の購買履歴データを用いて、購入金額の高い順に顧客を10のランクに分け、それぞれのランクの購入比率や売り上げ構成比率を分析する手法を指します。、RFM分析とは異なり、デシル分析には「直近の購買日」という概念が入っていません。そのため、デシル分析では過去に一度だけ高額の商品を購買した顧客と、小額の商品を複数回購買した顧客が同じグループに属してしまうことがあります。

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