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2020.11.27
経営 資金

減価償却の計算方法~減価償却の対象と耐用年数

減価償却は、確定申告の書類を作成したり、経営を正しく把握したりする際に必要不可欠です。ここでは、事業の会計処理に必要不可欠な、減価償却の計算方法について説明します。

減価償却の計算方法

減価償却の計算方法には、次の2つがあります。

  • 定額法
  • 定率法

定額法は、固定資産を償却する期間で、毎年一定の額を減価償却費として計上する方法です。定率法は、固定資産を償却する期間、一定の償却率で減価償却費を計上する方法を指します。

定額法

減価償却費を計上する前に、減価償却を行う資産の取得価額と耐用年数を調べます。減価償却できる物品等の法定耐用年数は、耐用年数は国税庁のホームページで調べることが可能です。

減価償却費が毎年一定になる定額法では、「取得価額×定額法の償却率」の計算式で減価償却費を算出します。償却率は、減価償却資産の耐用年数ごとに定められています。減価償却資産の償却率は、こちらからご確認ください。

たとえば、100万円の接客用の応接セットを購入したとき、この物品の法定耐用年数は5年です。耐用年数5年の定額法の償却率は0.200なので、「100万円×0.200=20万円」を5年間費用として計上できます。

定額法を採用することで、帳簿がシンプルでわかりやすくなります。償却する期間の費用が一定額になるので、初期費用を多く見せられるのも定額法の利点といえるでしょう。

定率法

定率法は毎年一定の割合で減価償却を行う方法で、「未償却残高(購入年は取得価額)×定率法償却率」の計算式で算出できます。

先ほど計算した100万円の来客用応接セットを定率法で減価償却するとどうなるのでしょうか。接客用応接セットの法定耐用年数は5年、法定耐用年数が5年のときの償却率は0.500なので、購入した年は「100万円×0.500=50万円」が減価償却費となります。

翌年以降は、「(100万円-これまでの減価償却費の和)×0.500」で減価償却費を算出します。この場合、2年目の減価償却費は「(100万円-50万円)×0.500=25万円」が減価償却費となります。

定率法では、償却額が「償却保証額」を下回ると、以降の計算には改定償却率を用いる点に注意しましょう。償却保証額は、「取得金額×耐用年数に応じた保証率」の計算式で算出します。

償却額が償却保証額を下回った年以降は、「償却保証額×改定償却率」で減価償却費を算出してください。

法定耐用年数による償却率、改定償却率、補償率についてはこちらをご覧ください。

定率法のメリットは、減価償却をはじめてすぐのころの節税効果が大きいことにあります。計算例でも分かる通り、定率法で減価償却費を計上すると、取得年度の減価償却費がもっとも大きくなります。

減価償却のメリット

減価償却のメリット

減価償却を行うことで得られるメリットは次の3つです。

  • 自社の業績を正しく把握できる
  • 利益・納税額の調整が可能
  • キャッシュを払わずに経費計上できる

減価償却をして取得資産を法定年数の間、費用として計上することによって、自社の業績を正しく把握できるようになります。また、減価償却費を計上することで、会計上の利益や納税額の調整もある程度行えます。資産を取得した次の年以降、キャッシュを払わずに経費を計上できるのもメリットといえるでしょう。

自社の業績を正しく把握できる

事業に継続して使用する固定資産を複数年にわたって費用として計上することで、自社の業績を正しく把握できるようになります。もし、購入した資産を取得年度にすべて費用計上したとすると、会計上その年は費用が大きくなりすぎて、利益は小さくなってしまいます。

減価償却を適切に行えば、本来であれば黒字決算だったはずが、費用が大きくなりすぎたことで赤字決算になってしまうなどの事態を防げます。

利益・納税額の調整が可能

前期よりも大きな黒字が出て法人税が高くなりすぎてしまいそうなときは、思い切って設備や機器を刷新して減価償却をするといった方法で利益や納税額を調整できます。

減価償却が可能な高額な資産は、数年間にわたり経費として計上できるので、購入年だけでなく翌年以降も節税の効果が続きます。

キャッシュを払わずに経費計上できる

固定資産の購入を現金一括にした場合、購入年は支払いが発生しますが、翌年以降は減価償却費を経費として計上するだけで資産に対する支払いはありません。資産取得の翌年から法定耐用年数の間は、現金を使わない節税が可能です。

減価償却のデメリット

減価償却のデメリット

減価償却の注意点についても理解しておきましょう。

減価償却は計算方法などが複雑で会計処理にも知識が必要なことから、ミスが起こりやすい部分です。減価償却資産の計上や償却費を間違えてしまって、税務調査で指摘されるという例もあるようです。減価償却を計上する際には、耐用年数の間違いにも気を付けましょう。

また、償却中の資産を処分した場合には、処分したことによって発生した損失を固定資産除却損として計上する必要があります。処分した固定資産を減価償却資産としていると、余分な償却資産税を支払うことになります。償却中の資産を処分したときは、忘れずに除却処理を行いましょう。

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償却資産申告書とは~償却資産税の対象と提出までの流れ

減価償却の対象と耐用年数

減価償却の対象にできる物品等とそれぞれの耐用年数の例です。

減価償却の対象法定耐用年数
パソコン4年
軽自動車4年
業務用冷蔵庫6年
接客用応接セット5年
金属製の看板10年

このように、減価償却の対象にできる物品等とそれぞれの法定耐用年数はあらかじめ定められています。

一括償却とは

一括償却資産とは、20万円未満の固定資産を指します。20万円未満の固定資産の一括償却を行うと、税務上3年間、一括償却資産を損金に計上できます。償却費は、「取得価額の合計額×決算を行う期の月数÷36」で算出できます。

減価償却費とは異なる方法で経費計上を行う点に注意しましょう。

10万円未満は「消耗品費」で計上

10万円未満のパソコンやソフトウェア等の固定資産を購入した場合は、消耗品費として会計処理を行います。消耗品費は減価償却費や一括償却とは違い、単年ですべての額を経費計上するため、翌年以降の経費にはできません。

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まとめ

減価償却費はミスの起こりやすい会計処理ですが、今期は何をいくらで買い、その資産の法定耐用年数はどれだけあるのか、償却率は……というように、順を追って調べていけばそれほど難しくありません。また、減価償却、一括償却、消耗品費の違いを覚えておけば、自社の経営状況に合わせて「経費計上額と支払い税額のバランス」を判断したうえで物品を購入できるようになるでしょう。

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