iPadレジとは?導入デメリットなどについて解説します
レジの導入費用にお悩みの方、これから店舗をオープンされる方は、iPad用のPOSレジをご存知でしょうか? iPad用のPOSレジは手軽で簡単、導入コストも比較的安価なレジシステム。すでに多くの店舗にて採用中です。本記事ではiPadレジの基本や、導入のメリット・デメリットについてご紹介します。
iPadレジとは?
iPadレジはお手持ちのiPadに、POSシステムをインストールするだけでPOSレジとして使えるシステムです。これまでのPOSレジは大きさや高額なことがネックとなり、小規模店舗では導入が難しいという課題がありました。しかし、iPadレジなら、iPadが置けるスペースと、iPadとPOSシステム費用だけでPOSレジを持つことが可能となります。
ちなみに、POSレジの”POS”とは、「Points Of Sales」の略称です。日本語では「販売時点情報管理」の意味を有します。POSレジは商品やサービスの販売情報を、記録・集計して管理できる機能を備えたレジシステムです。
iPadレジを導入する3つのメリット
iPadのPOSレジの導入後には、次の3つのメリットが得られます。
・低コスト
・操作しやすく場所を取らない
・アプリによる拡張性が高い
低コスト
従来のPOSレジはレジ本体などの機器一式を揃えるだけで、1台につきおよそ100万円以上のコストが発生していました。一方、iPad対応POSレジであれば、市販のiPadを使用するだけです。端末を揃えるための費用はかかりますが、月数千円のランニングコストにて運用することも夢ではありません。
操作しやすく場所を取らない
iPad対応のPOSレジは直感的な操作を可能としています。普段から馴染み深いガジェットであることがその理由です。タブレット端末のため、限られた狭いスペースの設置も無理なく行えます。
アプリによる拡張性が高い
従来のPOSレジは、WindowsなどのOSの使用を基本としています。OSのアップデートに手間や時間がかかるのは避けられません。一方でiPad対応のPOSレジはアプリによる動作です。OSと比べてアプリのアップデートは手間がかかりません。新たな機能を加える際には、専用のアプリをインストールするだけで利用開始できます。
iPadレジを導入する3つのデメリット
iPadのPOSレジの導入にて、次の3つのデメリットが生じる可能性もあります。
・ネット環境が必要
・OSやバージョンによって不具合を起こすリスクがある
・専用のレジと比べて耐久性に劣ることも
ネット環境が必要
iPad対応POSレジの使用には、インターネット環境の整備が求められます。売上情報などをリアルタイムでクラウドにアップデートしていることがその理由です。ただし「POS+」に限り、オフライン環境下での使用も可能としています。
OSやバージョンによって不具合を起こすリスクがある
iPad対応POSレジはiOSのバージョンアップ時に、アプリの動作に不具合が起こるリスクが想定されます。リスク回避のためにも、iOSのバージョンアップは営業時間外に行うのがおすすめです。万が一のために、サブのiPad端末も準備しておきましょう。
専用のレジと比べて耐久性が劣ることも
iPadはレジシステムに特化した端末ではありません。従来のPOSレジと比べた場合、耐久性の点において劣るとの見方もできます。持ち運びの際には、iPadの落下や水没には注意したいところです。
iPadレジと従来レジの違いは?
iPadレジと従来レジのわかりやすい違いとして、次の2点があげられます。
・iPadレジは導入コストが低い
・iPadレジは省スペース=場所を取らない
従来のレジと比較して、安価で省スペースに設置が可能なので、小規模の店舗やサロンなどでも容易に導入することができます。iPadのスタイリッシュさは、店舗の雰囲気を邪魔することがありません。さらにiPad対応のレジは持ち運ぶことが可能です。顧客管理システムを搭載したiPadレジならば、美容室などでもお客さまとの対話中に過去の履歴などが瞬時に確認できます。iPadレジを上手に活用することで、スムーズな接客や新たなサービスの提案にもつながるでしょう。
iPadレジの主な6つの機能
iPadレジには主に
・売上管理
・商品、在庫管理
・勤怠管理
・顧客情報管理
・発注管理
・外部システムとの連携
の機能が備わっています。
売上管理
iPadのPOSレジに入力した売上データはリアルタイムで、クラウド上に保存されます。店舗の担当者はもちろんのこと、複数店舗のオーナーやフランチャイズの本部なども売上の把握や管理が可能です。集計されたデータをグラフ化することで、売上の推移なども可視化されます。
商品、在庫管理
iPadのPOSレジは販売中の商品およびサービスの登録のほか、価格の変更も簡単に行えます。特に飲食店のおすすめメニューやフェア、アパレル店のセール時などで効果的です。さらに在庫数がリアルタイムで反映されるため、売上機会の損失を防ぐことにもつながります。
勤怠管理
iPadのPOSレジの機能には、勤怠管理も含まれています。
・スタッフの出勤
・スタッフの退勤
・有給休暇などの管理
・時給や人件費の管理など
iPadのPOSレジと会計ソフトとの連携後は、手間のかかる給与計算も容易に行えます。
顧客情報管理
美容室やサロンなどの業種は、顧客との関係性が売上と直結しやすい傾向が見受けられます。とりわけ顧客情報管理は重要な項目です。アナログな顧客情報の管理の問題点として、記入漏れや担当者ごとの引き継ぎの不備など想定されます。
iPadのPOSレジであれば、個々の予約や顧客情報の一元管理が可能です。急な引き継ぎなどへの臨機応変な対応が期待できます。
iPadのPOSレジは、お客さまごとの販促対応ツールとしても有用です。
発注管理
iPadのPOSレジには、商品の発注管理機能も搭載されています。売上および在庫数がリアルタイムで反映されるため、入荷待ちや未発注の商品も把握することが可能です。
外部システムとの連携
iPad対応POSレジの機能として、外部システムとの連携が容易な点も忘れてはなりません。優れた拡張性と外部システムとの組み合わせにて、さらに精度の高い運用へと導きます。
iPad対応POSレジの配線は不要です。Wi-Fi(ワイファイ)およびBluetoothの活用により、バーコードリーダーやキャッシュドロアー、プリンターなどの機器とも速やかに接続できます。 既存の経理システムなどとの連携も可能です。自店に合わせたカスタマイズも無理なく実現できます。
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iPadレジにかかる費用は?
iPadレジの導入にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
・初期費用
iPadレジの導入の際には、初期費用にサポート費用を含めておきたいところです。
・インターネットの開通
・レジの稼働開始までのフルサポート
・電話講習サポート(設定方法を電話でアドバイス)
・商品登録サポートなど
上記のほかにも、POSレジアプリを提供するサービスごとのサポートメニューが存在します。ご自身の店舗にとって、どのサービスが有用か?を事前に調べておきましょう。
・周辺機器、オプション費用
周辺機器、オプション費用として考えられるのは次の項目です。
・キャッシュドロワー(現金の収納)
・プリンター(レシートの印刷)
・自動釣銭機
・カスタマーディスプレイ
・バーコードリーダー
・アクセスポイントなど
このほかにも、拡張アプリによるオプション費用も想定しておきましょう。
・ランニングコスト
POSレジアプリの使用料のほか、iPadのメンテナンス費用、インターネットの通信料、レシートのロール紙などのランニングコストが発生します。
具体的な金額について、POS+の場合の費用をご参照ください。
月額費用(POS利用料) | 導入費用(初期費用+周辺機器費用) | |
小売店向け POS+ retail | 月額14,000円~* | 450,000円~ |
飲食店向け POS+ food | 月額14,000円~* | 400,000円~ |
小規模店舗飲食店向け POS+ lite | 月額6,000円~ | 138,000円~ |
美容・サロン向け POS+ beauty | 月額14,000円~* | 400,000円~ |
iPadレジの補助金について
iPadレジ導入の負担を軽減したい場合は、対象となる補助金がないか、地元の商工会議所や商工会に確認してみましょう。
なお、2019年度はモバイルPOSレジシステムの導入費用が「中小企業・小規模事業者等 消費税軽減税率対策補助金」の対象となっていました。
この補助金では、1システム当たりの上限を20万円(1事業者あたり上限200万円)として、タブレットは購入費用の2分の1を、付属機器の購入費、設置のためにかかった費用はそれぞれ4分の3が補助の対象でした。
※2020年現在、この補助金は申請期間が終了しています。
iPadレジの使い方
iPadレジの一般的な使い方について見ていきましょう。
・アプリをインストール
レジとして使用するiPadに、POSレジのアプリをダウンロードしてインストールします。システムの使用料や機能についてよく理解し、納得したうえでインストールしましょう。
・商品やサービスの登録を行う
アプリをインストールしたら、起動させて商品の登録を行います。カテゴリーごとに商品を分類して登録しておけば、注文を受けるときや在庫管理、棚卸などの作業も楽になります。
・周辺機器を用意して接続する
レシートプリンターやバーコードリーダー、自動釣銭機など、必要に応じて購入した周辺機器をアプリに接続します。いざ会計となった際にお客様を待たせてしまわないよう、開店前に確実に接続しておきましょう。
iPadレジ導入に向いている店舗は?導入事例もご紹介
「焼肉レストラン リブランド」では、POS+foodを導入しています。
導入前のPOSレジでは、分析等の操作が難しく時間がかかり、効率が良くなかったということですが、POS+food導入後は、ボタン一つで分析画面を見ることができ、時間にゆとりができ、お客様とのコミュニケーションに割く時間が多くなったとのことです。
さらに、数値的根拠のある発注計画を実現することにも繋がりました。
「ネイルサロン ブラッシュ」では、POS+beautyを導入しています。
新規オープンのため、顧客管理をはじめ、施術管理等のサロン業務のトータルオペレーションが可能なPOSレジを探していました。 実際に導入してみると、顧客カルテが使いやすく、過去履歴を容易に追うことができ、スムーズに引き継ぎを行うことができました。
さらに、分析機能を用い、お客様毎に違うご提案をすることができるようになったとのことです。
「青山フラワーマーケット 南青山本店」では、POS+retailを導入しています。
導入前は、販売管理を行うために、PCとレジが1台ずつ必要で場所をとっていることに悩んでいました。
導入後は、タブレット1台のみでレジ業務及び販売管理に対応することができるようになり、さらに場所を取ることがなくなり、業務の効率化に繋がったということです。
また、直感的に操作ができることから、使いやすくスタッフにも定着しやすかったそうです。
飲食店へのiPadレジの導入
iPadレジは、顧客管理や人気メニューの分析、キャッシュレス決済の導入、スタッフのシフト管理にも利用できます。
店内での飲食時の決済のほかに、テイクアウトの際の事前予約・事前決済に対応するiPadレジもあります。利用者はアプリから店舗・メニュー・受取時間を選択して事前にクレジットカードで料金を支払えば、あとは商品を受け取るだけで簡単にテイクアウトを利用できます。
こうした機能のあるPOSレジを導入すれば、需要が伸びているテイクアウトにもすぐに対応できるでしょう。
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美容室へのiPadレジの導入
美容室や美容サロン向けのiPadレジもあります。スタイリストごとの目標設定や予定管理、シフト・スケジュールの管理、顧客のカルテ管理、電話予約システム、Web予約システムなどさまざまな機能が付帯されています。
スタイリストごとの売上や予約状況の可視化もiPadレジで行えるため、売上・リピート率向上のための分析ができるようになります。
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小売店へのiPadレジの導入
iPadレジなら、店舗の在庫をリアルタイムで確認でき、さらに入出荷、検品、棚卸まで、在庫管理業務を一元化できます。また、小売店では取扱商品が多くセール品の登録・管理といった作業が発生することも多くありますが、これらの設定もiPad上で簡単に行うことができ便利です。
いま人気の商品をデータから分析したり、前年同月のデータを見て季節ごとに商品のラインアップを変えたりと、売上向上の施策づくりにも利用できます。
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まとめ
iPad対応のPOSレジは売上管理や在庫管理をはじめ、顧客管理や勤怠管理などの機能を活用できます。店舗スペースや予算の都合などで、POSレジの導入を見合わせていた小規模事業者にもおすすめです。
iPadのPOSレジはスマホを使い慣れている方なら、感覚的な操作も難しくありません。スタッフのトレーニング時間の短縮といった副産物も得られます。iPad対応POSレジは、従来のPOSレジと比べて低コストでの導入が可能です。スタッフの負担軽減と同時に、顧客満足度の向上を実現することも夢ではありません。