人手不足が深刻化する中、券売機導入を悩んでいる飲食店関係者の方は多いのではないでしょうか。券売機といっても種類や機能、価格帯はメーカーによってさまざまです。
本記事では、どの機種を選べばいいのかわからないという方に向けて、飲食店向けの券売機メーカーを紹介します。飲食店における券売機導入のメリットや選び方もわかりやすく解説しますので、自店舗に最適な1台を見つけたい方は、参考にしてみてください。
券売機とは?
券売機とは、お客さまが自らメニューを選び、注文と支払いを同時に行う飲食店向けの自動販売機型システムです。代表的なのは、ラーメン店や牛丼チェーンでよく見かける「食券方式」です。
近年では、タッチパネル式やキャッシュレス決済が可能なモデルも登場しています。お客さまにとっても、待ち時間の短縮やスムーズな注文体験が得られる点がメリットです。
ただし、店舗の業態やサービス方針によって、導入効果に差が出ます。下表に、券売機の導入が向いている店舗・向いていない店舗の代表的な例をまとめました。
券売機が向いている飲食店・向いていない飲食店の例
向いている飲食店 | 向いていない飲食店 |
・人手が少ない小規模店舗・回転率を重視したラーメン店・牛丼店・メニューが少ない定食屋・忙しい時間帯に混雑しやすい店・外国人観光客の多い観光地の店舗(多言語対応が前提) | ・接客を重視する高級レストラン・ゆっくり過ごすカフェや喫茶店・おすすめや説明が必要なフレンチ店・コミュニケーションを大切にする割烹料理店・落ち着いた雰囲気や演出を大切にする店 |
注文の簡略化や回転率の向上などを目的とする店舗では高い効果が期待できます。一方で、接客や空間演出による「おもてなし」を重視する業態では、導入によるメリットが薄れる場合もあります。
導入の判断は、業態に応じて慎重に行うことが大切です。
券売機とセルフレジの違い
券売機とセルフレジは、いずれもお客さまが自身で会計操作を行うセルフ型の仕組みです。大きな違いは「支払いのタイミング」にあります。
券売機は「前払い式」で、注文と同時に支払いを済ませる仕組みです。事前会計によって、混雑緩和や回転率向上にもつながります。
一方、セルフレジは「後払い式」が基本です。商品を手に取ったあとに会計を行うスタイルで、スーパーやコンビニなど物販店で広く導入されています。
セルフレジには、店員が一部をサポートする「セミセルフ」と、すべての工程をお客さまが行う「フルセルフ」の2種類があります。
飲食店では、スムーズな導線とスピーディな提供を重視するなら、券売機の導入が効果的です。業態や営業スタイルに応じた選択をしましょう。
以下の記事では、セルフレジについて詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
関連記事:セルフレジ(自動精算機)とは?種類や導入メリットと事例も解説!
券売機の導入価格相場
飲食店が券売機を導入する際の価格は、機種のタイプや機能の違いによって大きく変動します。シンプルなボタン式であれば、50万円前後から導入可能です。
一方、タッチパネル式やキャッシュレス対応機などの多機能型は、100万円以上コストがかかるケースもあります。また、本体価格以外にも下記のような初期費用が発生します。
- 設置費用
- ネットワーク接続
- メンテナンス契約
- 周辺機器の費用
- 決済手数料
導入を検討する際は、本体価格だけでなく、こうした付帯コストを含めて総額で判断しましょう。券売機タイプ別の価格相場は、下表のとおりです。
【券売機タイプ別の価格相場】
券売機の種類 | 導入価格の相場 | 特徴 |
---|---|---|
ボタン式(現金対応) | 約50万〜70万円 | 操作が簡単で導入しやすい |
タッチパネル式 | 約100万〜150万円 | 写真付きでメニュー訴求に強い |
キャッシュレス対応型 | 約130万〜200万円 | クレカ・QR・電子マネー対応 |
導入後のトラブルや操作不安を避けるためにも、価格だけでなくサポート体制や保守サービスの有無を事前に確認しておくことが大切です。
飲食店の券売機導入に活用できる補助金・助成金制度
券売機の導入費用を少しでも抑えたいと考える飲食店にとって、補助金や助成金制度の活用は賢い選択です。下表に、券売機導入に活用できる制度の概要をまとめました。
【券売機導入に活用できる補助金・助成金制度一覧】
制度名 | 補助内容 | 上限金額 |
---|---|---|
IT導入補助金 | ・ITツール導入による業務効率化やDX推進を支援 ・2025年度は最低賃金引上げに伴う支援やセキュリティ対策を強化 | 450万円 |
小規模事業者持続化補助金(一般型) | ・小規模事業者の販路開拓や経営計画策定を支援 ・2025年度は申請枠の整理 ・簡素化を実施 | 50万円(最大250万円) |
業務改善助成金 | ・最低賃金引上げと生産性向上のための設備投資を支援 ・物価高騰等要件を満たすと対象経費が拡大 | 600万円 |
参考サイト:
IT導入補助金制度概要
厚生労働省|令和7年度業務改善助成金のご案内
小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>
これらの制度は、基本的に後払い方式(精算型)で、審査を経て採択された場合に限り補助金が支給されます。そのため、申請が不採択となる可能性も考えて、制度に頼りすぎず、自己資金にも余裕を持ちましょう。
関連記事:【2025】POSレジ導入に使える補助金とは?メリットや申請時の注意点についても解説
飲食店向けの券売機メーカー5社を比較
券売機の導入を検討する際、メーカーごとの機能やサポート体制の違いを把握することが重要です。ここでは、飲食店向けの券売機メーカー5社を紹介します。それぞれの特徴を見ていきましょう。
【飲食店向けの券売機メーカー5社】
メーカー名 | 特徴 | おすすめの企業 |
---|---|---|
POS+(ポスタス)selfregi | ・1台で券売機とセルフレジの切替可能 ・充実したサポート体制 | ・多店舗展開を目指す飲食チェーン ・ITに慣れていない個人経営の飲食店 |
NECモバイルPOS | ・POSと券売機を管理可能 ・ほかのシステムとの連携が得意 | ・複数の店舗を運営する中規模飲食店 ・安定性を重視したい外食チェーン |
スマレジ | ・店舗の成長に合わせてプランを選べる ・メニュー管理や売上分析もできる | ・拡張性を重視する飲食店 ・データを使って売上を伸ばしたい事業者 |
GLORY(グローリー) | ・老舗メーカーならではの安心感 ・卓上型から大型タイプまで選択可能 | ・信頼性を重視する飲食チェーン ・高齢層や観光客が多い店舗 |
CASHIER(キャッシャー) | ・画面が見やすく誰でも操作しやすい ・必要な機能だけ選んで導入できる | ・費用を抑えたいベーカリーやカフェ ・シンプルな機能ではじめたい小規模店 |
POS+(ポスタス)selfregi
POS+(ポスタス)selfregiの基本情報
導入価格 | 要問い合わせ |
月額利用料金 | 14,000円~/店舗 |
キャッシュレス決済 | クレジットカード・電子マネー・QRコード決済など |
サポート体制 | ・初期設定・設置からすべてお任せ可能 ・365日電話サポート ・駆けつけサポート |
POS+ selfregiは、1台で「券売機」と「セルフレジ」のモードを切り替えられる便利なシステムです。お客さまが画面を見ながら注文・支払いまで行えるため、スタッフの負担を減らし、忙しい時間帯の対応もスムーズになります。
また、導入前後の手厚いサポート体制も魅力です。導入時には設置や初期設定、スタッフ向けの説明まで丁寧に対応します。導入後は365日の電話対応や駆けつけサービスがあるので、万が一のトラブル時も安心です。
さらに、売上やシフトの管理など、ほかの業務とも連携できるため、店舗全体の運営を効率化できます。お店全体の運営をサポートしてくれる「頼れる券売機」は、多店舗展開や業務の一元化を目指す飲食店におすすめです。
導入成功事例1.オムライス専門店「神田たまごけん」
オムライス専門店「神田たまごけん」では、従来の券売機を使用していた際、入口の混雑や外国人観光客とのトラブルが頻発していました。とくに操作に戸惑う訪日客への対応がスタッフの負担となっており、店舗運営に支障が出ていました。
そこで導入されたのが、POS+ selfregiとモバイルセルフオーダー(MSO)の併用運用です。
導入前後の変化
導入前の課題 | 導入後の効果 |
---|---|
・入口に行列ができ、順番が混乱 ・外国人観光客が券売機を操作できずトラブル ・注文後の対応工数 | ・モバイル注文で混雑を解消し、スムーズな導線を実現 ・多言語対応でスタッフ負担が軽減し、トラブルも激減 ・POS管理画面が使いやすく、本部での一元管理を実現 |
配席後にお客さま自身のスマホでの注文が可能になったことで、入口の滞留が解消しました。さらに、多言語対応によって外国人の注文もスムーズになり、顧客満足度と業務効率が大幅に向上した事例です。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
POS+|モバイルセルフオーダーとセルフレジの掛け合わせ運用によりオーダーと会計のセルフ化、お客様の利便性向上に貢献!
導入成功事例2.油そば専門店「歌志軒 半田店」
全国60店舗以上を展開する「歌志軒」では、FCや海外進出も進める中で、店舗ごとの運営効率や顧客体験の向上が求められていました。半田店では、現金のみのボタン式券売機を使用しており、釣銭準備や売上管理の手間、トッピング訴求の難しさが課題となっていました。
導入前後の変化
導入前の課題 | 導入後の効果 |
---|---|
・現金対応のみで釣銭管理が負担 ・ボタン式でメニューの魅力が伝わりにくい課題 ・売上報告・管理が煩雑 | ・キャッシュレス決済対応で両替手間が大幅削減 ・写真表示でトッピング訴求力アップ、客単価も2〜3%向上 ・リアルタイム共有でレジ締め・報告業務を効率化 |
導入後は、POS+ selfregiのタッチパネルで写真付きメニュー表示が可能になり、お客さまが視覚的に楽しみながら注文できるようになりました。トッピング購入率が上がり、客単価も2〜3%向上しました。さらに、売上データは本部とリアルタイムで共有され、売上報告やレジ締め業務工程の削減にもつながりました。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
POS+|券売機で油そば店のトッピング注文がアップしてお客様単価もアップ
NECモバイルPOS
NECモバイルPOSの基本情報
導入価格 | 要問い合わせ |
月額利用料金 | 要問い合わせ |
キャッシュレス決済 | クレジットカード・電子マネー・QRコード決済など |
サポート体制 | ・電話サポート・日本全国にフィールドサポート拠点あり |
NECモバイルPOSは、自動券売機との連携に優れたクラウド型POSレジです。自動券売機とPOSレジの売上情報を一元管理できるため、別々に運用していたデータの集約が不要になり、業務効率を大幅に向上させられます。
カスタマイズ不要で導入できる手軽さも魅力です。複数店舗を運営している企業や、POSと券売機をセットで導入したい中〜大規模店舗におすすめです。
スマレジ
スマレジの基本情報
導入価格 | 要問い合わせ |
月額利用料金 | 8,800円~/店舗 |
キャッシュレス決済 | クレジットカード・電子マネー・QRコード決済など |
サポート体制 | ・オンライン相談・電話サポート |
スマレジは、見た目や使い方を自由にカスタマイズできる券売機システムです。ラーメン店での「麺のかたさ」や「トッピングの追加」など、細かい注文もわかりやすく設定できます。
券売機は、プレミアムプラスプラン以上で利用可能です。トッピング選択や売切れ表示、文字・画像サイズの調整など、細かな顧客ニーズに対応できる機能が充実しています。
多言語対応や豊富な決済手段により、インバウンド対応にも最適です。ショールームで実機確認ができる点も安心材料で、操作性と柔軟性を重視したい飲食店に向いています。
参考:スマレジ|券売機・食券機
GLORY(グローリー)
GLORY(グローリー)の基本情報
導入価格 | 要問い合わせ |
月額利用料金 | 要問い合わせ |
キャッシュレス決済 | クレジットカード・電子マネー・QRコード決済など |
サポート体制 | ・コールセンター・直営サービス拠点を設置・保守教育制度 |
GLORYは、券売機業界の中でも老舗かつ信頼性の高いメーカーです。券売機「券職人」シリーズは、ユニバーサルデザインに配慮された設計で、誰でも使いやすい操作性が特徴です。
多言語表示や豊富な決済手段にも対応しており、キャッシュレス化を進めたい店舗にも適しています。さらに、卓上型から大型フロアスタンド型まで幅広いラインナップがあります。
設置場所や店舗の規模に応じて柔軟に選択可能です。信頼性や安定性を重視する中〜大規模チェーン店におすすめです。
CASHIER(キャッシャー)
CASHIER(キャッシャー)の基本情報
導入価格 | 398,000円~リースプラン:0円~ |
月額利用料金 | 9,400円~/店舗 |
キャッシュレス決済 | クレジットカード・電子マネー・QRコード決済など |
サポート体制 | ・初期設定サポート・メール・電話サポート |
CASHIERは、操作性の高いタッチパネル式券売機です。誰でも迷わず操作できる、直感的なUI設計が大きな特徴です。
導入から運用までの手厚いサポートに加え、セルフオーダーや会計の自動化によって、人件費の削減や業務負担の軽減もサポートします。
設置スペースやオペレーションスタイルに応じて、複数の機種を用意している点も魅力です。人手不足や、業務効率化に課題を抱える店舗に向いているサービスです。
参考:CASHIER
飲食店で券売機を活用する4つのメリット
飲食店で券売機を活用するメリットは、下記のとおりです。
- 人件費を削減できる
- オーダーミスを減らせる
- 売上データを自動で管理・分析できる
- 多言語対応で外国人客にも対応しやすくなる
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1.人件費を削減できる
券売機を導入すれば、注文や会計はお客さま自身が行うため、スタッフがレジに常駐する必要がなくなります。必要な人員を最小限に抑えられて、人件費の削減につながります。
近年は、原材料費の高騰や光熱費の高騰が続いており、経費削減はどの飲食店にとって重要な課題です。
無駄な人件費をカットしつつ、サービスの質を保ちたい飲食店にとって、券売機は心強い存在です。
以下の記事では、飲食店におけるFLコストについて解説しています。人件費の管理方法を知りたい方は、あわせてご参考ください。
関連記事:飲食店のFLコストとは?FL利率や営業利益率も解説
2.オーダーミスを減らせる
券売機の導入は、注文の聞き間違いや入力ミスなど、飲食店でのオーダーミスを防止するメリットがあります。お客さまが自分で画面を見ながら注文を確定するため、スタッフが注文内容を取り違える心配がありません。
新人スタッフにとっても、複雑なメニューを覚える必要がなくなるため、教育の手間も削減されます。結果として、店舗全体のミスが減り、業務の安定化にもつながるでしょう。
さらに券売機は、注文と同時に支払いを済ませる前払い方式のため、食い逃げの防止にも効果的です。
以下の記事では、オーダーミスが起こる原因と対処法を解説しています。具体的に対処を行いたい方は、参考にしてください。
関連記事:飲食店でオーダーミスが起こる原因4選と対処法を解説
3.売上データを自動で管理・分析できる
券売機を導入することで、飲食店は売上データの記録や集計が容易になります。券売機は、曜日や時間帯、商品別ごとの売上を自動で集計するため、手動での記録や入力作業が不要です。
データはリアルタイムで確認できるため、その日の売れ筋や混雑する時間帯がすぐに把握でき、メニューの見直しやスタッフ配置の参考にもなります。
また、複数店舗を運営している場合でも、全店舗の売上データを一括で管理できる機能もあります。店舗ごとの違いを比較したり、全体の傾向をつかんだりするのに役立つでしょう。
以下の記事では、POSデータについて詳しく解説しています。エクセルを活用したデータの分析方法も紹介しているので、あわせてご覧ください。
4.多言語対応で外国人客にも対応しやすくなる
多言語に対応した券売機は、外国人のお客さまでも迷わずに注文ができます。日本語だけでなく、英語や中国語、韓国語など複数の言語で利用できる券売機が増えています。
たとえば、液晶画面で複数の言語が選べるタイプや、初期設定時に任意の言語を選択して表示を統一するタイプなどです。ボタン式の券売機でも、日本語と英語を表記するものもあります。
言葉の壁を減らすことで、注文トラブルやスタッフの負担も軽減され、外国人観光客の満足度向上にもつながります。
飲食店で券売機を活用する2つのデメリット
飲食店で券売機を活用するデメリットとして次の2つのポイントが挙げられます。
- お客さまとの会話が減る
- 機械の故障
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1.お客さまとの会話が減る
券売機を導入するデメリットのひとつは、お客さまとの会話が減ることです。券売機を使うと、注文や会計の作業が自動化され、従業員はほかの業務に専念できるメリットがあります。
ただし、券売機周りには従業員を配置しないことが多く、お客さまとの直接的な接点が少なくなることにつながりかねません。とくに、商品をおすすめしたり、ちょっとした会話で次回の来店を促したりする機会が少なくなるのはデメリットといえるでしょう。
ただし、声かけや店内ポップ、注文提供時の声掛けなど、接点を意識して作る工夫でフォローは可能です。無機質な印象を与えないように、券売機導入後も「人の気配」を感じる工夫をしていくことが大切です。
2.機械の故障や不具合時の対応が必要になる
券売機には便利な面が多い一方で、故障や不具合が起きる可能性があります。とくに忙しい時間帯や曜日に故障が発生すると、会計ができずにお客さまをお待たせしてしまうリスクもあります。
故障が発生した際に、迅速に対応できる体制を整えておくことが重要です。手書き伝票や予備の釣銭、サポート連絡先を準備しておくと安心です。
また、券売機のサポートとすぐに連絡を取れる状況を整えておくことも、トラブル対応の迅速化に役立つでしょう。
飲食店向け券売機を選ぶ5つのポイント
飲食店向けの券売機の選び方を紹介します。
- 多言語対応の有無
- 対応している紙幣の種類
- ボタン式orタッチパネル式
- サポート体制の充実度
- 決済方法の種類
店舗の状況に合わせて選択することが重要です。
1.多言語対応の有無
インバウンド顧客は年々増加傾向です。国土交通省の調査によると、2023年の訪日外国人消費額は過去最高の5.3兆円に達しています。このような背景から、観光地やインバウンド客が多い地域では、多言語対応が必要です。
多言語対応の券売機は、タッチパネル式の機種で多く提供されており、複数の言語に対応しています。ただし、多言語対応を導入するにはコストがかかるデメリットもあるため注意が必要です。
店舗の規模や顧客層、予算に合わせて最適な機種を選びましょう。
2.対応している紙幣の種類
券売機によって、使用可能なお札の種類は異なります。1万円札まで対応可能なモデルもあれば、千円札のみ対応しているモデルもあります。どの種類のお札に対応する券売機を選ぶかは、店舗の客単価や営業スタイルに合わせて決めましょう。
定食屋やランチ営業など、比較的客単価が低めの店舗であれば、千円札のみ対応の券売機でも十分に運用可能です。一方、高単価の商品を提供する店舗や、大人数での利用が多い場合は、1万円札に対応している券売機の方が利便性が上がります。
ただし、1万円札対応の券売機は一般的に導入コストやメンテナンス費用が高くなる傾向があります。そのため、実際に高額紙幣がどれくらい使われるかを事前に確認しておくとよいでしょう。店舗の利用客層や価格帯に合わせて最適な券売機を選ぶことが、効率的な運営につながります。
3.ボタン式orタッチパネル式
飲食店向け券売機を選ぶ際、ボタン式とタッチパネル式のどちらを選ぶかは重要なポイントです。タッチパネル式はメニューの写真を表示できるのが特徴です。お客さまがメニューを直感的に選びやすく、注文のしやすさにつながります。
また、メニューの入れ替えや価格変更も簡単に行えるため、頻繁にメニューを変える店舗におすすめです。ただし、タッチパネル式は導入コストが高いデメリットがあります。
一方、ボタン式は導入コストを抑えられるのがメリットです。メニューが固定されているラーメン店・うどん店のように、注文パターンがシンプルな店舗に向いています。なお、写真を表示できないため、別にメニュー表を店内に掲示する必要があります。商品名や価格が変更になるたびに、ボタンラベルを印刷しなおす手間もかかるのが欠点です。
店舗の規模や客層、予算に応じて最適なタイプを選びましょう。
関連記事:タッチパネル券売機とは?価格・選び方について徹底解説!
4.サポート体制の充実度
券売機が故障してしまうと、注文や会計ができなくなり、営業に大きな支障が出る恐れがあります。そのため、万が一に備えたサポート体制が整っているかを確認することが必要です。
とくに、導入後も365日対応のコールセンターや、現地での修理サポートがあるメーカーなら安心です。トラブルが起きても、迅速に対応してもらえる体制が整っているかをチェックしましょう。
また、クラウド連携機能を備えた券売機を導入する場合は、データや顧客管理が安全に行えるよう、セキュリティ対策が万全かの確認も欠かせません。
クラウドの活用は、複数店舗のデータ管理や売上分析の効率化が図れます。しかし、セキュリティ対策が不十分な機器を選択した結果、万が一情報漏洩が発生すると、お客さまの信頼を失うリスクがあります。
導入時にはサポート体制とセキュリティ対策の内容を確認し、信頼できるサービスを選ぶことで、長期的な安心につながるでしょう。
5.決済方法の種類
近年、飲食店でもキャッシュレス決済の導入が急速に進んでいます。券売機を選ぶ際も「決済方法の多様性」は重要なポイントです。下記のように複数の支払い手段が可能な機種を選ぶことで、お客さまの利便性を高め、来店率の向上にもつながります。
- クレジットカード
- QRコード決済
- 電子マネー
若年層や訪日外国人観光客をターゲットとする店舗では、マルチ決済対応が集客力を高める大きな要素となるでしょう。ただし、キャッシュレス決済には審査や契約が必要なこともあるため、導入前に確認しておくことが大切です。キャッシュレス対応券売機について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:キャッシュレス対応券売機とは?導入メリットや注意点を解説!
券売機導入までの流れ
券売機の導入は、「選定して購入するだけ」と思われがちです。しかし、実際には設置や設定、スタッフへの操作説明まで一連のステップを踏む必要があります。
下表に、一般的な導入までの流れをまとめました。
券売機導入までの流れ
手順 | 詳細 |
問い合わせ・ヒアリング | 業態や課題に応じた機種・機能を選定 |
見積・契約 | 機種・オプション・保守契約内容を確認、決定 |
機器設定・初期登録 | 商品登録・支払い方法設定など、導入準備を実施 |
設置・導入サポート | 現地設置、使い方の説明・スタッフ研修を実施 |
運用開始・アフター対応 | 運用中のトラブルや設定の変更に継続的に対応 |
はじめて導入する店舗では、使いこなせるか不安という声も少なくありません。「POS+ selfregi」のように、導入トレーニングや全国駆けつけサポートがセットになったサービスを選べば安心です。
飲食店向け券売機のよくあるトラブル
券売機は注文や会計の効率化に役立つ反面、使っていく中で思わぬトラブルが起こることもあります。代表的なトラブルは、下記のとおりです。
- お金が詰まる
- ボタンが反応しなくなる
- 食券が詰まる
- 操作ミスによるクレームが発生する
対処法として、日頃の掃除や点検を徹底することが基本的な予防策です。ほこりやゴミが券売機内部にたまると、紙詰まりや誤作動の原因になります。定期的に清掃し、異常がないかチェックしましょう。
また、券売機が一時的に使用できなくなった場合に備え、予備の釣銭や簡易マニュアルを用意しておくと安心です。加えて、エラーが発生した際の具体的な対応手順をまとめたマニュアルを作成し、従業員全員に周知しておくことも重要です。
ピークタイム中に発生すると、お客さま対応に追われ、スタッフの負担も増大します。こうした事態に備えて、よくあるトラブルとその対処法を事前に周知・準備しておきましょう。
トラブルが起きたときの3つの対処法
券売機は便利な反面、故障やエラーが発生した際に備えて、あらかじめ対応方法を準備しておくことが大切です。
- 取扱説明書を確認する
- 店舗独自のマニュアルを準備・共有する
- 故障・エラー発生時の対応を決めておく
- メーカーのサポートを活用する
詳しく見ていきましょう。
1.取扱説明書を確認する
券売機には、エラーコードの一覧や簡単な対処法が書かれた取扱説明書が付いていることが大半です。紙が詰まったときや釣銭が切れたときなど、軽いトラブルならマニュアルを見て対応できるケースもあります。
説明書は、誰でもすぐに手に取れる場所に置いておくのがおすすめです。また、PDF版を印刷してファイルにまとめておけば、新人スタッフやアルバイトでも確認でき、初期対応をスムーズに進めらます。
トラブルが起きても慌てず対応できるように、普段から準備しておきましょう。
2.店舗独自のマニュアルを準備・共有する
「説明書を読む時間がない」「新人スタッフが対応できない」といったトラブル時の混乱を防ぐには、店舗独自のマニュアルを作っておくのが効果的です。よくあるエラーと対処方法を一覧にして、誰でも対応できるようにしておきましょう。
釣銭が出ない場合の対応方法や、チケット未発行時の代替処理を箇条書きにまとめて、バックヤードに貼るだけでも、現場の対応力は大きく向上します。シンプルで見やすいマニュアルを準備しておくことが、スムーズな店舗運営につながります。
3.故障・エラー発生時の対応を決めておく
券売機にトラブルが起きたとき、現場が混乱しないために対応手順を事前に決めておきましょう。下記のような内容を共有しておくと安心です。
- お客さま対応は誰が担当するのか
- 手書きの領収書はどこに保管されているか
- メーカーに連絡する判断基準と連絡先はどこか
「釣銭が出ない」「領収書が印刷されない」といったトラブルは、対応を誤るとお客さまの不満を招き、結果的に店舗の信頼を損なう恐れがあります。そのため、あらかじめ対応手順をスタッフ全員で共有し、落ち着いて行動できる環境を整えておくことが大切です。
4.メーカーのサポートを活用する
飲食店では、ランチやディナーのピーク中に券売機が故障すると大きな損失につながります。だからこそサポート体制の充実度は、機種選びで重要なポイントです。
「POS+ selfregi」なら、下記の手厚いサービスが標準で利用できます。
- 365日対応の電話サポート
- 全国どこでも駆けつけ対応(月額内で追加費用なし)
電話だけでは解決しないトラブルも、専門スタッフがすぐ現場に来てくれるので、安心してお店を運営できます。はじめての導入でも、設置から運用まで一貫してサポートしてもらえるため、スタッフへの負担を最小限に抑えられるのも大きな魅力です。
まとめ
この記事では、飲食店向けの券売機メーカーを紹介しました。券売機は、少人数で運営している飲食店や、メニュー数が限られているラーメン店・牛丼店などに向いています。人件費の削減やオーダーミスの防止、回転率の向上などの効果が期待できます。
ただし、接客や雰囲気づくりを重視するカフェや高級レストランなどでは、導入の効果が限定的である場合もあるため注意が必要です。自店の業態や、方針を踏まえて検討しましょう。
中でもおすすめなのが、「POS+ selfregi」です。1台で券売機とセルフレジのモードを切り替えられるうえに、365日対応の電話サポート+全国駆けつけ対応が標準装備されています。ITに不慣れな方でも安心して使える、飲食店の頼れるパートナーです。
券売機選びに悩んでいる方は、ぜひPOS+ selfregiを検討してみてください。
飲食店の券売機でよくある質問
自動券売機を導入すると、レジ担当者が不要となるため人件費の大幅な削減が可能です。また、会計作業が自動化されることで客の回転率が向上し、売上増加につながります。さらに、売上データをデジタルで管理・分析できます。そのため、人気メニューの傾向把握・営業時間帯ごとの売上分析など、経営判断に活用可能です。また、現金の受け渡しがなくなることで、会計ミスや不正防止にも効果的です。
購入やリースで券売機を導入する場合、固定資産として計上し、国税庁の規定にしたがって8年間の減価償却を行う必要があります。購入費用を分散して計上でき、適切な経費処理が可能です。また、リース契約の場合は毎月のリース料を経費として処理できます。正しい会計処理を行えば経費として認められるので、税理士や会計担当者と相談しながら導入を検討しましょう。
出典:国税庁/主な減価償却資産の耐用年数表