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2020.09.29
経営 資金

買掛金・売掛金とは?違いを具体例で紹介・仕訳の方法も解説

代金をつど請求せず、当月締め翌月末払いなどあらかじめ指定した日に決済を行う「掛取引」を採用している企業や店舗は多くあります。掛取引で購入した場合は「買掛金」、販売した場合は「売掛金」が発生します。

本記事では、掛取引のメリット・デメリットとともに仕訳の方法等について説明します。

買掛金とは

買掛金とは、取引時に生じた代金のなかで「まだ支払っていないもの」を指します。買掛金の対象となるのは仕入れや商品の購入、外注加工の依頼などで、建設費や固定資産、有価証券の購入代金は買掛金になりません。

たとえば、飲食店が仕入れている食材の代金を月末締めの翌月払いとして月に1度まとめて支払う場合、締め日までに購入した食材の代金はすべて買掛金となります。

売掛金とは

売掛金とは

売掛金は、商品やサービスを販売・提供した際に取引先からまだ支払われていない代金のことです。営業取引のなかで、1年以内に現預金で回収が見込まれる未収代金が売掛金にあたります。

たとえば、電気機器を取り扱う業者が飲食店にエアコンの取り付けを行ったとします。この時、その場で代金の授受を行わず、後日振込日を指定し請求書を取引先に送付した場合、取引日に発生した代金は売掛金として処理します。

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買掛・売掛システムのメリット

掛取引には次のようなメリットがあります。

  • 掛取引なら請求回数が少なく、事務作業の負担を軽減できる
  • その場に現金がなくても取引が可能になる

請求・支払い回数が少なくて済む

月に何度も不定期な請求が発生する場合、その都度請求または支払い業務を行っていたのでは事務作業が負担になってしまいます。支払い側も、支払い方法によっては振込手数料などの費用をつど支払わなければなりません。

取引があったことだけを記録しておき、あらかじめ設定していた締め日にまとめて請求を行うことで、事務作業にかかる負担を軽減できます

その場に現金がなくても取引可能

一度に大きな金額の取引をする際や、対面以外での取引の場面において、その場で現金を用意して支払うのは現実的ではないでしょう。掛取引なら、大規模な取引やリモートでの取引も可能です。

買掛・売掛システムのデメリット

便利な掛取引にも、次のようなデメリットがあります。

  • 売掛金を予定通り回収できないリスクがある
  • 掛不良債権の発生を避けるために与信管理が必要になる
  • 取引数が増すにつれ毎月の請求・支払い業務の負担が増える

予定通り回収できないリスクがある

予定通り回収できないリスクがある

売掛金は将来回収できる予定の資産と言い換えることができます。しかし同時に未回収リスクもはらんでいます。

あらかじめ指定していた期日に支払いが行われなかった場合、確認業務や督促業務が発生します。売掛金が回収できなかったとき、まずは取引先に「代金を受け取っていない」旨を説明し、入金先や日付、金額を間違っていないか確認します。取引先の経営が思わしくなく支払われない場合には、最悪貸し倒れとなることもあるでしょう。

与信管理が発生する

「与信」とは取引相手の信用度のことで、売掛金を増やしながらもリスクをなるべく低くするための取り組みを「与信管理」と言います。与信で取引相手の財政状況や事業規模を確認して、その情報をもとに取引の限度額を決め、与信管理を行います。

与信管理で重要なのは、売掛金を増やしながらも未回収リスクをどれだけ低くするかという部分です。与信管理を厳しくすると、売掛金を増やせず利益が小さくなってしまいますし、かといって緩めると未回収リスクが高まります。

取引数が増すにつれ毎月の請求・支払い業務の負担が増える

いくら掛取引といっても、売上・支払いの発生する取引の数が多ければ業務負担も大きくなります。毎月何十件もの取引があれば、売上金の計上漏れやミスも起こりやすくなるでしょう。毎月の締め日に多忙を極める店舗経営者や担当者も多くいます。

支払う側としても、取引内容に相違はないか確認する作業が発生します。資金繰りが悪化してくれば、まとめて多額の支払いをしなければならない掛け払いを負担に感じるでしょう。

売掛金と未収金はどう違う?

売掛金と未収金は同じようで明確な違いがあります。

  • 売掛金:本業の営業活動による代金の未回収金
  • 未収金:本業の営業活動「以外」の取引で発生した未回収金

掛取引の仕訳例

掛取引の仕訳例

掛け売り、掛け払いでは、売掛金・買掛金を仕訳によって相殺する必要があります。この作業を「消し込み」と呼びます。消し込み作業は、言い換えれば「債権・債務をゼロに戻す」作業です

掛取引では、一般的に銀行口座への振り込みで代金を支払います。掛け売りをした側は、請求書で売掛金の合計を出し、振込期日に銀行口座に振り込まれた代金を確認して、合致すれば売掛金を消滅させることができます。

掛け払いをした側は、振込期日までに指定の口座に指定された金額を振り込み、消し込み作業を行って買掛金という流動負債を帳簿上から消します。

【10万円の商品を掛け売りしたときの仕訳】

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳売掛金100,000売上100,000

掛け売りしたときは、売上が発生した時点または締め日時点で売掛金の仕訳が発生します。借方に売掛金、貸方に売上と仕訳しましょう。

【先日販売した10万円の売掛金が振り込まれたときの仕訳】

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳普通預金100,000売掛金100,000

売掛金が回収できたら、以前発生させた売掛金の仕訳を消し込みます。借方に普通預金を、貸方に売掛金と仕訳することで、前回、借方に置いた売掛金と今回の貸方に置いた売掛金が消滅し、借方に普通預金、貸方に売上が残ります。

【掛け払いで3,000円の野菜を仕入れたときの仕訳】

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳仕入3,000買掛金3,000

掛け払いでは、取引先企業から請求書を受け取った時点で買掛金が発生します。借方に仕入れ、貸方に買掛金と仕訳しましょう。

【期日までに買掛金を普通預金で支払ったときの仕訳】

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳買掛金3,000普通預金3,000

請求書にある期日までに、買掛金を普通預金から支払ったときの仕訳です。借方に買掛金、貸方に普通預金と仕訳して、買掛金を消し込みます。これにより、買掛金が消滅して借方に仕入れ、貸方に普通預金の仕訳が残ります。

売掛金と買掛金の相殺処理

売掛金と買掛金の相殺処理

掛取引で発生した売掛金と買掛金は相殺できます。

A社がB社に対して請求した売掛金と、B社がA社に対して請求した売掛金が同額だったとき、これらを相殺すればどちらも売掛金と買掛金がゼロになります。

売掛金と買掛金を相殺できれば、現金を動かす必要がありません。売掛金の回収の手間もなくなります。取引先からの回収が難しそうなときにも活用できる方法です。

相殺処理の仕訳

相殺処理の仕訳の方法を解説します。

A社がB社に請求した金額は200万円で、B社がA社に請求した金額は100万円でした。

A社:B社に対して売掛金が200万円・買掛金が100万円ある状態
B社:A社に対して売掛金が100万円・買掛金が200万円ある状態

B社は相殺できなかった買掛金を普通預金からA社の普通預金に振込み、支払いました。

【A社の仕訳】

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳売掛金2,000,000売上2,000,000
仕入1,000,000買掛金1,000,000
買掛金1,000,000売掛金1,000,000
普通預金1,000,000売掛金1,000,000

発生した200万円の売掛金は100万円の買掛金で相殺され、さらに100万円が普通預金に振り込まれ売掛金と同額になり、消し込みが行われます。

【B社の仕訳】

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳仕入2,000,000買掛金2,000,000
売掛金1,000,000売上1,000,000
買掛金1,000,000売掛金1,000,000
買掛金1,000,000普通預金1,000,000

B社が相殺できなかった買掛金は、通常と同じようにA社の口座に振り込み消滅します。この通りに仕訳を行うと、買掛金を消し込めます。

まとめ

店舗と取引先間など、主に企業間取引で使われる掛取引では、商品やサービスを販売したその場で現金を受け取り、会計を行うのとは異なる会計処理が発生します。掛け売りによって請求の手間は省けるというメリットがある一方、決算処理に手間がかかるようになるなど相応のデメリットも発生します。売掛金と買掛金の基本を理解して、会計業務に役立てましょう。

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