飲食店のメニュー開発は時間も手間もかかる大変な作業ですが、顧客数確保のためには手を抜ことはできません。
本記事では、飲食店のメニュー開発における一般的な流れを説明したうえで、メニューを開発する際に注目したいポイントについても解説します。
飲食店のメニュー開発の流れ
飲食店のメニュー開発は、一般的に以下の流れで行われます。
- 顧客ニーズの把握と整理
- メニューの目的・コンセプトを明確にする
- 原価計算
- レシピの作成
- 食器・食材選定
- 盛り付け
- ネーミング
- 試食
顧客ニーズの把握と整理
メニュー開発を成功させるために、まず「定番メニュー」と「新メニュー」、どちらが必要なのかを見極めましょう。
「定番メニュー」とは、多くのお客様の来店動機となり得る、いわゆる看板メニューのことです。売上の軸を担うため、原価率などを慎重に設定する必要があります。
一方、「新メニュー」は通常のメニューとは一線を画すメニューです。新しいお客様に来店してもらうため、そして既存のお客様を飽きさせないための位置づけとして、いつもとは違う切り口や大胆なアレンジで遊び心を感じさせるメニューにするのもいいでしょう。
現在の売上や顧客のニーズを適切に把握・整理して、いま必要なのはどちらのメニューなのかを判断することが、メニュー開発の第一歩になります。
メニューの目的・コンセプトを明確にする
開発するメニューのターゲットは誰か、お客様にどのような体験を提供できるのかを考え、目的やコンセプトを明確にします。お店として作りたいものではなく、お客様目線で何が求められているかを考えてみてください。
たとえば、ヘルシー志向で女性ウケのよい料理を提供するお店では、野菜やタンパク質がメインとなるヘルシーなメニュー開発は、お店のコンセプトに合った良いメニュー開発といえます。
原価計算
メニュー開発では、原価計算は必須です。レシピの作成や新メニューに使う食材の選定などと並行して、原価の設定や計算を進めましょう。
飲食店において「原価」とは食材の仕入れ額のことです。原価は経費の一部なので、なるべく安く抑えなければ利益を確保できません。既存メニューで使用している食材を使ってロスを減らすといった工夫をすることで、原価を安く抑えられます。
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レシピの作成
レシピ作成のポイントは、調理担当スタッフ全員が調理できるようにわかりやすく手順を記載することです。調理工程や使用する食材、調味料の使用量などは明確に指示しましょう。これにより、調理スタッフによる仕上がりのバラつきを抑えることができます。
また、食材や調味料の量を「適量」などとせず厳密に決めておけば、決められた分量よりも多く食事を提供する「ポーションオーバー」も避けられます。ポーションオーバーは原価率を高めて利益を減らしてしまうので、レシピ作成の段階で防いでおきましょう。
食器・食材選定
料理の印象は食器で大きく変わります。そのため、食器の選定は慎重に行うべきです。色やサイズ、形状などのポイントをおさえ、開発するメニューとの相性を考えて選びましょう。
また、食材は卸売会社から仕入れることになりますが、会社ごとに特徴が大きく異なります。さまざまな種類の食材を一括で仕入れたい、少ない量の仕入れにも対応してもらいたいという場合には、総合卸会社を選ぶとよいでしょう。
和食や洋食といった特定の分野に絞った飲食店の場合や、特定の食材にこだわって仕入れをしたい場合には、専門卸会社を選ぶとクオリティの高い食材を仕入れることができます。
盛り付け
料理は味だけでなく、見た目も重要です。彩りや食材の配置などを考え、盛り付けを工夫しましょう。ポイントは、店のコンセプトやターゲットのニーズをふまえて盛りつけをすることです。
たとえば、女性向けのヘルシーなメニューであれば、野菜の存在感が全面に出るよう盛りつければ店のコンセプトを主張しながら女性のニーズも満たすことができます。
ネーミング
ネーミングは、ターゲットの顧客層にあわせてつけましょう。「気になるから注文してみよう」と思ってもらうことができれば成功です。
メニュー名は要点を端的にまとめることが重要です。伝えたいことがたくさんあるからさまざまなワードを盛り込むと、結局どのようなメニューなのかお客様に伝わらなくなります。調理法やメインの食材名を入れて、メニューの要点がすぐわかるようにしましょう。
また、五感を刺激するワードを入れるのも効果的です。パンケーキであれば「ふわふわ」「しっとり」、色とりどりの野菜を使ったサラダであれば「カラフル」など、味覚以外でおいしさを伝えられるよう工夫してみてください。
試食
メニュー開発にメドがついたら、試食会などを行って関係者からフィードバックをもらいましょう。調理を担当するスタッフだけでなく、顧客層と合致する人を招き、意見を聞くという選択肢もあります。多くの人から感想を聞くことで、より正確な意見を集めることができます。
試食会では、味や見た目などについて率直な意見を聞くようにしましょう。改善点がある場合は、修正したうえで再び試食を行います。これを繰り返し、店のコンセプトやターゲットに合っていると判断できてから提供しましょう。
メニュー開発のポイント
メニューを開発するときは、以下の点を重視してみましょう。
- 現在ある設備や道具で作れるか
- 適切な提供時間を保てるか
- 他店との差別点があるか
現在ある設備や道具で作れるか
開発予定のメニューが、現状の店舗設備や道具で調理できるかどうかは重要なポイントです。
もし新たな設備や器具の購入が必要なメニューを開発するのであれば、費用対効果で割に合うかどうかを検討する必要があります。いずれ他のメニューでも必要となる設備や器具を導入する場合は問題ありませんが、そうでなければ今ある設備や調理器具で対応できるメニューにするとよいでしょう。
適切な提供時間を保てるか
注文から提供までに要する時間も検討しましょう。
提供まであまりに時間を要すると、お客様の満足度を低下させる原因になります。さらに、ひとつのメニューだけに仕込みや調理の時間を取られることで、営業全体の効率が悪くなるリスクも考えられます。
合わせて重要なのは、「調理スタッフの誰が作っても同じ時間とクオリティを保つことができるか」という点です。特定の調理スタッフが短時間で高いクオリティのメニューを提供できたとしても、他のスタッフがそうでなければ属人的なメニューとなってしまいます。
他店との差別点があるか
他店との差別化を考え、オリジナルなメニューを提供することで、独自性を高め来店客数を増やすことができます。
オリジナルメニューは、必ずしも珍しいメニューとは限りません。他店で人気がある定番のメニューでも、使用する食材や調理法などを工夫すれば独自性を出すことも十分に可能です。食器や盛り付け、ネーミングなどにこだわることでもオリジナリティを出すことができます。
たとえば、野菜の産地にこだわっている場合は「〇〇産野菜の」とメニュー名につけることで、他店との違いをアピールできます。「とにかくめずらしいメニューを開発しよう」と考えるのではなく、他店とどう違うのかを徹底的に分析しましょう。
ドリンクメニュー開発のポイント
ドリンクメニューを開発する場合は、とくに以下のポイントをおさえることが重要です。
- まずは定番をそろえる
- 足りないものを補う
- フードを引き立てるものにする
たとえば、こだわりのカフェでは定番商品としてコーヒーの種類を充実させ、自店舗のコンセプトを明確にすべきです。その後さらに、ユーザーのニーズを分析し、コーヒーだけでは補完できない紅茶やジュースなどのニーズが判明した場合に、足りないものを補うかたちでメニュー開発を進めます。
また、ドリンクはフードとセットで注文が入ることが多いため、ドリンク単品のおいしさだけでなく、フードのおいしさを引き立てるかという視点からドリンクメニューを開発しましょう。
テイクアウトメニュー開発のポイント
店舗で提供するイートインメニューと持ち帰るテイクアウトメニューでは、お客様が料理に求める品質が異なる場合があります。テイクアウトメニューを開発する際に重視すべきポイントは以下のとおりです。
- 提供時間を短くする
- 持ち運びやすいものにする
- 時間が経ってもおいしく食べられるメニューにする
テイクアウトの場合は速やかに受け取れることが重要です。短時間で提供できるメニューを重点的に開発しましょう。
また、持ち歩いても汁がこぼれたり崩れたりしないメニューや、時間が経ってもおいしく食べられるメニューにすることも大切です。
メニュー開発に役立つPOSレジ
飲食店の積極的なメニュー開発を進めるのであれば、飲食店に特化したサービスであるPOSレジ「POS+ food(ポスタスフード)」がおすすめです。
POS+ food(ポスタスフード)の導入により、メニュー開発時に行わなくてはならない売上の把握やターゲット分析を自動で行うことができるようになります。また、多様な切り口からデータを確認できるため、マーケティング分析も手軽に行えます。ターゲットに合ったメニュー開発をするのであれば分析は必須。より手軽にマーケティングとメニュー開発を行うために導入をぜひご検討ください。
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まとめ
飲食店を経営するために必要不可欠なメニュー開発について解説しました。正しい手順を踏み、重要なポイントを押さえて開発に取り組むことで、お客様に喜ばれるメニューを提供でき、持続可能な店舗経営にもつながるでしょう。
よくある質問
飲食店のメニュー開発は「顧客ニーズの把握と整理」「メニューの目的・コンセプトを明確にする」「原価計算」「レシピの作成」「食器・食材選定」「盛り付け」「ネーミング」「試食」の流れで行われるのが一般的です。
目的によって意識すべきポイントは変わってきますが、基本としては「現在ある設備や道具で作れるか」「適切な提供時間を保てるか」「利益はだせるか」などが代表的です。まずは開発する際の目的から考えていくことが重要です。