最近、飲食店の注文方法はデジタル化とともに大きく進化しています。中でもオーダーエントリーシステムは、スタッフの業務効率化と顧客満足度の向上を同時に実現する重要なツールとして注目を集めています。本記事では、システムの基本的な仕組みから、導入メリット、注意点までを詳しく解説します。
オーダーエントリーシステムとは
オーダーエントリーシステム(Order Entry System/OES)は、飲食店での注文からキッチン連携、会計処理までをデジタル化する仕組みです。ハンディターミナルやタブレットを使用して注文を受け付け、リアルタイムで店舗運営に必要な情報を共有・管理できます。
基本的な仕組み
注文情報を受け付けてから、調理、提供、会計までの一連の流れをデジタルで一元管理します。キッチンやレジと連携することで、ペーパーレス化と業務効率の向上を実現します。
主な活用シーン
- ファミリーレストランでの注文受付
- 居酒屋での追加オーダー管理
- カフェでのドリンク・フード注文
- ホテルやレストランでの予約管理
- テイクアウト注文の処理
このように、様々な飲食業態で活用できる柔軟性を備えており、店舗の規模や運営スタイルに応じた導入が可能です。
従来の注文方法との違いと種類
オーダーエントリーシステムは、従来の手書き方法から、注文処理の時間短縮と確実性が向上します。手書き注文との違いを解説します。
手書き伝票による注文の特徴
従来の手書き伝票による注文では、スタッフが注文内容を専用伝票に記入し、それをキッチンまで直接届ける必要がありました。会計時には伝票を手作業で集計し、金額を計算します。また、注文の正確性はスタッフの経験と記憶に大きく依存し、伝票の保管や整理にも手間がかかっていました。
オーダーエントリーシステムでの改善点
オーダーエントリーシステムでは、注文内容をデジタル入力することで、正確な記録が可能になります。入力された情報は即座にキッチンへ送信され、会計処理も自動計算で行えます。さらに、すべての注文履歴がデータベースで管理され、ペーパーレス化によって管理効率も大きく向上します。
このように、オーダーエントリーシステムの導入により、手書き伝票による注文の多くの課題が解決され、より効率的で正確な店舗運営が可能になります。
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オーダーエントリーシステムの種類
オーダーエントリーシステムは、大きく「スタッフ入力型」と「お客様入力型」の2つに分類されます。それぞれの特徴に応じて、様々な店舗で活用されています。
スタッフ入力型
スタッフが注文を受けてシステムに入力する方法です。ハンディターミナルやタブレット、固定端末など、店舗の運営スタイルに合わせて機器を選択できます。接客を重視する飲食店や、お客様との会話を大切にする業態に適しています。注文時の提案営業や、きめ細かな要望への対応が可能という特徴があります。
お客様入力型
お客様自身が直接注文を入力するセルフ型の方法です。テーブルトップオーダーやQRコードを読み取ってのモバイルオーダー(スマホ注文)など、お客様の利便性を重視したスタイルです。人件費の削減や、お客様のペースでの注文が可能という特徴があります。

各タイプの特徴
それぞれのタイプには、店舗の運営スタイルや予算に応じて選択することが重要です。各タイプ特徴を理解することで、最適なシステムの選択をしましょう。
スタッフ入力型の種類
- ハンディターミナル:
携帯性に優れ、長時間の使用に適した専用端末です。居酒屋やファミリーレストランで多く採用されています。 - 業務用タブレット:
写真メニューの表示など、視覚的な提案販売が可能です。カフェやカジュアルレストランでよく見られます。 - 固定端末:
カウンターやレジ周辺に設置し、注文と会計を一括処理します。カウンター席のある店舗に適しています。
スタッフ入力型のタイプは、それぞれに特徴があり、店舗の運営スタイルに合わせて使い分けることで、効率的な業務運営が可能です。
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お客様入力型(セルフオーダー)の種類
- テーブルトップオーダー:
テーブルに固定設置されたタブレットで、お客様が自由に注文できます。 - QRコード注文:
お客様のスマートフォンから注文するため、追加の機器投資が少なく済みます。 - セルフ注文機・レジ:
店舗入口やフードコートに設置され、注文から決済まで完結できる専用端末です。
このように、店舗の業態やサービススタイル、予算に応じて最適なシステムを選択できます。また、両方のタイプを併用する店舗も増えており、繁忙期の対応力向上につながっています。
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オーダーエントリーシステムのメリット
オーダーエントリーシステムを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
- 業務効率の向上
- 顧客サービスの改善
- コスト削減
- データ管理の精度向上

業務効率の向上
オーダーエントリーシステムは、業務の効率化を図るための重要なツールです。従来の手動での注文受付やデータ管理と比べて、システムの導入に伴い作業時間を大幅に短縮できます。
例えば、タッチパネル式の端末を用いた場合、従業員によるスムーズな注文が可能となり、待機時間を最小限に抑えられます。また、注文内容がリアルタイムでキッチンや他の関連部署に通知されるため、食材の準備や調理も無駄なく行われるようになるでしょう。現場全体における業務の流れが改善し、顧客へのサービス提供が迅速・効率化します。
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顧客サービスの改善
オーダーエントリーシステムを導入することで、顧客サービスの質が向上する点もメリットです。顧客側は、迅速に注文を行えるようになるだけでなく、誤注文のリスクも減少します。
また、システムは顧客の好みや過去の注文履歴が記録されることから、リピート客に対してカスタマイズされた提案が可能です。顧客満足度が改善し、リピーターの獲得につながります。
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コスト削減
オーダーエントリーシステムは、長期的な視点で見るとコスト削減に寄与します。手動での注文受付やデータ管理にかかる人件費を削減し、現場に配置する従業員数を最小限にします。
また、システムを導入することで、在庫管理の精度が向上し、過剰な在庫を抱えるリスクが減少します。結果として、経営の効率性が高まり、食材コストの抑制につながるのです。
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データ管理の精度向上
オーダーエントリーシステムは、注文データを正確に記録・管理できます。売上や在庫状況をリアルタイムで把握することが可能となり、経営者は適切な意思決定の判断が下せます。
具体的には、「特定のメニューがどれだけ売れているのか」、「どの時間帯にどれだけの注文があるのか」など、詳細なデータの分析が行えます。メニューの改善やプロモーション活動に生かすことで、売上増加にも貢献するでしょう。
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オーダーエントリーシステムの導入の注意点と解決策
オーダーエントリーシステムの導入には多くのメリットがありますが、その運用には注意点も存在します。導入コストがかかり、スタッフのトレーニングが必要となるほか、システムトラブルのリスクも考慮しなければなりません。
- 導入コストが一定数かかる
- トレーニングが必要となる
- システムトラブルのリスクが存在する
導入コストが一定数かかる
オーダーエントリーシステムを導入する際には費用がかかります。導入コストが高いくても、人件費削減や採用コストや工数の削減を考慮したROI(投資対効果)を意識して導入を検討しましょう。
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トレーニングが必要となる
新しいシステムを導入する場合、従業員に対してトレーニングを行う必要があります。特に、操作が複雑なシステムの場合、習得に時間がかかることが多く、導入初期は業務が混乱してしまうかもしれません。マニュアルの作成やトレーニングサポートもあるメーカーの選定がおすすめです。
システムトラブルのリスクが存在する
システムトラブルが発生するリスクがあります。サーバーダウンやネットワークの障害、ソフトウェアのバグなど、予期しないトラブルによって業務が停止することが考えられるでしょう。システムトラブルに対して、バックアップシステムや障害対策を実施することが重要です。このようおな時にも店舗が止まらないようサポートが手厚いあるメーカーの選定がおすすめで
飲食店向けのPOSレジシステム「POS+ food」
飲食店に特化したPOSレジ「POS+ food(ポスタスフード)」は、オーダーエントリーシステムをはじめとするさまざまな機能により、飲食店経営を強力にバックアップします。
独立型の飲食店から数百店規模のチェーン店舗まであらゆる業態をカバーでき、予約やスタッフのシフト、原価、売上などのデータを一元管理することが可能に。スタッフの作業負荷を軽減した上で、さらに人的ミスやコストの無駄を大幅に省くことができ、安定した飲食店経営を実現させます。
「POS+ food(ポスタスフード)」の導入メリットを、実際の導入事例から紹介していきます。
有名焼き肉店でテーブルトップオーダー導入事例
1人1台の専用ロースターで自分好みの焼肉が楽しめる「焼肉ライク」では、お客様がテーブル上のiPadから注文を行える、テーブルトップオーダーの「POS+(ポスタス)TTO(Table Top Order)」制度を導入し、オペレーション効率が向上しました。
【導入店舗】
焼肉ライク 新宿西口店様
【導入前の課題】
・スタッフがテーブルに伺って注文を取らなくてはならないため、大勢のスタッフ配置が必要で、人件費がかさむ
・オーダーから料理の提供まで時間がかかる
【導入後の効果】
ホールスタッフの数を最小限にまで抑えることができ、人件費が大幅に削減。さらにスピーディに料理を提供できるようになったため、『焼肉のファストフード』というキャッチコピーを文字通り実現することができました。また。勤怠とオーダー管理がひとつのシステムでできるようになり、店舗運営の効率が向上しています。
詳しくはこちらの「テーブルオーダー導入で業務効率が大幅UP!勤怠から売上まで一元管理」ご確認ください。
まとめ
オーダーエントリーシステムは、現代の飲食店経営に欠かせないツールとなっています。業務効率の向上、顧客満足度の向上、売上アップなど、多くのメリットをもたらします。
導入に際しては、店舗の特性や運営スタイルを考慮し、適切なシステムを選択することが重要です。また、スタッフへの教育や運用体制の整備など、しっかりとした準備を行うことで、より効果的な活用が可能になります。
人手不足が続く外食産業において、オーダーエントリーシステムの重要性は今後さらに高まっていくでしょう。自店舗に最適なシステムを見つけ、効果的に活用していきましょう。
よくある質問
オーダーエントリーシステムを選ぶ際のポイントは、操作性、機能、コスト、サポート体制、連携性です。操作が簡単で使いやすいものを選ぶと導入がスムーズになります。
コストは予算に合うかを確認し、費用対効果を考慮しましょう。また、サポート体制も重視し、トラブル対応が迅速かどうかもチェックすると安心です。
オーダーエントリーシステムは、レストランや居酒屋などの飲食店に適しています。注文を端末で入力し、厨房にすぐ伝えられるため、提供のスピードが上がりミスも減らせます。また長期的な視点で見るとコスト削減に寄与します。手動での注文受付やデータ管理にかかる人件費を削減し、現場に配置する従業員数を最小限にします。
参考サイト:
日本経済新聞 マクドナルドや吉野家を下支え「モバイルオーダー」一気に拡大
関東経済産業局「令和5年度市場競争環境評価調査」
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