飲食店における人手不足が懸念されている中で、どのようにして従業員を確保するかお悩みの店舗も多いのではないでしょうか。最近では飲食店でも、さまざまなITツールを活用することで人手不足の解消や業務効率の改善が進むようになりました。
本記事では、ハンディの概要に加えて、導入することによるメリット・デメリットを解説していきます。また、ハンディの選び方に関するポイントもまとめているので、これから導入予定の担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
飲食店向けのハンディとは?
ハンディとは、ハンディターミナルを略したもので、主に飲食店で使われる注文システムです。飲食店のホールスタッフがハンディに注文内容を入力することで、自動的に注文内容がキッチンに送信されます。
従来の注文では紙媒体とペンを使っていたため、注文に時間を要していたり、注文内容を間違えてしまうようなヒューマンエラーが発生したりしていました。また、キッチンまで注文内容を伝えに行かなければならないため、業務の負担につながっていたのがデメリットでした。
一方で、ハンディには端末内に注文情報がインストールされていることから、新たに書き出す必要がありません。また、入力した内容がそのままキッチンに伝わるため、品目や数量などのミスを防ぎやすくなります。このように、ハンディは飲食店の業務効率化に欠かせないシステムといえます。
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飲食店でハンディを導入するメリット
上記でも簡単に触れましたが、飲食店でハンディを導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか。下記の4つのメリットをご紹介します。
- ヒューマンエラーの減少
- 人件費の削減
- 業務の効率化
- 顧客の回転率向上
ヒューマンエラーの減少
1つ目のメリットは、ヒューマンエラーの減少です。冒頭でも解説した通り、従来は紙媒体とペンを使って顧客の注文を取っていたため、聞き間違いや書き間違いなどのヒューマンエラーが発生する可能性がありました。
ハンディでは顧客の注文内容を端末に入力するだけで済むため、ヒューマンエラーの軽減につながります。また、入力した注文データは自動でキッチンに送られることから、伝達ミスを防ぐのにも効果的なのがメリットです。
人件費の削減
2つ目のメリットは、人件費の削減です。従来は、顧客の注文を取るために、ホールとキッチンを何度も行き来する必要がありました。しかし、ハンディを活用することで往来を最小限に抑えられるため、ホールに配置するスタッフの人数を最適化できます。
また、ハンディには全てのメニューが登録されていることから、新しい従業員が入社した際にメニューを覚える必要がありません。結果として教育コストを抑え、人件費の削減につながるのがメリットといえます。
業務の効率化
3つ目のメリットは、業務の効率化です。人件費の削減でも解説した通り、スタッフがホールとキッチンの往来をする必要がないため、時間的な節約が可能となります。また、ハンディを使うことで注文スピードも早くなることから、顧客への提供も従来よりさらに早くなるでしょう。
さらに、ハンディで注文した記録を会計システムと連携させることで、会計業務の効率化も図れます。店舗全体の業務効率が改善し、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
顧客の回転率向上
4つ目のメリットは、顧客の回転率向上です。手書きで顧客からの注文を取り、キッチンに注文内容を共有していた時間を削減し、他の業務に専念させられます。
特に、飲食店が混雑しやすいランチやディナーの時間帯では、ハンディの活用で回転率がさらに向上するでしょう。これによって、リピーターの獲得や売上アップにも期待できます。
飲食店でハンディを導入するデメリット
ハンディは飲食店における大きなメリットになる可能性がある一方で、デメリットにも注意しなければなりません。従来の手書きによる注文方法と比較し、どのようなデメリットが存在するのかをまとめていきます。
- 導入コストが発生する
- 使い始める際の準備が必要となる
導入コストが発生する
まずは、導入コストが発生してしまう点です。ハンディ端末本体の購入費用はもちろんのこと、システム利用のためのコストがかかります。
また、ハンディで登録した注文情報をキッチンに送る際に、インターネット環境が必要となります。その他にも、定期的なメンテナンスやシステムアップデートなどの費用が発生する可能性があるので、導入時にはどれくらいのコストが発生するのかを把握しておかなければなりません。
使い始める際の準備が必要となる
次に、使い始める際に準備が必要な点です。ハンディを実際に現場で使用する際には、従業員への周知が必要となります。店舗で働く従業員が使えないと、そもそもの導入メリットを得ることができません。
他にも、ハンディを店舗のレイアウトやメニュー内容を合わせて設定する必要も出てきます。このように、ハンディ導入時にはさまざまな準備が求められることから、すぐに導入することが難しい点にも注意しなければなりません。
飲食店向けハンディの選び方
飲食店におけるハンディ導入のメリット・デメリットを踏まえた上で、どのようにしてハンディを選べばよいのでしょうか。メリットを最大限発揮するためにも、ハンディの選び方にも注意していきましょう。
- 導入目的を明確にする
- 必要な機能が備わっているか
- 従業員による使いやすさ
- システムが安定しているか
- 導入・運用コストが予算内であるか
導入目的を明確にする
初めに、導入目的を明確にしましょう。ハンディ導入の目的を明確にすることで、店舗にとってどのタイプのハンディが適しているかが見えてきます。
具体的には、店舗で人材不足が課題となっている場合、顧客側に操作してもらうセルフオーダータイプのハンディがおすすめです。セルフオーダータイプのハンディであれば、従業員が操作する必要がないため、人員数が少なくても店舗を運営できます。
1点注意しておきたいのが、利用目的だけにこだわらないことです。店舗のコンセプトや顧客の利便性、顧客層、どれくらい売上を伸ばしたいのかなどのポイントを踏まえた上で、最終的に導入目的を決めるようにしましょう。
必要な機能が備わっているか
次に、ハンディ本体が必要な機能を備えているかどうかです。注文管理や支払い管理、商品管理、レポート作成などの豊富な機能を備えているモデルであれば、現場の作業をさらに効率化できます。
例えば、規模が大きい店舗であれば、注文管理の機能が重要となります。注文管理機能を用いることで、リアルタイムでの注文状況把握が可能となり、ヒューマンエラー防止や回転率向上に役立ちます。
店舗の課題や改善したいことに対してどのような機能を求めているのか、それをハンディ本体が搭載しているかをしっかりと把握するようにしましょう。
従業員による使いやすさ
従業員による使いやすさも注意すべき点です。操作性に優れたタイプや、インターフェースが見やすいタイプのハンディを選ぶことで、実際に使用する従業員の負担を軽減できます。
また、従業員からのフィードバックを参考にすることも大切です。どのような機能があると便利か、端末の大きさ、操作性などを現場から聞き取り、ハンディ導入時や更新時の参考にしましょう。
システムが安定しているか
ハンディのシステムが安定しているかを調べることも大切です。安定性が欠けていると、業務での使用中に端末が急に故障してしまったり、トラブルが多発し顧客から不満が生じてしまったりする恐れがあります。
ハンディの安定さを調べるためには、導入時に提供会社へ相談することが重要となります。過去の実績、トラブルの有無などを聞き取りながら、信頼できるかどうか見極めましょう。
また、ハンディ導入時のサポートや運用中のメンテナンスサービスに加えて、トラブル時の対応についても事前に調べる必要があります。ハンディを安定して使用するためにも、導入前の段階からさまざまな点を確認していきましょう。
導入・運用コストが予算内であるか
最後に、飲食店でハンディを導入・運用する際のコストについてです。ハンディ本体の費用やサービスの月額料金、メンテナンスにかかる費用などのさまざまなコストを調べる必要があります。
特に、ハンディを導入する際には、店舗の環境や状況などに応じて複数の提供会社を比較することが大切です。各社の料金プランを徹底して精査し、コストを抑えられる会社を選定しましょう。
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飲食店向けハンディのおすすめ機能とは
ハンディにはさまざまな機能が備わっていますが、どのような機能を重視するべきなのでしょうか。機能性に優れたハンディを選ぶことで、業務の効率化や従業員の利便性、顧客満足度の向上に大きく貢献します。
そこで、飲食店向けのおすすめ機能を5選紹介していきます。各機能の特徴を把握しながら、どの機能が自店舗にとってよいのかを押さえましょう。
- 注文管理機能
- 調理指示機能
- リアルタイム集計機能
- テーブル管理機能
- 売り切れメニューへの対応機能
- レジ転送機能
注文管理機能
注文管理機能とは、従業員がホールで顧客から注文を取った後にハンディに入力し、その情報をキッチンに伝えるための機能です。
ハンディの基本的な機能であり、注文管理機能によって注文業務における効率化を狙えます。また、注文管理機能の中には、各テーブルの配膳完了状況の可視化や、提供が遅れている品目や顧客からの問い合わせへの対応が可能な機能を備えているものもあります。
調理指示機能
調理指示機能は、顧客の注文を取ってからホールにデータを送る際に、細かい部分の調理指示を併せて送る機能を意味します。
具体的には、顧客が苦手なものを取り除いた状態で調理を始める、顧客のアレルギーに応じて調理方法をアレンジするなどの指示が送れます。特に多い調理指示を登録しておけば、キッチンへの指示を簡素化することが可能です。ハンディに直接メモを残せるモデルもあるので、必要に応じて選ぶようにしましょう。
リアルタイム集計機能
リアルタイム集計機能とは、顧客からの注文情報をリアルタイムで集計していき、データとして表示させられる機能のことです。
売上状況や料理の素材に関する在庫状況をリアルタイムで把握できます。また、人気メニューが集中して注文された際に、キッチンで仕込むタイミングを決める用途にも使えるでしょう。
テーブル管理機能
テーブル管理機能は、店舗における空席状況をリアルタイムで把握する機能です。どのテーブルが空席なのかを可視化するため、顧客へのスムーズな案内が可能となります。
また、各テーブルにおける料理の提供状況を把握するのにも役立ちます。どの料理がまだ提供されていないのかを確認できるようになり、顧客への満足度向上にもつながるでしょう。
売り切れメニューへの対応機能
売り切れメニューへの対応機能は、売り切れになりやすいメニューを事前にハンディに登録することで、残数管理が行える機能です。
品切れが発生した段階で、ハンディを通して在庫切れであることが表示されるため、品切れメニューの注文を防げます。
レジ転送機能
レジ転送機能とは、ハンディで取得した注文情報をレジに転送する機能です。顧客から注文を受けたデータをレジに転送することで、会計時の精算を正しく行えます。
さらに、レジ転送機能があれば、注文内容が変わったときにも修正した注文データがレジに転送されます。会計した後も注文情報がそのまま転送されることから、顧客が支払った会計情報をいつでもチェックできるのです。
ハンディを使った飲食店でのオペレーション例
ハンディを取り扱う際には、店舗でオペレーションを確立させる必要が出てきます。どのような手順でハンディのオペレーションを組めばよいのか、下記の4つのステップを解説していきます。
- 顧客からの注文
- キッチンへの伝達
- 顧客への配膳
- 注文情報をもとに会計
手順1. 顧客からの注文
ハンディでは、これまでと同じように最初に顧客から注文を取ります。顧客から受けた注文を、ハンディに表示されているメニューから選ぶだけで済みます。
また、顧客への復唱に関しても、ハンディの注文一覧から一つずつ読み上げていけば完了です。従来の手書きでの注文方法と異なり、紙媒体に残す必要がなく正確に注文が取れます。
手順2. キッチンへの伝達
注文が完了した後は、キッチンに伝達します。ハンディに登録した注文情報は自動的にキッチンに送信されるため、従業員自身がキッチンまで行く必要はありません。
キッチン側は自動で受信した注文情報をもとに、調理を開始していきます。手書きによる注文ミスを防げるだけでなく、キッチンへの注文情報伝達が早まるため、店舗全体における回転率向上につながります。
手順3. 顧客への配膳
キッチンでの調理が完了した後は、料理を各テーブルに配膳していきます。キッチンへのオーダーは、ハンディで注文を取った順番に流れてきます。そのため、注文順の配膳が可能となり、スムーズな配膳業務を進められる他、顧客からのクレーム防止にも役立つでしょう。また、どのテーブルで、どの注文がされたのかを可視化するため、配膳ミスを防げるメリットもあります。
手順4. 注文情報をもとに会計
最後に、注文情報をもとに会計を進めていきます。店舗でPOSレジを導入している場合、注文を取ったときに自動でPOSレジにデータが送られます。
これまでの会計業務では、顧客が最後の料理を受け取ったときに伝票を渡し、レジに伝票を持ってくることで全ての会計を行っていました。しかし、ハンディとPOSレジを組み合わせれば、ハンディで取った注文情報がそのまま送られるため、伝票の渡し間違いや会計漏れを防ぎやすくなります。
よくある質問
「ハンディ導入時の設定は難しい?」というものです。基本的に、どのハンディにも取り扱い説明書が付属しているため、説明書通りに設定すれば特に難しくはありません。
とはいえ、初めて扱う機器であることから、心配される方も多いでしょう。その場合、導入時のサポート体制が付いているサービスだと安心できます。また、細かい設定を行う場合には、専門のスタッフにも問い合わせましょう。
ほとんどのハンディでは、注文情報を登録すると、キッチン内に設置したプリンターにデータが送られる仕組みを採用しています。
その後、注文情報が記載された伝票が印刷され、キッチン内で共有できるようになります。このとき、注文した順番で印刷される他、細かい調理指示も伝票に記載されるので、キッチンでは指示通りに調理を進めていくことが可能です。
ハンディの機能は注文内容を登録して印字するだけではありません。ハンディ上で手書きが可能なタイプや、メモを残せるタイプもあります。
キッチンにも注文情報に加えたメモが送信されるため、細かい注文を反映した料理の提供が可能です。アレルギーを持つ顧客や、苦手な素材を避けたい顧客にとって便利な機能です。
まとめ
ハンディは、飲食店における人手不足の解消に貢献するだけでなく、店舗全体での業務効率改善にも役立ちます。また、回転率を向上させるきっかけにもなり得ることから、売上アップにも期待できます。
とはいえ、ハンディを最大限活用していくためには、どのようなポイントに着目して選ぶかが重要となってきます。機能性や使いやすさ、コスト、導入目的などを挙げていき、店舗にとって効果的なツールになるようにしましょう。
参考サイト:関東経済産業局「令和5年度市場競争環境評価調査」
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