店舗ビジネスのマーケティングにおいて、顧客行動分析は欠かせない指標のひとつです。顧客の行動を分析してマーケティングに応用することは、さまざまな課題を解決するためのベースになります。
本記事では、エクセルを用いて顧客行動分析を行う方法を紹介するとともに、そのデメリットやほかの方法についても併せて解説いたします。
顧客行動分析とは
顧客行動分析とは、自店を訪れたユーザーの行動を分類し、同じような行動をしているユーザーをグルーピングして分析・理解することで、マーケティングの課題解決に応用していくことです。
近年では、AI技術を用いた顧客行動分析が一般的になっています。例えば、店内に設置したカメラ映像から顧客の性別やおおよその年齢を分析したり、実際のユーザー導線をデータ化し、商品陳列方法の最適化を図ったりする手法が挙げられます。
エクセルで顧客行動分析を行う方法
顧客行動分析を実践するには、エクセルを用いた方法があります。こちらでは、以下の2つの手法の手順を解説していきます。
- デシル分析
- RFM分析
デシル分析
デシル分析とは、いわゆる“お得意様”と呼ばれる優良顧客を明らかにするための顧客分析手法のひとつです。デシルはラテン語で「10分の1」という意味で、この分析手法の名称は、購入金額などを軸に顧客を10に分けることに由来しています。
具体的には、まず過去の購買データを元に、すべての顧客を購買金額順に10個のグループ(デシルランク)に分割します。その後グループ全体の購買行動を分析して、売上貢献度の高い顧客を洗い出し、上位顧客層にターゲットを絞ってアプローチしていくというものです。
デシル分析をエクセルで行う手順は、以下の通りです。
1. 顧客ごとに期間内の累積購入金額を計算する
2. 累積購入金額の降順で顧客を並べる
3. 2のリストを10等分し、デシルランクを割り当てる
4. デシルランクの構成比や傾向を分析する
「デシル分析」の手順について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご参照ください。
関連記事:デシル分析とは?エクセルを使った分析方法について解説
RFM分析
RFM分析は、特定の期間における以下の3つの切り口から、顧客を分類する分析手法です。
- R(Recency):最終購入日からの経過日数
- F(Frequency):購入頻度
- M(Monetary):累積購入金額
デシル分析では購入金額(M)のみで顧客を分類しましたが、RFM分析はさらにRとFの2つの切り口を加えることで、顧客をより多面的に分類できます。これにより、さらにきめ細かなマーケティング施策を実行できるようになります。
デシル分析をエクセルで行う手順は、以下の通りです。
1. 顧客ごとに期間内の累積購入金額、購入件数、最終購入日を集計する
2. 累積購入金額、購入件数、最終購入日によって、R・F・Mのランクを割り当てる
3. R・F・Mの構成を分析する
「RFM分析」の手順について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご参照ください。
関連記事:RFM分析とは?エクセルを使った分析方法やデシル分析との違いを解説
エクセルで顧客行動分析を行うデメリット
エクセルで顧客行動分析を行う場合には、下記の2つのデメリットも存在します。
- 顧客データの反映が遅れる
- データ紛失のおそれがある
顧客データの反映が遅れる
顧客データは常に最新の状態にしておくことが望ましいですが、エクセルでの管理では、データ変更のたびにその都度手入力で更新する必要があるので、作業が追いつかない点が懸念されます。
また、誰がいつ更新したのかという状況の共有も難しいため、何が最新のデータか分かりにくいという点が最大のデメリットとなります。最悪の場合、データの二重入力や先祖返りなどのミスを起こし、顧客データ自体の信ぴょう性を失ってしまうことも。
またエクセルは、数値データを更新してしまうとそれまでの履歴が残らず、過去のデータとの比較がしにくいというデメリットもあります。一方で、履歴を残したいという理由で同じような表をたくさん作ってしまうと、データベースが複雑になり過ぎてしまい、逆に扱いづらくなりますので注意してください。
データ紛失のおそれがある
エクセルに限らず、すべてのデータにいえることですが、独立したファイル形式のデータには紛失や誤削除の不安が付きまとうものです。分析結果をまとめたエクセルは、更新するたびにクラウドサービスにアップロードしたり、常にバックアップファイルを持っておいたりするなど、取り扱いは殊更慎重に行うべきです。
さらに怖いのは、エクセルファイルが流出してしまうことです。特に顧客行動分析のデータは、購買履歴など絶対に他人に知られてはならない情報が含まれているので、ファイルの誤送信やコンピューターウイルスへの感染については、入念な対策を取らなくてはいけません。
エクセル初心者にはCRMシステムがおすすめ
エクセルでの顧客行動分析には、反映の遅延といったデメリットがどうしてもつきまとうため、あらかじめ顧客分析機能が備わっているCRMシステムの利用を検討してみるのもよいでしょう。
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、日本語に直すと「顧客関係管理」という意味になります。顧客情報を一元保存しておくデータベースはCRMシステムと呼ばれ、顧客の情報を収集・分析することで効率的なアプローチを行い、顧客とよりよい関係を構築できることを目的として作られています。
関連記事:CRM戦略とは?構築のメリットや推進方法について徹底解説
顧客行動分析を容易にするPOSレジ
顧客行動分析のベースとなるのは、日々の購買行動を記録した顧客データです。こうしたデータを収集には、やはりPOSレジシステムが欠かせません。
POSレジがあれば、顧客の購買金額やよく来店する時間帯などのデータを取得できることはもちろんのこと、性別やおおまかな年齢といった個人情報も一元管理でき、ビッグデータとして活用することができます。POSレジにより集められた顧客データの活用で、売れ筋商品や季節ごとの売上高も簡単に把握でき、在庫管理・発注業務の効率化も可能です。
関連記事:POSレジとは? POSシステムとの違いや 導入することで得られるメリットを解説
POS+(ポスタス)では顧客分析が簡単にできる
細かい分析をして適切な施策につなげたいと考えたとき、デシル分析では物足りなく感じてしまうかもしれません。しかし、細かい分析になればなるほど難易度は上がり、自力で行うのは難しくなってしまいます。そこで、POSレジ「POS+ retail(ポスタスリテール)」がおすすめです。
POS+ retail(ポスタスリテール)は、小売店向けに特化したPOSレジです。POSシステムで顧客管理をしてくれるので、手作業で情報を管理する手間が省けます。また、わざわざエクセルで表を作らなくても詳細な顧客分析ができるため、忙しいなかでもきちんと分析をして売上向上につなげたい方におすすめです。
まとめ
小売業を営むうえで上、お店に毎日訪れる顧客のデータをマーケティングに活用しないのは非常にもったいないことです。売上アップのヒントはすべて顧客行動分析にあるといっても過言ではなく、少しでも早く取り組みたいもの。CRMシステムやPOSレジを導入して、正確な顧客行動分析を実行してみてください。
よくある質問
顧客行動分析とは、自店を訪れたユーザーの行動を分類し、同じような行動をしているユーザーをグルーピングして分析・理解することで、マーケティングの課題解決に応用していくことです。
代表的な例として「顧客データの反映が遅れる」「データ紛失のおそれがある」の2つがあげられます。こちらの対策としてPOSレジやCRMシステムの導入を検討することをおすすめします。