コミュニケーションツールとして日常的に使われている「LINE」にも、キャッシュレスサービス「LINE Pay」が付帯しています。LINE Payは、スマートフォンの専用アプリから簡単に決済が行えるため、利用者にとって利便性の高い決済方法です。
そこで、今回の記事ではLINE Payの特徴や、決済手数料、導入のメリットについて解説していきます。また、LINE Pay導入時のデメリット・注意点、さらには導入方法もまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
LINE Payとは?
LINE Payとは、日本国内や世界各国で使われているコミュニケーションツールから派生したキャッシュレスサービスです。アプリ上に表示されたQRコードを読み取るだけで、現金を取り出すことなく支払いが済ませられます。
日本国内はもちろんのこと、東アジアや東南アジア諸国でも主要なキャッシュレスサービスとして知られており、世界で6,000万人以上のユーザーがいるといわれています。また日本国内では、スーパーマーケットやコンビニ、飲食店といったさまざまな店舗で対応しており、利便性の高いキャッシュレスサービスの一つです。
LINE Payの決済方法と手数料一覧
LINE Payは、さまざまな方法で決済が可能な一方で、決済方法ごとに手数料が異なる点に注意しましょう。下記の通り、各決済方法における特徴と手数料を一覧でご紹介します。
- LINE Pay専用据置端末
- LINE Pay店舗用アプリ
- Star Pay
- Web決済
- プリントQR
LINE Pay専用据置端末
LINE Pay専用据置端末は、初期費用無料で導入可能なLINE Pay専用端末です。月額1,650円(税込)の利用料が発生しますが、専用アプリの導入やPOSシステムとの連携などが不要なほか、インターネット通信環境を構築する必要がありません。LINE Pay専用据置端末が届いてから、すぐに店舗で利用できます。
なお、LINE Pay専用据置端末で決済した分について、決済手数料は2.45%(2021年7月31日から手数料変更)が発生します。
決済方法も簡単で、従業員が価格を入力すると、QRコードが表示されます。次に、お客様が表示されたQRコードを読み取るとそのまま決済が完了となります。
LINE Pay店舗用アプリ
LINE Pay店舗用アプリは、初期費用・月額利用料ともに無料で利用可能な決済方法です。決済手数料は2021年7月まで無料でしたが、現在は2.45%に設定されています。
LINE Pay店舗用アプリでの決済方法は、専用アプリをインストールして登録を済ませるだけで使用できます。導入方法も難しくなく、小規模・中規模の店舗におすすめです。
Star Pay
Star Payは、株式会社ネットスターズが提供するマルチ決済端末で、QRコードを読み取ることで決済が可能となります。LINE Payの決済を行うと、Star Payの専用端末からレシートが発行されるので、別途レシートプリンターを購入する必要がありません。
なお、決済端末の導入費用は38,500円(税込)で、月額利用料は無料です。LINE Payの決済手数料は3.45%に設定されており、前述したLINE専用据置端末と店舗用アプリの2.45%と比較すると、手数料が高めである点に注意が必要です。
Web決済
Web決済は、オンライン上での支払いにLINE Payを使った決済方法です。初期費用・月額利用料ともに無料で、オンライン決済を行えます。
なお、Web決済時の手数料は、物販やサービス購入における決済手数料は3.45%、デジタルコンテンツの購入は5.5%です。
プリントQR
プリントQRとは、LINE Pay専用のQRコードを店舗に設置し、お客様にスマートフォンで読み取ってもらう決済方法です。ユーザースキャン方式とも呼ばれており、お客様側でQRコードを読み取らなければなりません。
店舗側ではQRコードを設置すればよいため、初期費用は発生しません。また、プリントQRによる決済手数料は、LINE Pay専用据置端末や専用アプリと同じく、2.45%となっています。
事業者がLINE Payを導入するメリット
LINE Payはさまざまな決済方法に対応しており、店舗でも導入しやすいキャッシュレスサービスです。そこで、実際にLINE Payを導入するにあたって、どのようなメリットがあるのかを確認しましょう。
国内9,000万人を超えるユーザーとの接点が持てる
LINE Payを導入することによるメリットとして、日本国内で9,000万人を超えるユーザーと接点が持てる点が挙げられます。2024年現在、日本国内のLINEユーザーは9,000万人を超えており、世代を問わずに集客が可能となります。
主にコミュニケーションツールとして利用する方が多いものの、最近ではLINE VOOMをはじめ、企業とユーザーが接点を持てる機能が搭載されるようになりました。企業側でキャンペーンや情報発信を行い、積極的にユーザーと接点を持つことで、店舗・ネットショップへの誘導が狙えます。
レジ業務の負担軽減につながる
2つ目のメリットは、レジ業務全般の負担軽減につながることです。従来の現金決済では、従業員とお客様間でお金の受け渡しが発生していたため、レジ業務において負担がかかっていました。
一方で、LINE Payによる決済方法を取り入れれば、従業員とお客様の間で現金の受け渡しが必要なく、QRコードを読み取るだけで決済が完了します。レジ業務の効率化につながるだけでなく、お客様がレジ前で待つ時間が短縮され、満足度の向上にも生かせます。
決済機会の損失が防ぎやすい
店舗側にとっては、決済機会の損失が防ぎやすいこともメリットになります。キャッシュレスサービスが普及している中で、現金を最小限しか持たない消費者も増えています。
仮にキャッシュレスサービスを店舗に導入していないと、上記のような現金を持たない消費者の集客が難しくなり、決済機会の損失が発生します。もちろん、決済手数料がかかるデメリットはあるものの、決済機会の損失をカバーし、売上アップが期待できます。
LINE Pay導入時のデメリット・注意点
LINE Payは、集客効果が見込まれたり、従業員の業務効率化につながったりとメリットがある一方で、デメリット・注意点が存在します。将来的にLINE Payの導入を検討している場合、どのような点に注意するべきかを押さえておきましょう。
店舗に導入するまでに時間がかかる
1つ目に注意したいことが、LINE Payを店舗に導入するまでに時間がかかることです。申請自体はインターネット上で行えるものの、申請後に加盟店審査を受ける必要があります。
基本的に1週間程度で審査は終わりますが、入力内容に誤りがあったり、さらなる事業者情報が求められたりした場合、審査期間が長くなる可能性も考えられます。また、審査結果によっては、LINE Payの導入が断られるケースもあるので注意しましょう。
売上の入金サイクルが遅い
LINE Payを導入する際には、売上金の入金サイクルが遅くなる点にも気を付けましょう。通常、現金による決済であれば、決済が完了した時点で店舗の売上として入金されます。
しかし、LINE Payをはじめとするキャッシュレスサービスでの決済は、売上金が入金されるまでに一定の時間を要します。LINE Payの入金サイクルは、月末締めで翌月20日の入金です。
QRコード払いにしか対応していない
LINE Payは、基本的にQRコード決済のみしか対応していない点にも注意しましょう。クレジットカードや電子マネーであれば、タッチ決済にも対応している場合が多く、決済のやり取りがよりスムーズです。
QRコード決済も現金払いと比べると簡素ではあるものの、専用アプリを開く手間が発生するため、上記のタッチ決済よりも時間がかかりやすいです。また、操作に慣れていないお客様もいることから、店舗側で使い方を説明する必要も出てくるでしょう。このように、QRコードしか対応していないことから、店舗側もある程度の準備が必要になってきます。
LINE Payを導入する方法
それでは、LINE Payを導入する際には、どのような手順を進めていけばよいのでしょうか。2パターンの導入方法があるので、それぞれの方法について解説していきます。
パターン1:独自で接続開発する方法
1つ目の導入方法は、事業者独自で接続開発することです。事業者独自で接続開発する場合、下記の通り導入を進めていきます。
- LINE Pay API設定の確認
- LINE Payの申し込み
- 接続開発とLINE Payのサービス開始
はじめに、接続開発に向けて仕様書を確認し、SandboxでLINE Payとの連携や環境テストを行います。テストが完了した後は、インターネット上でLINE Pay加盟店に申し込みし、審査結果を待ちます。
審査が通過次第、LINE Payの資料を用いながら接続に必要な開発を実施します。開発を行う際に、「Channel IDとChannel Secret Key」で設定を行い、設定が完了すればLINE Payが使えるようになります。
パターン2:提携パートナー経由で申し込む方法
2つ目の導入方法は、提携パートナー経由で申し込む方法です。決済代行会社とは、さまざまなキャッシュレスサービスの仲介を行っている事業者のことで、提携パートナーに申し込むことで複数の決済サービスを一度に導入できます。
手続きとしては、直接提携パートナーに申し込み、審査を受けることとなります。審査が完了し次第、提携パートナーから各企業専用の管理画面が共有され、LINE Payの決済が行えます。
LINE Pay導入に必要な手続きと書類
LINE Pay導入に向けて、申請の際にはさまざまな手続きや書類が必要となります。ただし、個人事業主と法人企業の場合で、手続きと書類が異なるので確認しておきましょう。
個人事業主の場合
まず、個人事業主の方がLINE Payを導入する場合、以下の書類を提出する必要があります。
- 事業者証明書1点
- 本人確認書類1点
- 営業許可証(店舗に導入する場合)
- 取扱商品やサービスに関する資料(オンラインで導入する場合)
また、上記に関して、事業者証明書は以下の書類が適用されます。
- 国税・地方税の領収書または納税証明書
- 個人事業開業届出書の控え(税務署受付印が押印済みのもの)
- 確定申告書の控え(税務署受付印が押印済のもの)
※電子申告の場合は受信通知が必要
- 青色申告承認申請書の控え(税務署受付印が押印済みのもの)
- 個人事業開始申告書の控え(都道府県税事務所や市区町村役場の受付印が押印済みのもの)
「店舗」にLINE Payを導入する場合、営業許可証の提出が必要です。一方で、「オンライン」にてLINE Payを導入する場合には、取扱商品やサービスに関する資料を提出します。
法人企業の場合
次に、法人企業の場合です。
- 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 営業許可証(店舗に導入する場合)
- 取扱商品やサービスに関する資料(オンラインで導入する場合)
法人企業がLINE Payを導入する際には、登記簿謄本の提出が必要です。また、個人事業主同様に、店舗に導入する場合は営業許可証、オンラインにて導入する場合には取扱商品やサービスに関する資料も提出します。
まとめ
LINE Payの特徴から、事業者側での負担となる決済手数料、導入時のメリット・デメリットなどをまとめて解説しました。日本国内で9,000万人を超えるユーザーが集客対象であることや、決済機会の損失を防げるのが魅力的なポイントです。
ただし、LINE Payの導入過程で審査が必要になるので、すぐに導入するのは難しい点に注意しなければなりません。導入方法や、個人事業主・法人企業別における手続きの違いなどを踏まえた上で、LINE Payを店舗で活用していきましょう。