POS(ポス)とは、「販売時点情報管理」を意味する略称で、レジ打ちでの販売データをその都度記録、更新することを指します。POSシステムないしPOSレジとして全国の飲食店や小売店、美容院などで導入が進んでいます。
本記事では、POS(ポス)について、意味や歴史、活用のメリットなどを紹介します。POSを使ったレジ業務の効率化、店舗の生産性向上に関心のある方は、ぜひ参考にしてください。
POS(ポス)とは
POS(ポス)とはどのような意味か、以下で詳しく解説します。
POS(ポス)は「Point of Sales」の略
POSとは、Point of Salesの略で、日本語では「販売時点情報管理」と訳されます。簡単に言うと、お店で商品が売れた際に、その情報(いつ、どの商品が、いくらで売れたかなど)を記録し、管理するシステムのことです。レジで商品をスキャンしたり、会計処理を行う際に使われることが多く、小売店や飲食店などで広く利用されています。POSシステムを使うことで、売上管理や在庫管理が効率的に行えるようになり、経営の改善に役立ちます。
POSシステムとは
POS(ポス)システムとは、飲食店や小売店での売上実績を販売ごとの各時点で集計できる仕組みのこと。POS(ポス)とほぼ同じ意味の言葉と考えてよいでしょう。
POSとPOSシステムの語義の違いをあえて区別するなら、POSは純粋に「販売時点情報管理」という機能ないし現象を表す言葉。対してPOSシステムは販売時点情報管理の仕組み、機器に搭載されるようなものを表すニュアンスの言葉だといえます。
関連記事:POSシステムとは?導入メリットから選定ポイントまで解説
POSシステムとPOSレジの違い
POS(ポス)システムとPOS(ポス)レジの違いは、仕組みか機器かにあります。
POSシステムとは販売データをリアルタイムで集計する仕組みのこと。POSレジとは、そんなPOSシステムを搭載したレジスターのことです。
関連記事:POSレジとは?POSシステムとの違いや導入メリットと機能比較を解説
POS(ポス)の歴史
POS(ポス)についての理解を深めるため、POSレジやPOSシステムの歴史も少し覗いてみましょう。
1878年|POSレジの試作機ともいえる世界初のレジスター誕生
1978年、アメリカで現在のガチャレジやPOSレジの試作機といえる「ダイアルレジスター」が開発されました。世界初のレジスターであるこちらの機器は、数字キーで支払金額を表示させる押しボタン式。
カフェの従業員が売上金をごまかさないよう開発されたこの機器が原型となり、店舗の業務効率化を目的としたレジスター事業は始まりました。
1897年|アメリカから日本にレジスターが輸入される
アメリカでのダイヤルレジスターの発明から19年後の1897年、横浜の貿易商・牛島商会により、日本にもレジスターが輸入。日本初のレジスターは、金額ボタンによって売上を記録できる機能を備えていました。
1910年代以降|百貨店、スーパー、コンビニにレジが普及
日本で初めてレジスターが本格導入されたのは1910年代。三越伊勢丹や高島屋、阪急百貨店などの百貨店が商品の「陳列販売」を始め、精算業務を合理化するツールとしてレジが活用されました。
その後、高度経済成長期にスーパーマーケットが、1980年代以降にはコンビニや専門店もレジを導入。日本の時代ごとで、店舗での買い物、大量消費を支えてきました。
1970年代|POSレジやバーコード(JANコード)が誕生する
1970年代に入り、アメリカでついにPOSレジが誕生します。程なくして商品の識別・登録を合理化するバーコード(UCPコード)も制定され、POSの実用化が進みました。
日本でも1978年に国内向けのバーコード(JANコード)が制定され、POSレジ・POSシステム普及の下地が整えられました。
1982年|セブンイレブンがPOSレジを導入
日本で初めてPOSレジを店舗運営に本格活用したのはセブンイレブン。1982年にセブンイレブン全店舗のレジスターにPOSシステムを導入しました。
POSレジ導入を効果を高めるため、セブンイレブンは商品にバーコード(JANコード)を印刷するように要求。商品の包装等にバーコードが付いている今では当たり前の光景は、この頃から始まりました。
参考サイト:セブンイレブン公式サイト 歴史と数字で知るセブン-イレブン
1980年代以降|オンラインシステムを搭載したPOSレジが主流に
1980年代の後半以降は、オンラインシステムを搭載したPOSレジが主流になります。オンラインで店舗のレジスターと本部をつなぐことで、複数店舗でのデータの一括管理も可能になりました。
また1990年代にはWindowsOS搭載のPOSレジも誕生。Windowsを活用してPOSシステムを構築できるようになったことで開発のハードルが下がり、POSレジの低価格化、一般化が加速します。
2020年現在年代|タブレットPOSレジが人気に
一般にもインターネットが完全に普及した2024年現在、POSシステム・POSレジはますます手軽で身近なものになりつつあります。
POSの一般化を象徴するのが、iPadなどにアプリをインストールして使用するタブレットPOSレジ。データはクラウドで管理されるため、専用のハードウェアは必須でなく、小規模の店舗でも低予算で導入が可能です。
お手持ちのiPadで簡単に使えるタブレットPOSレジの導入をご検討の方は、ぜひPOS+(ポスタス)をご活用ください。
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タブレットPOS(iPad)レジ導入のメリットとデメリット
クラウド型POSレジとは?特徴・メリットから導入事例まで徹底解説
POS(ポス)の今後
POS(ポス)の今後の動向として考えられるのが、クラウドPOSの普及です。
クラウドPOSレジの特長
- 従来のガチャレジやPOSレジより低価格
- インターネット環境さえあれば導入可能
- PC・タブレットでのデータ管理・分析機能
- サブスクリプション(月額料金)で利用できる
- キャッシュレス決済への対応も容易
- システムの改修、更新はメーカーが行う
インターネットを介して利用するクラウドPOSは低価格かつ高機能。手軽に導入できるコスパの良いレジスターとして、中小企業や小規模事業者から選択される割合がより一層増えてくるでしょう。
またDX・キャッシュレス決済・サブスクリプションといった時代のトレンドともクラウドPOSはマッチしています。さらに昨今は、消費税率の引き上げやインボイス制度の開始など、店舗運営への影響が大きい制度変更が相次いでいます。そのため、自社でシステムを構築するより、メーカーにシステム更新を任せられるクラウド型を使うほうが、レジ運用としては簡単といえるでしょう。
そのほか、POSに関連する機器や機能として、セルフレジやモバイルオーダー、無人店舗なども普及が進むと予想されます。
POS(ポス)導入のメリット
POS(ポス)、販売時点情報管理の機能を活用すれば以下のようなことが可能になります。これらはPOSレジ・POSシステム導入のメリットともいえるため、店舗運営者の方はぜひ参考にしてください。
レジ業務の効率化
バーコードスキャンによる迅速な会計処理により、レジ打ち時間を大幅に短縮できます。人為的なミスも減り、お客様への迅速な対応が可能になります。
売上管理の正確化
日別、商品別、時間帯別の売上データを正確に把握できるため、売れ筋商品や季節変動などを分析し、商品企画や販促活動に活かすことができます。また、複数店舗の売上を一元管理することで、経営状況をより正確に把握できます。
在庫管理の最適化
在庫数のリアルタイムな把握により、品切れや過剰在庫を防止し、コスト削減に繋がります。また、売れ筋商品の補充や、売れ残り商品の処分を効率的に行うことで、在庫回転率の向上も期待できます。
顧客管理の強化
顧客の購入履歴や属性データを蓄積することで、顧客一人ひとりに合わせた商品やサービスを提供できます。ポイントカードシステムとの連携により、顧客ロイヤリティ向上にも繋がります。
経営分析の支援
売上データや顧客データを基に、経営状況を多角的に分析することで、売上アップのための施策や、新たなビジネスチャンスの発見に役立てることができます。
不正防止
レジ打ち間違いや不正な引き出しを防ぎ、売上漏れを防止することで、経営の健全化に貢献します。
ペーパーレス化
レシート発行や帳票作成のペーパーレス化により、コスト削減だけでなく、環境負荷の軽減にも繋がります。
レジ担当スタッフの不正防止
レジスター時代は、仮に従業員が釣り銭を盗むなどといった不正行為をしても、「誰が」「いつ」盗んだのかということはわかりませんでした。
しかしPOSレジでは、「誰が」「いつ」レジを担当していたのかということもデータ化されており、万が一レジの釣り銭に差異が生じても、どのタイミングでミスが起きたのか、もしくは盗まれたのかなどということが容易にわかるため、従業員の不正を防止しやすくなりました。
POS(ポス)の種類
POSシステムないしPOSレジには、主に以下3つの分類があります。それぞれで機能性や費用などが異なるため、導入するPOSの種類を選ぶ際の参考にしてみてください。
なお、中小企業や小規模事業者の方におすすめなのは、低予算でも導入できるタブレットPOSレジです。
ターミナル型POS(ポス)
筐体一体型(ターミナル型)POSシステムとは、専用のハードウェアを利用するPOSシステムのことです。自店独自に必要な機能を搭載させるために、ハードウェアとソフトウェアが一体となっています。
そのため、導入までの開発や、導入コスト、導入後のアップデートには多少コストがかかってしまいますが、コスト以上に以下のような大きなメリットがあるので、大手コンビニストアやスーパーマーケットなどで積極的に採用されているシステムです。
筐体一体型(ターミナル型)POSシステムの大きなメリットは、他店とは差別化された機能を搭載できるという点です。
主な例としては、近年コンビニエンスストアやスーパーマーケットで目にする機会が増えた通り、レジに自動精算機システムが搭載されていたり、自店のポイントカードをスキャンする機能がついていたりと、自店独自にカスタマイズされた機能が使えるという点が挙げられます。
パソコンPOS(ポス)
パソコンPOSシステムとは、パソコンに専用のアプリをインストールし、レジスキャナーやドロワーなどの機器を接続したPOSシステムのことです。そのため、パソコンの型式やOSに左右されることなく、簡単にPOSシステムを搭載することができます。
パソコンPOSシステムの大きなメリットは、カスタマイズやアップデートが容易にできる点です。新機能を搭載するときや、アプリの新しいバージョンにアップデートする場合でも、アプリをインストールするだけで済みます。
さらにもし、パソコン本体などの機器の入れ替え等をすることになっても、新しいパソコンに専用のアプリをインストールするだけで、ソフトやデータの継承をスムーズに行うことができます。
また、筐体一体型(ターミナル型)POSシステムよりもコストがかからないというメリットもあります。
自店独自の機能が必要ではない、もしくはアプリで対応できるのであれば使いやすいシステムです。
タブレットPOS(ポス)
タブレットPOSシステムとは、タブレットやスマートフォンにアプリをインストールし、POSレジの代用として使用するPOSシステムです。
筐体一体型(ターミナル型)POSシステムや、パソコンPOSシステムとは違い、全てクラウド上でデータの管理がなされるため、場所を取らずに済み、近年は小規模小売店などでの需要が急速に高まってきています。
上記と重複する面もありますが、タブレットPOSシステムの大きなメリットは、iphone、iPad、Androidなどの小型機器にPOSシステムが搭載できるという点です。
場所を取らずに済むため、個人経営の飲食店や、美容室、エステなどのような小さな規模で展開するサービスとの相性が良いと言われています。
また、筐体一体型(ターミナル型)POSシステムや、パソコンPOSシステムよりも、さらに低コストで初期導入と運用が可能というメリットもあります。
関連記事:タブレットPOS(iPad)レジ導入のメリットとデメリット
高機能クラウドPOS「POS(ポスタス)」がおすすめ
「POS+(ポスタス)」は、小売店、飲食店、美容院、サロンなどにおすすめの高機能クラウドPOSレジです。POS(ポス)が初めての方でも導入・利用しやすい以下のような特長を備えています。
導入がカンタン&スムーズ
「POS+(ポスタス)」の導入の際には、データ入力をはじめとした初期設定や設置は全て担当サポートが対応致します。さらに初めてPOSレジを使用するという方にもわかりやすい、シンプルで直感的な操作性を兼ね備えているので安心です。
多機能&柔軟オプション
「POS+(ポスタス)」は、業種ごとの特殊なシーンにも対応できることが大きなメリットです。売り上げや顧客管理などの基本機能はもちろん網羅し、業種ごと(飲食業・小売業・美容業)に特化した3つのサービスを提供しています。
さらに、初期設定時に不足していた機能がある場合には、必要な機能をすぐにプラスできるという柔軟性を兼ね備えています。
万全の365日無料サポート
「POS+(ポスタス)」は365日いつでも電話サポートを受けることができ、トラブルが起きた時にも安心です。さらに導入費用内であれば、「POS+(ポスタス)」導入店舗スタッフへのトレーニングも利用可能となっています。
まとめ
POS(ポス)とは、店舗の売上実績をレジ打ちのたびに集計、記録する「販売時点情報管理」のこと。POSシステムを備えたPOSレジの導入により、レジ打ち業務の効率化やデータ分析を活かした店舗経営の合理化が可能となります。
よくある質問
POS(ポス)システムとは、飲食店や小売店での売上実績を販売ごとの各時点で集計できる仕組みのこと。POS(ポス)とほぼ同じ意味の言葉と考えてよいでしょう。
POSとPOSシステムの語義の違いをあえて区別するなら、POSは純粋に「販売時点情報管理」という機能ないし現象を表す言葉。対してPOSシステムは販売時点情報管理の仕組み、機器に搭載されるようなものを表すニュアンスの言葉だといえます。
POSシステムを導入することで、様々なメリットが得られます。
レジ業務の効率化、売上管理の正確化、在庫管理の最適化、顧客管理の強化、経営分析の支援などがあげられます。これらのメリットを活かすことで、店舗運営を効率化し、売上アップを目指すことも可能です。
参考サイト:日本経済新聞
矢野経済研究所、国内のPOSターミナル市場に関する調査結果を発表
ローソン、人手不足対応や業務の効率化でタブレット端末と新型POSレジ・自動釣銭機を導入