POSレジを導入する中で、会計・税務処理に関して把握しておかなければなりません。自社でPOSレジを購入すると、資産として見なされることから、法定耐用年数に基づいて減価償却を行う必要が出てきます。 そこで、今回の記事ではPOSレジの法定耐用年数や減価償却に関して解説します。また、自社購入やリース、レンタルにおける減価償却について、各メリット・デメリットもまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
POSレジの法定耐用年数に関する会計用語
POSレジの法定耐用年数を紹介する前に、会計用語の理解が必要となります。そこで、法定耐用年数に関連する会計用語4つを詳しく解説していきます。
- 法定耐用年数
- 固定資産
- 減価償却
- 勘定科目
法定耐用年数
そもそも、法定耐用年数とはどのような意味でしょうか。資産は、国税庁で種別ごとに耐用年数が定められており、ここで決められた耐用年数が法定耐用年数となります。
ただし、法定耐用年数は、実際の耐用年数とは異なる点に注意しましょう。法定耐用年数が5年のもので年数が過ぎてしまっても、正常に動作・異常がなければそのまま使用することが可能です。一方で、法定耐用年数を過ぎると会計上での資産価値がなくなるため、減価償却費として計上することはできません。
固定資産
次に、固定資産とは、流通・販売が目的ではないもので、さらに長期間にわたって保有・使用する資産です。1年以内に現金化する予定がないものが固定資産であり、逆に1年以内に売却・現金化するものを流動資産といいます。
また、固定資産はものによって細分化されます。土地や建物、車両、機械設備などの「有形固定資産」に加え、ソフトウェアや特許権、意匠権、営業権などの「無形固定資産」、長期貸付金や投資有価証券などの「投資その他の資産」があります。
なお、固定資産を会社で保有する際には、固定資産台帳への登録をしなければなりません。固定資産台帳には、資産名称関係、所得価格、取得年月日、設置場所、耐用年数、償却方法、償却率を記載します。
減価償却
減価償却とは、会社が購入した固定資産について、数年に分けて経費として計上する会計用語です。減価償却資産の金額に一定の割合をかける「定額法」と、未償却残高に対して一定の割合をかける「定率法」のいずれかで減価償却を計算します。
なお、減価償却の対象となる固定資産は、使用期間が1年以上かつ取得金額が10万円以上で、時間の経過で価値が減少するものです。例えば、1,000万円の車両を購入した場合、購入した事業年度内に一括で経費にするのではなく、5年に分けて計上します。また、有形固定資産は、償却後に1円の価値が残るため、上記の例では1年目〜4年目に200万円ずつ、最後の5年目では199万9,999円で計上していきます。
勘定科目
最後に、勘定科目とは会計上の科目を意味します。「お金がどのような取引で使われたのか」、「どのような目的で入金があったのか」を明確にする見出しです。
勘定科目は、誰が帳簿を見ても同じ理解を得られるようにする役割である他、経費の流れを把握するのに役立ちます。また、POSレジは購入金額で勘定科目が異なり、購入金額が10万円未満の場合は「消耗品費」、10万円以上の場合は「工具器具備品」として仕訳されます。種類によっては勘定科目をさらに細かく分類する必要があるでしょう。
POSレジの法定耐用年数は5年
POSレジの本体は、POSシステムを搭載していない一般的なレジスターと同じ扱いとなるため、法定耐用年数は5年と定められています。法定耐用年数の項目でも解説した通り、5年を経過した後も性能に問題がなく、正常に使えているのであれば5年以上でも使用可能です。
POSレジ搭載タブレット端末の法定耐用年数は4年
1点注意しておきたいのが、POSレジ本体のみであれば法定耐用年数は5年ですが、パソコンやタブレットに接続したもの(法定耐用年数:4年)やガソリンスタンドのPOSレジ(法定耐用年数:8年)など、5年でないものもあります。勘定項目がどれに該当するのかをチェックし、正確な法定耐用年数を把握しましょう。
POSレジを導入する3つの方法と減価償却について
一般的に、POSレジを導入する方法には、「自社で購入する」「リース」「レンタル」の3つがあります。とはいえ、導入方法によって会計処理が異なる部分が出てくるため、どの方法が自社にとって利益になるのかを考えてみましょう。
自社でPOSレジを購入した場合の減価償却
初めに、自社でPOSレジを購入した場合の減価償却です。自社でPOSレジを購入した場合、一般的に固定資産として分類され、法定耐用年数に基づいて減価償却が必要となります。なお、POSレジの法定耐用年数はすでに解説した通り5年間で、耐用年数を超えても性能に問題がなければそのまま使用できます。
自社でPOSレジを購入するメリットは、長期的な観点でコストを安く済ませられることです。リースやレンタルのように月々の契約料金の支払いがないため、仕分け作業の負担軽減につながります。
一方で、自社で購入すると初期費用が大きくかかってしまう点に注意が必要です。POSレジの種類にもよりますが、据え置き型のターミナルタイプは数十万円〜数百万円ほどの費用が発生します。長期的に使用する場合は、数年先のコストも計算しながら導入しましょう。
リースした場合の減価償却
リース契約とは、リース会社が購入したPOSレジを長期間借りて利用する方法です。契約内容に応じて、ファイナンスリースとオペレーティングリース2種類があります。
ファイナンスリース
ファイナンスリースは、原則中途解約が不可能となっており、リース期間中に物件価格・金利・諸税・保険料などを含めた全ての代金をリース料として支払います。
会計上では会社の資産として含められるため、減価償却の対象となります。また、契約内容によりますが、契約終了後にそのまま商品を自社の資産にすることも可能です。
オペレーティングリース
オペレーティングリースは、リース会社が所有権を保有するため、会計上の資産と見なされず、減価償却の対象にもなりません。なお、リース料金のみが経費として計上可能です。
ファイナンスリースと異なり、契約途中でも解約することが可能なケースが多いでしょう。
リース契約でPOSレジを導入するメリットは、コストが低額である点です。自社で購入する場合と比較して、初期費用を最小限に抑えられます。また、リースでは幅広い種類のPOSレジを選べることもあるので、店舗の規模や必要な機能に応じて導入できます。
ただし、リース契約は長期間での契約であることが多く、契約内容によっては中途解約が難しいケースもあります。また、導入時に審査を行うため、実際に使用するまでに時間を要する可能性がある点にも注意しましょう。
レンタルした場合の減価償却
最後に、レンタルでのPOSレジ導入です。POSレジの所有権はレンタル会社にあるため、自社の固定資産には含まれない他、上記で解説したオペレーティングリースと同様に、減価償却の対象にもなりません。
POSレジをレンタルするメリットは、固定資産に該当しないため、減価償却の必要がないことです。また、リース契約での導入と異なり、途中解約が可能であるケースが多く(解約料が発生する場合がある点に注意)、フレキシブルな運用ができます。
一方で、リース契約よりも月額利用料が高額になりやすく、長期的な観点だと購入やリースに比べてコストは割高になります。POSレジの種類も限られる他、他の会社がすでに使用した中古のPOSレジが多い点にも注意しましょう。
POSレジ関連機器の法定耐用年数
POSレジを店舗で使用するに当たって、さまざまな周辺機器を購入する必要も出てきます。そこで、POSレジ関連機器の法定耐用年数についても確認しましょう。
- POS機能を搭載したパソコン・タブレット
- バーコードスキャナー
- キャッシュドロアー
- その他
POS機能を搭載したパソコン・タブレット
POSレジ機能を搭載するパソコン・タブレットの法定耐用年数は、4年と定められています。ただし、パソコンをサーバーとして使用している場合には、法定耐用年数が5年である点に注意しましょう。
基本的に、法定耐用年数を過ぎても使用することが可能です。しかし、あまりにも長期間使用し続けると故障や不具合が発生したり、セキュリティサポートが終了してしまったりすることがあります。法定耐用年数を一つの目安として、買い替えも検討してください。
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バーコードスキャナー
次に、バーコードスキャナーです。バーコードスキャナーはバーコードを読み取る機器のことで、レーザーを使ってバーコードを識別し文字を可視化します。
ペン型やハンディスキャナー型などのさまざまなタイプがありますが、基本的に法定耐用年数は5年間です。ただし、バーコードの読み取り以外の機能も備えたものだと、例外的に耐用年数が変わることがあります。
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決済端末
決済端末の法定耐用年数は5年間です。決済一体型タイプから読み取り機が別に備わっているタイプまで幅広い決済端末がありますが、基本的に法定耐用年数は5年間とされています。
キャッシュドロアー
キャッシュドロアーとは、現金を出し入れするための機器です。従来のキャッシュドロアーは、レジ一体型のタイプがほとんどでしたが、パソコン・タブレット型の普及に伴い、システムと連携可能なモデルが増えています。
さまざまなタイプがありますが、キャッシュドロアーの法定耐用年数は5年間です。
POSレジのソフトウェア
最後に、POSレジのソフトウェアです。各社からPOSのソフトウェアが販売されており、パソコンやタブレットにダウンロードすることでPOSレジが使用できます。
ソフトウェアはPOS用でもそれ以外でも、全て耐用年数が5年です。ただし、クラウド型ではなくパッケージ型のソフトウェアはアップデートが自動で行われないため、5年も経過すると使用しにくくなる可能性があります。
まとめ
POSレジにも法定耐用年数が設けられており、自社で購入した場合やリース契約による導入の際には減価償却が必要です。POSレジの法定耐用年数は基本的に5年間ですが、タブレット型の場合は4年間となる点に注意しましょう。
また、POSレジ関連機器にも法定耐用年数が設定されているため、一つひとつ確認することも重要です。自社購入・リース・レンタルのうち、どの方法でPOSレジを導入するのがよいか、今回紹介した内容を参考に検討してみてください。