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2020.11.27
法律・制度

源泉徴収簿の書き方~源泉徴収票との違いや作成のポイントを解説

源泉徴収簿とは、企業が従業員に支払った給与や源泉徴収した税金の額など、源泉徴収票の作成に必要な情報を記載した帳簿です。この帳簿は必ずつけなければならないものではありませんが、多くの従業員を雇う企業は、従業員の給与や年末調整のために作成・利用していることがほとんどです。

ここでは、源泉徴収簿の書き方や作成時のポイントについて説明します。

源泉徴収簿とは

源泉徴収簿は、年末調整後に従業員に交付する源泉徴収票をスムーズに発行するために使用する帳簿です。帳簿内には、企業が従業員に支払った賞与や源泉徴収した税額、従業員の扶養親族の状況等の情報をまとめます。

源泉徴収票との違い

源泉徴収票は、企業が発行する従業員の所得税の証明書です。源泉徴収簿は、源泉徴収票を円滑に作成するために使用する帳簿で、源泉徴収票は源泉徴収簿の情報に基づいて、各従業員の1年分の給与・賞与の支給額や徴収税額を集計し発行・交付します。

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源泉徴収簿の書き方

源泉徴収簿は、次の手順で作成します。

源泉徴収簿の書き方
  1. 個人情報の記入
  2. 給与情報の記入
  3. 賞与情報の記入
  4. 「給与所得控除後の給与等の金額」を算出
  5. 扶養家族の情報を記入
  6. 保険料控除申告書の情報を記入
  7. 算出所得税額を計算
  8. 税額を計算

源泉徴収簿の見本画像の番号と、手順の番号1~8を照らし合わせて、個人情報、給与・賞与情報、給与所得控除後の給与等の金額、扶養家族情報、各保険料控除申告書の情報等を記入してみましょう。最後に、所得税額を計算します。

個人情報の記入

源泉徴収簿は、各従業員分作成します。従業員ごとに、所属部署、職名、住所、氏名、確定申告時に税務署から割り振られる整理番号を画像①の位置に記入します。

給与情報の記入

画像②の部分に、給与情報や社会保険料の控除額を月ごとに記入します。各従業員の毎月の給与明細を見ながら記入しましょう。

賞与情報の記入

賞与の情報についても同様に記入します。画像③の位置に、1回の賞与額、社会保険料の控除額等を記入してください。

「給与所得控除後の給与等の金額」を算出

1年間に支払った給与と賞与についての記入が終わったら、給与所得控除後の給与等の金額を画像④の部分に記入します。給与所得控除額は支払った給与によって変わるので、従業員それぞれに計算が必要です。

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扶養家族の情報を記入

さらに、従業員が扶養している家族の情報を画像⑤の部分に記入します。扶養家族の人数や、扶養控除の有無も忘れずに記入しましょう。

保険料控除申告書の情報を記入

従業員が自分で加入している保険料控除申告書の情報を画像⑥の位置に記入します。ここには、社会保険料の控除や生命保険、個人年金保険、地震保険などの保険料の控除額を記入します。年末調整の前に、従業員それぞれが控除について記入する用紙を配布する企業は、用紙を回収しその内容をここに書き込みます。念のため、保険料の控除証明書など、事実を確認できる書類を見るといいでしょう。

算出所得税額を計算

支払情報や控除情報が入ったら、本年度の算出所得税額を計算して画像⑦の部分に記入します。給与所得控除後の給与等の金額から、所得控除額の合計金額を差し引いて、所得税の税率をかけると従業員の所得税額が算出されます。

税額を計算

最後に、算出した所得税額に復興特別所得税の2.1%を加えます(2037年まで)。復興特別所得税額は、「所得税額×2.1%」の計算式で算出します。

「所得税+復興特別所得税額」は、「所得税額×102.1%」で計算できます(100円未満切り捨て)。税額を計算したら、画像⑧の部分に記入します。

源泉徴収簿作成のポイント

源泉徴収簿の作成には次の3つのポイントがあります。

  • 7年間の保存義務がある
  • 記入漏れを無くす
  • 分からない場合は税理士への相談も

源泉徴収簿には7年間の保存義務があります。また、記入漏れがあっては正しい源泉徴収票は作れませんので、チェック体制を整えましょう。源泉徴収簿を作成中にわからないことがあれば、税理士に相談するのも手です。

7年間の保存義務がある

源泉徴収簿を作成したら、扶養控除等申告書などとあわせて7年間保管します。源泉徴収簿自体は作成が義務付けられておらず、税務署に提出する必要もありませんが、税務調査や社会保険の調査等に使用されることがあります。

記入漏れを無くす

せっかく源泉徴収簿を作成しても、記入漏れや記入間違いがあると正しい源泉徴収票を作成できなくなってしまいます。毎月の給与明細に書かれている情報ではない、生命保険料の控除金額などの記入漏れ、記入間違いに気を付けましょう。

分からない場合は税理士への相談も

源泉徴収簿に記入する内容は、会計・税に関する知識がないと難しいこともあります。記入間違い、計算間違いで実際よりも多く税を従業員の給与から預かっていた、還付額が多すぎてしまったなどのことがないように、わからないことがあったときには税務署や税理士などに相談して疑問を解消しながら帳簿を作成しましょう。

まとめ

源泉徴収簿を作成しておくと、毎年行う年末調整の業務や源泉徴収票の作成業務がスムーズになります。作成したら、関連する書類とともに7年間は保管しましょう。税務署による調査等が必要になったときに使用する可能性があります。

源泉徴収簿の作成でわからないことがあったときには、税務署に行って話を聞くか、顧問会計士や税理士に相談してみましょう。

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