政府が2025年までのキャッシュレス決済比率4割を目指す状況で、2023年にはキャッシュレス決済比率は39.3%を達成しており、日本もキャッシュレス化が進行していることが分かります。
本記事では、キャッシュレス決済の代表ともいえる「QRコード決済」を取り扱っているサービス会社のうち大手6社をピックアップし、それぞれのサービスの特徴について解説します。
出典:経済産業省/ 2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました
QRコード決済サービス一覧比較
日本国内でQRコード決済サービスを取り扱う会社は多数ありますが、代表的な6つのサービスの初期導入費用、決済手数料、入金手数料は以下の通りです。
サービス名 | 初期導入費 | 決済手数料 | 入金手数料 |
PayPay | 無料 | 1.98%(税別) ※ライトプラン加入で1.60%(税別) | ・月1回の入金サイクルの場合は無料 ・早期振込サービス利用の場合は振込利用料0.38%(税別)に振込手数料(PayPay銀行は20円(税別)、その他金融機関は200円(税別)) |
楽天ペイ | 無料 | 2.95%(税抜)~ | 楽天銀行への入金は無料。他行は300円 |
d払い | 無料 | 2.6% | 無料 |
au PAY | 無料 | 2.6%(税別) WeChat Pay / Alipay+の決済手数料は3.25%(非課税) | 無料 早期振込サービス利用の場合、入金ごとに210円(税込) |
メルペイ | 無料 | 2.6% | 1万円以上で無料 |
※2024年10月時点での情報です
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PayPay
PayPay(ペイペイ)は、ソフトバンクとLINEヤフーの合同会社「PayPay株式会社」のQRコード決済サービスです。
2024年時点での国内シェアはナンバーワンで、ユーザー数は6,500万、加盟店数も2023年3月時点で410万カ所を突破し、今最も勢いがあるQRコード決済サービスです。
<導入費用、決済・入金手数料>
費用 | |
初期導入費 | 無料 |
決済手数料 | 1.98%(税別) ※ライトプラン加入で1.60%(税別) |
入金手数料 | 月1回の入金サイクルの場合は無料、早期振込サービス利用の場合は振込利用料0.38%(税別)に振込手数料(PayPay銀行は20円(税別)、その他金融機関は200円(税別)) |
導入のメリット
<店舗側のメリット>
- 専用機器が不要で、最短当日から利用可能
- 「Alipay+」を通して7つの海外キャッシュレスサービスにも対応しておりインバウンド対策ができる
店舗側のメリットとしては、専用機器が不要という点が挙げられます。専用機器が不要となるのは、店舗に表示されているQRコードをユーザーが読み取り、支払金額を入力後に店員に確認してもらう、「読み取り支払い」と呼ばれる支払方法の場合です。
また、PayPayは「Alipay+」を通してタイや韓国、マレーシアでよく利用される7つのキャッシュレス決済にも対応しており、インバウンド対策にも最適です。
<ユーザー側のメリット>
- ポイント還元キャンペーンが充実している
- 操作画面がシンプルで使いやすい
- 加盟店数が多く、いろいろなお店で利用できる
ユーザー側がPayPayを利用するメリットとして、「超PayPay祭」と呼ばれるポイント還元キャンペーンが充実していることが挙げられます。定期的に開催される「超PayPay祭」は、対象店舗で買い物をすれば、抽選で決済金額の0.5%から最大100%のポイントが還元されるキャンペーンです。
また、PayPayのアプリは操作画面がシンプルで、支払いも簡単。さらにPayPay加盟店数は全国で410万カ所以上あり、よく利用するお店がPayPayに対応している場合も多いはず。通い慣れたお店でPayPay払いが選べるのは、とても便利です。
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こんな店舗におすすめ
- 老若男女問わずさまざまな客層が来店するお店
- 来店者数が平均的に多いお店(多くのPayPayユーザーが来る可能性がある)
- 外国人観光客が多く訪れるお店
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出典:PayPay
楽天ペイ
「楽天ペイ」は、楽天株式会社が運用するQRコード決済サービスです。支払いは、「ユーザー向けのスマホアプリに表示されたQRコードをお店で読み取る」もしくは、「お店が提示するQRコードをユーザーのアプリで読み取る」の2種類に対応しています。
<導入費用、決済・入金手数料>
費用 | |
初期導入費 | 無料 |
決済手数料 | 2.95%(税抜)~ |
入金手数料 | 楽天銀行への入金は無料。他行は300円(税込) |
導入のメリット
<店舗側のメリット>
- 新規申込店舗限定でターミナル導入費用が無料
- 「楽天ポイントがたまる店」としてユーザーに訴求ができる
店舗側のメリットは、「楽天ポイントがたまる店」としてユーザーに訴求ができることです。楽天会員ID数は1億以上(※2024年10月末時点)、この層をうまく取り込めれば、大きな集客効果が見込めます。
また、楽天ペイはQRコード決済だけでなく、楽天ペイターミナル、またはカードリーダーを用意することで、クレジットカード決済と電子マネー決済もまとめて導入できることも、運用を楽にしてくれます。入金先を「楽天銀行」の口座に指定すれば、楽天ペイの売上を翌日入金してもらえるので、タイムラグがなく現金感覚で運用できることも魅力です。
<ユーザー側のメリット>
- ポイントの二重取りができる
- 楽天ペイアプリや楽天カードなどを利用すれば、さらにポイントが加算
ユーザーの大きなメリットは、「ポイントの二重取り」ができることです。楽天ペイで決済をすると、紐づけられたクレジットカードに貯まるポイントのほかに、楽天スーパーポイントが貯まります。楽天ペイアプリを使えば、お店での支払いにポイントを使うこともできます。さらに楽天カードを所有していれば、カードを利用するごとに楽天スーパーポイントも獲得できるので、“ポイ活”に興味があるユーザーにはぴったりです。
こんな店舗におすすめ
- ポイントを貯めるのが好きそうな客層が多いお店(スーパー、コンビニなど)
- 来店者数が平均的に多いお店(多くの楽天ユーザーが来る可能性がある)
出典:R Pay
d払い
d払いは、NTTドコモが2018年4月から提供を開始したQRコード決済サービスです。ドコモユーザー以外でも利用できますが、ドコモユーザーである方が何かと利便性が高いという特徴があります
<導入費用、決済・入金手数料>
費用 | |
初期導入費 | 無料 |
決済手数料 | 2.6% |
入金手数料 | 無料 |
導入のメリット
<店舗側のメリット>
- 初期費用や月額固定費が不要
- 解約手数料が無料
- 全国9,481万人のdポイントクラブ会員に訴求できる
d払いを導入するにあたって、店舗側のメリットには、初期費用や月額固定費が不要である点があります。解約にかかる手数料もありませんので、QRコード決済を初めて取り入れるお店には、ハードルが低いサービスだといえるでしょう。全国9,481万人のdポイントクラブ会員に「dポイントが貯まる店」としてアピールすることができ、集客効果が望めることも魅力です。
また、「メルペイ」と「d払い」は共通QRコードでの利用ができるため、メルペイユーザーの取り込みにも期待できます。
<ユーザー側のメリット>
- ドコモユーザーであればクレジットカードが無くても利用できる
- dカードを持っていればdポイントの二重取りができる
ユーザー側のメリットとしては、ドコモユーザーであれば他社に比べて簡単に利用できる点が挙げられます。他のQRコード決済サービスは、利用時に銀行口座かクレジットカードとの連携が必須ですが、d払いは携帯電話料金と合算して支払うことができ、手続きが非常にシンプルです。d払いの支払いに「dカード」を登録しておけば、dポイントの二重取りもできます。
こんな店舗におすすめ
- ポイントを貯めるのが好きそうな客層が多いお店(スーパー、コンビニなど)
- 来店者数が平均的に多いお店(多くのドコモユーザーが来る可能性がある)
出典:d払い
au PAY
au PAYは、2019年4月からKDDIが提供をはじめたQRコード決済サービスです。auユーザー以外でも利用ができ、現在は楽天ペイの一部加盟店でもau PAYの利用ができます。他社に比べて比較的後発のサービスながら、すでに3,574万人が利用しています。
<導入費用、決済・入金手数料>
費用 | |
初期導入費 | 無料 |
決済手数料 | 2.6%(税別) WeChat Pay / Alipay+の決済手数料は3.25%(非課税) |
入金手数料 | 無料 早期振込サービス利用の場合、入金ごとに210円(税込) |
導入のメリット
<店舗側のメリット>
- 初期費用や入金手数料が無料
- どの銀行からでも入金手数料が無料
- Alipay、WeChat payにも対応しておりインバウンド対策ができる
au PAYを導入するに当たって、店舗側のメリットとしては、初期費用や入金手数料が無料という点が挙げられます。さらに、どの銀行からでも入金手数料が無料となっているため、導入・運用に関してほとんどコストが発生せず、なるべく安くQRコード決済サービスを始めたい店舗にとっては大きな魅力です。
また、au PAYでは、「Alipay(アリペイ)」「WeChat pay」も同時に申し込みができ、インバウンド対策にも有効です。
<ユーザー側のメリット>
- auユーザーであればクレジットカードが無くても利用できる
- Pontaパス会員だとポイントが最大4倍
au PAYのユーザー側の最大の魅力は、Pontaポイントをためて支払いに利用することができる点です。また、auユーザーであれば、携帯料金と一緒に支払うことができるので、クレジットカードの登録をしなくても利用がきます。
こんな店舗におすすめ
- 来店者数が平均的に多いお店(多くのauユーザーが来る可能性がある)
- 外国人観光客が多く訪れるお店
出典:au PAY
メルペイ
メルペイは、フリマアプリ最大手・メルカリの子会社が提供する、スマホ決済・QRコード決済サービスです。メルカリ月間利用者数は2,260万人を突破。メルカリの売上金を利用できる利便性の高さや、電子マネーサービスのiD決済、QRコード決済に対応していることから、今後も成長拡大が見込まれます。
<導入費用、決済・入金手数料一覧>
費用 | |
初期導入費 | 無料 |
決済手数料 | 2.6% |
入金手数料 | 1万円以上で無料 |
導入のメリット
<店舗側のメリット>
- d払いとの連携で、全国9,481万人のドコモユーザーに訴求できる
- 期間限定で決済手数料が無料
メルペイを導入するに当たって、店舗側のメリットとしては、d払いとの連携が挙げられます。「メルペイ」と「d払い」は共通QRコードでの利用が可能で、d払いユーザーの来店を促進することで集客率アップが期待できます。最大6ヶ月、決済手数料を無料とするキャンペーンが実施されているのも魅力です。
<ユーザー側のメリット>
- メルカリの売上金を支払いに使える
- 対応店舗が多い
メルペイを利用するユーザー側のメリットは、メルカリユーザーであれば売上金を支払いに使うことができる点です。これまでメルカリの取引で得られた売上金は、メルカリ内での買い物に使うか現金として引き出すしかできませんでしたが、メルペイを通じてコンビニやドラッグストアの支払いに充てることができるようになりました。また、メルペイ決済に対応している店舗が269万カ所(2024年10月時点)と多い点も、使い勝手が良く魅力的です。
こんな店舗におすすめ
- 来店者数が平均的に多いお店(d払いとの連携により、多くのドコモユーザーが来る可能性がある)
- メルカリの利用頻度が高そうな年代(20~40代)がメイン顧客のお店
出典:merpay
QRコード決済の選び方
QRコード決済を選ぶ際に決め手となるのは、以下の2点です。2つのポイントをしっかり比較・検討して、自店に最適なQRコード決済サービスを選ぶようにしてください。
- 手数料・導入コスト
- キャンペーン内容
手数料・導入コスト
QRコード決済を導入する際には、サービスによって初期費用や決済手数料、入金手数料が異なることに注意する必要があります。
基本的には、クレジットカード決済の場合と同様に、QRコード決済によって販売した商品やサービス代金の数パーセントの手数料を、事業者側が各サービス会社に支払うことになります。いったんQRコード決済を導入した後は、こうした手数料支払いが継続的に発生することとなり、お店の利益にも大きくかかわってきます。
ランニングコストと、サービスの利便性やターゲットとするユーザー層とのバランスをしっかり見極め、費用対効果の高い最適なサービスを選ぶようにしましょう。
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キャンペーン内容
QRコード決済サービスを行っている会社はいずれも大手企業が中心で、多額のコストを投じた大規模なキャンペーンを行うことがよくあります。こうしたキャンペーン期間中は、そのQRコード決済サービスを利用する消費者が増加しますので、集客数アップが期待できます。
まとめ
便利なQRコード決済サービスを行って会社は多種多様で、利用手数料がお得になるキャンペーンなども、入れ替わり立ち替わり行われています。どこの会社のサービスにすればいいか迷った際には、あらためて本記事を参考にしてください。
なお、クラウドPOSレジ「POS+」ご利用事業者様も、QR決済端末との連携により、QRコード決済を手軽に導入いただけます。PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAY、メルペイなど、QRコード決裁大手サービスをはじめ、各種決済方式に対応可能です。店舗業務の効率化と売り上げ促進をサポートする「POS+」の導入もぜひご検討ください。