キャッシュレスサービスが一般的となり、多くの店舗では現金払い以外が選択できるようになりました。集客にも欠かせない決済方法で、これからキャッシュレスサービスの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、代表的なキャッシュレスサービスの「QUICPay」について解説します。QUICPayの特徴や、決済手数料、導入によるメリット・デメリットを詳しく解説するので、今後の導入に向けて参考にしてみてください。
QUICPay(クイックペイ)とは?
QUICPay(クイックペイ)とは、2005年にクレジットカードブランドの「JCB」が開始したキャッシュレスサービスです。QUICPayが登録されたスマートフォンや、QUICPayに対応したクレジットカードなどを専用端末にタッチするだけで、決済を行えます。
200万カ所を超える店舗がQUICPayを導入しており、店舗にとっては大きな集客効果が期待できます。また、ほとんどがクレジットカード紐付けによる後払い方式ですが、2016年にはプリペイドカードやデビットカードの紐付けも可能となり、後払い以外の支払いも選択できるようになりました。
QUICPay(クイックペイ)の決済手数料
QUICPayで支払いが行われる際に、事業者側に決済手数料が課せられます。決済手数料とは、決済サービスの利用者であるお客様がQUICPayを利用するたびに、加盟店である事業者が支払う手数料のことです。
QUICPayの決済手数料は、売上額に対して「3.25%」です。2023年3月までは「3.75%」でしたが、2023年4月28日(金)以降現在は3.25%となっています。クレジットカードの決済手数料がブランドごとに3〜10%、その他のキャッシュレスサービスの決済手数料が3〜6%程度であることを踏まえると、比較的低いといえるでしょう。
なお、QUICPay利用時の決済手数料を利用者側に負担させることは、加盟店規約に違反するので注意が必要です。
QUICPay(クイックペイ)の支払い方法
QUICPayの支払いは、以下の通り3つの方法に対応しています。店舗で導入するにあたって、それぞれの支払い方法を把握しておきましょう。
- iPhone
- Android
- カード
iPhone
QUICPayはAppleの「iPhone」で支払いが可能です。iPhoneでQUICPayによる決済を行う際に、利用者はあらかじめApple Payにカード情報を登録しておかなければなりません。
Apple Payに登録するためには、アプリでカメラを起動し、カードを読み込みます。カード情報を読み取り、登録が完了すれば店舗でQUICPayとして決済できます。
Android
QUICPayは、Android端末のGoogle Payにも対応しています。Apple Pay同様に、Google Payアプリからカメラでカード情報を読み込むことで、スマートフォン上に登録できます。
カード
Apple PayやGoogle Payといったスマートフォンを介さずに、カードだけでQUICPayを利用することも可能です。QUICPayのマークが付いたクレジットカードやプリペイドカード、デビットカードを専用端末にタッチします。
なお、いずれの方法でも、利用者側にQUICPay決済であることを確認する必要があります。QUICPayでの支払いを希望された後に、スマートフォンであればアプリを起動してもらい、カードであればカードを差し出してもらい、専用端末にタッチすれば決済が完了します。
QUICPay(クイックペイ)の入金サイクル
QUICPayの入金サイクルは、下記の通り月2回に分けられます。
- 1回目(毎月15日締め):毎月1~15日の利用分が当月末日に入金
- 2回目(毎月末日締め):毎月16~末日ご利用分が翌月15日に入金
1回目に関しては、毎月15日までの売上が当月の末日に入金されます。そして2回目は、毎月16日〜末日分までの売上が、翌月の15日に入金されるという仕組みです。
QUICPay(クイックペイ)を店舗に導入するメリット
さまざまなキャッシュレスサービスが展開される中で、QUICPayを導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか。QUICPay導入による3つのメリットを紹介していきます。
- レジ業務の簡素化につながる
- 集客力の強化に生かせる
- 顧客満足度の向上が狙える
レジ業務の簡素化につながる
QUICPay導入による1つ目のメリットは、レジ業務の簡素化につながることです。従来の現金決済は、店員とお客様間で硬貨・紙幣の受け渡しが発生していたため、どうしても時間がかかっていました。また、釣り銭の受け渡しや、レジ締め時の計算ミスといった人為的なミスも起こる可能性が高く、従業員の負担につながっていました。
一方で、QUICPayを導入することで、現金の受け渡しがなくなるため、レジ業務の効率化が狙えます。さらに、QUICPayで決済した分については、自動的にデータがレジに記録されることから、レジ締め業務が簡素化されます。
このように従業員の負担が軽減されることで、レジに割り当てる人員を減らしたり、これまでレジ業務をさせていた従業員をコア業務に割り当てたりと、経営改善にも大きなメリットとなり得ます。
集客力の強化に生かせる
QUICPayの導入は、店舗における集客力の強化にも生かせます。上記で解説した通り、QUICPayは専用端末にタッチするだけで決済が完了するため、利用者は現金を持ち歩く必要がありません。
現金がなくても、スマートフォンやカードがあれば支払えることから、消費者は気軽に商品を購入したり、飲食店を利用したりすることが可能となります。店舗側にとっては、キャッシュレスによる決済を希望する層を取り囲むことで、集客力や売上の強化につながります。
顧客満足度の向上が狙える
顧客満足度の向上にも生かせるのが、QUICPay導入のメリットです。店舗でQUICPayを導入すれば、利用者はレジに並ぶ時間を減らせるほか、現金を持ち歩く必要がなくなり、利便性の向上が期待できます。
利便性が向上していくことで、顧客満足度も改善していき、新規顧客やリピーターの獲得にもつなげられます。従業員の負担軽減はもちろんのこと、利用者にも多くのメリットを与えられます。
QUICPay(クイックペイ)導入時のデメリット・注意点
QUICPay導入に伴い、事業者側にとって多くのメリットがある一方、デメリットや注意点にも配慮しなければなりません。将来的にQUICPayの導入を検討している場合には、どのようなポイントに注意するべきかも把握しましょう。
- セキュリティ対策の強化が求められる
- カードの場合は支払い限度額が設けられている
- 従業員への周知や教育を行う必要がある
セキュリティ対策の強化が求められる
1つ目に注意しておきたいのは、セキュリティ対策の強化が求められることです。QUICPayに限らず、キャッシュレスサービスには個人情報が含まれているため、取り扱いには十分気を付けなければなりません。
万が一、お客様の個人情報が漏えいすると、顧客離れの要因になるだけでなく、行政処分を受ける可能性も考えられます。安心して利用してもらうためにも、従業員にセキュリティ意識を徹底させる必要があります。
カードの場合は支払い限度額が設けられている
QUICPayには、原則として支払い時の限度額が設けられています。1回あたりの上限金額は2万円(税込)で、それ以上の決済を行う場合には、決済を複数に分けなければなりません。
ただし、QUICPay+に対応していれば、2万円以上の決済が可能です。顧客単価を上げるためにも、店舗側でQUICPay+に対応しているか確認しましょう。
従業員への周知や教育を行う必要がある
QUICPay導入後は、従業員への周知や使用方法の教育を行う必要があります。キャッシュレスサービスは、現金のやり取りが不要であることから、従業員の手間が軽減されます。
しかし、従業員がQUICPayの使い方を把握しておかないと、決済に手間が発生し、お客様にも不満を与えかねません。QUICPayに限らず新しい決済方法を取り入れた際には、マニュアルを作成するほか、教育の機会を設けましょう。
QUICPay(クイックペイ)導入時に確認しておきたいポイント
最後に、QUICPayを導入する際に事業者で確認しておきたいポイントをまとめていきます。申込時の書類や店舗における周知といった点について、あらかじめチェックしましょう。
- 申し込み時に所定の書類が必要
- 顧客への周知も徹底する
申し込み時に所定の書類が必要
QUICPay導入に向けて、下記の通り所定の書類が必要です。
- JCB加盟店申込書
- 電子マネー追加申込書
- JET-S端末設置申込書
ただし、上記の書類は条件によって必要・不要となります。
まず、すでに店舗でJCBカード決済に対応している場合、「JCB加盟店申込書」を新たに提出する必要がありません。
一方で、JCBカードの取り扱いがない場合には、「JCB加盟店申込書」を含むすべての申込書が必要です。
顧客への周知も徹底する
QUICPay導入に伴い、店舗で働く従業員だけでなく、顧客への周知も必要です。QUICPayが利用可能であることを周知しないと、QUICPayを利用したいお客様を逃したり、利用可能有無に関する問い合わせが発生したりする可能性があります。
特に、前者は売上の機会損失にもつながるので、店舗の入口やレジ前に、QUICPayが利用可能であることを示すステッカーを貼り出しましょう。
まとめ
JCBのキャッシュレスサービス「QUICPay」について解説しました。QUICPayは、クレジットカードやプリペイドカードに加えて、iPhone・Android各OSを搭載したスマートフォンによる決済に対応しており、集客力の強化に生かせます。
また、レジ業務の効率化が実現し、従業員の負担軽減やコア業務への配置転換にも貢献します。デメリット・注意点にも配慮した上で、QUICPay導入の参考にしてみてください。