QRコード決済は、スマートフォンから手軽に支払えることから注目を集めている決済手段です。多くの企業がQRコード決済サービスを進めている中で、他のキャッシュレス決済と比べて手数料はいくらくらいなのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事ではQRコード決済の手数料に関して解説していきます。また、主なQRコード決済サービスの手数料や、事業者にとっての導入メリットもご紹介します。
QRコード決済とは
QRコード決済とは、QRコードやバーコードをスマートフォンで読み取り、専用アプリを用いて決済する方法です。顧客が店舗に設置されているQRコードをスキャンすることで、決済をスムーズに行えるのが特徴です。
なおQRコードには、上記のように顧客が店舗に設置されているQRコードを読み取る「ユーザースキャン方式」と、顧客のアプリ画面を店舗が読み込む「ストアスキャン方式」の2種類の決済方法があります。事前に専用アプリにチャージした残額や、決済アプリに登録したクレジットカードや銀行口座などから支払いが行われます。
関連記事:QRコード決済サービス一覧~メリットやおすすめポイントを比較!選び方のコツも紹介
QRコード決済の主な手数料
キャッシュレス決済の需要が高まる一方で、事業者がQRコードを導入する際にはさまざまな費用が発生します。初期費用、決済手数料、振込手数料について、どのような内容の費用なのか確認しましょう。
- 初期費用
- 決済手数料
- 振込手数料
初期費用
まずは、QRコード導入における初期費用です。基本的に、QRコード決済には「ユーザースキャン式」と「ストアスキャン式」の2種類があります。
前者のユーザースキャン方式は、店舗に設置されたQRコードを顧客がスマートフォンで読み取り、専用アプリを介して決済を行うため、専用機器の導入が不要です。
一方、後者のストアスキャン式のQRコード決済サービスでは、店舗側で顧客のQRコードを読み取る必要があることから、QRコードを読み取るスマートフォンやタブレットといった端末を購入する必要があります。またストアスキャン式の場合は、インターネット通信環境も用意しなければなりません。
上記の通り、ユーザースキャン式のQRコード決済であれば基本的に初期費用は無料です。一方でストアスキャン式であれば、専用端末購入コストやインターネット通信費用が発生する点に注意しましょう。
決済手数料
次に、決済手数料です。クレジットカード決済と同じように、QRコード決済でも決済手数料が発生します。決済手数料はQRコード決済サービスごとに異なり、1〜3%ほどの手数料がかかります。
また、店舗での決済とオンライン決済で手数料が異なる場合がある点にも注意しましょう。QRコード導入時には、各サービスで決済手数料を比較し、売上額に対して手数料がいくらになるかを把握しておくと安心です。
振込手数料
最後に、振込手数料です。振込手数料とは、売上時に決済手数料を引いた金額が金融機関の口座に振り込まれるときに発生する手数料です。
QRコード決済サービスによっては、指定した金融機関の口座と紐付けることで、振込手数料が無料になることもあります。ただし、指定口座以外への振込や早期の入金を希望する場合には、別途振込手数料が発生する場合がある点に気を付けましょう。
主なQRコード決済サービスの手数料一覧
さまざまなQRコード決済事業者がサービスを提供していますが、手数料はいくらなのでしょうか。各QRコード決済事業者の手数料を一覧でご紹介していきます。
- PayPay
- d払い
- 楽天ペイ
- au PAY
関連記事:QRコード決済の手数料はいくら?決済サービスの手数料一覧や導入メリット
PayPay
PayPayは、PayPay株式会社が運営するQRコード決済サービスです。登録ユーザー数は6,500万人を超えており(2024年8月時点)、QRコード決済サービスの中でも人気が高い決済方法です。
初期費用は無料で、加盟店側の決済手数料は1.60%、または1.98%です(2025年1月時点)。決済手数料を1.60%に抑えるためには、「PayPayマイストア ライトプラン(月額1,980円・税別)」への加入が必要となります。業界内でも手数料が比較的安く、負担を最小限に抑えられます。
参考サイト:PayPay株式会社
「PayPay」の登録ユーザー数が6,500万を突破!
キャッシュレス決済導入を検討中の店舗オーナー様へ
関連記事:PayPay加盟店の手数料はいくら?導入時のコストやメリット
d払い
次にd払いは、NTTドコモが提供するQRコード決済サービスです。Docomoの回線を契約していなくても、d払いのみが登録できます。d払いは初期費用が無料で、加盟店決済手数料は2.6%です。(2025年1月時点)
参考サイト:NTT DOCOMO d払いの手数料はいくらかかる?導入メリットや注意点を解説
関連記事:d払いの決済手数料はいくら?導入メリット・デメリットや入金サイクル
楽天ペイ
楽天ペイは、楽天が運営するQRコード決済サービスです。楽天市場で獲得したポイントを使えることから、楽天ユーザーの集客に効果的です。
楽天ペイの加盟店決済手数料は、2.95%です(2025年1月時点)。また、楽天銀行を振込指定口座に登録すると、前日分の売上が翌日に入金されるため、安定したキャッシュフローを実現できます。
参考サイト:楽天ペイメント株式会社「店舗決済サービス」
関連記事:楽天ペイの決済手数料はいくら?決済方法の種類や導入メリット
au PAY
au PAYはKDDI株式会社が運営するQRコード決済サービスで、au回線契約ユーザーはもちろん、auユーザー以外の利用者を含めて2024年11月時点で会員数は3,600万人を超えます。また、au PAYの決済手数料は2.6%(2025年1月時点)で、入金手数料や早期振込サービスの事務手数料は無料となっています。
参考サイト:auペイメント株式会社「auPAY」
QRコード決済導入のメリット
QRコードを導入することで、事業者にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。今後、QRコードの導入を検討している方は、メリットをしっかりと確認しておきましょう。
- 会計業務の効率化につながる
- 現金管理の手間やミスを減らせる
- 高い集客効果が期待できる
- 売上管理をデータ化しやすい
- 導入コストが比較的低い
会計業務の効率化につながる
1つ目のメリットは、会計業務の効率化につながることです。これまでの現金決済では、顧客から現金を受け取り、レジ操作を行い、お釣りを顧客に渡すという一連の作業が必要であったことから、一定の時間を要していました。レジ操作や現金の受け渡しに手間を取ると、レジが混雑してしまい、顧客の不満につながる恐れがあります。
QRコードは、専用のQRコードやバーコードを読み取るだけで決済が行われるため、会計業務にかかる時間や作業の負担を減らせます。レジ操作の手間を軽減し、会計業務の効率化が期待できます。
現金管理の手間やミスを減らせる
QRコード決済を導入することで、会計業務の効率化に加えて、金銭管理の手間を省いたり人的ミスを減らしたりできます。現金決済のみしか対応していない店舗では、売上の管理や釣り銭の準備などが必要であるほか、人的ミスも発生する可能性がありました。
一方でQRコード決済は、現金を取り扱う必要がなくなるため、会計時における人的ミスの減少につながります。導入時や運用における負担もほとんどありません。
高い集客効果が期待できる
高い集客効果が狙えることも、QRコード決済のメリットです。スマートフォンの利用者が増加し、キャッシュレス決済が普及している中で、QRコードを導入することで多くの消費者からの利用が期待できるためです。
またさまざまなQRコード決済サービスで、定期的にクーポンを配布したり、消費金額に応じてポイントを還元したりと消費者がお得に利用する環境が整っています。このように、顧客はQRコードを用いて購買行動を起こしやすい状況であり、店舗にとっては高い集客効果が狙えるということです。
売上をデータとして管理できる
従来の現金決済では、店舗の営業時間終了後にレジ締め作業を行う中で、売上管理に手間と時間がかかっていました。また、人間が売上金を計算しているため、どうしてもミスが発生してしまう可能性がありました。
QRコード決済であれば、顧客が購入した商品や金額が自動的にデータ化されることから、計算・入力ミスが防げます。また専用の管理画面から、売れ筋商品の分析や売上が良い時間帯などの可視化が可能で、マーケティング施策にも生かせるのがメリットです。
導入コストが比較的低い
QRコード決済は、さまざまなキャッシュレス決済サービスの中でも導入コストが安い点がメリットでもあります。ストアスキャン方式だと、店舗でスマートフォン・タブレットといった端末を導入するコストが発生します。しかしユーザースキャン方式であれば、店舗にQRコードを設置するだけでよく、導入コストは基本的に発生しません。
また決済手数料も安く、クレジットカードの決済手数料が3〜10%である一方で、QRコードの決済手数料は高くても3%程度です。導入コストを抑えながらキャッシュレス化を実現したい店舗にとって、QRコード決済は魅力的な選択肢になります。
QRコード決済導入時の注意点
QRコード導入には多くのメリットがある一方で、注意しておかなければならない点もあります。事業者がQRコード決済導入後に注意するべきポイントについて、下記の通りまとめていきます。
- QRコードの扱いに注意する
- 入金までに時間を要する
- 他の決済方法と比べて利用者が少ない
QRコードの扱いに注意する
QRコード決済導入時の注意点として、QRコードの扱いが挙げられます。QRコード決済は、スマートフォンでQRコードを読み取るだけで決済まで可能なシンプルな支払い方法ですが、リスクも潜んでいる点に注意しなければなりません。
例えば、QRコードのすり替えです。QRコードをすり替えられてしまうと、店舗にお金が支払われることなく、全く異なるアカウントに送金されてしまいます。このような不正が発生するリスクが存在することも考慮した上で、トラブルが発生しないように気を付けましょう。
入金までに時間を要する
次に、入金までに時間を要することです。QRコード決済による売上金は、即時入金はされません。というのも、売上金はQRコード決済事業者を経由して、店舗に振り込まれるためです。
つまり、QRコードでの売上金の入金に時間がかかることから、キャッシュフローに影響を及ぼす可能性があります。早期入金が可能なサービスもありますが、手数料がかかってしまう点にも注意しましょう。
まとめ
QRコード決済は、状況によっては初期費用が発生しないため、コストを抑えながら導入できます。決済手数料もクレジットカード決済と比較すると安く、企業にとって負担を軽減しながら決済手段を増やせるのがメリットです。
またQRコード決済は、手数料が安いだけでなく、会計業務の効率化につながる上に高い集客効果にも期待できます。セキュリティの部分に注意する必要はありますが、キャッシュレス決済が注目される中で導入しておきたい決済方法といえます。
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よくある質問
基本的に、QRコード決済を導入するためには、基本的に専用の端末や機器は必要ありません。スマートフォンまたはタブレットとQRコード決済サービスに対応したアプリがあれば、すぐに使用できます。事前にQRコード決済サービスの加盟店登録を済ませておく必要があります。
QRコード決済導入時に、店舗スタッフへの教育は重要です。QRコード決済を利用する際の操作方法を事前に教育し、トラブル対応の基本を確認しておくことをおすすめします。特に、エラーが発生した場合や支払い確認を行う際の注意点について指導することが重要です。
参考サイト:日本経済新聞
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