キャッシュレス決済が普及する中、現金を持ち歩かない消費者が急増しています。飲食店検索サイトでも「クレジットカード対応」は店舗選びの重要な基準のひとつで、店舗経営者にとってキャッシュレス決済の対応は重要課題のひとつといえるでしょう。
本記事では、キャッシュレス対応レジの概要や決済端末の種類、クレジットカードや電子マネーといった決済手段について解説します。多様な決済に対応したキャッシュレスレジも紹介していますので、導入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
キャッシュレス対応のPOSレジとは
キャッシュレス対応のPOSレジとは現金以外の支払方法に対応したレジです。
POSは商品販売と同時に売上データを自動記録・集計できるシステムを指します。Point Of Sale(販売時点情報管理)の略で、販売情報がリアルタイムで集計されるため売上状況の把握や在庫管理が容易になります。
なお、キャッシュレス対応レジにはスマホやカードから支払情報を読み取る決済端末が必要です。据え置き型やモバイル型など用途に合わせて選択可能です。
キャッシュレス決済対応のPOSレジを導入すれば、現金を持ち歩かない顧客の需要に応えられるだけでなく、業務効率化による複数のメリットが得られます。
キャッシュレス対応POSレジの導入は、店舗運営の最適化につながる選択のひとつといえるでしょう。
キャッシュレス決済機能とPOSレジの連携
キャッシュレス決済機能とPOSレジを連携させることで、効率的な店舗運営につながります。
たとえば、連動によってPOSレジで入力した金額が決済端末に自動反映されるため、手動入力の手間が省けます。会計業務のスピードが向上し、金額の打ち間違いといったミスを防止できるでしょう。
また、POSの活用により現金売上とキャッシュレス決済売上の一元管理が可能になります。複数の決済手段を活用しても日々の売上集計業務が容易になるため、スタッフの業務負担が軽減されます。
POSレジについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
関連記事:【2025更新】POSレジとは?種類・機能・導入メリットを解説!
キャッシュレス決済の種類
レジに導入すべきキャッシュレス決済は、主に3つの種類に分けられます。自店舗に最適な決済方法を選べるよう、まずはそれぞれ特徴を理解しましょう。
- クレジットカード決済
- 電子マネー決済
- QRコード決済
クレジットカード決済
クレジットカード決済は、日本で広く普及しているキャッシュレス決済方法のひとつです。
JCBの「キャッシュレスに関する総合調査(2024年度版)」によると、日本のクレジットカード保有率は87%と高水準です。ひとりあたりでは、平均2.8枚のクレジットカードを保有していることが明らかになっています。
クレジットカード決済導入時には「タッチ決済対応か」「主要国際ブランドに対応しているか」といった点を確認しましょう。とくにインバウンド需要の高い店舗は、国際ブランドカードに対応することで売上アップにつながります。
関連記事:
クレジットカード決済の手数料とは?導入メリットや選ぶ際のポイント |
レジにはクレジットカード決済は必須?POSレジ連携がおすすめ!
参考サイト:キャッシュレスに関する総合調査(2025年3月発表 2024年度版 )|株式会社ジェーシービーのプレスリリース
電子マネー決済
電子マネーは、ICカードやスマートフォンを読み取り機にタッチするだけで支払える決済方法です。主に「交通系」「流通系」「クレジットカード系」の3つに分けられ、次のような特徴があります。
電子マネーの種類と特徴
種類 | 主なサービス | 特徴 |
交通系 | Suica、PASMOなど | ・鉄道会社などの公共交通機関が発行 ・一般的な支払方法はプリペイド型(事前チャージ) |
流通系 | WAON、nanacoなど | ・小売流通系の企業が発行 ・一般的な支払方法はプリペイド型(事前チャージ) |
クレジットカード系 | iD、QUICPayなど | ・クレジットカードと紐付いており、チャージ不要 ・後払い方式で、クレジットカード利用代金として請求される |
電子マネーを導入すれば会計時間が短縮され、混雑緩和に効果的です。導入時は、店舗の立地や顧客の利用する電子マネーを考慮してサービスを選んでみてください。
関連記事:
電子決済の導入のメリットとは?POSレジ連動を推奨する理由
電子マネーの種類10選!カテゴリ別の種類や店舗側の導入メリット
QRコード決済
QRコード決済はスマートフォンのアプリを利用した決済方法です。「PayPay」「楽天ペイ」「d払い」といったサービスがあり、大きく分けて2つの読み取り方式があります。
- ストアスキャン方式(利用者提示型):店舗が、顧客の提示したQRコードを読み取る
- ユーザースキャン方式(店舗提示型):顧客が、店舗の提示したQRコードを読み取る
ユーザースキャン方式の場合、店舗側はQRコードを掲示するだけで決済端末は不要のため、導入コストを抑えられるのが特徴です。
QRコード決済の導入時は、サービスの種類や手数料、売上金の入金サイクルなどを確認するようにしましょう。
関連記事:
QRコード決済とは?種類やレジ導入のメリットまで詳しく解説
QRコード決済の導入方法と費用〜10社のサービスを一斉比較!
キャッシュレス対応POSレジの3つのおすすめポイント
キャッシュレス対応POSレジは、現金以外の支払方法に対応するだけでなく、店舗運営にさまざまなメリットをもたらします。とくに注目したい3つのおすすめポイントを紹介します。
- 1.売上アップが期待できる
- 2.迅速に会計できる
- 3.人的ミスを予防できる
キャッシュレス決済の導入メリットをさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
関連記事:キャッシュレス決済導入のメリットとは?導入の流れと各社の比較ポイント |
1.売上アップが期待できる
キャッシュレス決済は現金決済に比べて客単価が高くなる傾向があるため、店舗の売上アップが期待できる可能性があります。また、クレジットカードや電子マネーのポイント還元システムやキャンペーンも客単価向上に貢献するでしょう。
顧客が「ポイントが貯まる」「キャッシュバックがある」といったメリットを感じるため、追加購入や高額商品購入につながるかもしれません。さらに、キャッシュレス対応店舗であることがきっかけで、新規顧客の獲得も見込めます。
2.迅速に会計できる
キャッシュレス対応POSレジの導入により、会計処理のスピードが向上します。
現金決済では金額確認からお金の受け取り、お釣りの計算や返却といった複数のステップが必要ですが、キャッシュレス決済ならタッチやスキャンで操作が完了します。金銭授受がなくなることで1回あたりの会計時間を短縮でき、レジ待ち行列の緩和につながるでしょう。とくにランチタイムや週末といった混雑時には大きな効果が期待でき、店舗の回転率も向上します。
3.人的ミスを予防できる
決済端末とPOSレジが連動しているキャッシュレス対応POSレジは、会計処理の人的ミスが減少します。
レジ入力と決済端末に再入力する「会計金額の2度打ち」が不要となり、入力ミスによる金額の不一致が発生しないためです。
その結果、スタッフの業務負担が軽減されるとともに、ミスが少なくなることで精神的な負担軽減にもつながります。売上データも自動で正確に記録されるため、集計作業の効率化とともに、経理業務の精度も向上するでしょう。
関連記事:レジミス対策 | 過不足金や操作ミスをなくす方法を解説
まとめ
本記事では、キャッシュレス対応POSレジの概要や種類、おすすめポイントを解説しました。
キャッシュレスレジの決済端末の種類は、主に「据え置き型」「モバイル型」「決済端末一体型POS」の3タイプで、店舗の規模や業態によって最適な端末は異なります。
導入すれば売上向上・会計スピード向上といったメリットがあり、さらに人的ミスの予防にも貢献します。導入コストはかかるものの、業務効率化と顧客満足度向上につながる投資といえるでしょう。
本記事で解説した導入メリットや選定基準を参考に、効率的な店舗運営につながる最適なキャッシュレスレジを選んでみてください。
キャッシュレス対応のPOSレジに関するよくある質問
ここからは、キャッシュレス対応のPOSレジに関するよくある質問にお答えします。キャッシュレスレジに関して疑問のある方は、参考にしてみてください。
- キャッシュレスレジ導入で利用できる補助金制度はありますか?
- キャッシュレスレジの使い方は複雑ですか?
- 複数の決済方法に対応する場合、レジ締めの作業は煩雑になりますか?
- キャッシュレス決済の手数料は高いのでしょうか?
キャッシュレスレジの導入に活用できる代表的な補助金制度は、次の4つです。
ものづくり補助金
小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)
業務改善助成金
IT導入補助金
補助金によって対象となる機器や事業者の条件が異なるため、導入予定の機器が補助対象になるかを事前に確認しておくことをおすすめします。また、公募期間は限られているため、余裕を持って準備を進めるようにしましょう。
キャッシュレス対応POSレジの多くはシンプルな設計で、直感的に操作できるものもあります。画面案内にしたがって操作するだけのPOSレジもあり、複数の決済方法でも迷わず対応できるでしょう。
操作トレーニングを事前に受けられるサポートを実施している製品もあるため、使い方に不安が残る場合はサポート内容を確認の上、活用するとよいでしょう。
POSレジには、現金取引とキャッシュレス決済を一元管理できる機能が標準装備されているケースがほとんどです。日次の売上レポートも決済方法別に自動集計されるため、手作業での計算が減り、締め作業の効率化につながります。
決済サービス会社によって料率は異なり、売上額に応じて優遇される場合もあります。また、キャッシュレス化による売上増加や現金管理の手間削減といったメリットも考慮に入れる必要があります。