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2021.04.07
経営

ドミナント戦略とは?メリット・デメリット、戦略の限界について解説

コンビニエンスストアなどチェーン展開をする店舗が、ある一定の地域に集中して出店しているのを見て、「近くにすでにあるのだから、違う場所にしたらいいのに」と疑問に思うことはありませんか? これは「ドミナント戦略」と呼ばれる方法で、あえて近隣に出店することで利益を獲得するための作戦なのです。

こちらでは、ドミナント戦略のメリット・デメリットなどを中心に、具体的な事例を挙げて詳しく解説します。

ドミナント戦略とは

ドミナント戦略とは、チェーンストアが一定のエリアに集中して出店する作戦のことです。「ドミナント(dominant)」は、英語で「優勢である」「支配的な」という意味で、その地域を集中的に埋め尽くすような出店スタイルを表すのに相応しい言葉といえるでしょう。

ドミナント戦略はコンビニチェーンが多く取り入れている手法で、特にセブンイレブンでは積極的に採用しています。このような出店方法は、特定地域における顧客シェアを独占し、競合他社の入り込む余地を無くすといった目的で行われます。しかしその一方で、同じチェーングループの店舗同士で売上の奪い合いが起こる可能性もあり、一長一短ともいえるでしょう。

ドミナント戦略の問題点や解決策については、後項の「ドミナント戦略の限界」にて詳しく述べていますので、ご一読ください。

ドミナント戦略の事例

ドミナント戦略の事例

実際にドミナント戦略を実行している事例として、次の二つのブランド企業を紹介します。

  • セブンイレブン
  • スターバックスコーヒー

セブンイレブン

日本各地に2万店を超すコンビニエンスストアを出店している大手チェーン「セブンイレブン」は、全国的にドミナント戦略を展開しており、国内ドミナントの最初の成功事例といっていいでしょう。

セブンイレブがあえて近隣に出店する理由には、顧客の囲い込みに加え、物流の効率化があります。

コンビニチェーンという事業形態は、おにぎりやお弁当などの補充が一日に何度も必要になるため、店舗同士が近くにあればあるほど、物流効率はアップします。セブンイレブンは一日平均9回という多頻度配送によって「鮮度のよい商品がいつでも店舗に並んでいる」という強みを獲得。競合との差別化につなげているのです。

さらに、フランチャイズ店舗を管理・指導するために、本部から派遣されたエリアマネージャーがお店を回ることも多く、その点でも店舗近接は有利に作用します。

セブンイレブン本部の公式サイトでは、ドミナント戦略を経営の要として掲げ、今後も店舗ごとに商圏を隣接させながらマーケットを広げていく、と明示。下記の要素をその理由として挙げています。

  • チェーン店の認知度アップ
  • 来店頻度の増加
  • 物流効率の向上
  • 加盟店への経営アドバイスのしやすさ
  • 広告効率の向上

スターバックスコーヒー

「スターバックスコーヒー」は、全世界に2万店舗以上のコーヒーショップを展開する一大カフェチェーンです。その始まりは米国シアトルでの一軒の小さなカフェでしたが、創業当初から人口70万人のシアトル市内でドミナント戦略を展開。いまでは同市内で100店舗超が営業中です。

日本国内でも、繁華街を歩いていると、スターバックスのグリーンのロゴを何度も見かけることがよくあります。実際に新宿区には30店舗ほどの店舗が集中的に出店しており、国内随一のドミナント戦略地域として知られています。

カフェチェーンがドミナント戦略によって得られるメリットには、お店のロゴ等の認知度を高めることのほかに、顧客の囲い込みを効率的に行える点があります。店内が混んでいて座れない場合も、「すぐ近くの別のスタバがある」と思い出してもらい、チェーン全体の売上を確保できるというわけです。

もちろん、セブンイレブンと同様に、店舗間の食材輸送の効率化や、スーパーバイザーの店舗訪問時の時短なども、ドミナント展開の大きなメリットになっています。

ドミナント戦略のメリット

ドミナント戦略のメリット

上記の事例からもうかがえるドミナント戦略のメリットを、下記の4つの観点からあらためて見ていきましょう。

  • 特定地域における認知度の向上
  • 配送効率の向上
  • 競合他社が参入しづらい
  • エリアマーケティングの最適化

特定地域における認知度の向上

一定地域にチェーンブランドの店舗を集中的に出店することにより、その地域でのストアの認知度が格段に高まります。全国的に見ればまだまだ知名度が低いチェーンストアでも、限定したエリアに連続して出店することで、その場所での認知度ナンバーワンも獲得できるでしょう。

配送効率の向上

チェーン店舗同士が極端に離れた場所に散らばっている場合、商品や資材の配送には多くのコストがかかります。

そこで、ドミナント戦略によって一定地域に店舗を集中させると、配送効率は一気に上がることに。配送センターから店舗、そして店舗間ごとの距離が近くなることで、短時間ですばやく配送ができるようになり、鮮度の良い商品を常に店頭に並べられるというメリットが生まれます。

競合他社が参入しづらい

あるチェーン店がすでにドミナント戦略をしかけているエリアは、集客力やブランド力において独占状態となっている場合が多く、競合他社は後から参入するのが非常に難しくなります。このように、競合他社を寄せ付けず、利益を自社で総取りできるのも、ドミナント戦略を行う上での大きな利点となります。

エリアマーケティングの最適化

ドミナント戦略によって、エリアごとの事情に沿った、最適なマーケティング活動ができるようになります。

一口に日本国内といっても、地域によって人口年齢や需要は大きく異なるため、全国共通の宣伝広告を打っても響かない、ということは珍しくありません。しかし、特定地域に集中した出店戦略を取っていれば、広告宣伝の内容を地域の特性に応じてカスタマイズできるようになります。

店舗ごとに宣伝内容を変えるのでは大きな負担になりますが、特定の地域ごとの変更であれば、手間も費用も最小限に抑えることができるでしょう。

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ドミナント戦略のデメリット

一方、ドミナント戦略には下記のような懸念点も存在します。

  • カニバリゼーションが起こる
  • 地域環境の変化の影響を受ける
  • 出店地域の拡大が難しい

カニバリゼーションが起こる

ドミナント戦略には、近隣の店舗同士で顧客を奪い合う「カニバリゼーション(共食い)」が起こることが懸念されます。

自社の店舗同士で競い合わせ、お互いにサービスの質や接客レベルを向上させることは大きなメリットにもなりますが、競争が第一の目的となってしまっては本末転倒です。ドミナント戦略を用いて戦う相手はあくまでも「競合他社」であるため、自店舗同士の過剰な競争は避けるべきです。

地域環境の変化の影響を受ける

特定の地域に多くの店舗を抱えている場合、出店地域の環境の変化によって、甚大な打撃を被る可能性も考えられます。

人口の自然減少に加え、突発的な自然災害や大きな事故・事件の発生などによって客足が遠のいてしまうことは、決して無視できないリスクです。従来の市場規模に合わせて大量出店していた場合、見込んでいた売上が入らなくなるばかりか、店舗の維持に多くのコストがかかり、企業経営へのダメージも危惧されます。

出店地域の拡大が難しい

ある地域にだけ限定して出店し、「他は捨てる」といった大胆な手法であるドミナント戦略は、新しい地域に進出する際に情報や資金が不足し、出店が難しくなるケースもあります。

“広く浅く”の出店計画を実行している企業は、広範なエリアの情報や人材をまんべんなく持っているため、どこに出店しても問題はありません。一方、ドミナント戦略に依存して成長してきた企業は、新規エリアの開発力に乏しく、事業が頭打ちになってしまうというリスクも孕んでいるのです。

ドミナント戦略の限界

ドミナント戦略の限界

日本のドミナント戦略の先駆けともいえる「セブンイレブン」ですが、近年その勢いに陰りが見えています。2019年下期以降、全国のセブンイレブンを1,000店舗閉店・移転するという計画を発表し、以降は新規出店にもブレーキがかかりはじめています。

この背景には、ドミナント戦略によって増えすぎた近隣のセブンイレブン同士で売上の奪い合いが生じ、フランチャイズオーナーが疲弊しきっているという事実があるといわれています。

「選ばれるお店にならなければ」というプレッシャーから、イートインスペースを増設したり、店舗清掃回数を過度に増やしたりしたことで、従業員が受け持つ仕事も比例して増加。職場からはアルバイトが消え、結果としてオーナーにかかる負担が膨大になっているのです。

一方、同じくドミナント戦略を展開する「スターバックスコーヒー」の方では、こうした問題は起きていません。この差は、フランチャイズと直営店という経営方式の違いから生まれているとされています。

フランチャイズチェーンであるセブンイレブンは、各店舗の経営は完全にオーナーに依存しているため、一度出店すると簡単には撤退できません。しかしスターバックスは、大半の店舗が直営店であり、採算が合わなければ即時撤退・移転することが容易です。

ドミナント戦略を検討する際は、こうした事実を顧みて、自店の経営スタイルがドミナントに相応しいかを判断しなければなりません。

ランチェスター戦略の有効性

ドミナント戦略のほかに、中小企業や資本の少ない企業が競合と戦うための手法として「ランチェスター戦略」が注目を集めています。ランチェスター戦略とは、特定の地域や商品カテゴリーで圧倒的なトップシェアを狙うもので、商圏に固執せず、特定ジャンルのみに特化してマーケット戦略を練ることが特徴です。

これは、例えば「シュークリームの販売数だけは負けない洋菓子店になる」といったように、限られた経営資源の中小企業でも、ある市場で独占的な地位を獲得するための考え方です。ライバル企業がほとんどいないニッチな市場を狙うのが肝となり、自社の現状で勝機があるところを探し当て、経営資源を集中的に投下します。

ランチェスター戦略では、狙うべき商品カテゴリーの絞り込みが重要になります。こうした正しい販売戦略を立てるためには、POSレジデータの有効活用は欠かせないものになるでしょう。

POSレジによって集約されるデータは多種多様であり、販売日時や個数はもちろんのこと、曜日ごと、月ごと、季節ごとの売上推移まで追うことができます。それらのデータを活用し、いつ何がどんな年齢・性別の顧客に売れているのかを把握することで、ランチェスター戦略を定量的な根拠をもって進められるようになるでしょう。

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まとめ

ドミナント戦略は、成功すれば大きな利益を生み出すことができる経営手法ですが、メリット・デメリットの両極が存在するため、慎重に取り組む必要があります。

また、近年では、ドミナント戦略に代わって、特定の商品カテゴリーに絞ったランチェスター戦略も注目されてきています。貴店にとって有用な戦略をぜひ見極めてみてください。

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