業務効率化と売上アップを支援するクラウドPOSレジ「ポスタス」
2025.06.09
POS 調査・データ

ID-POSデータとは?従来POSとの違いや活用メリットを解説

消費者の多様化に伴い、商品にフォーカスしたPOSデータだけでなく、人の動きを加えた「ID-POSデータ」の活用が注目されています。「ID-POSデータ」の活用によって、事業のマーケティング強化だけでなく、新たな顧客の開拓も期待できるでしょう。

本記事では、ID-POSの基本情報から活用のメリットや分析手法、導入時の注意点などを解説します。店舗運営において、「データをもっと活用したい」「販促効果を高めたい」と考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

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ID-POSデータとは

はじめに、ID-POSデータとはどのようなデータなのか、また従来のPOSデータとの違いについて紹介します。

  • ID-POSデータの基本概要と特徴
  • 従来のPOSデータとの違い
  • ID-POSが求められる背景と市場トレンド
  • ID-POSが活用されている業種・業態

関連記事:POSシステム(ポスシステム)とは?機能・特徴・メリット徹底解説!

ID-POSデータの基本概要と特徴

ID-POSデータとは、お客さまのIDが紐付いたPOSデータのことです。

  • 購入商品
  • 購入日時
  • 個数
  • 購入単価

上記の購入情報に、お客さまの「氏名・性別・年齢・住所」などの個人情報が紐付けられています。例えば、家電量販店なら「東京都に住む40代男性がパソコンを購入したのと同時に周辺機器を購入した」という購入データを記録できます。

従来のPOSデータとの違い

従来のPOSデータは、商品の販売時点で記録される基本的な取引情報(商品コード、価格、数量、日時など)のみを収集するシステムです。

一方ID-POSは、これらの基本情報に加えて、お客様の個人識別情報(会員IDなど)と紐付けて記録するより進化したシステムです。

ID-POSデータPOSデータ
購入情報×
お客様情報×

ID-POSの最大の特徴は、「誰が」という情報を含む点です。これにより、お客様ごとの購買履歴を時系列で追跡でき、より詳細な消費者行動分析が可能になります。例えば、特定のお客さまの購買頻度、好みの商品カテゴリー、購入金額帯などを把握できます。

POSデータが「何が」「いつ」「どれだけ」売れたかという商品軸の分析に限られるのに対し、ID-POSは顧客軸での分析も可能で、パーソナライズされたマーケティング施策の立案や顧客関係管理(CRM)に活用できます。

関連記事:飲食店のCRM(顧客管理)とは?売上アップにつなげる活用方法

ID-POSデータが必要な背景

ID-POSデータが必要な背景には、日本における少子高齢化やネットショッピング(EC)の発展など、社会変化への対応が求められていることがあげられます。店舗数の削減、売上高の頭打ちなどの課題が出てくる中で、競合他社よりも一人でも多くのお客様を獲得し、売上を伸ばしていかなければなりません。

このような課題を解決するためには、顧客起点型のマーケティングに切り替えることが求められます。ID-POSデータを用いてお客さま情報と消費行動を細かく分析し、お客さまごとにマッチした商品・サービスを提供することで、売上の最大化につながるのです。

関連記事:POSデータとは?分析メリット・注意点や活用方法を解説

ID-POSが活用されている業種・業態

ID-POSデータは、以下のような幅広い業種において活用されています。

  • 飲食店
  • 美容サロン
  • スーパーマーケット
  • ドラッグストア

例えば美容院では、お客様ごとに来店頻度やメニュー傾向を把握し、予約の促進や離反防止に役立てられます。また、ドラッグストアではポイントカードの情報を活用して、性別や年齢に合わせたDM配信を行うといった施策も可能です。

お客様のニーズを把握してリピーターを獲得したいと考えるすべての業種にとって、ID-POSデータは有用なツールといえるでしょう。
関連記事:飲食店のリピート率を上げる方法とは?具体策とポイントを解説

 ID-POSデータを活用するメリット

ID-POSデータはお客さまごとの消費行動を分析するのに役立ちますが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。店舗において、ID-POSデータを活用することによるメリットを4つ紹介します。

  • お客さま視点での購買行動を可視化できる
  • 商品・サービス力の強化につながる
  • 新規顧客の獲得に活かせる
  • リピーター増加に直結する

お客さま視点での購買行動を可視化できる

ID-POSデータを活用すれば、お客さま視点での購買行動を可視化できます。ID-POSデータは、お客さまの購買情報と属性情報に基づいたデータを収集・分析可能なため、POSデータだけでは難しかった「お客さまごとの多様なニーズ」を把握できるでしょう。

具体的には購買履歴をもとにして、お客さまをカテゴリ別に分けたり、商品ごとのターゲット層を絞ったりするという活用方法があげられます。また、リピーターになりやすい特徴が可視化され、どのようなお客さまにアプローチすればよいかを最適化できるのです。

商品・サービス力の強化につながる

ID-POSデータの活用により、商品・サービス力の強化につながります。消費者のライフスタイルや購買ニーズが多様化する中で、お客さまごとにフォーカスした商品開発・サービス力が求められています。

ID-POSデータは、お客さまごとのニーズをデータとして可視化できるため、どういった商品を開発すれば売上を伸ばせるかを分析可能です。このように、ID-POSデータを活用することで自社の顧客層に適した商品開発やサービス力が強化され、結果として顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

関連記事:飲食店で顧客満足度を高める方法とは?あると嬉しいサービスも紹介

新規顧客の獲得に活かせる

ID-POSデータはリピーターだけでなく、新規顧客の獲得にも活かせます。ID-POSデータから潜在ニーズを分析して、新規顧客が興味をもちやすい商品のヒントを得られるため、新規顧客獲得の可能性を高められるでしょう。

また、ID-POSで可視化したデータを用いて、昨今のトレンドを把握するのにも役立ちます。トレンドをいち早く入手し、新規顧客獲得数の増加が期待できるでしょう。

リピーター増加に直結する

ID-POSデータでは、リピーターの来店頻度や購入金額の推移まで詳細に追うことができます。

これにより、「再来店してもらうためには何が有効か」をデータから読み取り、適切なフォローができるのです。

例えば、購入サイクルに合わせたクーポン配信や、前回の購入履歴に基づいたおすすめ提案など、お客様に合わせたアプローチが叶います。

その結果、お客様との関係性が深まり、リピーター化を促進できるのです。

ID-POSデータを活用する方法

ID-POSで取得したデータの効果を発揮させるためには、活用方法を把握することが大切です。下記の通り、6つの活用方法を解説していきます。

  • 時系列分析
  • トライアルリピート分析
  • 属性分析
  • 併買分析
  • 流入流出分析
  • ロイヤリティ分析

時系列分析

時系列分析とは、時間の経過で変化するデータを分析するもので、主に来店者数や売上額などが該当します。例えば、ある商品の売れ行きが季節によって変動していることが分かれば、販売強化のタイミングを最適化できます。

また、リピーターがどのくらいの間隔で商品を再購入しているかといったデータも分析できるため、リピート促進施策の設計にも活用できるでしょう。

こうした時系列の視点を取り入れることで、短期・中長期のマーケティング戦略に深みが出るのです。

トライアルリピート分析

トライアルリピート分析とは、リピーターの割合を算出する方法です。1回でも商品を購入したお客様を母数として、2回以上購入しているリピーターの割合を出します。

お客さまが同じ商品を購入するかを調査し、市場における商品の認知度・周知具合を調べていきます。

属性分析

属性分析とは、ID-POSで取得した顧客情報の属性を分析する方法です。顧客情報を性別や生年月日、居住地域などの基本情報と、年収や居住形態などの推計属性情報に分類し、購入者の属性を分析します。

このように属性を分析することで、自社商品・サービスに合致する消費者を探し出しやすくなるのです。

併買分析

併買分析は、ある特定の商品とまとめて購入される商品を分析する手法です。お菓子と飲み物、カレーとサラダなど、同時購入の組み合わせ傾向をつかむことで相性が良い商品の発見やさらなる販促強化につなげられます。

例えば「30代男性はビールとおつまみAを一緒に買うことが多い」と分かれば、セット販促やまとめ割が効果的です。併買分析は、店舗やECサイトの売場づくりにも活かせる売上直結型の分析といえるでしょう。

流入・流出分析

流入・流出分析とは、お客さまの流入元と流出先を分析する手法です。ID-POSデータで一定期間におけるお客さまの行動を分析します。

例えば、どの商品で流入し、どの商品で流出したかを可視化することで、競合他社への流出防止策や新商品の開発に生かせます。

ロイヤリティ分析

ロイヤリティ分析は、企業や商品に対する顧客の忠誠度を分析する手法です。既存顧客との関係を維持することで、継続的な売上・利益の獲得が狙えます。

具体的には、一定期間における商品の購入数量に応じたロイヤルティ基準を設定し、ランク別に分けていきます。

ID-POSデータを使うデメリット

ID-POSは店舗の売上拡大やマーケティング力強化につながる一方で、デメリットにも注意しなければなりません。実際に導入する前に、どのようなデメリットが出てくるのかを把握しておきましょう。

  • 高度な分析スキルが求められる
  • データ活用コストが発生する
  • 自社以外の購買行動が分析できない
  • 個人情報として厳重に扱う必要がある

高度な分析スキルが求められる

ID-POSを取り扱うに当たって高度な分析スキルが必要な点があげられます。というのも、ID-POSを介して収集したデータを実際のマーケティング施策で活用するためには、統計学やデータマイニングなどの専門スキルが必要だからです。

また、ID-POSはデータ量も大きいことから、分析作業だけでも多大な労力が発生します。社内で専任の従業員を確保したり、新しく採用したりして、ID-POSを適切に扱えるようにしましょう。

データ活用コストが発生する

ID-POSを使用するごとに、データ活用コストが発生する点に注意しましょう。データの量や内容、精度にもよりますが、数十万円〜数百万円程度のコストがかかる可能性があります。

なお、ID-POSの価格は、提供会社・サービスで異なります。複数の提供会社に相談しながら相見積もりを取得し、しっかりと比較しましょう。

自社以外の購買行動が分析できない

ID-POSでは、ポイントカードや自社の会員アプリなどから顧客情報・購買行動を収集するため、自社以外の購買行動の分析ができません。

つまり、特定のお客様に対して店舗をまたいだデータの入手は困難であり、競合他社商品や他店舗の購買情報を比較したり、業界全体のトレンドを分析したりすることは不可能です。

店舗をまたいだデータを入手するためには、ID-POSデータ自体の連携や、データ取得フォーマットの統一が求められます。また、業態や店舗を超えて購買行動を分析できるBIツールも活用するのも、分析範囲を広げるひとつの方法です。

個人情報として厳重に扱う必要がある

ID-POSデータは、個人の購買履歴や属性情報を含むため、個人情報保護の観点から厳格な管理が必要です。

特に、特定の個人が識別できるような形式での保存・共有には法的な規制があり、社内ルールの整備やスタッフの教育も欠かせません。

万が一、情報漏洩が起きた場合、お客様からの信頼が大きく損なわれてしまいます。そのため、ID-POSを活用する際は、セキュリティ体制と運用ルールの構築を適切におこなえるよう注意しましょう。

ID-POSデータの活用ポイント

さまざまな分析方法がある中で、ID-POSをうまく活用する必要があります。運用を始めるに当たって、どのようなポイントに留意すればよいのでしょうか。3つのポイントを紹介します。

  • ID-POSデータのフォーマットを統一する
  • ID-POSデータの管理方法を把握する
  • 店舗ごとの特徴を可視化して分析する

ID-POSデータのフォーマットを統一する

ID-POSデータのフォーマットは統一しましょう。すでに店舗に導入しているPOSシステムと連携する場合、データのフォーマットを統一しないと分析が難しくなります。ID-POSの活用目的を明確にした上で、フォーマット統一の準備を進めましょう。

ID-POSデータの管理方法を把握する

ID-POSデータの管理方法を把握することも大切です。ID-POSデータの管理方法は、システム提供会社におけるサポート体制ごとに異なります。また、トラブルが発生した際の対応も異なるため、あらかじめ管理方法を使用者間で把握し、トラブルへの対応を考えておきましょう。

店舗ごとの特徴を可視化して分析する

ID-POSデータを活用するためには、店舗ごとの特徴を可視化して分析しましょう。基本的に、ID-POSを使った分析方法に関しては業界、企業ごとに差はないものの、分析する要素は異なります。具体的には、都心部の店舗と郊外の店舗では客層が異なるだけでなく、売れ方や人気商品にも差が生じてきます。

つまり、複数店舗を展開している企業では、店舗ごとの特徴を可視化した上で、データを分析することが求められるのです。ID-POSで適切なデータを出すためにも、各店舗の特徴を意識しましょう。

ID-POSデータ活用に向けた導入ステップ

実際にID-POSデータを活用するにあたって、導入前の以下のステップを確認しておきましょう。

  • ID-POSデータ導入にあたっての事前準備をする
  • ID-POSデータ活用のための環境整備をする

それぞれ解説していきますので、参考にしてください。

ID-POSデータ導入にあたっての事前準備をする

ID-POSデータを導入するためには、目的の明確化や体制整備といった事前準備が重要です。何を分析したいのか、どのような施策に結びつけたいのかを明確にしておかなければ、収集したデータを活かしきれません。

また、データを取得する仕組みやツールの選定も重要です。POSレジの仕様確認や、顧客IDとの連携方法・社内フローの整備など、導入前に検討すべき点は多岐にわたります。

事前に想定される課題を洗い出し、必要な準備を段階的に進めておくことが、スムーズな導入のカギとなるでしょう。

ID-POSデータ活用のための環境整備をする

ID-POSデータを分析・活用するにあたっては、適切なシステム環境と人材の確保が不可欠です。例えば、データベースの設計や可視化ツールの導入・クラウド管理の仕組みなど、技術面での土台が整っていなければ運用に支障が出る可能性もあります。

あわせて、データを読み解ける人材の配置や、現場との連携体制の構築も重要です。

スキルを持っている人員の配置や業務フローの整備により、ID-POSデータの分析結果を素早く現場施策に反映できる体制を整えることで、初めてID-POSの本当の効果が発揮されます。

ID-POSデータ導入によるマーケティング事例

美容サロンや飲食店における、ID-POSデータ活用事例を紹介します。これからID-POSデータ導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

  • 美容サロンのID-POSデータ活用事例
  • 飲食店のID-POSデータ活用事例

美容サロンのID-POSデータ活用事例

ネイルサロン「ブラッシュ」では、POS+の導入により、お客様の来店履歴や施術内容だけでなく会話内容や好みについてもメモ機能で管理しています。

スタッフ間で顧客情報を共有しながら、接客の質を維持しつつリピート率の向上につなげているのです。また、年齢層に合わせた施術提案やサービス設計にもID-POSデータを活用しています。

予約管理や分析機能を活かし、将来的な多店舗展開も視野に入れた効率的な店舗運営を進めています。ID-POS導入によって、感覚や経験に頼らないデータに基づいた接客ができるようになり、顧客満足度アップと業務効率化の両立が実現可能です。

参考記事:リピーターを獲得したい!美容・サロン専用の顧客管理機能で可能に

飲食店のID-POSデータ活用事例

北海道の観光名所「白い恋人パーク」内のソフトクリーム店では、課題だった客層や商品の売れ行き傾向の把握を、POS+導入によって一気に解決しました。

導入前は接客スタッフの感覚に頼っていたニーズ把握が、ID-POSデータの分析により、時間帯別・属性別に明確なデータとして可視化できるようになりました。これにより、商品展開や販売施策に根拠を持たせた運用が可能となりました。

ID-POSデータの導入で、季節ごとの客層の違いなども分析し、ニーズに合った商品を適切な時期に展開することが可能となります。

参考記事:白い恋人パークのソフトクリーム店で、豊富な分析機能によってマーケティングが可能に

まとめ

ID-POSデータは、顧客の購買履歴と属性を紐付けて分析できるため、より精度の高いマーケティング施策が可能です。分析手法を活用すれば、リピーター獲得や商品改善・販促強化など多方面にID-POSデータを活かせます。

一方で、導入には専門スキルや運用コストが必要となり、個人情報管理といった配慮も必要です。本記事で解説したポイントを参考に、自店舗にマッチした方法でID-POSデータを活用していきましょう。

参考サイト:日経クロストレンド サントリー最強営業部隊のデータ活用法 小売店支援で売上3倍

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よくある質問

ID-POSとPOSデータの違いは何ですか?

従来のPOSデータは、商品の販売時点で記録される基本的な取引情報(商品コード、価格、数量、日時など)のみを収集するシステムです。一方、ID-POSは、これらの基本情報に加えて、顧客の個人識別情報(会員IDなど)と紐付けて記録するより進化したシステムです。

ID-POSデータを活用する方法を教えてください。

自社の課題に合わせた分析をすることが一番重要ですが、代表例としては「時系列分析」「トライアルリピート分析」「属性分析」「併買分析」「流入流出分析」「ロイヤリティ分析」などがあげられます。

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