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2020.09.18
店舗管理 資金

仕入れ原価と売上原価の違い~売上総利益・粗利を増やすには?

店舗の財務管理の負担を減らしたい方へ

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飲食店経営では、原価計算は必要不可欠です。しかし原価には「仕入れ原価」と「売上原価」という似た概念があり、混同しているケースも見受けられます。両者には明確な違いがあるため、きちんと理解しなければなりません。

本記事では、仕入れ原価と売上原価の違いを解説するとともに、飲食店にとって重要な売上総利益を増やすためのポイントも紹介します。

仕入れ原価とは

「仕入れ原価」とは、製品を提供するために他社から購入したものの金額のことです。飲食店であれば、仕入れ原価には料理を作るために卸業者などから購入した食材などが含まれます。

たとえば、カレー専門店でカレーを提供するために野菜やスパイスなどを購入した場合、その購入金額が仕入れ原価となります。

売上原価とは

「売上原価」とは、商品の仕入れや製造にかかる費用のうち、実際に期内に売れた商品にかかった費用のことです。売上原価には、売れ残った商品の仕入れ額や製造費用は含まれません。飲食店の場合、その年度に売れた料理を作るために購入した食材や調味料などの金額が売上原価となります。

たとえば、カフェでランチを10食分提供するために肉や野菜などを購入し、結果7食分だけ作って提供した場合、その7食分にかかった食材などの金額が売上原価です。

仕入れ原価と売上原価の違い

仕入れ原価と売上原価の違い

仕入れ原価と売上原価の違いは、「商品が売れたかどうか」に着目すれば理解できます。

仕入れ原価は、商品が売れても売れなくても、その年度に仕入れたすべてのものの金額を合計したものです。一方で売上原価は、その年度に売れた商品に使われた食材などの仕入額のみが含まれます。

つまり、売れ残った商品を作るためにかかった仕入額を含むか含まないかという大きな違いがあります。

仕入れ原価の計算方法

仕入れ原価は、単純に仕入れにかかった費用を合計すれば計算できます。

たとえば、カフェでランチを提供するために野菜10,000円分と肉15,000円分を仕入れた場合、仕入れ原価は以下のように求められます。

仕入れ原価 = 10,000 + 15,000 = 25,000円

仕入れの計上基準

仕入れを計上するときは、「発送基準」「入荷基準」「検収基準」の3つの計上基準のなかからひとつを選ぶ必要があります。どれを採用しても構いませんが、一度その基準で計上したら途中で変えることはできません。

【発送基準】
発送基準は、仕入れ先が商品を発送した日を計上日とするものです。3つの基準のなかでは、最も早く計上されます。注文したものと届いたものが違う、不良品があるなどの場合は修正をしなければなりません。

【入荷基準】
入荷基準は商品の入荷日に計上するもので、受取基準とも呼ばれます。届いたものの個数や内容にミスがあった場合でも正しい商品が届いてから計上できるため、修正の手間がかかりません。

【検収基準】
検収基準は、納品された商品を検品して問題がないことを確認した段階で計上するものです。計上の時期は3つの基準のなかで最も遅い基準ですが、仕入れた商品の内容やクオリティをきちんとチェックする場合に適しています。

仕入れ原価と消費税

仕入れの際に発生する消費税の処理方法は、「税込処理」と「税抜処理」のいずれかを選択します。

税込処理を採用する場合は、取引を消費税込みの金額で記帳します。仕訳処理が簡単に行えるというメリットがありますが、最終利益が決まるまで損益がつかみにくいというデメリットもあるため注意が必要です。

税抜処理を採用する場合は、消費税抜きの本体価額と消費税の金額に分けて記帳します。消費税をそのつど計上するため、期中でも損益を把握しやすいというメリットがありますが、経理処理に手間がかかるというデメリットがあります。

仕入れ額の決め方

仕入れ額の決め方

利益を出す経営には、仕入れ額が売上金額を超えないことが大前提です。したがって、仕入れ額を決めるには年度の売上目標を立てることが必要です

まず、前年度の売上状況などをふまえて今年度の売上目標を立てます。さらに、前年度の利益率を参考にしながら今年度の利益率の目標を設定します。目標売上額から、目標利益率を元に計算した利益額を引くと、仕入れ額のおよその範囲が決まります。

例えば、今年度の売上目標が100万円、目標利益率は20%のケースを考えてみます。具体的な利益額は売上に利益率をかけることで求めるため、100×0.2=20となり、利益額は20万円となります。仕入額は、売上と利益の差額です。すると、100-20=80となり、仕入額は最大80万円に抑えなくてはならないとわかります。

売上原価の計算方法

売上原価は、実際に期内に売れた商品にかかる費用のことで、売れ残った商品を作るためにかかった費用は含まれません。そのため、在庫が残っている場合は仕入れ額から在庫分の費用を引く必要があります。式で表すと、以下のようになります。

売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 – 期末商品棚卸高

売上原価は、期首商品棚卸高(前期から繰り越された在庫として残っている商品)に当期商品仕入高を加え、期末商品棚卸高を引くことで求められます。言い換えると、期の最初にある商品在庫の金額にその期の仕入れ金額を足して、その期の終わりに残っている在庫金額を引けばよいということです。

売上原価計算の例

売上原価の具体的な計算例として、1つ500円でりんご飴を販売するお店を例にあげて説明します。

先月仕入れたけれど結局使用しなかった1つ200円のりんごが10個あり、今月さらに100円のりんごを150個仕入れたとします。そして、今月末に残ったりんごの在庫は5個でした。このときの売上原価を計算すると、以下のようになります。

売上原価 = 200 × 10 + 100 × 150 – 100 × 5
(売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 – 期末商品棚卸高)
=2,000 + 15,000 – 500
=16,500円

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売上原価と売上総利益(粗利)

売上原価と売上総利益(粗利)

売上総利益(粗利)とは、販売された商品そのものから生み出された利益を指します。つまり、商品の販売によって得られた利益からその商品を作るためにかかっている費用を引くことで算出できる、大元の利益のことです。売上総利益は、商品の売上高から売上原価を引くことで求められます。

売上総利益は、経営において非常に重要なものです。売上総利益を見ることによって、その商品がどれだけ稼げるのかという能力がわかるからです。そのため、売上総利益は常に注視しなければなりません。

売上総利益の計算例

先ほど説明したとおり、売上総利益は商品の売上高から売上原価を引くことで求められます

売上高 – 売上原価 = 売上総利益

たとえば1つ800円の商品の原価が300円であるならば、計算は以下のとおりになります。

800 – 300 = 500円
(売上高 – 売上原価 = 売上総利益(粗利))

これは、売上は800円あったけれど原価として300円かかっているから、純粋な儲けは500円であることを表しています。

飲食店における売上総利益

飲食店で考えると、商品の販売代金から売れた商品を作るためにかかった費用を引くことで、その商品の売上総利益を出すことができます。

たとえば、カフェで1食1,000円のランチを提供していて、売上原価が500円の場合は次のようになります。

1,000 – 500 = 500円
(売上高 – 売上原価 = 売上総利益(粗利))

このように売上総利益を出すことで、そのメニューを売っていくら儲けることができるのかを計算できます。どのメニューを販売してどれくらいの利益を得られるかわかれば、力を入れて売るべきメニューが明確になり、販売戦略も立てやすくなるでしょう。

売上総利益を増やすポイント

売上総利益を増やすポイント

飲食店が利益を出すには、コストを削減するだけでなく、売上総利益を増やすことが大切です。売上総利益を増やすために飲食店ができることとして、以下の3つが考えられます。

  • サービスを強化する
  • 顧客ターゲットを決定する
  • 生産者を明示する

料理の味だけでなくサービス面も強化することで、売上総利益を高められます。たとえば「都会の喧騒から逃れられる静かな空間で料理を提供する」など、付加価値となるサービスを始めることでメニューひとつあたりの販売価格を上げ、売上総利益のアップにつなげます。

顧客ターゲットを明確に設定することも重要です。「ヘルシー志向の女性向けランチ」や「忙しいビジネスマン向けテイクアウト」など、対象者を絞ることでより相手の満足度を高める商品を提供できるようになります。その結果、メニューの単価を上げても十分な来客数を確保でき、売上総利益が高まります。

メニューに生産者情報を明示する方法も効果的です。野菜や肉などを提供するときに、産地や生産者のこだわりなどの情報を見せることで、お客様に安心感を与えられます。その結果、定期的に通ってくれるリピーターが増え、売上総利益を高めることができるのです。

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まとめ

飲食店経営者が知っておくべき仕入れ原価と売上原価の違いを解説しました。原価の計算方法を知ることで経営において重要な売上総利益も計算できるため、両者の違いをきちんと理解しておきましょう。

原価を理解することは、利益を高めるために不可欠です。正しく原価を理解して、健全な経営を目指しましょう。

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