QRコード決済は、ここ数年で飛躍的に利用数が増加している決済方法です。QRコードを端末にかざすだけで料金を支払うことができ、キャッシュレス決済の中でも、身近で手軽な決済方法となっています。ユーザーのニーズも高く「自店でもQRコード決済を導入したい」と考えている経営者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、QRコード決済の種類や使い方、メリット・デメリット、導入方法などについて詳しく解説します。また、導入時にチェックしておきたいポイントもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
QRオーダーとは?
QRオーダーとは「QRコード」をスマホで読み取って、メニューの閲覧・注文までを一括で行うシステムです。QRオーダーは、主に2種類のスキャン方法があります。
- ストアスキャン方式:顧客がスマートフォンにQRコードを表示させて店舗の端末でスキャンする方式
- ユーザースキャン方式:店側が提示したQRコードを顧客がスキャンする方式
いずれの方法でも、QRコードに紐づけられた口座やクレジットカードから支払いが行われます。決済サービスによっては、どちらか一方の方法しかできない場合があるので、事前に調べておくと良いでしょう。
タブレットオーダーとの違い
顧客自身がオーダーするシステムには、QRオーダーとタブレットオーダーがあります。上記の通り、QRオーダーは、顧客がスマートフォンを使ってQRコードを読み取り、注文から決済までを行います。
一方でタブレットオーダーは、テーブルに設置されたタブレットを顧客が操作し、注文します。タブレットには、店員の呼び出し機能や注文金額の確認など、さまざまな機能が搭載されています。
QRオーダーの流れ
QRオーダーは、顧客自身がテーブルに用意されたQRコードをスマートフォンで読み取り、注文を開始していきます。専用のWebページやアプリなどからメニューの閲覧・注文が可能で、注文情報がそのまま店舗側に送信されます。
また、顧客が注文した商品や注文の合計金額に関しても、QRコードごとに管理します。顧客はレジにそのまま向かい、注文データをもとに決済できます。
QRオーダー導入のメリット
では、店舗でQRオーダーを導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。以下、4つのメリットについて詳しく解説していきます。
- お金の管理が簡単
- 店舗の利益向上
- タブレットオーダーより導入コストが安価
- リピーターを含む客層の拡大
お金の管理が簡単
1つ目のメリットは、店舗におけるお金の管理が簡単になることです。QRオーダーでは、現金でやりとりを行う必要がないため、顧客から預かったお金の数え間違いや、つり銭の渡しミスをなくせます。
閉店後のレジ締め作業に関しても、売上金を手作業で確認する必要がなく、現金よりも管理が容易です。また、店舗で保管する現金の額を減らせる可能性もあり、現金の管理において盗難リスクも軽減できます。
店舗の利益向上
2つ目のメリットは、QRオーダーの導入により、店舗の利益向上にもつながる可能性があることです。というのも、従来行ってきたレジでのオーダーよりも、顧客の回転率が高まり、機会損失を減らせられるためです。
また、レジ業務に充てる従業員が必要でなくなることから、人件費の削減にも効果が期待できます。ほかのポジションに従業員を割り当てることで、顧客の満足度向上にもつながります。
タブレットオーダーより導入コストが安価
3つ目に、QRオーダーは、タブレットオーダーよりも導入コストが比較的安価である点もメリットといえます。タブレットオーダーは、各テーブルにタブレットを設置する必要があるため、初期導入コストだけでも負担になってしまいます。
一方で、QRオーダーシステムであれば、基本的にQRオーダー専用のWebサイトのみを作成します。タブレットのように機器を導入する必要がなく、店舗はコストをかけることなく始められるのがメリットです。
リピーターを含む客層の拡大
最後に、リピーターを含む客層の拡大も、QRオーダーのメリットです。QRオーダーを導入することで、支払いをクレジットカードに限定している人や、現金を持ち合わせていない人にも利用してもらいやすく、リピーターの獲得にもつなげることができます。
また、訪日外国人が増加するなかで、QRコードは多言語にも対応できます。外国人顧客も安心して利用できることから、客層を大きく伸ばしやすくなるでしょう。
QRコードオーダー導入のデメリット
QRオーダー導入は、店舗・顧客両方にとって多くのメリットがあります。しかし、導入する際には、デメリットにも注意しなければなりません。
以下のデメリットも、しっかりと押さえましょう。
- システム障害のリスクに備える必要がある
- 慣れるまでに時間がかかる
- 定期的にメニューの更新作業が発生する
システム障害のリスクに備える必要がある
QRオーダー導入におけるデメリットとして、まず、システム障害のリスクに備える必要があります。対面式の注文であれば、口頭でのやり取りで進められますが、QRオーダーではシステム障害が発生すると注文自体が行えなくなる可能性があります。
つまり、システム障害が発生しないように日々メンテナンスを実施し、専門スキルを有する人材を新たに雇用する必要が出てきます。システム障害のリスクに備え、顧客に不便を与えないようにしなければなりません。
慣れるまでに時間がかかる
次のデメリットとして、QRオーダーに慣れるまで時間を要することです。QRオーダーに限らず、新しい決済方法は従業員だけでなく、顧客も不慣れな状態から始まります。
対策としては、QRオーダーの手順を店内に表示することや、説明役となる従業員の配置を検討しましょう。QRオーダーは効率化につながるものの、慣れるまでの期間を考えることが大切となります。
定期的にメニューの更新作業が発生する
最後に、Webページ上のメニューを定期的に更新する作業が発生することも、QRオーダーを導入するデメリットです。もちろん、テーブルオーダーでもメニューは定期的に更新しなければなりませんが、売り切れ時に誤注文が発生しないように、システムを調整する必要が出てきます。
特に、日替わりメニューや期間限定メニューなどは、都度更新の作業が必要です。メニューの更新作業を仕組み化し、トラブルなく対応できるようにしましょう。
QRオーダーの導入方法
QRオーダーは、店舗の集客力強化や利益拡大に不可欠なサービスです。そこで、これからQRオーダーを開始するにあたり、必要となる導入方法をステップ別に解説していきます。
- ステップ1.QRオーダーのサービス選定
- ステップ2.通信環境の整備と加盟店申請
- ステップ3.サービスの利用開始
ステップ1.QRオーダーのサービス選定
はじめに、QRオーダーのサービス選定です。店舗の利用顧客層やターゲット層を分析し、最適なQRコード決済サービスを比較検討していきます。
特に、海外からのインバウンド需要を強化したい場合には、国内企業が提供しているサービスだけでなく、海外企業が提供している「銀聯QR」「Alipay(アリペイ・支付宝)」「WeChat Pay(ウィーチャットペイ・微信支付)」などの決済に対応したサービスを選定しましょう。
ステップ2.通信環境の整備と加盟店申請
QRオーダーのサービス選定をしたあとは、通信環境の整備と加盟店申請を行います。QRオーダーは、顧客のスマートフォンで注文してから、店舗で注文情報を確認します。
この注文情報を受信するためには、インターネット環境が必要となります。また、QRコード決済会社もしくは、QRコード決済サービスの取り扱いがある決済代行会社へ加盟店申請を行うことで、サービスが利用できます。
ステップ3.サービスの利用開始
インターネット通信環境や加盟店申請が済んだら、いよいよQRオーダーの利用が開始となります。ただし、注文方法をQRオーダーだけにすると、これまでのレジ注文やテーブル注文に慣れていた顧客が混乱してしまいます。
まずは、従来の注文方法と同時に開始し、従業員や顧客が慣れてきてからQRオーダーに統一するのも戦略となります。QRオーダー導入後は、顧客からのフィードバックを取りながら、改善点も探していきましょう。
QRオーダーを導入する際のポイント
QRオーダーを店舗に導入する際には、複数のサービスで比較してみましょう。どのようなポイントに注意しながら、サービスを選定すれば良いのかをまとめていきます。
・顧客側での注文のしやすさ
・外部サービスとの接続
・POSレジ機能との連携
・集客に活用可能な機能
・QRコードオーダーの対応言語
・多店舗管理できるかどうか
顧客側での注文のしやすさ
1つ目のポイントは、顧客側における注文のしやすさです。具体的には、QRコードをスマートフォンで読み取ってからメニュー画面までスムーズに遷移可能か、メニュー画面はスマートフォンからでも見やすいか、注文までのステップが分かりやすいか、といったポイントが挙げられます。
上記のポイントが押さえられないと、顧客に不満を感じさせてしまったり、注文前の段階で店舗から退店されてしまったりする可能性があります。導入前に基準を設け、顧客フレンドリーなQRオーダーにしましょう。
外部サービスとの接続
次に、外部サービスとの接続です。QRオーダーサービスのなかには、独自のWebサイトやアプリだけでなく、外部サービスを通じて注文するものもあります。
例えば、LINEに対応したQRオーダーサービスを導入すれば、日常的にLINEを利用しているユーザーにとっては、注文のしやすさにつながります。このように、ユーザーが使い慣れているSNSと連携したサービスであれば、スムーズに利用できます。
POSレジ機能との連携
店舗側にとって、POSレジとの連携に対応したサービスであることも重要です。POSレジとは、POS機能を備えたレジのことで、売上情報や在庫管理、顧客情報といった店舗に欠かせない情報を集約させられるものです。
QRオーダーとPOS機能が連携可能であれば、会計処理や売上管理がより一層便利なものとなります。店舗の資産となるデータを蓄積したい場合には、POSレジとの連携に対応したサービスを選びましょう。
集客力向上に役立つ機能
3つ目のポイントは、集客力向上に役立つ機能です。例えば、QRオーダーを介して会員登録を促す機能が搭載されていれば、リピート顧客の獲得につながります。
また、店舗のお得情報やクーポンの配布を行うことで、売上単価の向上にも活かすことができます。QRオーダーサービスを導入するだけでなく、集客に活かせられるような機能が備わっていると、さらなる売上拡大が期待できます。
QRオーダーの対応言語
インバウンド需要を強化したい店舗では、QRオーダーサービスの対応言語も確認しましょう。特に、観光地にある店舗では、外国人応対をスムーズに行うためにも、語学堪能な従業員を配置するだけでなく、QRオーダーサービス自体が複数言語に対応していると安心です。
対応言語としては、英語はもちろんのこと、中国語・韓国語といったアジア圏の言語が挙げられます。また、特定国の外国人が多い地域では、上記以外の言語も対応しているか確認してみてください。
多店舗管理機能の有無
他店舗管理機能とは、複数店舗で売上情報や顧客情報といったデータを共有したり、メニュー表を一括で管理したりするといったことが可能な機能です。チェーン店をはじめ、複数の店舗を運営している企業に便利な機能といえます。
複数店舗で情報を一元化することで、業務の効率化や集客力の強化につなげられます。今現在で他店舗経営している事業者だけでなく、今後に複数店舗を展開する予定があれば、他店舗管理機能もチェックしましょう。
まとめ
QRコード決済導入の手順はシンプルで、端末などの操作も難しいものではありません。QRコード決済サービスを取り扱っている会社は多種多様にありますので、まずはどのサービスを利用するのか、じっくり検討することが大切です。本記事を参考に、QRコード決済のスムーズな導入を実現してください。
なお、クラウド型モバイルPOSレジ「POS+」のご利用事業者様も、QRコード決済端末との連携により、QRコード決済を手軽に導入いただけます。PayPay・楽天ペイ・d払い・au PAY・LINE Pay・メルペイなど、QRコード決済大手サービスをはじめ、各種決済方式に対応可能です。店舗業務の効率化と売り上げ促進をサポートする「POS+」の導入もぜひご検討ください。