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2021.12.01
法律・制度

租税公課とは?対象となるもの・ならないもの~確定申告における仕訳例

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確定申告の際、何がどの勘定科目に当たるのかわからずに困ってしまうことがあります。たとえば、税金でも経費にできないものと、経費として計上できる租税公課に分かれています。どの税金が租税公課として経費計上できるのでしょうか?

本記事では、租税公課の定義と、対象となる税金について説明します。

租税公課とは

「租税公課(そぜいこうか)」とは、簿記上の勘定科目のひとつで、国税・地方税等の「租税(税金)」と、国や地方公共団体・その他団体から課せられる公的な課金の「公課」をあわせた概念です

租税公課には、経費として認められるものと認められないものが存在しているため、経理処理にあたっては正確な判断が求められます。

租税の対象になるもの

租税の対象になるものは次のとおりです。

  • 印紙税
  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 不動産取得税
  • 自動車税
  • 自動車重量税
  • 軽油取引税
  • 事業税
  • 事業所税
  • 登録免許税
  • 住民税
  • 国民健康保険税
  • 相続税
  • 贈与税
  • 酒税
  • 消費税
  • など

これらの税金は国税、地方税に大別され、さらに所得課税、資産課税、消費課税に分類できます。

  • 国税:印紙税、登録免許税
  • 道府県税:事業税、自動車税、不動産取得税
  • 市町村税:固定資産税、軽自動車税
  • 所得課税:住民税、所得税
  • 資産課税:相続税、不動産取得税
  • 消費課税:たばこ税、入湯税

公課の対象になるもの

公課の対象になるもの

公課の対象になるものは次のとおりです。

  • 印鑑証明書発行手数料
  • 納税証明書発行手数料
  • 商工会会費
  • 協同組合の組合費
  • 商店会の会費
  • 社会保険料
  • 罰金・過料
  • 定款認証手数料
  • 延滞税・延滞金

公課となるものを並べてみると、租税よりもなじみが薄く感じられるものが多くあります。自治体の窓口や法務局などで証明書を取得する際に支払う手数料や、商工会や同業者の組合などにかかる会費が公課の対象になります。ただし、これらすべてが経費計上できるわけではありません。

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経費として認められる租税公課

以下の「租税」と「公課」は、経費計上が認められています。

  • 印紙税
  • 固定資産税・都市計画税
  • 自動車税・軽自動車税
  • 不動産取得税
  • 個人事業税
  • 登録免許税
  • 印鑑証明書や住民票の発行手数料
  • 商工会・商店会・組合等の会費
  • など

経費として認められるのは、事業とかかわりのあるものです。個人事業主の場合、プライベートで使用している自動車の自動車税や自宅を購入した際の不動産取得税、固定資産税などは経費として認められません。事業とプライベートの両方で使用している場合は家事按分を行えば、事業分のみ経費として認められます。

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経費として認められない租税公課

次のような租税公課は、経費として認められていません。

  • 法人税・法人住民税
  • 罰金
  • 消費税(税抜経理)
  • 都道府県民税、市町村民税
  • 延滞税・延滞金
  • 加算税・加算金

会社の税引き前利益から支払うもの、罰則として支払うもの、税抜経理で計上した消費税は経費として認められません。税金の支払いを遅延してしまった際の延滞税や延滞金、交通違反時の罰金、加算税や加算金など、罰則として支払うものは「雑損失」で処理します。

消費税は、売上・仕入れの際に消費税を含んだ金額で経理処理を行う「税込経理」の場合は、消費税も含んで決算処理をしているため、租税公課として処理できます。一方、税抜経理の場合、預かった消費税は「仮受消費税」「仮払消費税」として処理し、決算時にこれらの消費税を差し引いて納税するため、経費として計上できません。

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消費税の取り扱い

消費税の取り扱い

先に述べた通り、消費税を租税公課として経費計上するためには、売上や仕入れに消費税を含む「税込経理」を選択する必要があります。売上や仕入れに消費税を含まない「税抜経理」では経費に含められず、それぞれの仕訳の方法も変わります。

税込経理での消費税の仕訳

消費税の仕訳の方法を、期中、中間消費税の支払い時、決算時の3パターンに分けてみていきましょう。

・期中の消費税の仕訳
A社に商品を10万円で掛け売りしたとき
10万円に消費税1万円を含み仕訳を行います。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳売掛金110,000売上110,000

・中間消費税を支払ったときの仕訳
中間消費税として、20万円を納付したとき
中間消費税は租税公課として計上できます。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳租税公課200,000現金200,000

・決算時の仕訳
消費税の確定納付税額の合計60万円を現金で納付したとき
全体の消費税から中間消費税を差し引いた、確定納付税額を租税公課で仕訳します。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳租税公課600,000現金600,000

税抜経理での消費税の仕訳

・期中の消費税の仕訳
A社に商品を10万円で掛け売りしたとき
売掛金は消費税を含み11万円、売り上げは税抜きの10万円、消費税は仮受消費税として仕訳します。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳売掛金110,000売上100,000
仮受消費税10,000

・中間消費税を支払ったときの仕訳
中間消費税として、20万円を納付したとき
中間消費税は仮払消費税等または仮払金で仕訳します。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳仮払消費税等200,000現金200,000

・決算時の仕訳
税抜経理では、決算時に仮払消費税等と仮受消費税等を清算します。中間消費税も合わせて清算しましょう。

仮受消費税等の残高が100万円、仮受消費税等の残高が40万円、確定納付額が20万円の場合、これまで仮受・仮払として処理してきた消費税を清算します。2段目の仮払消費税等は、中間消費税として支払った分です。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳仮払消費税等1,000,000仮払消費税等400,000
仮払消費税等200,000
未払消費税等400,000

税込経理は、消費税を都度仮払・仮受として仕訳する必要がないため、帳簿がわかりやすく、さらに消費税を租税公課として計上できるのがメリットです。

税抜経理を選択すると、仕訳は煩雑になりがちですが、仮払・仮受で消費税を別途仕訳するため、予定納税額の計算がわかりやすく、消費税率の変更にも柔軟に対応できるのがメリットです。

確定申告での租税公課の仕訳例

消費税以外の租税公課の仕訳方法についても見ていきましょう。

【個人事業税】
個人事業税6万円を現金で支払った時の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳租税公課60,000現金60,000

個人事業税を現金で支払ったときは、借方に租税公課、貸方に現金で仕訳します。摘要欄や備考欄に「個人事業税」と入れておくと、租税公課として計上した税の種類が一目でわかるようになります。

【印紙税】
収入印紙200円を購入してすぐに使用したとき

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳租税公課200現金200

収入印紙1万円分を保管用として購入したとき

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳貯蔵品10,000現金10,000

契約書等に貼りつける収入印紙を購入してすぐに使用した場合は、借方を租税公課、貸方を現金で仕訳できます。収入印紙を保管する目的でまとめて購入した場合は借方を貯蔵品、貸方を現金で仕訳します。

【固定資産税】
事業目的で使用している土地の固定資産税の仕訳には2つの方法があります。

・金額の決定通知があった日に経費計上し、固定資産税40万円を4回の納付日に合わせて清算する方法

日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳4/1租税公課400,000未払金400,000
4/30未払金100,000現金100,000
7/31未払金100,000現金100,000
12/31未払金100,000現金100,000
2/28未払金100,000現金100,000

・4回の支払日にそれぞれ経費計上する方法

日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳4/30租税公課100,000現金100,000
7/31租税公課100,000現金100,000
12/31租税公課100,000現金100,000
2/28租税公課100,000現金100,000

固定資産税の賦課決定と同時に費用計上したい場合は、いったん未払金として仕訳を行い、その後、支払いの都度に未払金を清算していきます。

支払日に分納分をそれぞれ費用計上するときには、納付した日付で借方に租税公課、貸方に現金で仕訳を行います。

まとめ

租税公課には、経費で計上できるものと経費として認められないものがあります。経費として認められるものは、勘定科目「租税公課」で仕訳を行いましょう。消費税の課税事業者は、税込経理を選択すると消費税を経費として計上できます。経費として計上できるものは計上し、賢く経営をしていきましょう。

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