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2021.01.13
法律・制度 経営

消費税の申告方法と計算式~課税売上高1,000万円による違いと確定申告書の作成手順

消費税の確定申告は、課税売上高が1,000万円以下の場合でも必要になるケースがいくつかあります。ここでは、消費税の確定申告が必要になる事業者と、消費税の計算方式、申告方法について説明します。

消費税の確定申告が必要な事業者とは?

仕入れや経費で支払った消費税と、売り上げで得た消費税を集計して、消費税の納税額を確定させるのが「消費税の確定申告」です。この消費税の確定申告は、原則として開業2年目までは行う必要がありません。

  • 免税対象者:2年前の課税売上高が1,000万円以下の事業者
  • 課税対象者:2年前の課税売上高が1,000万円超の事業者

開業して2年目までの事業者と、2年前の課税売上高が1,000万円以下の事業者は免税対象者となり、基本的に消費税の確定申告は必要ありません。

対して、2年前の課税売上高が1,000万円を超える事業者は消費税の確定申告を行い、消費税を納付することとなります。

課税売上高が1,000万円以下でも確定申告が必要となるケース

課税売上高が1,000万円以下の場合でも、消費税の確定申告が必要になる事業者もあります。

(1)基準期間(平成29年分)の課税売上高が1,000万円を超える方
(2) 基準期間(平成29年分)の課税売上高が1,000万円以下で平成30年12月末までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出している方
(3) (1)、(2)に該当しない場合で、特定期間(平成30年1月1日から平成30年6月30日までの期間)の課税売上高が1,000万円を超える方
 なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額によることもできます。
引用元:国税庁

国税庁のホームページの記載にある通り、課税売上高が1,000万円以下でも、前年度末までに消費税課税事業者選択届出書を提出している事業者と、前年度の前半6ヵ月の課税売上高が1,000万円を超える事業者は消費税の確定申告が必要になります。

なお、消費税課税事業者選択届出書とは、免税課税者があえて消費税の課税を受けたいときに提出する書類です。

消費税の計算方式

消費税の計算方式

納付する消費税額の計算方式は2種類あります。

  • 原則課税方式
  • 簡易課税方式

原則課税方式では、売上金と一緒に預かっている消費税から、仕入れや経費を支払った際の消費税を控除した額が納付額となります。

簡易課税方式では、預かっている消費税からみなし仕入れ率を用いて計算した控除額を差し引いた額が納付額となります。

原則課税方式の計算式

原則課税方式では、課税売上が発生した際に受け取った消費税から、仕入れや事業に使用する物品等を購入した際に支払った消費税を差し引き計算します。

消費税額=受け取った消費税-支払った消費税

原則課税方式では、実際に受け取った消費税から支払った消費税を控除して計算を行うため、取引すべてを確認して納税額を算出する必要があります

簡易課税方式の計算式

簡易課税方式では、業種ごとにあらかじめ定められた「仕入れ率」を用いて控除額を算出し、受け取った消費税から控除額を差し引き計算します。

消費税額=受け取った消費税-(100×仕入れ率)

簡易課税方式では、受け取った消費税から仕入れ率を用いて算出した控除額を差し引いて税額を計算するため、原則課税方式のようにすべての取引を確認する必要はありません。

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消費税の確定申告書は申告方式に応じて使い分ける

消費税の確定申告書は申告方式に応じて使い分ける

消費税の確定申告書は、申告方式によって様式が異なります。

消費税の計算方式が原則課税方式の場合は一般用を、簡易課税方式の場合は簡易課税用を使用し確定申告を行ってください。

また、2020年12月現在に公開されている確定申告書は「令和元年分」となっているため、令和2年分以降の確定申告書は国税庁の「確定申告特集」にて確認してダウンロード等を行い使用しましょう。

消費税の確定申告方法

消費税の確定申告は次の3つのうちのいずれかの方法で行います。

  • e-Tax(電子申告)で申告する
  • 住所地の所轄税務署に納税申告書を送付する
  • 住所地の所轄税務署の受付に納税申告書を持参する

e-Taxの場合は、国税庁のホームページから申告書を作成・送信し行います。利用開始のための手続きが事前に必要になる点に注意しましょう。

消費税の確定申告書の作成手順

消費税の確定申告書は、次の手順で作成できます。

  1. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする
  2. 「申告書等を作成する」の「作成開始」を選択
  3. 税務署への提出方法に応じて3種類のタブから選択

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする

まずは国税庁の「確定申告書等作成コーナー」のページにアクセスしましょう。利用時間は平日24時間、土日や祝日は8時30分~24時までです。なお、12月29日から1月3日まではシステムが休止しているので注意してください。

「申告書等を作成する」の「作成開始」を選択

「申告書等を作成する」の「作成開始」を選択

次に、確定申告書等作成コーナーのページ中央部にある「作成開始」タブをクリックしてください。

税務署への提出方法に応じて3種類のタブから選択

税務署への提出方法に応じて3種類のタブから選択

すると、「税務署への提出方法の選択」ページに遷移します。ここで、申告書の提出方式を選択しましょう。申告書の提出方式には、マイナンバーカード方式とID・パスワード方式、印刷して提出の3種類があります。

なお、e-Taxを利用する場合は、所轄の税務署に「電子申告等開始届出書」を提出する必要があります。この届出書は書面・オンラインのどちらでも提出可能です。また、電子申告等開始届出書を提出した後に受け取れる利用識別者番号と設定したパスワードは申告時に使用するため、紛失しないよう注意しましょう。

マイナンバー方式でe-Taxを利用する場合は、マイナンバーカードとICカードリーダライタ(スマホを使用する場合はマイナンバーカードの読み取りに対応したAndroid端末でも可)を用意します。マイナンバーカード方式では利用者識別番号が不要になり、4桁の暗証番号を入力するだけでログインできるようになります。

「消費税課税事業者選択届出書」はなぜ提出する?

消費税課税事業者選択届を提出することで、免税事業者でも消費税を納付できるようになります。売上で受け取った消費税よりも支払った消費税のほうが多く、還付金を受け取れるようなケースでは、課税事業者でなければ還付金を受け取れないため、課税事業者を選択するのです。

起業した際、設備投資に多額の資金を投入したなどの事業者は、あえて課税事業者になることで還付金を受け取れるようにしておくわけです。

消費税課税事業者選択届出書のPDFはこちら

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まとめ

消費税の納税は、基本的に2年前の課税売上高が1,000万円以上の事業者が行いますが、1,000万円以下でも課税事業者となることがあります。消費税の納付が必要になったときは、原則課税方式か簡易課税方式かを選択し、それぞれの方式に即した計算式で納税額を算出して申告・納付を行いましょう。

また、免税事業者でも、多額の消費税を支払ったときには課税事業者になることで還付金を受け取れることがあります。どうしてもわからないことがあったときには、所轄の税務署に相談してみましょう。

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